【作:ラム*カナさん】
『人材=人財』と社員を大事にする会社がある一方で、財産と言いつつも“使い捨て”“ただのコマ”のような理不尽な扱いをする会社も多いのが現実です。
仕事にやりがいを感じていてもその“やりがい”をいいように使い、安い労働力として働かせる…いわゆる『やりがい搾取』が横行しているブラック企業。
やりがい搾取に遭っている人は自分が不当な扱いを受けていると感じにくく、気が付いたら体を壊したりうつ状態になってしまっていたりといったリスクがあります。
今回は低賃金やサービス残業、休日出勤等の悪い労働環境と社員を大切にしない会社の特徴や対策について説明します。
「もしかしてやりがい搾取?」と割に合わない労働をさせられている方や、今の働き方がしんどいと感じている方はぜひ参考にしてください。
仕事をする上で大切なことって何だと思いますか?
もちろん仕事に対するやりがいは大切ですし、生活を続けるための賃金も大切ですが、最も重視しなければいけないことは、安全に仕事を続けられる労働環境です。
社員は人財と言いながらも、給料が安くサービス残業や休日出勤は当たり前、ボーナスは雀の涙…口先ばかりで“使い捨て”“コマ”と思っています。
働く社員の多くは、自分のスキルやキャリアを認めてもらいたい!才能や能力を発揮して仕事がしたい!と思っています。
このようなやる気のある社員に対して、やりがいという甘い言葉で充足感に漬け込み、不当な環境に身を置かれた社員達を惑わし搾取し続けているのです。
社員を大切にしない会社では“やりがい”を強調し、社員に意識させている
社員を大切にしない会社=ブラック企業は、このコロナ禍で明確になりました。
コロナウイルスの感染拡大は人々の不安を大きくさせ、特に日々出勤しなければいけない会社員は、いつ感染するか分からない恐怖と戦いながら仕事をしていました。
そこで見えてきたそれぞれの企業体制。
ある企業ではいち早く在宅勤務やテレワークの導入を行い働き方の方向転換をしました。
またコロナ禍での方針を打ち出し、社内での感染防止対策の徹底、コロナウイルスに感染した場合や濃厚接触者となった場合の対応を明確にしました。
このように柔軟な働き方を整備し、社員が安心・安全に働けるよう企業努力を行った企業は社員を大切にしているホワイト企業であるといえるでしょう。
しかし一方で以下のような企業もあります。
在宅勤務やテレワークの導入については、エッセンシャルワーカーなど業種によって難しいケースもありますが、「やろうと思えばできるのにしない」企業も少なくありません。
社員の健康よりも事業やこれまでのやり方を優先させ、臨機応変に対応しない企業です。
働き方の方向転換をしていない企業でも、コロナ対策として社員の健康管理やアルコール消毒の徹底、3密を避けるといった対策をしている企業は多いかと思います。
しかし、社員を大切にしない企業ではコロナウイルスを軽視し、感染防止対策を徹底していない企業があるのも事実です。
など既存のルールが継続され、密室・密集・密接の“3密を避けることのできない環境に置かれるといったケースです。
会社に大切にされていないと気づきながらも、不安定な雇用環境で「今は辞められない」と不満を抱えながら働いている方もいらっしゃいます。
勤務体制の対応や感染リスクの排除などのコロナ禍においてだけでなく、企業には常日頃から労働者の安全を守る配慮が必要という『安全配慮義務』があります。
会社は社員の健康や安心・安全を守らなければいけない、ということです。
この安全配慮義務を配慮がされていない会社は、すなわち社員を大切にしない会社ということでありブラック企業といっても過言ではありません。
社員を大切にしない会社=人財をポイ捨てするブラック企業!
“社員を大切にしない会社”は、なぜせっかく働いてくれている社員を大切にしないのでしょうか?
それは、社員をコストとしか考えていないからです。
社員を大切に思うなら
このような対策をとりますが、社員を大切にしない会社では安く使える労働力が欲しいと考え、人件費(コスト)を抑えて雇用します。
やりがいをモチベーションに労働力に見合わない対価(給料)で働いてくれたら、会社にとってはコスパがいいですよね。
自分が目指していた仕事ややりたいことに関しては、どうしても視点が甘くなりがちですが“やりがい”をもっていたとしても適切な労働環境や賃金は支払われるべきなのです。
業務に見合わない給料や待遇が整っていない、やりがい搾取などが横行している会社に多い業種をみてみましょう。
すべての業種はそうではありませんが、もしご自身の働いている会社が当てはまっていたら同業種での転職を検討した方がいいかもしれません。
介護職や保育士、幼稚園教諭など目に見えないサービスを提供する業種では、サービスに終わりがないことや相手との関わりが密になりやすい特徴があります。
相手への寄り添った対応や自身のスキルや行動に対しての反応にやりがいを感じ、「この業種はこういうもの」といった固定概念から抜けきれません。
必要以上に自分のスキルや時間を使って、相手へサービスをしてしまうこともしばしば。
漫画で紹介された介護・福祉職である福祉施設の生活相談員も同様に、やりがい搾取されやすい職種。
介護や福祉は“奉仕の気持ち”や“優しさ”の仕事の概念から、過酷な労働と見合わない賃金によって働かされているのが現状です。
それでも相手からの「ありがとう」や笑顔で、ついやりがいを感じてしまうのが介護・福祉職員の性といえるのでしょう。
求人情報や企業理念で「夢・希望・やる気」などの抽象的なキャッチコピーを多用している会社は、イエローカード。
実はあなたのやりがいを、ブラック経営者が狙っているのかもしれません。
業務内容よりもアットホームやハッピーなどをアピールする会社は、精神論だけで過酷な労働を強いられる可能性が…。
営業職や不動産業界、販売業などノルマのある業種に見られる傾向があります。
ウェブデザイナーやクリエイターなど、スケジュールに追われる中でクオリティの高さが求められる仕事。
自分のスキルとセンスが重視されるクリエイティブな仕事は、「仕事をさせてもらっている」「自分の作品を世の中に出させてもらっている」という意識になりやすいもの。
また、完成した製品や作品を見ると過酷な労働を忘れモチベーションとなり、やりがい搾取されてしまっている方も少なくありません。
社員を大切にしない会社は数多く存在しますが、そこでやりがいを搾取され続けるターゲットは以下のような方です。
入職したばかりの新人社員や若手社員は、熱意や夢をもち真面目な方が多いでしょう。
もちろんやりたい仕事をしているので違和感を持ちながらも、やりがいをもち一生懸命仕事に取組みます。
新人や若手社員は業務について疑問を持っていても、声を大にして「おかしい」と言えませんし「こんなものかな」と思ってしまいがちです。
夢や希望、志が高い方もやりがい搾取の餌食になりやすい傾向があります。
会社や上司が語る理念や精神論に共感し、キャリアプランの実現や「自分もこうありたい」と理想を抱いてしまいます。
忙しく業務に追われる中で正常な判断ができなくなったり、「これでいいのだ」と洗脳されたりすることもあります。
また漫画のように“有資格者”であることのポストやステータスを強調されると、自己肯定感が高まり、特別な存在だと思い込んでしまうことも…
Point自分らしく健康的に働ける職場かどうか、常に見極める視点を持つことが大切
「私の会社は、やりがい搾取が横行するブラック企業?」と思ったあなたは、これからお伝えする2つの対策をとりましょう。
社員を粗末にする会社or大切にする会社の見分け方の参考にしてください。
長時間労働やサービス残業、休日出勤などを当たり前のようにしている場合、会社から支払われている賃金が適切か確認してください。
心身を削って自分を安売りしていませんか?
“やりがい”で洗脳されていませんか?
「私にしかできない仕事」というオンリーワンや「頼りにされている」という言葉で丸め込まれていませんか?
給料と勤務時間のバランスを確認したい方は、時給換算してみましょう。
全国のアルバイト・パートの平均時給額よりも高くなければ、いくらやりがいを感じていても仕事に見合った賃金ではないということです。
やりがいを感じつつも過酷な業務に耐え切れない場合は、このまま働いていても心身が疲弊するリスクも高いので、早めに見切りをつけて転職先を探すのもひとつの方法です。
人を粗末に扱う会社や人を使い捨てする会社の行く末は、先行きは良くないと予測されます。
自身のキャリアプランを考える上でも、やりがい搾取されるだけで働き続けているのはデメリットの方が大きいでしょう。
同業種であっても今よりもいい条件の職場もありますので、転職先を見つけ心機一転新しい環境で働くことをおすすめします。
口コミや企業ランキングで実際に働いていた方の声を参考にしたり、転職エージェントなど業界や転職に精通するプロに相談してみましょう。
いかがでしたでしょうか?
社員を大切にしない会社の特徴や対策についてお伝えしました。
社員を大切にしない会社は、労働者のやりがいにつけこみ安い労働力を買い叩き、健康を脅かす存在です。
仕事をする上で“やりがい”は、働くモチベーションを上げる大切なことですし、もちろんお金も生活をするために不可欠なものです。
しかし、やりがいや仕事に対する責任感だけで過酷な労働環境で働かせる会社にいても、労働者の心身を削りキャリアプランを崩していき、少しのメリットもないのです。
労働者1人ひとりによって“やりがい”や働く際の希望が異なるため、社員を大切にしない会社を絞ることは難しいものです。
100%満足できる職場を見つけるのも至難の業ですが、働く上で絶対に譲れないポイントやキャリアビジョンを明確にすることがいい職場と出会う近道です。
客観的にご自身の労働環境を見極め、ぜひご自身のスキルが発揮できる新しい職場を見つけてください!