こんにちは!これから5回に分けて発達障害者の方のための就労をテーマにしてお伝えしていきます。よろしくお願いします!
さて、このテーマを見られているという事は障害者雇用を既に検討中、若しくはどんなものだろうかと情報集めをされている方がほとんどだと思います。
あなたは障害者雇用にどのようなイメージがありますか?
「配慮がありそう」
「給与が安そう」
「求人自体が少なそう」
これから全5回の中でご案内しますので安心してくださいね。皆さんが思う「??」が「!!」に変われば嬉しいです。では早速行ってみましょう。
先ずは、発達障害者を含む障害者の就労に関する数字を一緒に見ていきましょう。
2018年6月1日現在の障害者雇用状況は、雇用障害者数が15年連続で過去最高を更新し、雇用人数は約53万人。身体障害者が約34.6万人、知的障害者が約12.1万人、精神障害者(発達障害者は非開示で働く場合があり、正確な数字は不明)は約6.7万人となっています。
いずれも前年より増加し、特に発達障害者を含む精神障害者の伸び率が高く出ました。
引用:令和元年版 障害者白書「民間企業における障害者の雇用状況」
2018年には新しい障害者雇用促進法が適用され、従業員45.5人(要するに46人)以上の民間企業の事業所は従業員の2.2%の割合で障害者を雇用することが課されています。つまり、1,000人の従業員を雇っている民間企業の事業所は、22人以上の障害者を雇用しなければいけないことになります。
2017年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は、2016年度を上回る97,814件(前年度比4.9%増)でした。中でも発達障害者を含む精神障害者の就職件数は45,064件(前年度比8.9%増と大幅に伸びています)
また、2018年4月から発達障害者を含む精神障害者の雇用が義務化されたこともあり、今後も発達障害者の就職率は増加することが予想されます。
資料:厚生労働省「障害者の職業紹介状況等」から「ハローワークにおける障害者の職業紹介状況」
資料:厚生労働省「障害者の職業紹介状況等」から「ハローワークにおける障害者の職業紹介件数」
発達障害者が障害者枠で働くためは、現在の制度上「療育手帳(地域によっては愛の手帳)」若しくは「精神障害者保健福祉手帳」が必要です。手帳の取得を検討される方はお近くの役所の「障害福祉課」などに相談しましょう。
また、精神障害者保健福祉手帳は2年に1度の更新です、更新忘れがないようにしましょう。
最期に、手帳申請中の場合は、手帳が届くまで就職活動が出来ない、ということはありません。その場合、求人応募時にその旨伝えれば「可」とする企業は多いです。
発達障害のある人が心身ともに安定して働くためには、専門的な就労相談、支援を受けることが望ましい。しかし、現状は一人で悩み苦しんでいる方が多い。
そこで、発達障害者の就職活動をサポートしてくれる公的な制度を以下紹介します。困難を感じるような場合は自分一人で悩まず、解決しようとせずに先ずは連絡、相談してみましょう。
あなたは一人じゃない!つながろう!
ハローワーク(最も身近な職業紹介所)
就職を希望する発達障害者が求職登録を行い、職員が障害の種類、程度に応じた職業相談、紹介、職業定着指導などを行っています。
なお、「ハローワークインターネットサービス」をインターネットで検索すると全国の求人情報が検索でき発達障害者を含む障害者のための求人検索ができます。
障害者枠の求人がどのようなものがあるか分からない場合は先ずは見てみることをお勧めします。
全国のハローワーク所在地案内 https://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
ハローワークインターネットサービス https://www.hellowork.go.jp/
地域障害者職業センター(就職に向けた具体的な相談・支援を行う)
地域障害者職業センターは全国52か所に設置され、発達障害者を含む障害者の就職に向けた相談・支援を行っています。
例えば、「ハローワークなどで就職先を探しているけれど、中々採用されない」「仕事がうまくいかない」といった問題について相談ができます。
同センターではあなたの困りごとなどをじっくり伺い、どのような支援が必要なのかを検討、職業リハビリテーション計画を立て、あなたに合った支援を行います。
地域障害者職業センター http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/index.html
障害者就業・生活支援センター(就業面及び生活面の両面における一体的な支援)
同センターでは、就業及びそれに伴う日常生活上の支援を必要とする障害のある人に対し、窓口での相談や、職場や家庭への訪問などを実施します(2019年4月現在334か所)
就職に向けた準備支援(職業準備訓練、職場実習の斡旋)や求職活動等の就業に関する相談、健康管理や住居、年金などの生活に関する相談も受けています。
全国の障害者就業・生活支援センター一覧
https://www.mhlw.go.jp/content/000525100.pdf
また、就労に直結した実践的な訓練を行う就労移行支援事業所があります。同事業所は、社会福祉法人、一般社団法人、NPO法人、株式会社が運営する事業所です。最後に、つながる場所として紹介します。
就労移行支援事業所(就職から定着までをトータルに支援)
就労移行支援事業所とは「障害者総合支援法」に定められた福祉サービスの一つ。「就職に向けた訓練から、就職後の定着まで一貫した支援を受けたい」と希望する、65歳未満の方が利用できます。
企業などへの就労に向けてビジネスマナー、パソコンスキル、電話対応などを学びます。訓練の内容は事業所によってかなり違いがありますので事業所のHPなどを見て気になったところを見学、体験してみましょう。
入所から最長2年間の訓練を経て就職を目指します。就職までは人それぞれ。数か月で就職する方もいれば最長2年間つかって就職する方もみえます。利用料は、世帯所得により変わりますが、多くの場合無料のことが多いです。他にも入所するまでに条件などがありますので詳しくは移行支援事業所に問い合わせてみましょう。
東京都内の移行支援事業所 検索サイト
http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/controller?cmd=ml4&actionID=jgytik&SVCSBR_CD=340
一般就労
障害者として特別な配慮や支援を受けずに一般企業などで働く。この場合、職場や企業のニーズに応えるだけの能力があるかがポイントになります。企業が求める仕事の質、仕事の量、スピードなどの水準に達していないと、苦労することになります。
反対に本人と職場とのマッチングがうまくいき、あなたが持っている能力を発揮できれば、企業と本人、または社会にとっての利益となります。
一般企業で障害者枠雇用
障害者手帳を取得し、一般企業や団体などの障害者枠で働く「障害者就労」です。45.5人以上の従業員がいる企業では、一定割合の障害者を雇用しなければならない「法定雇用率」があります。
また、多くの大企業では、障害者を専門的に雇う「特例子会社」があるところもあります。特例子会社は企業内で障害を持った方が働きやすいように特別に配慮した環境をつくっていますので働く側にとっては働きやすい場所です。
特例子会社は、2018年6月1日現在では486社が認定され、現在、多くの発達障害者が働いています。
就労継続支援事業所A型、B型
企業などでの就労が難しい場合は「就労継続支援事業所」で働くことができます。これは2006年に施行された「障害者総合支援法」に基づいてつくられた事業所でA型(雇用型)とB型(非雇用型)があります。A型は事業主と利用者が直接契約を結び、最低賃金を保証する形で就労し、B型は契約を結ばずに、比較的自由に就労することができます。
工賃(賃金のこと)は、A型の全国平均は月に約6万円、B型の全国平均は月に約1万5千円です。就労継続支援事業所は、一般雇用に比べると賃金は低いですが、様々な支援を受けながら、働くことによる満足感や達成感を得る機会が与えられます。
A型は支援を受けつつ働く場所、B型は就労の場というより「居場所」的な意味が含まれています。A型、B型、これらをステップに、一般就労への道が開かれる可能性もあります。
第一回目は以上です、いかがでしたか?
発達障害者を含む障害者雇用の現状、つながる機関、働き方を一緒に見てきました。障害者雇用の概要がご理解頂けましたら幸いです。
自己理解(障害理解)~多くの発達障害者が陥るワナとは?~
転職を繰り返す発達障害者に共通するのは自身の〇〇と〇〇〇が分かっていないということ。それが分かっていないとまた転職を繰り返す可能性が高い。発達障害者が職探しをする際の二つの大切な視点をお伝えします。次回をお楽しみに!!
【文献】
・令和元年版 障害者白書(59-80)