「会社を辞めたいのに辞めさせてもらえない…」と、企業の人手不足からなのかスムーズに退職できず悩んでいる方が増えています。
退職を引き止められる状況は様々ですが、私たち労働者には会社を辞める権利があります!
ひどい会社では退職の意思を伝えると人格否定や損害賠償請求などの脅しもあり、不当な在職強要が続くと精神的にしんどくなりうつになる可能性も…
今回は、会社を辞めたいけど辞めさせてもらえない方へ円満退職の方法についてご説明しますのでぜひご参考にしてください。
「在職強要」とは、会社へ仕事を辞めたいと意思を伝えているにも関わらず、引き止められ退職できないことをいいます。
在職強要の事例には下記のようなケースがあります。
上司は受け取らなければOKと思い、頑なに拒否する
求人を出す様子もなく、求人があっても応募者が見つからずいつまでも退職できない
1人雇うのに〇〇円かかった、顧客の信用を失うと違約金を請求される
退職を伝えた翌月からの給与はないと脅される
有給消化する人はいない、休めば欠勤にすると有給消化できない
働いていた会社から退職する際は退職届を提出し引継ぎや有休消化を行い、退職日を迎えるのですが、「退職させない」と退職届を受理しない会社や脅迫紛いの引き止めがみられる会社もあります。
特に悪質なケースでは損害賠償請求をすると脅し、在職を強要される場合があり、なかなか退職できないことで精神的に病んでしまう方が少なくありません。
上記のような引き止めは全て在職強要となります。
「退職を認めてもらえない、辞めさせられない」と引き止められるのはなぜでしょうか。
実は会社が在職強要をする場合にはネガティブな引き止め・ポジティブな引き止めの2種類あります。
まずはネガティブな引き止めとは多くの方が在職強要と聞いてイメージする引き止めです。
例えばブラック企業での社畜扱い、企業の人手不足などがあります。
退職者が1名出れば新規採用をしなければいけないため、雇用コストや教育コストがかかることを考え辞めさせたくない、顧客への説明や引継ぎに手間がかかるといった理由からです。
また、退職者を出すことで上司の部下に対するマネジメントスキルに傷がつき評価が下がるという理由から在職強要するケースもあります。
「骨の髄まで搾り取る」まさにブラック企業はこの言葉通り、入社したら最後。
退職する権利は法律で守られているはずなのですが、ブラック企業は無法地帯。
社員を奴隷のように扱い、脅迫や人格否定などで在職強要し心身共に大きなダメージを与え潰れるまで働かせ続けるのが特徴です。
ブラック企業ではギリギリの人員で業務をまわしているため、1人社員が減ることで人手不足に陥り業務が忙しくなることを懸念してなんとか在職させたいと考えています。
退職率が高いのがブラック企業の特徴ですが、退職率が低い企業は「辞められない企業」のケースもあり退職率が低いからといって100%安心できるわけではなくどちらもブラック企業なのです。
在職強要にポジティブなんてあるの⁉と思いがちですが、実は社員の将来を案じて辞めさせない企業もあります。
人材育成に力を入れている企業や上司と部下の関係が良好な企業に多くみられ、社員を大切にしているからこその引き止めというケースも。
このような企業では何がなんでも退職させないというわけではなく、退職後のキャリアプランが明確でない・今が退職のタイミングではないと引き止めているのです。
部署異動や勤務時間など改善できる点は改善し、スキルやキャリアを身につけて成功体験として本人にとって良いタイミング送り出すために継続して働いてもらいたいというのが本音です。
ネガティブな引き止め、ポジティブな引き止めを行う企業どちらを退職するにも退職の知識と労力、そして強い意志が必要です。
筆者が小さな会社で働いていたときにあったネガティブな引き止め、在職強要についてお話します。
新規事業所のため1年ほど長時間労働やサービス残業、休日出勤で体はボロボロ、気分も落ち込み眠れない日々が続いていました。
そんな中知り合いからヘッドハンティングの話があり、心機一転転職を決め、直属の上司へ退職の意思を伝えることに…
業務の引継ぎや後任のことも考慮して退職日を決め、退職届を書き、業務が終わった18時に上司へ「話がある」と伝え明確な退職の意思表明とともに退職届を渡しました。
すると…「嫌だ、私は受け取りません」と一言。
ここから1時間以上退職届を机に置き、「受け取ってください」「受け取れません」の押し問答です。
退職を認められない理由は人手不足のため業務が回らない、私が所持する資格がないと運営できないといった理由でしたが、話を進めていくと「こんなにいい待遇をしているのに退職したいなんて非常識だ」「会社を困らせる気か⁉嫌な子!」と罵られる始末。
それでもひるまずにいたら「いい人材を手放したくない」「あなたがいないと困る」とほめちぎり…
結局上司は、強引に退勤していき1週間ほど私が書いた退職届は机に置きっぱなし…
1週間そのままにして様子を見ていたのですが、退職届は机に置かれたまま、まるで退職の話がなかったかのように業務を進められ埒が明かず、さらに上の上司へ相談しにいき長時間の話し合いの末退職することができました。
家族企業の小規模の会社でしたが、退職まで在職強要に悩まされ続けました。
まだ20代の若かった頃だったので辞める知識も乏しく、相手は様々な企業を渡り歩いた人事のプロフェッショナル。
飴と鞭を使って何とか引き止めようとされ、この引き止められる時間が続くなら退職することを辞めてしまった方が楽になれるかもと思わされそうになってしまいます。
大企業の方が退職に関してビジネスライクで進められるのかもしれませんね。
退職の意思を伝えるのは知識と労力、強い意志が必要と先述しましたができるだけ迅速に穏便に退職したいものです。
引き止めの対処法として、退職を思い立ってすぐに意思を伝えるのではなく、上司に退職の意思を伝えるタイミングや話しの内容を工夫することが重要です。
時(time)、所(place)、場合(occasion)に注意して退職の意思を伝えるタイミングを選ぶことが大切です。上司とゆっくり話ができるタイミングや時間、場所などを選ぶことで退職の意思を伝えやすい状況を作ることができます。
法律上では2週間前の退職の申し出で退職できるとされていますが、引継ぎや取引先や顧客への説明・挨拶、有給消化の期間が必要なので、退職の意思を伝える場合は自分で決めた退職の日から1~2カ月前がおすすめです。
そして場所はなるべく人目につきにくい場所で退職の話は進めていきましょう。退職前に噂が広がると悪いイメージを持たれてしまう可能性もあり、業務や退職後の仕事にも影響が出てくることもあります。
上司が忙しくない時間とゆっくり話せる場所を選び、穏便に退職の話を切り出しましょう。
「退職」の話をしてもどう伝えるかによって相手の受け取り方が異なってきます。退職の意思を言い出しにくい、後ろめたいといったネガティブな気持ちがあると遠回しな言い方になってしまうかもしれません。
明確な意思表示をしない場合、在職強要をされやすい状況を作り出し結局退職できなかったということもあります。
「本当に退職したい」という意思をはっきりと伝えたい場合は明確な意思表示をしなければいけません。
会社にとって退職者を出すことは都合の悪いことなので、なんとかあなたを引き止めようとするでしょう。
しかし、「この会社にいても将来の夢が実現しないこと」「今後のキャリアプランが決定している」ことを伝えれば相手も納得せざるを得ないでしょう。
業務内容がしんどい、人間関係に疲れたなどのネガティブな理由だと改善案を出され在職強要されてしまうため、退職後のキャリアプランを明確にして引き止める理由を言わせないことが大切です。
企業は慢性的な人手不足に陥っています。
退職の意思を伝えたとき人手不足を理由に「退職されたら業務が回らない」と在職強要されるケースがあります。進行中の業務がある場合はもちろん引継ぎをおこなって退職しなければいけません。
ここで自分が辞めたら迷惑がかかるのでは…と躊躇してしまっては相手の思うつぼ。
人員を確保したり退職後の業務を回すのも会社の責任です。
人手不足の会社を上手く辞める方法は、自分のせいだと責任を感じず、後任者へ業務の引継ぎをしてすっきりと退職することです。
退職の意思を伝えても退職届を受理してくれない、損害賠償請求や脅迫される、有給消化できないなどで在職強要される場合、「いつまで働き続けたらいいのか」と終わらない毎日へのストレスから精神的に参ってしまい、うつになる可能性も少なくありません。
しかし、辞める時の知識として労働者には仕事を辞める権利があるということを知っておいてください。
民法上(民法627条1項)では、雇用期間の定めのない雇用契約で働いていた場合、退職の2週間前までに退職届を提出すれば退職可能とされ、雇用期間に定めのある有期雇用契約で働いていた場合、民法628条に従いやむを得ない事由がある場合を除いて原則契約期間の途中で退職はできません。例えば、妊娠や出産、家族の介護、過重労働などがやむを得ない事由に当てはまり、会社との合意によって退職することができます。
民法上では退職の2週間前までに退職届を提出すれば退職できるとされていますが、就業規則で「退職の申し出は1カ月・3カ月前にする」と決められているケースがほとんどです。
この場合、就業規則に従って退職を待たなければいけないのかと悩む方もいらっしゃいますが、基本的には民法が優先されます。
しかし、業務の引継ぎや後任決定などで1カ月程度の期間は必要ですのでできれば、1カ月前には申し出るようにすれば穏便に退職できるでしょう。
在職強要に多い退職届を拒否されるケースでは、退職の意思を伝えたことの証拠を残すことが重要です。話し合った日にちや内容、誰と話したかをメモしたりメールで残しておけば確実です。
また、退職の最低2週間前までに配達証明付き内容証明郵便で退職届を送れば退職することができるでしょう。
セクハラやパワハラで悩む方は一刻も早く退職したいと思っていますよね。民法第628条により有期雇用の雇用契約の場合、やむを得ない事由がある場合はすぐに退職することができます。雇用期間の定めのない雇用契約の場合明確な法律上の規定はないものの、基本的に即時退職は認められるとされています。
会社が退職を認めてくれないなどどうしても円満退職できない場合や脅迫され在職強要される場合は、「労基」と呼ばれる労働基準監督署へ相談することをおすすめします。企業の管轄の労働基準監督署へ相談し、それでも解決されない場合は労働局へ相談することができます。
それでも退職が認められない場合は最終的に裁判所で決着をつけることになりますが、裁判まで進むケースはなかなかありません。
退職は会社から認められなくても自由にできるものです。退職の意思を伝えたのにしつこく在職強要される場合は、脅迫に屈することなく行政機関に相談し冷静に対応しましょう。
在職強要がありそうな場合、実際に強く引き止められている人、退職の意思を自分で伝えられない人は直接会社と連絡せずに退職できる退職代行サービスの利用がおすすめです。
最近話題の退職代行サービスもひとつの方法で、その名の通り労働者と会社の間に入り退職の連絡を取り次いでくれるサービスです。
毎日仕事へ行くのが辛くてうつになるほど悩んでいる方は、心身がボロボロになる前にぜひ相談されてみてくださいね。
過重労働で自殺、うつ…といったニュースが毎日のように流れる今…「仕事」って心と体の限界を感じながらしなくてはいけないものですか?
「退職したいときは会社が認めなくても退職できる」という知識1つがあれば、気持ちに余裕ができ限界まで我慢しなくても済むはずです。ブラックな会社の在職強要に泣き寝入りや屈することなく、強い意志をもって辞める権利を主張しましょう。
辞める時の知識や情報はいざというとき武器となり自分自身を守ります。
会社で働く上で退職スキルを身につけておくことも大切なことです。