「障害があると就職が難しいのは本当?」
「障害者に向いている仕事を探す方法は?」
就職をしたいと思っているけれども、障害があると就職が難しいと聞き、不安に感じている人は多いのではないでしょうか。
日本では、現在60万人以上の障害者が民間企業で働いています。
障害の特性や自身の体調に合った仕事をみつけることができれば、障害があっても就職はできるといえるでしょう。
本記事では、障害者の就職の現状を解説します。
障害者におすすめの仕事や就職を成功させるポイントについても紹介しますので、就職を成功させたいと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
現在、民間企業に就職する障害者の数は年々増加しています。
厚生労働省が公表したデータによると、令和5年に民間企業で雇用された障害者数は64万2,178人となりました。
前年よりも2万8,220人増加しており、障害者の就職率が高くなっていることがわかります。
法律上雇用が求められている全従業員のうち、障害者の割合を示す法定雇用率を達成している民間企業は、50.1%です。
前年の48.3%よりも1.8ポイント上昇し、半数を超える結果となりました。
法改正などを通して、障害者雇用についての認知度が高まりをみせています。
認知度の高まりと同時に、さまざまな企業で障害者を積極的に採用する動きが高まっているといえるでしょう。
また、障害者の就職には、クローズ就労とオープン就労の2種類があります。
クローズ就労とは障害のことを企業に伝えず、一般採用枠で就労することです。
一方、オープン就労とは企業に障害について開示し、障害者採用枠で就職することを指します。
厚生労働省のデータは、障害者手帳を所有し、オープン就労で雇用された障害者数を集計しています。
クローズ就労で雇用された障害者も合わせると、民間企業に採用された障害者数はさらに多いと考えられるでしょう。
「障害者の就職は難しい」という声がよくきかれます。
障害者の雇用率が増えている一方で、就職が難しいと感じている障害者も少なくありません。
障害者の就職が難しいと感じるのには、以下のような2つの理由が考えられます。
障害の特性や自身の体調に合う仕事がわからず、なかなか就職できないケースも少なくありません。
やりたい仕事があっても、障害があるからできないこともあるため、悩んでいる障害者も多く存在します。
また、企業によっては業種や職種が障害者に適さず、障害者雇用枠の求人が出せない場合があります。
世間的に障害者を雇用する動きが高まっている一方で、障害者雇用枠の求人数があまり増えておらず、就職までに時間がかかるケースもあるでしょう。
障害者が就職に成功するためには、就職先の選び方や探し方をよく考えることが大切です。
障害者が就職できる職種は多岐にわたります。
障害の特性は障害者によって大きく異なるため、障害者全員が活躍できる仕事を探すことは難しいでしょう。
しかし、障害者雇用枠の求人数が多く、障害者に選ばれやすい仕事はいくつか存在します。
障害者におすすめの仕事は、以下のとおりです。
仕事 | 向いている人 | おすすめポイント |
---|---|---|
事務職 | 比較的身体に負担のない仕事をしたい人 | 求人数が多い |
清掃職 | ルーチン業務が得意な人 | 人と接する機会が少ない |
工場内軽作業 | ある程度集中力がある人 | キャリアアップしやすい |
コールセンター | コミュニケーション能力が高い人 | マニュアルが完備されており、未経験でも仕事しやすい |
農業 | 体力に自信のある人 | 業務内容が幅広い |
それぞれの仕事の特徴や、障害者におすすめの理由など詳しく解説します。
事務職は求人数が多く、障害者に選ばれやすい仕事です。
仕事内容は、パソコンを使用したデータ入力や電話対応、書類整理など職場によって異なります。
比較的身体への負担が少なく、障害の特性によって業務内容を調整しやすいのが特徴です。
また、会社によっては、リモートワークや在宅勤務など柔軟な働き方に対応できる場合があります。
身体的な負担が少ない仕事を探している人におすすめです。
清掃職は、オフィスビルや病院、スーパーなどを清掃する仕事で、障害者に選ばれやすい仕事の1つです。
床のモップがけやゴミの収集、トイレ清掃などが主な業務です。
業務には基本的にマニュアルが用意されており、ルーチン業務が得意な人に向いている仕事といえるでしょう。
1人で清掃をする機会が多いため、対人関係が苦手な人でもストレスなく仕事しやすい環境です。
工場内作業のなかでも、製品の組み立てや仕分け、検品などの軽作業は、障害者が仕事しやすい仕事といえます。
基本的には毎日決まった作業を行うため、変化に対応が難しい障害者に向いています。
工場内軽作業は日々の業務が大きく変わることがなく、業務に慣れてきたら現場のリーダーや社員などにキャリアアップしやすい仕事です。
ただし、業務内容によっては常に立ち作業だったり、失敗できない作業があったりと集中力がある程度必要です。
障害の特徴と自身の体調に合わせて作業をできるか事前に確認しておきましょう。
コールセンターは、コミュニケーション能力の高い障害者が働きやすい仕事です。
コールセンターでは、主に顧客からの問い合わせ対応を行います。
マニュアルが完備されていることが多く、業務未経験でも仕事をしやすい環境といえるでしょう。
職場によっては在宅勤務が可能な場合もあるため、自身の体調に合わせた柔軟な働き方ができます。
農業は、種まきや収穫、草取りなどさまざまな業務があり、障害の特性に合わせた働き方ができる仕事です。
就職する農家によっては、ハウスや温室などの室内で作業する場合もありますが、多くの農作業は屋外で行います。
重い物を運んだり、重機を動かしたりすることもあり、農業は体力に自信のある人に向いてる仕事といえます。
年間を通してさまざまな作物を育てる農家であれば、安定して働けるでしょう。
障害者の就職は、「大変そう」「失敗するかも」と不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、障害者の就職を成功させるポイントを4つ紹介します。
就職を成功させるには、障害の特性や自身の体調に合わせた企業選びが大切です。
これから就活を始める人は、ぜひ参考にしてみてください。
障害者が就活を始める際に、まずは障害の特性と自身の体調を把握し、自己理解を深める事が大切です。
就職を成功させるためには、企業と自身双方のマッチ度が高い必要があります。
たとえば、状況変化に対応が難しい人が業務内容が多岐にわたる企業に就職すると、働きにくさを感じて長続きしない可能性があります。
また、体力に自信のない人は重い荷物を運んだり、立ち作業が多かったりする仕事は向いていないでしょう。
自己理解を深めると企業に求める条件も明確になり、就活の軸を持つことができます。
障害についての自己理解を深める際には、以下の4つの項目にわけて分析してみてください。
体調・環境・コミュニケーションにわけて上記の分析を行うと、さらに自己理解を進められます。
自身に合った企業に就職するためにも、自己理解を深めて希望条件を洗い出しましょう。
応募する企業の障害者雇用の取り組みを調べることも、就職を成功させるポイントの1つです。
さまざまな障害特性を抱える人を採用した実績のある企業では、合理的配慮がスムーズに受けられます。
エレベーターやスロープなどの設備が導入されているケースも多く、仕事に集中できる環境が整っているといえるでしょう。
また、企業の障害者へのサポート体制を事前に調べることも大切です。
たとえば、休憩を細めに取れたり、在宅勤務に切り替えたりできる企業であれば、体調に合わせて柔軟に仕事に取り組めます。
企業のサポート体制を知っておくことで、入社後のミスマッチを防げるでしょう。
自分だけで就活を進めることに不安を感じている場合は、就労支援機関を活用してみてください。
就労支援機関とは、障害者の就職に向けた支援を実施する機関です。
障害者就業・生活支援センターやハローワーク、地域障害者職業センターなどが就労支援機関として挙げられます。
就労支援機関を活用すると、専門職員による職業相談や職業準備訓練など、障害者が就職するための手厚いサポートが受けられます。
就職後のアフターケアまで一貫して利用できるため、就職後の働き方にも不安を感じている人には、就労支援機関の利用がおすすめです。
一般就労を希望している障害者には、障害者向けの就職エージェントの利用がおすすめです。
障害者向け就職エージェントには、障害者の就職をサポートした実績があるエージェントが多く在籍しています。
そのため、障害の特性や障害による制約を理解してもらいやすく、障害に合わせた求人を紹介してもらえるでしょう。
また、求人紹介だけでなく、応募書類の添削や面接対策などさまざまな就職支援を行っているのもポイントです。
就活の進め方がわからない人は、障害者向け就職エージェントの利用を検討してみてください。
ここからは、おすすめの障害者向け就職エージェントを紹介します。
就職エージェントによって、求人数や提供している就職支援の内容などが異なります。
それぞれの就職エージェントの特徴を知り、自分に合ったエージェントを選びましょう。
LITALICO仕事ナビは、障害者向けの幅広い求人を扱っている就職エージェントです。
ハローワークなどでは探せない非公開求人も紹介しており、自分に合った就職先をみつけることができます。
また、障害領域の専門スタッフによる就職支援を受けられるのもポイントです。
就職支援サービスは、求人紹介から提出書類の添削、面接対策まで多岐にわたります。
15年以上、障害者の就労支援をしている実績があり、信頼性が高い就職エージェントといえます。
「初めての就活で不安」「就活のやり方がわからない」という人でもスムーズに就活を進められるでしょう。
障害者手帳を持っており、効率よく就活を進めたい人におすすめです。
公式サイト | https://snabi.jp/ |
---|---|
特徴 | 障害者向けの幅広い求人を取り扱っている |
おすすめポイント | 障害者の就労支援をしてきた実績が豊富で、選任のアドバイザーによるサポートを受けられる |
デイゴー求人ナビは、障害者の就職・転職サポートに特化した就職エージェントです。
人材紹介サービスと障害福祉事業所のノウハウを持った専任のキャリアパートナーが在籍しているのが大きな特徴です。
事業者の人材ニーズから障害の特性、スキルの有無までを把握し、企業と障害者の最適なマッチングを行います。
「自分に合う仕事がわからない」という人も、キャリアパートナーに相談しながら就活を進められるのがポイントです。
専任のキャリアパートナーによるマッチングを活用することで、入社後のミスマッチを防げるでしょう。
また、入社後も事業者と就労者双方へのフォローアップを実施しており、就職後のサポートも受けられます。
障害や自身の体調に合った就職先をみつけたい人に、おすすめの就職エージェントです。
公式サイト | https://dei-go.com/jobs |
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特徴 | 介護事業者や障害福祉事業者への支援実績による知見を活かして、障害者にマッチした求人紹介を行う |
おすすめポイント | 障害者に特化した就職・転職サポートを行っており、障害に合った働きやすい職場をみつけやすい |
障害者が就職する前には、働くために必要な土台となる「職業準備性」があるか確認しておくことが大切です。
職業準備性とは障害の有無に関わらず、働くうえで求められる能力・資質です。
職業準備性は、以下の5つの項目にわけられます。
上から順番に働くための土台として重要な項目です。
土台がしっかりしていると、安定して働きやすいとされています。
とくに障害者の就職では、健康管理・生活のリズム・対人技能が重要視されます。
健康管理 | 自身の障害について正しく理解し、健康な生活を維持すること。仕事を不必要に休まないか判断する材料となる。 |
生活のリズム | 毎日規則正しい生活を送ること。遅刻や欠勤なく働けるかを確認する。 |
対人技能 | 自分の感情を大きく表に出さず、ほかの職員と円滑なコミュニケーションができるかをチェックする。 |
働き始める前に、自身の職業準備性をチェックし、働き続けることができる状態か見極めておきましょう。
現在、日本では60万人以上の障害者が民間企業に就職しています。
障害があっても企業に就職している人は大勢います。
しかし、一般雇用の求人と比較すると障害者雇用枠の求人数は少なく、就職までに時間がかかるケースもあるでしょう。
障害者が就職を成功させるためには、自己理解を深め、障害の特性や自身の体調に合った仕事を探すことが大切です。
就活に不安を感じている人には、就職エージェントの利用がおすすめです。
障害者向けの就職エージェントを利用すると、専任のアドバイザーから障害に合わせた求人の紹介が受けられます。
書類添削や面接対策など内定までのサポートも受けられるので、安心して就活に取り組めます。
本記事を参考にして、自身に合った仕事をみつけて就職を成功させましょう。