退職の意思を上司に伝えたときに引き止められたらどう思いますか?
「自分を必要としてくれている」と少し嬉しい気持ちになる人、「なんですんなり承諾してくれないのだ」と困ってしまう人、「この会社を辞められないのか‥」と絶望してしまう人。
退職理由も人によって様々であるため、退職の引き止めにあったときの色々な気持ちが考えられます。
そして、その後も「もう少しこの会社で頑張ってみよう」と思う人もいれば「どうしても辞めたい」と思う人もいるでしょう。
今回は後者である、退職の引き止めにあっていて会社を辞めたいのに辞められない人に向け、しつこい退職の引き止め対処法を紹介していきたいと思います。
退職できない会社はありません!
会社を辞めたいのに退職の引き止めにあい悩んでいる人は少なくはありません。
実際にあった退職引き止め体験談を一部紹介します。
会社に嫌気がさし転職しようと思ったのが本音ですが、上司には「他の分野の仕事がしたい」との理由を伝え退職の旨を申し出ました。
しかし、上司からは「社内の異動でその分野の仕事が出来る」と言われ、異動を視野に退職を引き止められてしまいました。
内容が内容だけに上司の話を蹴るにも、どう伝えたらいいのかと悩んでいます。
職場の雰囲気と経営者との相性が合わないため、退職の意思を伝えましたが引き止めにあっています。
転職先も決まり出来るだけ早く退職したいのですが退職届を2回出しても受け入れてもらえず、話をしても聞く耳を持ってくれません。
転職先からは「待っていますので、お世話になった会社とは円満退社してきてください」と言ってもらえていますが、このままでは円満退社が出来るのか不安です。
前に一度退職を申し出たときに「○○さんが辞めてしまうと困るし、みんなが悲しむから」と情に訴えかけられました。その時は会社に残ることにしましたが、やはり退職しなかったことを後悔しています。
もう一度退職を言い出しても良いのでしょうか。
まだ20代と言うこともあり、「若いやつが働け」と過酷な仕事を文句も言わず頑張ってきましたがもう限界です。
応募時の求人内容(社会保険、厚生、労災、ボーナスあり)も?で、このままではダメだと思い転職先を決めてから退職を伝えました。
退職理由は夢を叶えるために‥と伝えたのですが、「そんな夢なんか諦めて会社を支えて欲しい」と。
2時間近く引き止められたのですが、それでも辞めると伝えたら「誰のおかげで飯が食えていたんだ」「転職先が決まっているのだろう?」「俺を馬鹿にしているのか」「会社を辞めるなら転職先に殴り込みにいく」と恫喝されました。
なぜ会社は退職を引き止めるのでしょうか?引き止めをする理由を見ていきましょう。
たった一人であっても退職者が出ることで業務が回らなくなってしまう恐れから引き止めをする会社が多くあります。
優秀な人材、業務を把握している人材、これからの成長に期待が出来る人材が退職してしまうことは会社にとって損失に繋がります。
仮に新しい人材を採用しても同じように業務を行えるようになるまで時間が掛かる、期待通りの人材である保証がないため現状ベストな人材には退職して欲しくないと引き止めをします。
新たに人材を採用するために自社HPでの求人募集だけでは限りがあり、求人・転職サイトや転職エージェントに求人を出すことが一般的となっているため求人募集のための費用が掛かります。
それに加え、採用した人材を戦力となるまで教育するためのコスト・時間を考えると戦力となっている人材を手放したくはないのです。
部下の退職が上司である自身の評価に影響する場合のある会社もあります。
このような会社では自分の評価が下がることを恐れ、退職を強く引き止めることがあります。
また、退職者が出たことによる自身の負担が大きくなることを避けるために引き止める上司もいます。
会社のため、自分(上司)のためではなく、退職を申し出た退職者のためを思って引き止めるケースもあります。
一時的な感情や間違った認識のまま勢いに任せて退職を決意してしまう人も少なくはありません。
理解があり様々な視点からものを見られる上司は、退職者の今後のキャリアを考えたときに退職が最善の方法でないと判断した場合、退職を引き止めることがあります。
退職を引き止めない理由にはこのようなことが考えられます。
悲しむのではなく、むしろ有り難いことだと思い次のステップへと進んでいくことが大切です。
では、実際に退職の引き止めにあった場合の断り方・対処法を紹介します。
退職交渉中に引き止めにあうことで、気持ちがぶれてしまうことも考えられます。
意思が弱いことを見抜かれてしまうと「このまま引き止めを続ければ退職しないはず」と思われ、益々強い引き止めにあってしまうでしょう。
そうならないために、これまでの感謝の意を伝えつつも「もう退職することを決めました」とはじめから揺るがない強い意志を伝えましょう。
結果的に?となってしまう場合もありますが、親の介護のためなど家庭の事情でやむを得ず退職する理由があることを伝えましょう。
家庭の事情であれば会社も納得してくれるでしょう。
会社に不満があるとしても、ネガティブな理由を退職理由とせずに「ほかにやりたい仕事がある」「他の分野にチャレンジしたい」「スキルアップを目指したい」とポジティブな理由を伝えるようにしましょう。
最後だからと捨て台詞のように会社の文句を言うようなことは絶対にNGです。
自分は言いたいことが言えてスッキリするかもしれませんが、お互いにとって良いことは一つもありません。
このように、会社や職場の不満を理由にするとその場で「待遇を改善する」と口約束として言われることがあります。
しかし、退職を引き止めるために言っただけで実際には何も改善されない場合もあります。
もしも、条件をのみ退職を撤回するのであれば契約書を作成しましょう。
上司が退職届を受理してくれず、人事部でも退職届の受理をしてくれない場合は内容証明郵便で会社に直接退職届を郵送しましょう。
もし「退職をしたら損害賠償請求をする」「転職先に殴り込みに行く」といったような脅しや恫喝、罵倒を受けた場合は、すぐに労働基準監督署へ相談してください。
脅しを恐れて退職を撤回しても精神的に悪影響ですし、そもそも恫喝は犯罪です。
自分一人での対応に限界を感じたら、外部からの適切なアドバイスをもらいましょう。
退職の引き止めで困っている人におすすめしたいのが転職エージェントです。
転職エージェントでは主に求人紹介を含めた転職活動のサポートをしてくれますが、在職中から計画的に転職エージェントを利用する人が多いこともあり、「退職アドバイス」も行っているのです。
転職エージェントのアドバイザーは転職の専門家。退職にだって詳しいのが当たり前です。
スムーズに退職をする方法をアドバイスしてくれるので、万が一、退職の引き止めにあった場合でも適切な対応で乗り切れるはずです。
転職先の決定&スムーズな退職と一石二鳥のサービス・サポートが魅力です。
退職時に強い引き止めや損害賠償請求など、「辞めたいのに辞められない」「退職できない」トラブルを抱えている場合は“退職代行サービス”がおすすめ。
退職代行サービスを利用すれば、トラブルへの対処法や円満退職のノウハウなどをアドバイスしてもらえるため、次のキャリアプランへのスムーズなステップとなるでしょう。
ブラック企業からなかなか退職できない、在職強要、パワハラ、嫌がらせなどで辛い状況の中退職を伝えられない方も少なくありません。退職代行サービスは利用者に代わって企業へ退職の意思を伝えます。
電話やメール、対面などで利用者へ退職に向けてのノウハウを伝え、円満退職をサポートします。
退職代行サービスによって退職後のキャリア相談や求人案内など転職をサポートします。
社員証や制服など貸与物の返却、退職に関わる書類の送付依頼などを利用者に代わって、企業へ伝えます。
退職代行サービスには法的にグレーな業者が存在します。トラブルに発展させないためにも、信頼できる退職代行サービスを利用しましょう。
退職の引き止めは約7割の人が経験していると言われます。(*)
多くの人が経験している引き止めですが、引き止められやすい人の特徴を幾つか挙げていきたいと思います。
会社の大きな損失となるような優秀な人材は、引き止めに遭いやすいです。
そして、言われたことを真に受けてしまい「自分が辞めたら周りに迷惑が掛かるのでは?」と考えてしまう人、「辞めて欲しくないと言っているからもう少し続けてみよう」と相手の意見に流されやすい人、「これ以上何も言えない」と自分の気持ちを押し殺してしまう人も引き止められやすいといえます。
一度引き止めを受け入れてから後悔しては、更なる苦悩が待っていることは目に見えています。
退職すると伝えることには大きな労力を使います。何度も同じことを繰り返すのは避け、強い意志を持ち続ける必要があります。
参照:@人事『退職時の引き止め「経験あり」68% 約半数は「人手不足」が要因』
退職の引き止めによる脅しや、退職届を受理しないといった行為は、違法になる可能性があります。
民法では労働者の意思による退職の自由が定められています。退職を引き止められたとしても、退職することは結果として可能です。
とは言え、会社ごとに就業規則が定められていますので、それは守るべきです。
「退職日の○ヶ月前までに退職を申し出る」といった内容を確認しておき、退職を伝えるタイミングにも気を付けることが大切です。
退職を伝えるタイミングとして、繁忙期を避け最低でも1ヶ月前には退職を伝えられるように準備をしておきましょう。
民法627条 1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
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民法627条 2項
期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
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民法627条 3項
六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。
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いかがでしたでしょうか?
退職理由はどうであれ、一定の期間はお世話になった会社への最後の礼儀としてしっかりと退職の意思を伝えましょう。
中途半端・優柔不断な態度では会社を納得させることは難しくなります。
例えしつこい退職の引き止めにあっても毅然とした態度で退職を伝え、出来ることなら円満退社で転職先での新しいスタートを切りましょう。