【作:海原 こうめさん】
職場の人間関係や待遇面、仕事内容に不満がある…
上司のパワハラに耐えられない…
残業が多過ぎて自分の時間がとれない…
など「仕事を辞めたい」と退職を決意する方の理由は様々です。
しかし、いざ退職となると避けては通れないのが退職理由。
はっきり本音を伝えてもいいのか、それとも建前が大切なのか。
「どう伝えたらいいか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、退職時の本音と建前、退職理由の伝え方、退職理由を伝える際のポイントについてご紹介します。
仕事を辞めたい方、退職を検討されている方はぜひ参考にしてください。
会社を退職された方達は、どんな理由で退職されたのでしょうか?
厚生労働省の『令和2年雇用動向調査結果の概況』では、令和2年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由について報告されています。
男性・女性とそれぞれのデータは以下の通りです。
参照:厚生労働省 令和2年雇用動向調査結果の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf
職場の待遇面や人間関係をきっかけに、退職を考える方が多いということが分かります。
多くの方が仕事内容や給料、待遇に不満をもっていたり、人間関係がスムーズでなかったりと会社自体が理由で退職したいと考えています。
では、仕事を辞めたいと思った理由について厚生労働省のデータを参考に、本音の裏側をみていきましょう。
業務と給料が見合っていない場合や、適切な評価がされず給与に反映されておらず不満を感じる方が多く、キャリアを重ねるごとに給料アップやキャリアアップを望むのは当たり前のことです。
給料や待遇面の不満は業務へのモチベーションに影響しますし、家族の生活を考えると将来に不安を抱きます。
不満をもつ会社を退職して、より良い条件の会社へ転職したいというポジティブな気持ちをもった退職です。
1日の内で長時間過ごす会社内の人間関係は、スムーズな業務を遂行するためには欠かせないポイント。
にもかかわらず、理不尽な言動の上司やパワハラ、セクハラ、同僚の嫌がらせなど風通しの悪い環境に苦痛を感じる方は少なくありません。
ストレスを抱えながら業務をすると、仕事への意欲低下にもつながります。
どれだけ努力しても人間関係が改善しない場合には、転職で職場環境を変えた方が◎
業務に追われてプライベートの時間が取れない、休日出勤や長時間残業は当たり前…など会社に縛られ退職を決意する方もいらっしゃいます。
ワークライフバランスを大切にした職場環境は、心身の健康のためにも重視したいポイントですね
コロナ禍の経済活動の危機的状況をきっかけに、会社の将来を真剣に考えた方は多いのではないでしょうか。
事業縮小や倒産、採用控えなどが相次ぎ「会社の先行きが不安」と感じた方は少なくありません。
自身のキャリアビジョンを見つめ直し、より将来性のある企業へ転職を検討されています。
先述した退職理由の本音ですが、会社へのネガティブな面が多いことが分かります。
でも面と向かって「この会社が嫌なんです」と、本音を伝えることはできませんよね
退職理由は必ずしも「本音」を伝える必要はありません。
本音よりも、退職時にポジティブな印象を残せる「建前」が大切です。
と、ストレートに伝えてしまうと伝えた相手や会社に不快感を残すだけでなく、トラブルが起こる可能性があります。
退職者の約半数は本音を伝えず、建前の退職理由を伝えて退職しています。
といった理由からですが、どのように退職理由を伝えているのでしょうか。
建前で使われる退職理由をみてみましょう。
いくら建前といっても、明らかに分かる嘘では反対に不快感を与えてしまいます。
“退職したい意志”を軸に、前向きで納得される理由を伝えることが大切です。
「体調を崩してしまった」という心身の状態や療養など健康上の理由は、建前の退職理由でよく使われます。
健康上を理由にされると会社側も在職を強要できません。
「しんどいので辞めます」という言い方ではなく「何とか働きたいと思って努力はしましたが…」と、謙虚な姿勢で伝えましょう。
会社側が在職強要しにくい理由のひとつ、家庭の事情です。
「家族との時間をとりたい」「親の介護」「子供の進学のため」など、家族を大事にしたいという気持ちを伝えるのが◎
こちらも会社側が納得せざるを得ない退職理由です。
「親が高齢となり、家業を継がなくてはならなくなった」「実家に戻ることになった」といえば、スムーズな退職につながるでしょう。
新しい業界へのチャレンジやキャリアアップなどを理由に伝えるのもおすすめです。
今の環境では実現できない・転職するしか実現できないことを伝えると納得してもらえるでしょう。
「キャリアプランを考えたうえで、挑戦したい気持ちが強く退職を決意した」とポジティブなイメージが大切です。
退職を伝える際は、あくまでも不平不満をぶつけるのではなく、ポジティブな退職を印象付けることが大切です。
先述したように、「これ」を言われたら認めざるを得ない理由を伝えるとスムーズです。
では、退職理由を伝える際のポイントをみていきましょう。
退職を伝える際は、「辞めます!」と突然伝えるのではNG!
いくらポジティブな退職理由であっても伝え方次第では、悪い印象を与えてしまいます。
まず直属の上司や先輩に退職を相談として持ち掛けることで、こちらの意思を汲み取ってもらいやすいのです。
そして誠意をもって対応するとともに、これまでお世話になったことへの感謝を伝えることが大切です。
給料が少ない、残業時間が長い、業務内容に不満があるといった勤務条件や待遇を退職理由にした場合は在職引き止めにあう可能性が高いでしょう。
「勤務条件や待遇を改善するから」と言われた場合、退職までに説得されて時間がかかる場合があります。
また「それでもやっぱり退職します」という理由付けが難しくなりますよね。
もちろん波風を立てて辞めてやる!という方は、本音をストレートにぶつけても構いません。
しかし同業界・同職種で転職を検討している方は、前職と取引する可能性もありますので、できるだけ円満退職に進める必要があります。
狭い業界ですので、波風を立てた転職は悪い噂が流れるリスクがあり、転職先でのトラブルにつながるからです。
“嘘”をつくこと自体はよくありませんが、必ずしも本音を言えばいいわけではありません。
「立つ鳥跡を濁さず」で、いい印象を与えて円満退職しましょう。
退職するからといって後の業務をおろそかにしてはいけません。
後任者への引継ぎは十分に行い、仕事を残さないように丁寧に退職まで過ごしましょう。
退職後も良好な関係を続けていきたいという気持ちを伝え、イメージを良くすることも大切です。
いかがでしたでしょうか?
退職時の本音と建前、退職理由の伝え方、退職理由を伝える際のポイントについてお伝えしました。
本当は会社に不平不満がたくさんある!という方も、本音と建前をうまく使い分けることで退職までの道のりがスムーズになるだけでなく、転職後の仕事にも影響します。
ビジネスパーソンであるからこそ、相手を傷つけない・不快にさせない建前を伝え、大人の対応をしましょう。
退職理由はネガティブな本音をストレートにぶつけるのは避け、できるだけポジティブな内容に変換し伝えることが大切です。
退職後のキャリアプランを考え抜いた末の結果であることや向上心を伝えることで、退職理由の否定や在職強要はしにくくなります。
ぜひ本音と建前をうまく使い分け、円満退職しましょう。