【作:かたくりこさん】
緊急事態宣言の中、いまだ感染者数が高止まりの状況が続いております。
かれこれテレワーク生活が1年以上になる方もいらっしゃることでしょう。
しかし、こんなに長引くものだとは誰もが思っていなかったことでしょう。
以前からテレワークを導入している企業、新型コロナウイルスをきっかけにテレワークを導入した企業、今後導入を検討している企業と現状は様々ではあると思いますが、「テレワーク」が広く認知されるようになった今だからこそ、テレワークの歴史を見ていくとともにテレワークの必要性やメリット・デメリット、テレワーク導入企業例などテレワークについて深く掘り下げていきたいと思います。
テレワークとは‥
「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語であり、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。
※参照:日本テレワーク協会(https://japan-telework.or.jp/)
テレワークには「在宅勤務」「モバイルワーク(移動先でPCや携帯電話を使用する)」「サテライトオフィス勤務(勤務先以外のオフィススペース)」の3種類があります。
はじめにテレワークの歴史について見ていきましょう。
世界的には1970年代のアメリカで、自動車交通量の増加に伴う大気汚染問題や2度の石油危機が起こったことをきっかけに自宅で仕事をするテレワーク(※当時はテレコミュートと言われていた)が導入されたことが始まりと言われています。
しかし、当時は高速ネットワーク回線が普及していなかったこともありアメリカでもテレワークは広くは普及しませんでしたが、
このようにアメリカではPC・インターネットの普及や時代背景と重なりテレワークの導入率が上がってきています。
日本では、1984年に電機メーカーであるNECが育児や介護による女性社員の通勤負担軽減のためサテライトオフィス勤務ができるテレワークを導入したことが始まりです。
そして、その後の流れとしては‥
※参照:総務省「テレワーク推進に向けた政府の取組について」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000433143.pdf
平成28年6月に総務省が発表したデータによると、世界各国のテレワーク導入率はこのようになっています。
アメリカが飛び抜けて高い導入率であることに目が行きますが、日本は平成26年の調査ではわずか11.5%と導入率はまだまだです。
2020年の新型コロナウイルスの影響で今後どのように変化するのでしょうか。
1990年に通産省が分散型オフィスの推進委員会を設置したことを始まりに、1991年には日本テレワーク協会を郵政省(現・総務省)などの省庁が設立。
現在に至るまで様々な取り組みを行ってきおり、最近では「働き方改革」の主軸としてもテレワークを推進しています。
2020年までに、「テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」
これらを目的に、2020東京オリンピック・パラリンピックが開催される7月24日を「テレワーク・ディ」とし企業等による全国一斉のテレワーク実施を呼びかける運動を行っています。
参照:総務省「テレワークの推進」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/index.htm
アメリカで初めてテレワークが導入されたきっかけは「大気汚染問題」や「石油危機」であり、日本では育児や介護により退職せざるを得なかった女性社員の「通勤負担軽減」が理由でした。
様々な理由からテレワークが広がってきましたが、具体的にテレワークを企業が導入することによって得られる効果にはどのようなことがあるのでしょうか?
総務省が公開するテレワークの意義・効果について紹介します。
少子高齢化対策の推進
・人口構造の急激な変化の中で、個々人の働く意欲に応え、その能力を遺憾なく発揮し活躍できる環境の実現に寄与
・女性・高齢者・障がい者等の就業機会の拡大
・「出産・育児・介護」と「仕事」の二者選択を迫る状況を緩和
・労働力人口の減少のカバーに寄与
ワーク・ライフ・バランスの実現
・家族と過ごす時間、自己啓発などの時間増加
・家族が安心して子どもを育てられる環境の実現
地域活性化の推進
・UJIターン・二地域居住や地域での企業等を通じた地域活性化
環境負荷軽減
・交通代替によるCO2の削減等、地球温暖化防止への寄与
有能・多様な人材の確保生産性の向上
・柔軟な働き方の実現により、有能・多様な人材の確保と流出防止、能力の活用が可能に
営業効率の向上・顧客満足度の向上
・顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加
・迅速、機敏な顧客対応の実現
コスト削減
・スペースや紙などオフィスコストの削減と通勤・移動時間や交通費の削減等
非常災害時の事業継続
・オフィスの分散化による、災害時等の迅速な対応
・新型インフルエンザ等への対応
※引用:総務省「テレワークの意義・効果」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/18028_01.html
テレワークの意義・効果には「社会」「企業」「就業者」が関わっており、就業者のワーク・ライフ・バランスの実現に目が行きがちですが、その他にもテレワークがもたらす影響は多方面に広がっています。
最後に記した「非常災害時の事業継続」が正に新型コロナウイルスの対応に関わるものであり、以前からテレワークを導入し体制を整えていた企業はスムーズに移行出来たのではないでしょうか。
※参照:テレワークマネジメント
https://www.telework-management.co.jp/information/post-7798/
下記は上記の企業一覧の従業員数を追加しランキング形式にしたものです。
テレワーク専門のコンサルティング会社であるテレワークマネジメントの独自調査によると、上記の企業が新型コロナウイルス対策としてテレワークを実施しているそうです。
もちろん、ここに記載されていない企業でも元々テレワークを導入している、新型コロナウイルス対策として新たに導入した企業はたくさんあると思います。
ちなみに上記の120社は従業員数順に1から記載されていますが、従業員数の多い企業ほどテレワークの導入割合が増える傾向にあります。
企業規模が大きくなるほど、テレワーク導入コストをかけられる、業務が細分化されており人員も足りているのでテレワークを実施しやすい環境にある、IT化が整っていることなどからテレワークへの対応が進んでいると推測されます。
全体としては19.6%と約2割ほどですが、大企業の対応が進んでいることもあり上記のグラフを見ても分かるように年々少しずつですがテレワークの導入率が上がってきています。
業種別では「情報通信業」や「学術研究、専門・技術サービス業」がテレワーカーの割合が多く、対面でのサービス・対応が必要となる場面が多い「宿泊業・飲食業」「医療・福祉」が少なくなっています。
そして、新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてテレワーク(在宅勤務限定)の実施指示状況についても以下にまとめられています。
※参照:国土交通省「平成31年度(令和元年度) テレワーク人口実態調査」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001338554.pdf
勤務先にテレワーク制度のある人で67.0%がテレワークの指示・できるだけ実施するように推奨されており、テレワーク制度のない人でも19.8%がテレワークの指示・できるだけ実施するように推奨されています。
制度のある企業では新型コロナウイルスが収束に向かったあともテレワークを積極的に取り入れていく可能性が高く、これまで制度がなかった企業も本格的なテレワーク導入に向けた準備を進めていくと考えられます。
2020年はテレワークという働き方へ大きく変化するきっかけとなる年になるかもしれません。
先ほど紹介した、総務省が公開している『テレワークの意義・効果』はテレワークのメリットを述べています。
『テレワークの意義・効果』に関しては「社会」「企業」「就業者」と様々な視点からでしたが、ここでは私たちに最も関係のある「就業者」としてのテレワークのメリット・デメリットを挙げていきたいと思います。
メリット
メリットに関しては『テレワークの意義・効果』と重複する内容が多くなりますが、就業者が良い環境で働けることは企業にもプラスの効果をもたらすため、そこに社会も含めてwin-win-winの関係を維持できることが理想です。
テレワーク楽しい…。職場だとそんなこともわからんの?って思われるの怖くて(被害妄想)参考書持っていけなかったけど、家だから分からなーいって気にすることなく参考書見れる…。昼休憩中に筋トレもできるし定時後すぐご飯食べられる…。最高かよ…。終わらないでほしい。切実に。
— のぞみん。 (@ame1036) March 4, 2021
テレワークがどんどん増えたら、通勤って概念が消える気がする。出勤が週一や月一なら住むのは田舎でもいいし。きっと世の中変わる。
— どっかの社長 (@hk_tokyo555) April 26, 2020
テレワークはワーク・ライフ・バランスが向上されるなどメリットが多く感じられ好意的に捉える人がいる一方で、最近では戸惑いや不安の声も聞かれることが多くなりました。特に「テレワークうつ」には十分に気をつけなければりません。
デメリット
オフィスとは異なり仕事のオン/オフの切り替えが難しいことで仕事に集中できないことや、深夜まで仕事を続けてしまい結果的に長時間労働になってしまうこともあります。
また、自宅が落ち着く人もいれば逆に騒音などの影響や家族も在宅していることで、自宅での仕事の方がストレスを感じる人もいるはずです。
今後多くの企業でテレワークの導入が広がっていくと思われるので、メリット・デメリットを踏まえたうえで「自分はテレワークに向いているのか?」も考えてみてはいかがですか?
テレワーク中の皆さんの生産性はどんな具合だろうか。私なんか、自宅で仕事をしたくない人なので生産性はガタ落ち。仕事の種類によって、テレワークに移行した際、仕事の量が減った人と変わらない人がいると思うが、仕事量が変わらず生産性が下がると本当につらい。
— 木村岳史(東葛人) (@toukatsujin) April 26, 2020
おはフラ〜虹
お洗濯日和顔つき太陽沢山寝たし天気が良いし最高の1日ですキラキラ
先日これがテレワークうつか❗という気分になったので今日は部屋を快適な空間に作り替えますこぶし気分が優れないなら気分が上がる行動あるのみキラキラ今日も笑顔で最高に虹
#おは戦30220fdドーナツ
— フランキー-30kg絶好調ダイエッター(@frankyD38) February 20, 2021
世間では新型コロナウイルスの感染拡大防止対策での急なテレワークに戸惑っていた人も多かったようですがテレワークの魅力に気付いた人、そしてテレワークにストレスを感じている人とそれぞれのようです。
あなたはどちらでしょうか?
ここまで、テレワークの歴史から始まりテレワーク導入企業&導入率などテレワークについてお話させていただきました。
2021年も引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてテレワークをしている人が多いと思いますが、このような突然テレワークをしなければいけない状況になったことで多くの人がテレワークの良い点・悪い点を少しでも理解することが出来たと思います。
テレワークを「いつか」と後回しにしていた企業は今回のことがなければいつまでも導入することはなかったかもしれませんが、変わる/変わらなければいけないきっかけになったと思います。
今後、転職をすることがあったときに“テレワークを導入しているのか?”も希望条件の一つとして考える人も増えるのではないでしょうか?
今こそ日本の“働き方改革”が良くも悪くも進んでいくときなのかもしれません。まずは今出来ることを第一に取り組んでいき、どんな状況にも対応できる経験・スキル、柔軟性を身につけていきましょう。