この記事は、てんかん発作をお持ちの方の
という悩みが解決できる内容の記事です。
”てんかん持ち”ということで、
仕事や転職に対する不安がある方は多いでしょう。
ただ、てんかん持ちの方の多くは、実際に働いているという事実があります。
そこで、この記事では、てんかん持ちの方でも
・無理なく仕事を継続する方法
・仕事選び(転職含む)に失敗しない方法
をご紹介します。
あなたは、「自分のてんかんの症状を具体的に説明すること」ができますか?
これはとても重要なことです。
仕事(転職先)探しでも、仕事を行う上でも必須といえるでしょう。(理由は次以降の章で説明します)
そのため、ここではてんかんの具体的症状を説明します。
すでに自分の症状を説明できるかたは飛ばしてください。
てんかん発作は、症状によって大きく2つに分けられます。
①部分発作(焦点発作)
②全般発作
ⅰ.単純部分発作
手や顔の一部が
痙攣する、勝手に動く、ひきつる、つっぱる、ねじれる。
目がチカチカする。
耳が聴こえなくなる、音が響く。
といった症状があります。意識ははっきりしています。
ⅱ.複雑部分発作
無意識に
服をいじる、口をもぐもぐする、手をたたく、顔がボーっとする、身体の動きが止まる。
といった症状があります。このさい、本人は意識・記憶障害を起こします。
つまり、このときの記憶はない状態です。
ⅲ.二次性全般化発作
単純部分発作、複雑部分発作から全身の痙攣につながることです。
このさい、本人に意識はありません。
「ⅳ.ミオクロニー発作」以外は、本人の意識はありません。
ⅰ.強直間大発作
突然、意識を失います。
叫び声・うめき声をあげる、手足を伸ばし固くなる、手足をガクガクさせる、呼吸が止まる。
といった症状があります。発作は数分で治まり、徐々に意識が回復していきます。
発作後に眠ることもあります。
ⅱ.脱力発作
突然、身体が脱力して崩れるように倒れます。
発作は数秒で治まります。
ⅲ.欠伸発作
突然、数十秒間意識を失います。
周りからすると、
突然動きが止まる、反応がなくなる
といったように見える症状です。
ⅳ.ミオクロニー発作
突然、全身や身体の一部が「ビクッ」と痙攣する症状です。
単発で起こったり、継続して起こったりします。
仕事探しをする上で問題になるのが「障害者雇用か一般雇用か」です。
これに関しては、
「頻繁にてんかん発作が起きる方」は障害者雇用で働くことをおすすめします。
しかし、一概に「てんかん持ち=障害者雇用」ということはありません。
たしかに、「てんかん持ち」ということをオープンにして、障害者雇用で仕事探しをすれば、
就職したあとに、さまざまな配慮を受けやすいでしょう。
ただ、てんかん発作が比較的落ち着いているならば、「てんかん持ち」ということを事前に話しておくことで、一般雇用は十分可能です。
そして、障害者雇用で働くためには「障害者手帳」が必要です。
「障害者手帳」は、発作が比較的落ち着いている場合、取得できない場合も多いです。
つまり、取得できない場合は、必然的に一般雇用で仕事探しをする必要があります。
次に、「”失敗しないため”に、仕事探しで意識すること」を4つご紹介します。
つまり、「仕事中にてんかん発作が起きたら、命に関わる仕事」です。
このような仕事は絶対に避けてください。
自分のペースで動きやすい仕事をおすすめします。
具体的には、
などです。
自分のペースで動けるならば、「てんかん発作」による影響も少ないでしょう。
てんかんの症状が落ち着いていて、一般雇用で仕事探しをする場合でも、
「てんかんを持っている」ということを伝えるようにしましょう。
たしかに、「てんかん持ち」ということで、採用されにくくなる可能性はおおいにあり得ます。
しかし、「今後、てんかん発作は起こらない」とは言い切れませんよね。
定期的な通院はどうします?
体調が不安定で発作が続いて休むさい、職場の理解を得られますか?
職場に「てんかん発作をもっている」ことが知られたさい、「隠していた。」と思われませんか?
このようなリスクをなくすためにも、「てんかんを持っている」ということを事前に伝えておきましょう。
一般雇用でも障害者雇用でも、自分のスキルが活かせる仕事を探しましょう。
前述の通り、特に一般雇用で仕事を探す場合は「てんかんを持っている」という理由で採用されにくいことが多いです。
しかし、
「こんなスキルをもっているので、〇〇ができます!」
と言うことができれば、採用されやすいでしょう。
仕事をするときに「工夫」することで、より自分が働きやすくなります。
その「工夫」を3つご紹介します。
職場の同僚・上司に”自分から”「てんかんを持っていること、症状」を説明しましょう。
事前に会社側からその情報が知らされていたとしても、自分から「話す」と「話さない」では、印象も理解度も大きく変わります。
コミュニケーションをはかるきっかけにもなりますし、説明される側からすると、
「自分から言ってくれた。」
ということで、変に気を遣われすぎるといったこともなくなります。
てんかん発作は、環境の変化により発生する可能性が高くなります。
そのため、働き始めや転職の場合、慣れるまでは
のように働く時間を少なくすると、てんかん発作が起きにくく、無理なく働き続けることができます。
そのために、事前に面接などで自分の症状を説明し、理解を得ておく必要があります。
てんかん発作を持っている方は、定期的な受診をし、薬でてんかん発作を抑制します。
一部の方ではありますが、実際に働くと、忙しさや疲れなどの理由から、
「発作も落ち着いているし。」
という理由で定期的な受診に行かなくなる方がいます。
「定期受診に行かない」なんてことは絶対にしないでください。
いま、てんかん発作が落ち着いていたとしても、いつでも「再発」する可能性があります。
それに“働く”となると、薬の処方してもらうためだけでなく、より主治医との連携が不可欠になります。
定期受診のたびに、近況報告やこまめな相談は欠かさないようにしてください。
次は、実際に「仕事探し」をしましょう。
そこで、てんかん持ちの方が「失敗しない」仕事の探し方を7個ご紹介します。
①職業安定所(ハローワーク)
②就労移行支援事業所
③就労定着支援
④障害者職業センター
⑤障害者就業・生活支援センター
⑥就労継続支援
⑦障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)
てんかんの症状が落ち着いている方、障害者手帳を取得できない方は
①~⑥、
てんかんの症状が頻繁にある、もしくは障害者手帳をお持ちで「障害者雇用」を検討している方は
①②、④~⑦の方法が当てはまります。
「仕事探し」といえば、まずハローワークを連想する方は多いでしょう。
一般雇用枠はもちろん、障害者雇用枠の求人も多く扱っています。
てんかんの症状が落ち着いているならば、ここで相談して「てんかん持ちでも、一般雇用枠で就業可能な職場」を紹介してもらえるでしょう。
そして、ハローワークでは「障害者トライアル雇用事業」という支援を行っています。
てんかん持ちの方はぜひ利用したほうがよい支援です。
「障害者トライアル雇用事業」とは、障害をお持ちの方を一定期間(原則3ヵ月)試行雇用し、継続雇用の移行を目的としたサービスです。
これで、実際に働いてみて「自分に合う職場なのか。」を見極めることが可能になりますね。
さらに、“障害者短時間トライアルコース”というものがあります。
これは「雇い入れ時の週の労働時間は週10時間~20時間まで」。トライアル期間中に「労働時間週20時間以上を目指す。」という内容です。
このコースは、特にてんかん持ちの方におすすめできるサービスです。
前述した、「てんかん発作は、環境の変化により発生する可能性が高くなる。」という特徴をカバーできます。
つまり、徐々に「身体を環境の変化に慣れさせていく」ことが可能になります。
ここでは、「就職準備(必要な知識やスキル向上に向けた取組み)」のサポートを、個別で行っています。
「就職準備」が完了したら、ハローワークなどと連携し、就職先を探します。
対象者は「一般企業への就職を目指している65歳未満の障害をお持ちの方」です。
事業所数が全国に3300ヶ所(平成27年度時点)設置と多いため、通いやすいというメリットがあります。
ただ、利用料※1が発生するで注意してください。
就労移行支援事業所など(就労継続支援、生活介護、自主訓練)のサービスを経て、「一般就労」をした人向けに行っているサービスです。
つまり、就労定着支援は単体で利用することはできません。かならず上記を満たしている必要があります。
支援内容としては、一般就労後に発生した「悩み・問題」を解決するためのサポートを行っています。
以下、具体的な流れです。
利用者と担当者が面談を行い、課題を明確にする。
↓
その課題をもとに、
アドバイス、医療機関・福祉機関との連携、職場訪問
によって課題解決へ導く。
事業は「就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、生活介護事業所、自主訓練事業所」内で行っているところもあります。
サービスを受けようと考えている方は、事前に事業所や自治体に問い合わせてください。
ただ、ここも利用料※1が発生するため注意してください。
障害者の利用者負担※1
※1 利用料は世帯収入によって変わります。
※2 3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象。
※3 収入が、おおむね600万以下の世帯が対象。
※4 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」。
障害をお持ちの方に対して、下記の支援を行っています。
・職業評価
・職業準備支援
・障害職業カウンセラーや相談支援専門員、ジョブコーチなどの配置
⇒職業リハビリテーションの実施・助言・援助(職業知識の取得や、労働する習慣づけ、職場でのコミュニケーションの練習など)。
・リワーク支援
利用料は無料です。
ただ、事業所が全国52ヵ所と少ないため、単体での利用は不便に感じられるでしょう。
障害をお持ちの方に対して、就業面・生活面の一体的な相談と支援を行っています。
具体的には、「就労支援員」と「生活支援員」が設置されており、下記の支援を行っています。
<就業面>
・就業に関する相談支援
⇒就職準備(訓練、実習)
・就職活動の支援
・職場定着に向けた支援
・関係機関との連絡、調整
<生活面>
・日常生活、地域生活に関する助言
⇒生活習慣、健康管理、金銭管理、住居などに関する助言
・関係機関との連絡、調整
利用料は無料です。
全国に334センター設置(平成30年4月時点)されているので、通いやすいというメリットもあります。
障害をお持ちで一般企業に雇用されることが難しい方に対して、就労の機会を提供する支援です。
仕事を通じ、知識と本人の能力向上を図ります。
就労継続支援は、下記のように分かれます。
A型とB型の大きな違いは、「雇用関係の有無」です。
賃金も違います(雇用契約がある=最低賃金が保証されているため)。
そして、就労継続支援を利用する大きな目的は「一般雇用への移行」です。
つまり、就業に不安な方は
「就労継続支援で知識と能力向上を図り、問題がなけければ一般雇用先を探して就職する」
という流れを目指すことが大きな目的です。
詳しくは、別記事をご覧ください。
【障害者雇用】就労継続支援A型を知り、就職の幅を広げよう!
【障害者雇用】一般就労への第1歩!就労継続支援B型で活躍しよう!
①~⑥は基本、職先探しに関して「①のハローワーク」メインで探します。
ただ、この「障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)」では、ハローワークで紹介されていないような企業・業種からの求人が多数あります。
つまり、職業選択の幅が大きく広がります。
そして、「エージェント」であるため、担当者もついてくれます。
そのため、自分に1番あった、良い職場を見つけることができるでしょう。
今回の内容をカンタンにまとめます。
・自分の「てんかんの症状」を説明できるようにしておこう。
・頻繁にてんかん発作が起きる方は、「障害者雇用枠」で職探ししよう。
・てんかん発作が落ち着いている方は「一般雇用枠」でも問題なし。
・「発作が起きることで命に関わる仕事(高所作業、運転業務など)」は絶対に避けよう。
・「自分のペースで動きやすい仕事」、「スキルが活かせる仕事」がおすすめ。
・職場には、必ず自分から「てんかん持ち」ということを伝えよう。
・「働き始めの期間」は時短勤務や、勤務日数を減らそう。
・定期受診は絶対にいこう。
・さまざまな支援を活用し、「失敗しない職場探し」をしよう。
今回説明した中で特に重要な点は、
「てんかん発作を持っていることを、自分から話すこと」です。
繰り返しになりますが、
必ず、自分から「てんかん持ち」であることを話すようにしましょう。
それが、あなたが仕事に関して”失敗しない鍵”になります。