
「地方で働くのと東京で働くのでは、どのくらい年収が違うの?」
「地方で働きたいけど、給料が低いのはイヤ…。」
この記事では、都内と地方の平均年収と生活の差などについてわかりやすく解説します。
この記事の監修者:竹田敬介さん
プロフィール
株式会社チームフォワード代表。
大手人材会社で10年以上のキャリアを積み、累計1000件を超える採用活動に携わる。在籍期間中に中途採用部門、教育研修部門の部長職としてマネジメント業務に従事。
その後、地元である静岡県にUターン、両面型転職エージェントでキャリアコンサルタントとして転職者の生の声を聴く。
現在は、これまでの経験を統合し、「働きたい、働いていて良かった中小企業を増やす」をミッションに、採用アドバイザリー業務や人材育成支援などを行う。
自信のマネジメントにおける失敗から、
「誰もが自分の人生を真剣に生きている」という前提で人と組織に向き合うことが信念。
地方と都内、平均年収(給与)にどれほど地域差がある?
まず全国の地域によって平均年収にどれくらいの差があるのかを見てみましょう。
データは人材紹介業界でも人気の転職サイト、dodaで統計を取ったものです。
地方 |
平均年収(全体) |
平均年収(男性) |
平均年収(女性) |
関東 |
435万円 |
481万円 |
368万円 |
東海 |
403万円 |
441万円 |
326万円 |
中国・四国 |
384万円 |
416万円 |
313万円 |
関西 |
391万円 |
434万円 |
326万円 |
北信越 |
381万円 |
411万円 |
308万円 |
北海道・東北 |
377万円 |
408万円 |
312万円 |
九州・沖縄 |
373万円 |
408万円 |
308万円 |
引用元:平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】
一番平均年収が高い地方が関東の435万円、一番低い地方の九州・沖縄が373万円で、その差は62万円にもなります。
更に分かりやすいよう、それぞれの地方の主要都市についても見てみましょう。
都道府県 |
平均年収(全体) |
平均年収(男性) |
平均年収(女性) |
東京都 |
448万円 |
497万円 |
388万円 |
愛知県 |
405万円 |
444万円 |
328万円
|
大阪府 |
390万円 |
430万円 |
329万円 |
北海道 |
373万円 |
404万円 |
313万円 |
福岡県 |
374万円 |
412万円 |
309万円 |
沖縄県 |
343万円 |
361万円 |
306万円 |
引用元:平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】
都道府県別に見ると特に年収の差が大きくなります。
東京都と沖縄県では100万円近くの差があり、男女別で見ると更にその差が大きくなっています。
このように平均年収の金額だけで見ると、都内と地方の年収格差が浮き彫りになってしまい、地方の方にとってはモチベーションが下りかねない表だと感じてしまいますね。
平均年収が低い地方は、東京都内より生活水準が下がる?
都内は地方より支出の額も増える
これだけ年収が違うと、都内はやはり華やかな生活をしているんだろうとつい想像してしまいます。
特に、地方で生まれ育って、今まで数日の旅行くらいでしか他県に出たことがないという人であればよりそういう想像を膨らせてしまうでしょう。
しかし実際に生活してみると、実は都内と地方で生活水準に大きな差が出るわけではないのです。それどころか都内の物価の高さを考えると、地方の方が高い生活水準を保てることだって起こり得ます。
- 都内と地方では家賃相場が全然違う
- そもそも都心部と地方では物価が違う
都内と地方の生活水準の差を語るのであれば、まずこの点をしっかり理解しておく必要があります。
都内と地方の生活水準は思うほど差がない
都内の最低賃金が地方より高いのはそもそもの物価が違うからということに他なりません。ですから収入が多いからと言ってその分貯金が多いとか贅沢な生活をしているとすぐに言い切ることはできません。
たとえば、都内で単身用の部屋を借りようと思うと、地方では3~4万円程度で借りれる部屋の相場は7万円~というのも珍しくありません。
外食の相場も、都内ではランチで外食すると1000円を切る店は珍しいのが現状。さらに、交通や生活が便利な分、交際費も自分で気をつけていないとあっという間に出費は嵩んでいきます。
生活のための支出に加え、お金を使う場面や場所も多い都内では、地方より多少収入が多くても必ずしも生活が豊かであるとは限らないのです。
Point
都内と地方では収入はもちろん支出にも差があるので、都内住みの生活水準が必ず高いわけではない
都内と地方、実際の生活費を比較してみた
以下の表は、総務省統計局で行った、全国の物価地域差指数の物価水準表です。

引用元:小売物価統計調査(構造編)-2017年(平成29年)結果-
食料、住宅、光熱・水道、雑費や娯楽費など、地域によっての生活水準が割合として表示されています。
+(プラス)であれば物価水準が高く、ー(マイナス)であれば物価水準が低いことを表しています。
全体で物価水準が一番高いのはやはり東京都で、中でも住居が占める割合が特に高いことが表から分かります。
北海道や東北など、寒い地方では光熱費の割合が高くなっていますが、これは暖房費などが嵩む傾向にあるからだと推測できます。
また、都内や都市部では交通の便が良いので車を必要としませんが、地方ではマイカーが必需品という側面もあり、交通に使う費用の用途が違うという点にも注目すべきです。
このように、住む地方によって出費の種類が変わるという点も、単純に収入だけの面で都内の生活水準が高いとは語れない一面でもあるのです。
地方でも都内でも貯金出来る人は出来る
生活水準の面でもうひとつ分かりやすい例として、どれだけ貯金ができるかという点も挙げられます。
家賃相場も物価も高い東京ですが、それでも結局のところ地方より収入が多い分、東京の方が貯金しやすいと言われることもあります。では、実際のところはどうなのでしょうか。
こちらは総務省統計局で公開されている、都内暮らし単身者の生活費平均額の表です。
|
平均 |
34歳以下 |
35~59歳 |
食費(円) |
40,026 |
41,358 |
45,378 |
光熱・水道(円) |
11,847 |
7,715 |
12,098 |
家事雑貨(円) |
964 |
996 |
1,087 |
家事用消耗品(円) |
1,123 |
771 |
1,157 |
被服及び履物(円) |
5,312 |
7,568 |
6,399 |
通信(円) |
6,911 |
7,744 |
9,248 |
諸雑費(円) |
13,705 |
8,382 |
15,707 |
食料・交際費(円) |
4,041 |
2,486 |
3,256 |
合計(円) |
83,929 |
77,020 |
91,074 |
引用元:『統計で見る日本』家計調査 家計収支編(単身世帯 )
ご覧の通り、単身世帯の生活費は合計で平均83,929円になりますが、この中に家賃は含まれていません。仮に都内で一般的なワンルームを借りていると想定すると、この額に7万円前後をプラスした額がトータルの生活費となります。
表を見ると、手取りが少ないと言われている若年層は様々な節約をしていることがわかります。もし都内で手取り20万円で生活する場合でも、若年層並の水準で生活できるのであれば月々最低2~3万円の貯金はできそうですね。
ただしこの表の生活費では交際費や被服費がかなり厳しめに設定してあり、都内に住んでいてこの金額では暮らせないと思う人も少なくないでしょう。
ただ、地方暮らしだからお金を使わない生活ができるというわけではありません。今はどこにいてもネット通販で色々なものが手に入ります。
そのため節約できるかどうかは個人の資質によるところが大きく、住む地域はそれほど大きな問題ではなくなっているのです。
貯金のしやすさの結論
住む場所が都内か地方かに関係なく、上手く節約できる人は貯めるのも上手い
便利な環境は浪費をしがち
私自身、東京と地方の二拠点生活を経験したことがあります。節約上手な人ならどこにいても上手にやりくりできるのかもしれませんが、「すぐ近くにどんなお店もある」という環境ではどうしても浪費をしがち。
統計に出てくるようなデータ以上に東京と地方で使う金額の差は大きいと感じました。
また、家賃相場についても実際は金額以上の開きがあるように感じます。
東京では、収入に合わせて広さや築年数などある程度我慢しながら部屋選びをする人が多いと思いますが、この点は地方では大きく異なり、人によっては、むしろ地方のほうが幸福度は高い可能性もあります。
満足度は住んでいる地方や年収に比例する?
地方住みだから生活の満足度が低いわけではない
地方によって大きく平均年収に差が出ることは分かりました。
都内より年収が少ない地方では生活が苦しくなるとするならば、全国の満足度的には地方の平均年収額に比例して上がり下がりしていると感がえられます。果たしてそうなるでしょうか?
内閣府の調査で、実際に全国地域ごとの満足度を公表しています。

引用元:内閣府 「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書
この表を見る限り、生活する上での主観的な満足度についてはほぼ横並びという印象で、地域による大きな差は見られません。
むしろ順位を見る限り、1位が東海、2位が近畿、3位が九州・沖縄となっているので、満足度が年収に比例しているとも言えないでしょう。
満足度は地方か都内かではなく収入と支出のバランスによる

引用元:内閣府 「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書
対して、年収による満足度を見れば、そこにはやはり差が見て取れます。
地域差で出る程度の年収差では、やはり生活水準的にはあまり差が生まれるとは思えません。しかし、年収の差が100万や200万も出てくると、やはり生活にゆとりが生まれたり、生活の質が上がってくるのです。
結局の所、都内か地方かは関係なく、年収を上げれば生活に余裕も生まれ、満足度はその分高くなると言えるでしょう。
むしろ、何かと支出の多い都内で収入アップを狙うより、地方で平均的な収入を目指した方が生活水準は高くなることも考えられます。
「地方住みは終わってる」というのは単純に地方と都内で収入の面だけを比較したときの発想で、生活の満足度において「地方住みは終わっていない」ということがご理解いただけたのではないでしょうか。
Point
地方住みでも年収UPを狙えば都内住みより生活の質や満足度が上がる可能性大
コロナ禍で地方移住の注目度は高まっている
コロナ禍で業務のオンライン化が進んでから、地方移住への注目が集まっています。
都内の平均年収は高いですが、家賃や生活費、子供の教育費など人生全体で見ると掛かる費用も大きく、ある意味「稼ぎ続けなければならない環境」であるとも捉えられます。
また、税金や社会保険料なども年収と共に上がっていく為、年収が高いからといって、額面金額ほど生活レベルの差は生まれません。
絵に描いたような田舎暮らしではなく、東京へのアクセスが良い地方都市に住む、という選択肢もあります。
原則オンラインでの業務が許可されていたり、出社頻度が低ければ、東京の企業で首都圏水準の年収を得ながら、地方暮らしを満喫する、という良いとこ取りが出来る可能性も。
勝ち組!地方で高収入が狙える業界・職種
前述したdodaの平均年収ランキングでは地方によって業界・職種についての年収の調査も公開されています。
地方住みでも年収400万円以上の高収入が狙える業界
地方によって多少の違いはありますが、だいたい共通して
以上の業界はどの地方でも高収入が狙えるようです。
上記の業種は大手企業の支社が全国展開されている業界でもあるため、地方の中小企業よりも高収入を狙いやすいという特徴があります。
メーカー・メディカル
地方は都内と比べると広い土地を確保しやすいためメーカーやメディカル系などの工場も多いのが特徴です。
地方に工場を持つ企業も大手企業が多いため、メーカーやメディカル系への就職や転職は安定して高収入を狙えるでしょう。
金融
金融は大手銀行の支店だけでなく、地方銀行や地元密着型の信金などもあります。昔ほど高収入というわけではないかもしれませんが、出世と共に給与アップが見込める業界なので狙い目です。
IT・通信
IT・通信系についてはまだ都市部の方が求人も多く、さらに収入の面でも地方と差があることもあります。
とはいえやはり他の業種よりも収入が良い場合も多く、さらに最近では地方に拠点を置くIT系も増えてきたので、求人があれば狙い目です。
年収500万円以上の高収入が狙える職種
前述のdodaの表を見てみたところ、どの地方でも
- 専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)
- 企画/管理系
- 技術系(電気・電子・機械)
の順で稼げるTOP3となっています。
特殊技能や管理系のスキルは全国どこでも重宝される上、地方でそうした特殊技能やスキルを持っている人は少ないため高収入を狙いやすくなります。
そのため、もし地方住みで高収入を狙うのであれば、他の人があまり持っていない資格やスキルを取得するという手段があります。
Point
キャリアアップのためのキャリアプランを考え、きちんと下準備をしてから転職や就職を考えるのが高収入を得るためには得策
「スキルや資格がなく今後も取るつもりがない」という人には営業職もおすすめです。
上記の高収入な職業で次点に入っているのが営業職という地方も多い上、新卒でも努力次第で結果を出しやすい職種です。向き不向きはありますが、最も手軽に高収入が狙える職種と言ってもいいでしょう。
20代地方済み|年収を上げるなら”第二新卒を使える今”がチャンス
ここでは、「今後を見据えて給料を上げたい」と考える地方済みの20代におすすめのエージェントを紹介します。
Point
全国OK!どの地域に住んでいても利用可能です。
おすすめエージェント |
特徴
|
Re就活エージェント |
・連絡手段がLINEなので楽ちん
・スタッフの多くが20代で相談しやすい
|
第二新卒エージェントneo |
・アドバイザーと一緒にキャリアプランを考えられる
・第二新卒向けの求人が豊富
・全スタッフが第二新卒
|
リクルートエージェント |
・高収入を狙いやすい”IT求人”が豊富
・キャリアアドバイザーの質の高さに定評
|
エージェントに迷ったときは【Re就活エージェント】
20代からの支持が厚いのがRe就活エージェントです。
第二新卒を経験した若いスタッフが多く、親身なサポートで就活を成功させている利用者が多数。
連絡ツールはLINEなので、「毎回電話で話すのはちょっと」という方でも気軽にやり取りできます。
また、Re就活エージェントは他社サービスとの併用も推奨しています。
いくつかに登録して比較したければ、まずはRe就活エージェントを一つ目に決めてしまうのがいいでしょう。
Point
Re就活+他社サービスとの併用がおすすめ
20代の味方!サポートの手厚さに定評【第二新卒エージェントneo】
第二新卒エージェントneoは、高卒や第二新卒・フリーターなど、学歴や経歴に自信がない18~28歳に特化した転職エージェントです。
アドバイザーのサポートが手厚く、1人1人の転職成功に向けて真摯に向き合ってくれるのが好評です。
初回の面談はなんと最長2時間ほどかけて、これまでの学生生活・部活動の経験などをもとに、あなたに合ったキャリアを考えてくれるほど!
企業との給料交渉が不安な人には、アドバイザーが代わりに交渉してくれるので安心して任せられます。
Point
「第二新卒」というサービス名ですが、大卒じゃなくてもOK。
フリーターや高卒など、20代ならだれでも登録可能です◎
未経験OK!高収入のIT求人が豊富【リクルートエージェント】
リクルートエージェントは、大手総合型転職支援サービスです。
リクルートは未経験からでも転職しやすいIT系職種の求人が豊富!
公開求人数だけでも、41.2万件以上を保有(2023年10月現在)しており、非公開求人の数とあわせるととんでもない数の求人数を取り扱っています。
IT業界は比較的給料が高い傾向にあるので、学歴問わず高収入を狙いたい方におすすめです。
Point
WEB業界は「完全在宅勤務OK」の会社も増えてきています。
地方に住みながら都内の会社に就職できるかも?
地方で年収を上げるのであれば、働く業界を選ぶのがおすすめ
都内と地方では収入の差があるのは事実ですが、その分支出の差もあるため生活水準や生活の満足度はさほど変わらないことがわかりました。
一方で、都内に比べて地方は年収を上げづらいという特徴もあり、地方住みは年齢の割に生活水準が上がらない場合があるのも事実です。
理由として、都内には多くの大手企業が競合しているためキャリアップがしやすいということが挙げられます。
キャリアップのための転職もしやすい上、勢いのあるITやベンチャー企業も都心に集中しているため、規模が小さな会社でも自分のキャリアとスキル次第で大幅な収入アップが望めます。
地方は都心と比べると企業数が少ないためそもそもキャリアアップの転職がしづらいという特徴があり、収入を大幅にアップさせることはなかなか難しいのです。
もしこれから地方住みで高収入を狙うのであれば、入りたい業種や職種に合わせた資格やスキルを獲得するのが一番の近道です。
収入アップを狙うためにどの業界を狙うのか、そしてそのためにはどんな技術や能力が必要なのかについて、これを機にしっかり向き合って考えてみてはいかがでしょうか。
地方に住んでいるからこそできる仕事もあります。自分の適正に合ったより良いキャリアアップをぜひ目指してください。
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