この記事は、統合失調症をお持ちの方の
といった悩みを解決する内容です。
不安になる、寝れない、幻聴、幻覚。
これらは、統合失調症の症状です。
このような症状から、「就職はできないだろうな。」「(一度退職・休職して)もう社会復帰できないだろうな。」とお悩みの方も多いことでしょう。
ただ、この悩みについては、「いくつかのポイントをおさえるだけで、無理なく仕事を続けることができる。」と断言します。
そこで今回は、”統合失調症の方が、無理なく仕事を続けられる仕事選び”をテーマにご紹介します。
まずは「統合失調症」について再度学び、自分の症状と重ね合わせましょう。
すると、後述する「自分で障害特性を説明するさい」に役立ちます。
すでに、「統合失調症」と「自分の症状の説明」ができる方は読み飛ばしてください。
統合失調症には、さまざまな症状があります。
そのため、ここではタイプ別に分け、”代表的な3タイプの症状”としてご紹介します。
2つの特徴があります。
具体的には、
私は誰かに支配されて(操られて)いる。
周りの人が、私の悪口を言っている。
誰かが私を襲おうとしている。
常に監視されている。
といった、幻視、幻聴、妄想の症状です。
3つの特徴があります。
具体的には、
思考力が低下して、会話量が少なくなる。
会話の内容がまとまらない。理解できない。
作業ミスが多くなる。
疲れやすい。
感情が動かない。
なにもやる気がおきない。
といった症状です。
具体的には、
自分が病気であることに気づけない。
臨機応変な対応ができない。
とっさのできごとに対し、パニックになってしまう。
いろんな物音や動きに気をとられてしまう
といった症状です。
統合失調症は、下記のように経過が分かれます。
前兆期⇒急性期⇒回復期⇒安定期
参考サイト:厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス総合サイト」
URL:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html
仕事探しのコツをご紹介するまえに、まず確認したいことがあります。
「あなたは、精神障害者保健福祉手帳を取得しましたか?」
実際、精神障害をお持ちである65歳未満の「精神障害者保健福祉手帳」取得率は、非常に低くなっています。
具体的な数値は、取得率20%以下です。
もちろん、取得していない方のなかには、障害者手帳を取得することができない方(症状が軽いなどで)もいらっしゃいます。
ただ、「障害者手帳を取得することに抵抗がある。」という理由で取得していない方も大勢いらっしゃいます。
たしかに、「取得に抵抗がある。」というのは理解できます。
(筆者は障害者福祉施設に勤めているので、さまざまな方の相談や話を伺います。)
しかし、「精神障害者保健福祉手帳」を取得することで、下記2つのメリットを得ることができます。
①”障害者雇用枠”で就職できる。
”障害者雇用枠”で就職するには、「障害者手帳(ここでは精神障害者保健福祉手帳)」が必要になります。
この記事では、”障害者雇用枠”で(一般雇用枠だとしても、障害をオープンにして)就職することを強くおすすめしています。
その理由は、次の章で詳しく説明します。
②各種税金の軽減
所得金額から、一定額の控除を受けることができます(障害の等級により、控除額が変わります)。
同居者も、各種税金の控除が適用される場合もあります。
具体的には、下記の控除額に、個人の”課税所得”に応じた”税率”をかけ算することで、控除される金額がわかります。
(控除額×税率=減免される金額)
※1 特別障害者とは、障害者のうち、次の特に重度の障害のある方のことをいいます。
※2 同居特別障害者とは、次の条件に当てはまる方のことを言います。
特別障害者である控除対象配偶者や扶養親族で、あなたや配偶者、生計を一にする親族のどなたかとの同居を常としている方。
※老人ホームなどへ入所している場合は、同居を常にしているとはいえません。
引用:国税庁(URL)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2016/b/03/order3/yogo/3-3_y05.htm
それでは、「統合失調症でも無理なく仕事を続けるコツ」を
①「就職(転職)活動前」
②「就職(転職)活動時」
③「就職(転職)後」
の3つに分けてご紹介します。
主治医の許可を得る。
絶対に、「もう大丈夫だろう。」というような自己判断で 就職(転職)活動を行わないでください。
なぜなら、自分だけの判断だと焦りがでてしまうためです。
しっかり回復期を経て、心身が落ち着いた状態でなければ、良い結果は得られません。
そして、最悪”再発”につながってしまう恐れもあります。
リワーク支援などの支援を受ける。
就職(転職)活動前に、リワーク支援などの支援を受けましょう。
リワーク支援とは、主に、精神障害(精神疾患)が原因で休職している方に対し、復職のためのリハビリを行う支援です。
具体的には、ストレス対処法や対人コミュニケーションのスキル向上を目的とした演習などを行います。
リワーク支援を行っている医療機関では、認知行動療法(現状の「ものごとの考え方、受け取り方を自覚し、修正する」といった治療法)も行っています。
リワーク支援を実施している場所は下記の通り(カッコ内は、1回あたりの費用)です。
リワーク支援を行うことにより、「再就職したさいの離職率と再休職率が低くなる」という研究結果がでています。
障害者雇用枠で就職(転職)活動する。(障害をオープンにする。)
障害者雇用枠で就職(転職)活動をしましょう。
どうしても一般雇用枠で職を探したい方は、障害をオープン(隠さず)にすれば問題はありません。
たしかに、障害を隠して(クローズにして)就職活動を行うことも1つの手です。しかし、その方法はおすすめできません。
なぜかというと、障害を”再発”させてしまう可能性が高くなるからです。
障害を隠すと、とうぜん支援や配慮を受けることはできません。
たとえ症状が「安定期」にはいっていても、「前兆期」に戻ってしまっては、元も子もありません。またすぐに”休職”となってしまうでしょう。
「統合失調症に理解、配慮のある職場か」を見極める。
面接時や職場見学時などに、下記を確認するようにしましょう。
「統合失調症の方が在籍しているか、在籍していたか(在籍期間も)。」は、その職場が、「統合失調症の方に対して実際にちゃんと配慮してくれるのか。」を見極める判断材料となります。
「統合失調症の方へ対する、制度(配慮)があるか。」については、特に”労働時間の制度(配慮)”についてしっかり聞くようにしてください。統合失調症の方は「疲れやすい」という特徴があります。
そして、それを上手く伝えることも苦手なため、事前に制度や配慮を受けていないと、症状が再発する可能性が高くなります。
具体的な例としては、時間をかけて徐々に、「短時間の勤務→フルタイム」へ移行していく制度などです。
それと、配慮の一例として「通院や不調が原因で仕事を休むこと」も考慮しておいたほうがいいですね。
「向いてる仕事」のなかで探す
統合失調症の方は、その特性上、どうしても仕事内容に「向き・不向き」がでてしまいます。それとも上手く付き合っていかなくてはなりません。下記、統合失調症の方に向いている職種です。
統合失調症の方は、「とっさの判断や臨機応変に動くことが苦手」という方が多いです。そのため、「できるだけ自分のペースで行え、手順がはっきりしている仕事」がおすすめです。
自分になにか特別なスキルがあるのであれば、それを活かした職種でもいいですね。
自分から、職場の同僚・上司に
を説明をしましょう。結果、理解を得られやすくなります。
そして、自分から発信することで、コミュニケーションのきっかけ、周囲が感じてしまっている「壁」を壊すきっかけ作りにもなります。
事前に「精神障害を持った方が就職する。」との情報は流れていることでしょう。しかし、「事前情報だけで周囲の理解を得られるか」という点には疑問が残ります。
つまり、しっかり障害を理解してもらい、周囲との「壁」をなくすことが、「無理なく働き続けること」につながります。
前章で仕事探しのコツを学んだため、次は実践です。
ここでは、「”統合失調症の方向け”の仕事の探し方」をご紹介します。
メインとなる仕事の探し方は、下記①~③です。
+αとして④を活用してください。
職業選択の幅が大きく広がります。
①職業安定所(ハローワーク)
②就労移行支援事業所
③障害者職業センター
④障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)
誰もが1度は耳にしたことがあるであろう、ハローワークです。
実際、統合失調症をお持ちの80~90%の方がここに登録して仕事探しを行っています。当然、障害者雇用枠の求人も扱っています。
そして、ハローワークでは、統合失調症の方が利用できる下記の支援を行っています。
1.障害者トライアル雇用事業
これは、障害をお持ちの方を一定期間(原則3ヵ月)試行雇用し、継続雇用の移行につなげるためのサービスです。
雇い入れ(企業)側、被雇用者(あなた)側の双方にメリットがあります。
そして、この事業のなかには”障害者短時間トライアル”というコースがあります。これは「雇い入れ時の週の労働時間は週10時間~20時間まで。トライアル期間中に労働時間週20時間以上を目指す。」というものです。このコースは、特に統合失調症の方におすすめできる内容のサービスです。統合失調症の「疲れやすい」という特徴を徐々に克服できる内容ですね。
2.精神障害者雇用トータルサポーターからの支援
“精神障害者雇用トータルサポーター”とは、精神保険福祉士・臨床心理士などの資格がある、精神障害の専門家です。
“精神障害者雇用トータルサポーター”は、精神障害をお持ちの方に対し、”カウンセリング”や”就職準備プログラム”を行います。
そして、雇い入れ(企業)側に対しても、 ”精神障害者を雇う上でのアドバイスや援助”を行います。
実際、精神障害をお持ちの方に対して年間10万件以上の支援を行っています。そして、そのうちの70%以上の方が、就職や職業紹介のような次のステップに進んでいます。
ただ、”精神障害者雇用トータルサポーター”が設置されていないハローワークもありますので、利用希望の方は、事前にお近くのハローワークに問い合わせてください。
「一般企業への就職を目指している65歳未満の障害をお持ちの方」を対象に、個別で就職準備(就職に必要な知識やスキル向上)のサポートを行っています。
そして、就職準備が完了したら、就職先を探します(ハローワークなどと連携して)。
事業所数が全国に3300ヶ所(平成27年度時点)設置と多いため、通いやすいというメリットがあります。
ただ、利用料※1が発生するで注意してください。
障害をお持ちの方に対して、職業的自立に向けた支援をします。
具体的には下記の支援を行っています。
利用料は無料です。
ただ、事業所が全国52ヵ所と少ないため、単体での利用は少し不便かもしれません。
仕事探し方法が①~③がメインとなる方は多いでしょう。
ただ、職業選択の幅を大きく広げてくれるものが「障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)」です。
もちろん、「障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)」メインで活動してもOKです。
むしろ、これのみで就職(転職)活動を完結させている方もいます。
このようなサイト(エージェント)は多数存在しているため、
次の章で複数社の比較をしています。ぜひ参考にしてください。
世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給者世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(※1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯 (所得割16万円(※2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、 グループホーム、ケアホーム利用者除く(※3)。 |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※1 利用料は世帯収入によって変わります。
※ 3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入ア概ね300万円以下の世帯が対象。
※ 収入が概ね600万以下の世帯が対象。
※ 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」。
この記事では、下記の内容をご紹介しました。
これらすべては、「障害を再発させない」ことを最重要事項とした内容です。その理由は、「就職(転職)しても、結果仕事が続かない。」ということを防ぐためです。
自分の身体を1番大切にすることが、今後のあなたの人生を大きく左右します。
今回の記事を参考に、ぜひ素晴らしい社会人人生を送ってください。