WebディレクターはWebサイトの制作や企画の立案、運用を行う中心的な役割を持つ仕事です。
責任ある立場になるため仕事量も多く、働きに応じた高い年収も期待できます。
IT業界は急速に広がりを見せる中で人材不足になっており、Webディレクターも正社員、フリーランスを問わず需要が高い職種です。
今回はWebディレクターの平均年収、他のIT職との年収比較、年収とキャリアを高めるポイントなどを解説します。
Webディレクターの平均年収と男女別、年代別の平均年収をご紹介します。
Webディレクターの平均年収について、転職エージェントdodaのデータを参考します。dodaの調査結果では、Webディレクターの平均年収は430万円となっています。
クリエイティブ系職種の平均年収が374万円になっているため、Webディレクター年収は平均より高めです。
dodaの場合は平均年収が430万円でしたが、他の求人サイトなどでは500~600万円との結果もあります。
そのため、Webディレクターの平均年収はある程度幅がある点は理解しましょう。
Webディレクターの男女別平均年収についてもご紹介します。
男性 | 女性 |
---|---|
480万円 | 407万円 |
参照:doda『年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】』
男女別の平均年収は男性が480万円、女性が407万円という結果でした。男女で開きがある背景には、男性はフルタイムで働く人が多いですが、女性は仕事以外に時間を取られることも多く、短時間労働になりやすい点が影響しています。
年代別の平均年収は次の通りです。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20代 | 360万円 |
30代 | 455万円 |
40代 | 523万円 |
50代 | 552万円 |
参照:doda『年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】』
Webディレクターの年収は50代がピークになっています。
40代から50代にかけて昇給が緩やかになっている理由ですが、考えられるのは50代のWebディレクターが少ない点です。
Web業界は次々に新しい技術が登場することに加え、若い方との仕事が中心になるため、体力的・精神的にも50代は厳しくなります。
収入を高めるには、より高度なマネジメント能力を身に付けるなど、他者との差別化が重要になるでしょう。
Webディレクター年収について、他のIT職種やクリエイティブ系の職種と比較します。
職種 | 平均年収 |
---|---|
Webディレクター | 430万円 |
プロジェクトマネージャー | 686万円 |
ITコンサルタント | 590万円 |
IT戦略/システム企画 | 587万円 |
クリエイティブディレクター/アートディレクター | 482万 |
プロダクトデザイナー | 464万円 |
編集/デスク | 440万円 |
ゲーム系 | 374万円 |
参照:doda『年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】』
比較するとわかる通り、Webディレクターはクリエイティブ系職種の平均年収よりは高いものの、他のIT系職種に比べると年収は低めです。
Webディレクターを必要とするIT企業は中小企業が多く、大企業のように安定した経営基盤がない点が影響しています。
しかし、プロジェクトマネージャーやITコンサルタント、IT戦略などの職種は、いずれもWebディレクターからキャリアアップできる代表的な職種です。
そのため、Webディレクターの経験を積み、キャリアアップすれば年収も高まる期待がもてます。
Webディレクターの働き方には、正社員として働くだけでなく、フリーランスになる方法もあります。
フリーランス白2023によると、Webディレクターを含むクリエイティブ系のフリーランスは全体の26.6%との結果でした。
参照:フリーランス協会『「フリーランス白書2023」P14・15』
そして、年収については「200~400万円」が27.9%と最も多く、次に「400~600万円」が20.9%でした。
Webディレクターだけの調査結果ではないものの、正社員のWebディレクターより年収が高くなる可能性は十分にあります。
また、職種別年収の割合では400万円以上が46.9%となっていることからも、フリーランスWebディレクターは高年収を狙いやすい職種と言ってよいでしょう。
さらに付加価値をつけるならコンサルティングスキル、Web開発スキルを身に付けると、年収アップしやすくなります。
Webディレクターとして年収アップするために、身に付けると有利になる能力・スキルをご紹介します。
Webディレクターが年収をアップするには、クライアントのニーズを正確に読み取り、プロジェクトチームを円滑に運営するコミュニケーション能力が必要です。
Webディレクターはクライアントと直接話す機会が多く、クライアントから信頼を獲得することが重要な役割です。
コミュニケーションが不足していると、ニーズを正確に把握できず、クライアントからの信頼を損なうおそれがあります。
また、システムエンジニアやWebデザイナーなどとの連携の観点からも、コミュニケーション能力は必要です。
周囲からの評価が高いと職場内でのキャリアアップにもつながりやすいため、積極的なコミュニケーションが年収アップの鍵になります。
Webサイトのデザイン・制作・運営において、Webディレクターの役割の一つはクライアントの抱える課題を発見し、解決に向けた提案を行うことです。
アクセス数の伸び悩みや低い成約率、サイトデザインのミスマッチなど、クライアントは多くの課題を抱えています。
Webディレクターはクライアントの課題を見抜き、解決への具体的な道筋を提案することで、クライアントからの信頼を勝ち取れます。
クライアントからの信頼は継続した案件獲得につながり、職場からの評価も高くなるでしょう。
数値やデータから課題やコストの問題を洗い出し、的確な改善策を提案することで、高年収・キャリアアップへの足掛かりになります。
Webディレクターはクライアントとの交渉を行い、プロジェクトチーム内でデザインやアイディアを何度も試行錯誤します。
そのため、Webディレクターが良い仕事を行うには、チームメンバーへの的確なフィードバックも重要です。
直感的な良し悪しだけでなく、論理的な意見も一緒に伝えることで、メンバーも次に目指すべきものが明確になります。
また、メンバーと意見交換を行うことで個々の意図がわかりやすくなり、クライアントへの説明にも役立ちます。
Webディレクターとして成果を残すには、自分の考えを言語化してフィードバックする力を養うことが大切です。
プロジェクトを仕切るWebディレクターには、スケジュールとタスク管理能力も必要です。
クライアントの希望から納期と締め切りを設定し、各工程の日程とタスク、リソースなどを整理します。
逆に、Webディレクターが適切にスケジュールとタスク管理できないと、一緒に働くメンバーへの負担が大きくなります。
スケジュールは短すぎても長すぎても非効率ですから、余裕をもたせつつ適した日程を計算することが大事です。
また、タスクも一部メンバーに負担が偏らないように考慮し、能力に合わせた配分を行うことです。
スケジュールとタスク管理に優れたWebディレクターは評価されやすく、大型プロジェクトも任される機会が増え、年収アップにつながります。
Webディレクターが年収アップするには、マーケティングスキルも重要です。
Webサイトの収益性に関係するのが、PVやCTA、CV率などの数値です。
データを基に分析し、ユーザーの購買意欲促進につながるマーケティング戦略を打ち出すスキルも求められます。
Webディレクターはマーケティングを意識し、より多くのユーザーが訪れるサイトデザインを行い、SEO対策で検索上位表示できるように工夫を施します。
そのためには、SEO知識やGoogleアナリティクスなどのデータ分析を駆使して、収益につながるマーケティングスキルを高めることが重要です。マーケティングスキルを持つWebディレクターはどの企業も必要とされるため、高年収を目指しやすくなります。
Webディレクターが年収をアップするには、自分なりのキャリアプランを設計することも重要です。
Webディレクターの代表的なキャリアパスについて、4つご紹介します。
現職より高収入を目指すなら、自分の専門分野を生かして年収の高い企業へ転職するキャリアパスがあります。
Webディレクターとしての経験を生かしつつ働けるため、転職後も即戦力として働きやすいというメリットもあります。
ただし、注意したいのは「収入が高い=大企業」とは限らないことです。Webディレクター経験を高く評価し、好条件で雇用してくれる企業を探すことがポイントです。
そのため、転職する際は企業の規模だけでなく、仕事環境や募集理由まで細かくチェックし、自分が活躍しやすい職場を選びましょう。
スキルを磨き、WebディレクターからWebプロデューサーやITコンサルタント、プロジェクトマネージャーなどにキャリアアップする方法もあります。
上位職はWebディレクター以上に多くの知識とスキルが求められますが、その分年収も上がりやすいです。
未経験から上位職への転職を目指す場合は、評価につながる資格も取得しておくと評価されやすいでしょう。
WebディレクターからWebの専門分野に特化した人材になれば、キャリアアップと年収アップが両立しやすくなります。
Webディレクターは幅広いスキルが求められる仕事であり、そのままスキルアップしていく方法もあります。
そのためには、Webディレクターとして自分の強みを明確にし、得意分野で活躍できる能力を身に付けることが重要です。
例えば、マーケティングやデザイン、企画力などの強みを明確に打ち出し、Webディレクターとしての付加価値を見いだす戦略です。
WebディレクターはWebサイト制作、運営の要となる人材ですから、市場価値の高い人材になるでしょう。
Webディレクターとして多くのプロジェクトを経験してきた方は、フリーランスとして独立する方法もあります。
自分から営業をかけて顧客を発掘する必要はありますが、自分のペースで仕事を続けつつ、高年収を目指したい方向けのキャリアパスです。
どこかの企業に所属するのではなく、依頼を受けてプロジェクトを担当することになるため、正社員以上にWebディレクターとしてのスキルが試されます。
一方で、フリーランスは案件1件で100万円を超えるケースもあるため、クライアントの信頼を得られれば大幅な収入アップが見込めます。
フリーランスになる場合は、仕事を獲得するためにポートフォリオを用意し、スキルや実績をアピールできるよう準備を進めましょう。
Webディレクターが年収アップを目指す際、有利になる資格を4つご紹介します。
ウェブデザイン技能検定は、名前の通りWeb制作におけるデザインの知識、技能、実務能力などを問う試験です。
レベルは1~3級があり、国家資格でもあります。
合格率は3級が60%台なのに対し、1級は10%台と難易度の高い試験になっています。
取得できればWebデザインの専門知識を有する証明になり、職場でのキャリアアップや転職でも有利です。
試験は年4回2月、5月、8月、11月に行われます。ただし、1級のみ学科と実技で分かれており、実技が2月、学科が11月にそれぞれ年1回ずつしか行われていない点には注意が必要です。(*)
*参照:インターネットスキル認定普及協会 ウェブデザイン技能検定
ウェブ解析士認定資格はウェブ解析の理解を促進し、クライアントのビジネスに貢献する人材育成を目的にした民間資格です。
Webサイトの分析に利用するGoogleアナリティクスなどのツールを利用し、マーケティング能力の知識を検定します。
専用の認定講座があり、受講者のレベルに合わせて内容を選択できます。
レベルはウェブ解析士、上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスターの3種類です。
ウェブ解析士マスターは、ウェブ解析士の中でも10%未満の精鋭が合格できます。
民間資格ではありますが、非常にレベルの高い試験であり、有資格者はIT系企業から高い評価を得られます。(*)
Webディレクション試験はWeb制作の工程管理、現状分析、プロジェクト企画、サイトの情報構造設計、集客施策の立案まで、幅広い知識を問う試験です。
合格すると「Webディレクター」の資格を取得でき、Webディレクターのキャリアアップに役立ちます。
試験問題は公式テキストの「Webディレクション 第3版」から出題され、70%以上の正解率で合格です。
Webディレクション試験は、企業によって資格手当の対象になっているため、合格すれば収入アップに直結しやすい資格です。まとまった勉強時間を確保しないと合格は難しいですが、収入アップのためなら取得する価値はあります。(*)
*参照:J-Testing『Web検定』
*参照:Web検定『Webディレクション試験(資格名:Webディレクター)の概要』
PMPは米国PMI(Project Management Institute)が認定する資格です。
プロジェクトマネジメントの知識、経験、スキルを問い、プロフェッショナルとしてふさわしい能力を備えているか確認する目的があります。
PMPの試験問題は非常に多く、制限時間内に4択問題を200問、うち25問は合否に関係しないため、175問のうち61%正解で合格になります。
合格率は公表されていませんが、合格基準点に比べて非常に難易度が高い試験として有名です。
その分、国際的にも認知度の高い資格として、有資格者はIT業界以外にも活躍の道が開けます。
プロジェクトマネジメントを専門にして年収アップを狙う方は、PMP取得を目指しましょう。(*)
*参照:一般社団法人PMI日本支部『PMP(R)資格について』
WebディレクターはWeb制作の中心的存在であり、どの企業でも必要とされます。
専門性も高いことから、働き方次第で大幅な年収アップも期待できます。
そのうえで、Webディレクターとして年収アップ、キャリアアップを目指すなら、得意分野を見つけ、キャリアプランを明確にすることが大事です。
一定の経験を積んだら、デザインや企画力、マーケティングスキルなどを強みにキャリアアップを図りましょう。
キャリアとWebディレクターとして方向性を定めれば、年収も自然と高まっていくでしょう。