終電で帰れたらラッキー
定時からが本番、残業のはじまり…
定時で帰ろうとする人は皆無
と、あなたの会社では定時の概念が崩れていませんか?
みんな残業しているから自分も残らないと…と残業が当たり前のような会社は時代遅れ。
中には「残業は仕事の効率が悪いせい」とサービス残業を強制さえている悪質なケースも…
今回は残業の実態と残業がもたらすリスク、モチベーションを上げる残業についてご紹介させていただきます。
残業は社会問題となっていますが、なかなか残業をせずに帰れる仕事はないものです。
残業への取り組み方や仕事の効率化によって残業の意識を変えていきましょう。
労働環境かいぜんのため2018年6月に「働き方改革法案」が成立し、原則として残業は月45時間までという上限規制が設けられようになりました。
それ以降、多くの企業が長時間労働、残業を問題視し残業時間の削減に取り組んでいますが、一方で未だ企業全体の6割が1日平均2時間以上残業をしているとされています。
しかし、基本給が少ない多くのサラリーマンにとって残業代は生活費の一部として費やされ「残業がなくなり残業代が減ると生活できない」と嘆く方も少なくありません。
生活のため意図的に残業をすることを「生活残業」といいますが、長時間労働のひとつとされています。
できることなら残業したくない、残業しないで帰りたいと思っている方が多いかと思いますが、一方で生活のために残業をしたいという方もいらっしゃいます。
など、残業代で生活費を稼がないと生活できない方が多く、残業代が支給される企業では自ら望んで残業をしてしまう生活残業問題も浮き彫りになっています。
生活残業で給料が上がっていると錯覚、仕事での評価アップにつながるケースもありますが、実は無駄な残業時間は効率が悪く本人にとっても企業にとっても有益ではありません。
生活残業だけでなく残業代が支給されない時間外労働である「サービス残業」についても社会問題となっています。
多くの企業では暗黙のサービス残業が行われていますが、サービス残業は労働基準法違反ということをご存知ですか?
と楽観的に話している方も多いですが、記録に残らない違法的な労働ということを理解してください。
自分はサービス残業していないと勘違いされている方もいますが、例えばこんな経験はないでしょうか?
サービス残業の事例
サービス残業の認識がないだけで知らないうちにサービス残業してしまっているケースも少なくありません。
サービス残業は実態が把握しにくいといわれている理由は記録しないから。
朝早く出社して夜遅くに帰社しているのにタイムカードはいつも定時で押さなければいけない、のはサービス残業の事実です。
2016年10月に日経ビジネスが行った「働き方に関するアンケート」(日経BPコンサルティングを通じインターネット調査)によると、アンケートに答えたビジネスパーソンの約6割以上の人がサービス残業を経験したという結果が出ています。
暗黙の了解で行われるサービス残業では、「残業を申請できない空気」を読んで労働者が申請しないケースもありますが、約25%の方は残業の申請を会社から拒否されているそうです。
参照:日経ビジネス 働き方革命2.0 6割が「サービス残業」、緊急調査で浮き彫りに
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/101700076/101900003/?P=2
残業の申請に対する企業の言い分
残業の申請を拒否する企業からはこのような言い分が聞かれ、企業としてのコンプライアンスを疑ってしまいますね。
大切なことなので何度も言いますが、サービス残業は労働基準法において違法です。
厚生労働省が定める労働基準についてみてみましょう。
1日8時間、1週間に40時間
36(さぶろく)協定といいますが、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数の代表者との労使協定を結び、行政官庁に届け出た場合は、法定労働時間を超えた時間外労働ができるとされています。
36協定では「月45時間・年360時間」と時間外労働に罰則付きの上限が設けられています。特別な事情がある場合【特別条項付き36協定】を結ぶことができますが、その場合でも「年720時間、複数月平均80時間以内」が上限となります。
また、時間外労働が45時間を超えてもよいのは年6カ月が限度とされ違反した企業には罰則が科せられます。
参照:厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針 https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf
会社の経営者が法令順守の意識が低い場合や「会社のために尽くすのは当たり前!」と昔ながらの考え方の企業ではサービス残業が多く、サービス残業を正当化する傾向があります。
また、不景気や業績悪化にともなう人件費削減もサービス残業が横行する原因のひとつ。
人件費を削減しても全体の業務量が減るわけではありませんので、働いている社員にしわ寄せがくるだけです。
人件費を削減したのに残業代を支払うのは本末転倒…という理由からサービス残業を強制する企業も少なくありません。
日系企業では「残業=頑張っている人」という認識が強いですが、外資系企業では全く逆の認識で「残業=自己管理能力が低い人」と考えられているケースが多いです。
と、捉えられるため外資系企業では残業はしない方が評価アップにつながります。
海外ドラマでもありますよね。
定時になったら「今から家族とディナーだから」と颯爽と帰っていく姿…
うらやましいと思った方も多いのではないでしょうか。
外資系企業ではそもそも“残業をする”という考え方がない場合が多く、「業務時間内に効率良く仕事を終えることがミッション」とされています。
また、外資系企業では実力主義で成果を上げれば破格の給料がもらえるとイメージがありますが、外資系企業での優先順位は「仕事の効率」です。
最大まで人件費をカットし、個人のスキルを最大限まで発揮し少人数で業務を回すため仕事がハードな分、高い給与がもらえるという仕組みになっています。
メリット
「残業なんて嫌」と思っていても残業が当たり前になると「昨日は〇時間残業した」「また終電だったよ」など残業自慢してしまう人も多いです。
しかし、長時間労働である残業は健康リスクを高める影響があります。
など、若い方が長時間労働から過労自殺など悲しいニュースを見ることもしばしば。
労災の認定基準では時間外労働が尽き100時間を超えた場合、2カ月~6カ月の平均80時間を超えた場合が基準となっています。
無理をして働き続けた場合、睡眠時間も削られ体調不良を引き起こしてしまい、過度なストレスがかかり適切な判断ができなくなるほどのうつ状態に陥ってしまうリスクも考えられます。
残業は法的な問題があるだけでなく、労働者の健康を脅かし生死に関わる深刻な問題なのです。
ちろん残業しなければいけない事情もある場合もありますので、一概に「残業が悪い」「残業は怖い」ものではありません。
最も怖いのは「残業している=仕事をしている」感覚に無自覚に浸ってしまうことです。
仕事をしている感覚でいるうちは、むやみに残業をしても仕事の成果が上がっていないことに気付くことはありません。
長く働けば良いのではなく、効率良く成果を出すことに早く気付くことが大切です。
仕事を効率良くし残業を減らせるコツは4つ。
毎日残業に浸っている方は仕事とプライベートのメリハリがついていないことが特徴です。
毎日ダラダラ仕事をし、家に帰っても持ち帰りの仕事に向き合う…こんな生活をしているといつ働いていつ休みなのは分かりません。
仕事を効率良く進めるには「何をいつまでにやるべきか」のタスクを洗い出し、優先順位をつけ確実に遂行するようにしましょう。
また、机に向かい仕事をし続けることは効率の良い業務の進め方とはいえません。
休憩時間に散歩をしたりランチタイムに美味しい食事をとったり、気分転換することもメリハリがつき仕事の効率も上がる方法です。
業務量が多くタスクをこなせそうにない…と追い詰められている人は、すぐに片付くタスクの優先順位を上げ取り組んでください。
例えば、「取引先へのメールや電話」といったタスクは早めに片付け、タスクで身動きがとれない状況から抜け出しましょう。
腰を据えて取り組まなければいけないタスクには時間をかけて質の高い成果を出すようにすれば仕事の効率化につながります。
「自分にしかできない仕事」を任されると会社から認めてもらった気分になり、仕事への意欲がわきますが、自分にしかできない仕事を増やすほど業務に追い込まれ八方塞の状態に陥ってしまいます。
そのため定時を迎えても残業しないと業務を終わらせられず、一人で負担を背負うことに。
業務量を減らしたり他人に任せることは負けた気分になったり、自分のやり方が悪いと感じたりしますが決して業務から逃げたわけではありません。
自分の代わりに仕事を任せられる人材を育成することも、ビジネスパーソンとしての役割です。タスクが減ることで効率が上がり、仕事のできる人材を育成することで企業への貢献にもつながるでしょう。
業務に追われていると自分の時間は二の次、と休憩や昼食をとらず仕事に向き合っている方も少なくありません。
しかし、自分の時間を犠牲にして仕事に取り組むことでモチベーションダウンにつながり、仕事の質も良くないケースが多いのです。
業務時間を増やせばたくさんの仕事ができると思いがちですが、集中力は継続しないので、質の高い仕事を効率よくこなすためには、モチベーションを維持することが大切です。
モチベーションを維持するには、好きな映画を見たり美味しい食事をしたり、友人とおしゃべりしたり…プライベートを充実させたり残業そのものの意識改革をすることが重要です。
仕事をしているとなかなか避けられない残業、タスクに追い込まれてしまう日もあり、しなければいけないことが多すぎて気付いたら終電を逃していた…ということも。
「早く帰りたい」
「残業したくない」
と、嫌々仕事に向き合っているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
生活残業が目的の人以外にとって、そもそも残業は疲れるものです。
一人社内に取り残され、早々に帰っていく上司。
やる気もなく、ただ目の前の業務をこなしていくだけで残業を乗り越えている人も多いでしょう。
そんな残業をかえてくれるのが2013年に創設された“日本残業協会”http://zangyou-kyoukai.com/です。
「残業を推奨する組織?」と不安になった方、安心してください。
日本残業協会は、残業を前向きな気持ちに捉え、業務の効率化や健康増進、生活向上を目的にし、残業を良しとするのではなく、効率良く仕事を終わらせて早く帰ろうという啓蒙活動を行っています。
日本残業協会の公式サイトには“残業力検定”が紹介され誰でも残業力をチェックすることができます。
検定に合格すると、日本残業協会公式認定ザギョニストとして活動できるようになります。
社会人として残業に対する姿勢や仕事に対する意識を再確認するためチャレンジしてみましょう。
受検方法に必要な項目として以下の受験者情報を入力します。
名前(ニックネーム可)
住んでいる都道府県
性別
職業
メールアドレス
そしていよいよ試験問題、残業に纏わる8つの質問に正直に答えていきましょう。
「仕事と私(俺)、どっちが大事!?」なんてきわどい質問も。
プライバシーポリシーを読み、規約に同意すれば試験内容を送信。
担当者が答え合わせをして結果報告を待ちましょう。
結果はメールですぐに届きますので残業検定に合格すれば、真摯に仕事に打ち込むザギョニストとして認定されます。
筆者もチャレンジしてみましたが、無事合格!
栄誉あるザギョニストをいただきました!
ザギョニスタになると、こんな名刺が発行できるそうです。
自己紹介やクライアントの打ち合わせの話のネタになりそうですね!
「どうせ残るなら面白い方がいい」と、仕事の効率アップをして早く帰るために面白いコンテンツが用意されています。
孤独な残業時間を乗り越えるため、残業中の写真を送りザギョニストで共有するコーナー。残業をしているのは自分だけではないと安心できる場になっています。
残業時間に用いられがちな残業専用用語をザギョニスト達が紹介。
「なる早でお願い。」→「なるべく早く」の略。 責任感の強い人間であるほど、この言葉は絶大な効果を及ぼす、と紹介されています。「なる早」といわれると超特急で終わらせてしまうのがザギョニストなのでしょうか。
どこで誰が残業しているかマップ上で表示され、ザギョニスト同士でコミュニケーションが取れるアプリ。近くで残業している人がいる安心感、前向きな原動力が生まれることを目的にしています。
まだリリースされていませんが、モチベーションアップにつながるアプリですね。
残業自体を批判するのではなく、もちろん急な仕事で残業になることもあるでしょう。しかし、残業代を稼ぐための残業や隠ぺいされたサービス残業は無駄な残業。
基本的には業務時間での仕事環境を改善し、モチベーションを上げて仕事効率を良くすることが大切です。「仕事を効率良く終わらせるためにはどうすればいいか?」といった会議や専門家による啓蒙活動も行われています。
最近は働き方改革により残業の意識や捉え方、働き方の選択肢が増え、自分が働きやすい環境で働ける環境が作りやすくなってきました。
モチベーションを上げ残業に取り組む、残業を早く終わらせて帰る、仕事とプライベートが充実させ正しいワークライフバランスを取り戻しましょう。
前向きな残業は、日本が明るく活発になり、経済も明るくなることにつながるのです。
いかがでしたでしょうか?
残業の実態と残業がもたらすリスク、モチベーションを上げる残業についてご紹介させていただきました。
日本残業協会という面白い取り組みをされている組織もあり、残業問題が社会的に注目されていることが分かりますね。
仕事をしているとどうしても残業自体をなくすことはできません。
しかし、残業への取り組み方や仕事とプライベートでのメリハリをつけることによって前向きな残業へ変えることができます。
自分の時間を有意義に使いながら効率の良い仕事に取組み、できるだけ残業時間を減らしていこうと努力することも大切。
ひたすら目の前の残業に取り組むだけでなく、広い視野をもって働く環境を改善する、仲間と気持ちを共有するなど仕事の質自体を良いものにしていきましょう。