労働環境改善のために実施される働き方改革。
当時間労働の是正は労働者の心身の健康を守る重要な対策ですが、一方で基本給が少なく残業しないと生活できないと嘆く方も多数いらっしゃいます。
多くのサラリーマンにとって、残業代は毎月の生活になくてはならない生活費の一部で、残業代で給与を上げ、残業代を含めて毎月の支払いプランを立てる…という方も少なくありません。
生活費を稼ぐための残業が働き方改革で制限されたとき、残業しないと生活できない人はどのような対策をとればよいのでしょうか?
今回は、残業しないと生活できない人の現状や対策についてご紹介させていただきます。
残業代がないと生活苦に陥る!という方はぜひご参考にしてください。
残業をすることで生活がぎりぎり成り立っている人、生活費を稼ぐために残業をしている人、たくさんいますよね。
このような理由から意図的に残業をすること「生活残業」といいますが、社会問題となっている企業の長時間労働の要因のひとつとなります。
働いている人の多くはこの生活残業を目的に働く時間を増やし、さらに長時間労働をすることで「一生懸命頑張っている人」と高く評価される背景があります。
長時間働く人=仕事を頑張っている人というのは日本ならではの評価です。
海外では効率よく時間内に仕事を終わらせる人が評価され、むしろ時間内に仕事が終わらない人ほど「仕事ができない人」と評価されます。
所定の勤務時間内に終わらせるべき仕事を、残業代が欲しいために意図的に時間をかけてしているので、本来なら企業にとってもコストがかかり良いことではありません。
生活残業代を生活費の当てにしている労働者が多いことが原因ですが、雇用する企業にも問題があります。
基本給の少なさやなんとなく定時で帰りづらい職場環境、所定の労働時間で収まらないノルマ設定が生活残業を助長し、残業しないと生活できない社員を増やしてしまっています。
企業の管理体制と、社員の意識改革を同時に進めなければ残業をする社員は減らないでしょう。
残業をしないと生活できない「生活残業」のメリットとデメリットについてご紹介します。
生活残業のメリット
生活残業のデメリット
残業ありきの生活を過ごしていると、毎月の残業代で収入が増えたように感じます。
しかし実際のところ時間外労働の割増率は25%程度、1ヶ月に60時間を超える時間外労働で50%と、効率的に稼ぐ手段ではありません。
規定の労働時間を終えた後に会社で働き続けることで、心身共に疲弊しストレスもたまります。
はじめは残業代を目当てに働けていたとしても、体を壊し、心も病み、最後はうつ病に陥るという方も少なくありません。
残業代を含めた収入で生活に慣れてしまったら、働き方改革によって残業が減った場合、生活費に困るだけでなくローン返済が滞ってしまう事態にもなりかねません。
残業しないと生活できない人は、生活残業に依存している現状から早く脱出する必要があります。
働く人の多くは「できることなら早く仕事を終わらせて定時で帰りたい」と思っていますが、なぜ残業をしてしまうのでしょうか?
そこには残業をする人の生活に原因がありました。
家族の生活費や学費が必要なため、残業代で稼がなくてはいけないという方が多く、生活残業をする理由となっています。
子供1人を自立するまでにかかる費用は2,000万円以上といわれ、学費に習いごと、通信費など昔に比べてかかる費用も多くなっています。
給料だけは生活苦となるため、残業代制度を使って収入を増やそうと考える人が増えているのが現状です。
厚生労働省による平成30年 国民生活基礎調査の概況から【世帯の生活意識の年次推移】をみてみましょう。
【世帯の生活意識の年次推移】
生活が「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)と答えた方は57.7%になり、半数以上の人が、給料が安くて生活が苦しいと感じていることが分かります。
【各種世帯の生活意識】
また、高齢者世帯が55.1%、児童のいる世帯が62.1%とされています。
「一生懸命働いているのに生活が苦しい」「残業しないと生活できない」という人が増えているということですね。
dodaが行った「平均年収ランキング 最新版【年齢別】」をみると、年代別の平均年収は以下の通りです。
参照:doda『平均年収ランキング 最新版(年齢別の平均年収)』
子育て世代である20代、30代が低いことが分かりますね。
20代の年収345万円の場合、手取りにすると約22万円程度、30代の年収442万円の場合、手取りにすると約28万円程度になります。
※ボーナスを除いた計算なので、実際はこれよりも手取り金額は少なくなる計算です。
手取り収入から家賃や光熱費、通信費、食費など毎月にかかる生活費が引かれると、潤った生活はできないレベルです。
独身であれば生活に困らないかもしれませんが、子供を養育している場合にかかる費用を引くとほとんど手元には残りませんので、共働きが必須です。
平均年収をもらっているはずなのに、生活が苦しいのはなぜでしょうか?
それには3つ理由があります。
少子高齢化により、若い人口が減り日本全体の経済が停滞し、現在の日本経済では消費抑えにより企業の売り上げが減少傾向で給料が上がりません。
また、潤っている企業と落ち込み続ける企業の二極化していることが給料が増えない原因です。
今の企業で働いている限り、給料アップは望めない
給料アップを目指してキャリアアップを目指す方が多いですが、反対にキャリアアップしたことによって年収が下がってしまうという事態に陥った方もいらっしゃいます。
なぜなら管理職につけば管理職手当がつき給料は上がりますが、残業代が支払われないケースも…
労働基準法の「管理監督者」にあたれば残業代の支払いの適用になりませんが、賃金面では一般の社員と年収が逆転せず管理監督者に合った待遇であるべき、と決まりがあります。
しかしこれを適用しない企業もあり、役職についたから残業代はでない、休日も休めないというブラックルールが運用されているのが実態です。
安い役職手当と引き換えに大きな責任と激務で負担が多くなる
少子高齢化が進む日本では、年々税金が上がっている傾向で、増え続ける高齢者人口を支えるための増税は今後も避けられず、現役世代の負担が増すばかりです。
消費税も上がり続け、今の給料では生活できません。
生活が苦しいと感じている人達は、さらに苦しいと感じることでしょう。
収入を増やさなければ、今のままだと生活できない
現状、残業をあてにした生活をしている人は、このまま何もせずに働き続けていくと働き方改革や企業の意識改革によって生活はさらに厳しくなります。
改善には、自分自身で対策を講じる必要があります。
では、どうすれば毎月の収入を増やすことができるのかご説明します。
今の会社でずっと働きたい方は、まず基本給アップを目指しましょう。
例えば、資格を取得し資格手当を狙うのです。
仕事で忙しい中、資格の勉強をするのは大変ですが毎月1万円でも2万円でも増やせれば年収にすると大きな金額になりますね。
資格取得で会社内での評価も上がり、給料も上がるのは一石二鳥ではないでしょうか。
また、資格を取得することで新しいスキルが身につき自分だけの強みになります。
もし転職する場合でも強みのアピールやキャリア形成に役立つため、積極的にチャレンジしていきましょう。
例えばこのような資格・スキルアップがおすすめです。
「こんなに頑張っているのに」「もっと評価されるべき」と感じている人は、上司と給与交渉するのもひとつの方法。
給与交渉したからといってすぐに昇給されることはほとんどありませんが、評価の見直しや適正評価につながるでしょう。
自分自身の市場価値を見極め、評価に見合った適正な給与を求めることが大切です。
例えば、他の企業での給与と比べて交渉に臨む・自分にしかないスキルをアピールするといった方法が説得力ある交渉に効果的です。
最近では副業・ダブルワークされている方も少なくありません。
仕事から帰った後や休みの日に副業することで、収入を増やすことができます。
例えば、以下のような副業があります。
など、クラウドソーシングでパソコンさえあればできる副業がたくさんあります。
頑張り次第では、月3万円~10万円以上の収入を増やすことができますし、副業で稼げるようになればダブルワークから独立することも夢ではありません。
働き方改革では、柔軟な働き方として2018年1月から副業の積極的な推奨がなされています。
「副業禁止」の規定が廃止され、副業・兼業が認められている場合は自分の特技を活かせる副業がおすすめです。
「どう頑張っても残業しないと生活できない」「でもこのままじゃ体がもたない」という場合は、思い切って転職することも検討してみましょう。
給料が安い会社で働き続けても、これから生活が潤う確率は低いでしょう。
給料が上がらない会社・昇給しない会社は、安い給料で働く人材を雇用しなんとか経営している会社です。
努力や評価が給料に反映されない会社で、このまま働き続けることに意味はあるのでしょうか?
社員の働きやすさや生活を考え、職場環境や待遇を良くしようと努力している企業や評価に見合った適正な給料体制を整えている企業は数多く存在します。
手っ取り早く給料を挙げようと思うなら、今の企業に見切りをつけて給料の高い企業・昇給制度が整っている企業へ転職するのが英断です。
今の会社の給料では生活ができない、という人は転職エージェントで一度相談してみてはいかがでしょうか?
転職エージェントは、転職のプロであるキャリアアドバイザーがキャリアカウンセリングによってこれまでのキャリアやスキルから、あなたの適性や市場価値を見極め希望や条件に合った企業を紹介してくれる転職サービスです。
「なぜ転職しなければいけなかったか」というデリケートな部分についても親身に相談に乗ってくれますので、転職先とのミスマッチが少ないことがメリットです。
転職エージェントは、在職中から利用できますので転職活動を通じて様々な企業の情報収集や、業界の動向について調べるのも良いでしょう。
他にも転職エージェントを利用するメリットはたくさんあります。
転職エージェントのメリット
はじめての転職や良い条件で転職したい人、転職に不安を抱えている人は、失敗しないために転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職を考えている内に、どんどん年をとっていきます。
「今すぐ転職は考えていないけど…」という方も、年齢を重ねるごとに採用率は下がってしまうので早めに登録・相談だけでもしてみましょう。
吉高由里子主演のTBS系ドラマ、『わたし、定時で帰ります。』をご存知でしょうか?
「仕事よりも人生」「残業ゼロ」を目指した主人公の働き方は、現代の多様化する働き方やワークライフバランス、日本の労働問題や社会問題となっている長時間労働にクローズアップされています。
「わたし、定時で帰ります。」は、働き方改革の時代にピッタリの内容で、仕事のためではなく人生の充実を目指した働き方について考えさせてくれます。
定時で帰ることを目指すのではなく、仕事ができる人になり自分の時間・人生を楽しむことが大切という意味がこめられ、これからの仕事との向かい方のヒントとなるでしょう。
「働く」こと様々な視点から描かれたこのドラマを見て、自分にとって働く意味、仕事の効率アップをする方法、仕事だけの人生から抜け出す意味を見つけてみませんか?
働く意味を見失っている人、残業代のためだけに働いている人は一歩踏み出す背中を押してもらえるドラマですよ。
いかがでしたでしょうか?
残業しないと生活できない人の現状や対策についてご紹介させていただきました。
最後に、第4代松井証券の社長である松井道夫氏の名言をご紹介します。
「私は社員に『給料をもらって働く人』は辞めてくださいと言っています。必要なのは『働いて給料をもらう人』だけです。両者には大きな違いがあります。」
残業しないと生活できないからといって、残業代を当てにして働く人はまさに、「給料をもらって働く人」です。
「給料を増やしたい、もっと稼ぎたい」と思うなら副業をして稼ぐか、より良い条件の企業へ転職するしかありません。
給料(残業代)のために働くのではなく、価値ある仕事をして適正な給料をもらう人材へなるには、自分自身の市場価値の見極めと活躍できる場所を見つけることが大切です。
給料が安くて残業しないと生活できないと悩む人はたくさんいますが、何もアクションを起こさなければ現状は変わりません。
税金や生活費の負担は増え、ますます苦しくなる一方です。
今のままでは給料が上がることは難しいでしょう。
自分自身の人生を変えるタイミングを決断し、新しい一歩を踏み出しましょう。