第1弾では中高年の転職事情や応募書類の書き方、面接方法、転職サイトやエージェントの活用法など転職ノウハウについてお話させていただきました。
第2弾は、「中高年転職力アップ~応募書類編~」。
中高年の転職活動における応募書類の考え方や、応募書類を書く上での注意点やポイントを中心にお話ししていきたいと思います。
中高年の転職の際には、スタンダードな応募書類である履歴書・職務経歴書の作成が必須です。
更には、志望動機書や自己PR書、企業独自のエントリーシート、課題レポートなどといった追加書類の提出を求められるケースが増えてきています。
売り手市場と言われている今でも、企業の採用スタンスは厳選採用が主流であり、特にこの世代の場合は、若手よりも遥かに高額の給与を支払ってまで採用するのですから、企業側にとってハズレ採用は絶対に許されず、採用現場は必死です。
だから即戦力を発揮してもらう実力を正確に見定めるには、履歴書・職務経歴書の定番書類だけでは判断材料が足りないので、他の応募書類の提出も課すようになってきています。
またこれらの追加書類を作成させると、応募先企業に対して本気度の高い応募者しか応募してこないので、書類選考前に冷やかし応募やスパム(大量)応募の振るい落としができるという採用人事側の狙いもあります。
課題レポートを課すと、大体1/3から1/2まで絞り込むことができると言われていますので、自社に対しての入社意欲を重視する企業は、この手法を活用する傾向にあります。
今やこの年代にとっては履歴書・職務経歴書がきちんとできていて当然で、更にこれらの追加書類も完成度を高めておかないと、書類選考突破は難しくなってきています。
せっかく良質で応募可能な求人情報を見つけても、作成に手間取ってしまい、タイムオーバーで出せずじまいだったり、クオリティが低いままでとりあえず作ったものを出すでは、応募者本人にいくら実力があったとしても、たった1名の採用枠に百数十名の応募がひしめく中、書類選考を通過することは至難の業です。
企業から独自に出されるエントリーシートや課題レポートは、テーマが出されてからしか対処が難しいのですが、志望動機書や自己PR書といった類のものは、事前にある程度のレベルまでのものを用意できるはず。
この世代で一番もったいないのが、タイムオーバーで期限内に出せないということ。
大手転職サイトを見ていただいたらおわかりのように、大半の求人ターゲットは明らかに若手なのです。
応募できる求人が限定されているこの世代にとって、応募できる貴重な求人を一つ一つ大事にかつ丁寧に対応する必要がありますから、これらの追加書類も事前にしっかりと用意しなければならないことを肝に銘じて転職活動に臨んでください。
なお、転職サイト活用時に事前に入力するWEBフォームには、履歴書・職務経歴書に記述した情報だけでなく、自己PRや志望動機といった欄が必ず設けられていて、800~1000字といった多くの字数で入力を求められるケースが多々あります。
事前に追加書類を準備しておけば、この対策にもなります。
<図版>各書類に対する採用人事の観点
系統 | 書類 | 採用担当者の観点と解説 |
---|---|---|
基本 | 履歴書 |
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職務経歴書 |
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添え状 | 基本的なビジネスマナーや履歴書・職務経歴書で書き切れなかった補足事項などを確認するのが目的 | |
追加 | 志望動機書 | 当社への想い、当社に入ってできること・やりたいことなどを見るのが目的 |
自己PR書 |
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基本 | エントリーシート | 基本情報に加えて、企業独自で設定した設問の回答を見るのが目的 |
追加 | 課題レポート | (企業が課すテーマによって異なるが、)企業側の意図する内容を書けるかどうかをチェックするのが目的 |
両方 | WEBレジュメ | 上記全てを包含しているため、これら全体をバランスよく一度に眺めるのが目的 |
※今や基本系だけでなく、追加系書類もしっかりとした準備が必要。
WEBエントリーの場合、最初からこの両方を求められる場合あり。
今まで応募書類が複数ある旨、説明してきました。
この数ある応募書類の中で、中高年にとっては職務経歴書が最も重要と心得ておいてください。
これは若手と違って、やる気やポテンシャル能力を買うのではなく、
今まで培ってきた豊富なキャリアを買うからであり、このキャリアを詳細に表記する書類が職務経歴書である
というのがこの理由です。
しかし、重要度は認識できても、何の準備も対策もなしに、採用人事が高く評価するような職務経歴書を作成するのはなかなか難しいでしょう。多くの中高年がこの点でお悩みだと思います。
中高年の職務経歴書では、全てにおいて冗長気味である点が、特徴として挙げられます。
作成ポイントをよく理解していないこともあって、どんな些細なことでも「売り」につながると勝手に解釈していたり、またいろいろと盛り込まないと不安だからというのが、その背景にあります。
具体的に言うと、新卒入社からの職務経歴を同じピッチで詳細に書いてしまう、何でもかんでも経験したことを詰め込んでしまう、自己申告的なPRを執拗に繰り返してしまう、といった悪しき事例が多々見られます。
自由度が高い職務経歴書といえども、一定のレギュレーション、決まり事があります。
採用人事は当社の応募職種で活躍してくれるかどうかをまずもって知りたいのであって、関係のない話をダラダラと見せられても、マイナス心証を抱くだけです。
無駄なものは切り捨てる思い切りも必要と認識しておいてください。
またこの逆で、圧倒的に情報が少ない職務経歴書も散見します。
「私の凄さは書類だけでは伝わらない、詳細は面接のときに話せばいいだろう」、「書類を出せと言われたから、とりあえず出すが、これくらい書いておけば大丈夫だろう」と書類選考を甘く見ているケース。
繰り返しになりますが、今は書類選考を突破するだけでも今や一苦労です。
応募書類を出したら面接に呼ばれるというのは、現在の転職市場を甘く見過ぎています。
また履歴書の職歴欄をそのままなぞるような職務経歴書を作成してしまうケースがあります。
これは市販の履歴書には手書き用の職務経歴書が付いており、これを作成すればよいと誤解しているからです。
中高年であれば、この手書き用の職務経歴書は明らかに不適合です。絶対に手を出してはいけません。
このように、知らず知らずのうちに過ちを犯しているケースがあります。本サイトを熟読して、ミスを犯さないようにしてください。
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
【中谷氏の解説】
中高年にありがちな職務経歴書です。
字がギッシリと詰まっていて、レイアウトにも工夫がなく、読み手に大変な負担をかけるものです。
何でも詰め込んで書けばいいというものではありません。ボリュームをダイエットしたり、表を用いるなどして、見やすさを工夫することが必要になります。
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
【中谷氏の解説】
明らかに空白が目立ち、記載内容も履歴書で記載するレベルで、職務経歴の概要しか記載できていません。
また、資格は履歴書に記載しますから、職務経歴書に重複して記述する必要はありません。
それよりも自己PRや応募先企業で活かせるスキル・経験などを盛り込むべきです。
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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