前回、前々回の2回にわたって、「転職力」を向上させる方法を説明しました。
第2回「転職力を上げる方法(応募書類編)」
第3回「転職力を上げる方法(面接編)」
実はこの「転職力」を磨きあがることができたとしても、恐ろしいことに、不採用の連続、ということが、中高年には十分に起こり得ます。その主な要因が、ターゲット誤り、つまり応募する求人が間違っているということです。この顕著な例として、若者を対象としている求人に、中高年が応募をしてしまうケースがあります。
例えば、求人を出している企業が、社内の選考基準で30歳までと年齢制限を設けていたとしましょう。ここに40過ぎの方がいくら応募しても、箸にも棒にもかからないのです。このように、この年代を対象としていない求人に応募しても時間と労力の無駄で、疲弊する一方になります。
求人の探し方&応募の仕方ですが、求人雑誌を手に取って求人を探し、まずは履歴書を送って応募する、という旧式なやり方から、「転職サイト」で希望の条件を入力して求人情報を検索し、ウェブエントリーして応募する、というやり方に変わっているのは、既におわかりかと思います。
そこでまずは、多くの求人情報が掲載されており、最もポピュラーな転職求人媒体である「転職サイト」上で、中高年に合った求人をどのように探せばいいかについて、解説していきます。
改正雇用対策法により平成19年10月1日から原則、労働者の募集・採用時に年齢制限を設けることができなくなりました。国は「年齢にとらわれない人物本位、能力本位の募集・採用を!」と事業主に呼びかけていますが、これは建前論であって、採否の全権は企業側にあることを忘れてはなりません。
もしあなたが年齢で駄目だったと何となく気づいたとしても、そもそも企業の採用基準は内密ですし応募者に不採用理由をフィードバックしません。だから「年齢だけで不採用にしていませんか?」と声高に企業側に問い質しても全く何の効果もありません。
一方で現実は、既述のとおり企業の採用選考時には内部コードでこの求人については30歳までと設けていたりしていますし、ハローワーク職員が紹介状を発行する前に企業側に電話して「40歳の女性の方が窓口に来ていらっしゃって御社事務職に応募したいと申出ていらっしゃいますが、応募可能でしょうか?」と確認したりしており、年齢についてはオールウェルカムでなければならないという建前と今回の採用対象は○○歳までという本音の世界が混在しているのです。
本来は年齢制限がないのが原則なので、中高年(シニア)の方でも応募しても何ら問題はありませんが、採用されるかどうかは全く別の次元の話です。
応募しては書類選考で落ち、また応募しては書類選考で落ち・・・と面接にすら進めない状況が10回以上繰り返したなら、応募するターゲットが誤っている可能性が高いと言えます。
このような不毛な転職活動は、時間と労力の無駄で精神もすり減らし転職活動に対するモチベーションをも低下させます。転職活動は有期の活動です。効率的かつ合理的に転職活動を進めるために、応募が採用される可能性があるのか、秒殺されるのか、この世代ならではの求人情報の見極め方を下記の表で、しっかりと学んでください。
下記のような求人広告を出している企業は、基本的には若手しか採用する気がありません。この世代でも応募は可能ですが、選考対象外で採用されない可能性が非常に高いと考えておいて間違いありません。
図解<中高年(シニア)の方でも応募可能かどうか見極めるポイント>
求人情報の表記 | 意味・解説 |
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社会人経験1年以上 | これでは社会人経験があればいいというレベルです、この世代には全くマッチしません。 |
第二新卒歓迎 | 一説によると第二新卒とは、新卒から入社した人が3年以内に退社した人を指すとのことですので、この世代には全くマッチしません。 |
平均年齢28歳 | 本来平均年齢と今回の求人は何ら関係がないのですが、これをわざわざ出すことにより、28歳に近い人を求めていることを暗にPRしています。 |
ポテンシャル採用 | 文字どおり、今までの経験よりも潜在能力を買う、ということです。キャリア採用を目指すこの世代とはかい離しています。 |
経験不問・未経験歓迎 | この表記だけでは必ずしもこの世代がNGとは限りませんが、一般的には色が付いていない若年層の方が有利です。 |
20代中心の職場です! | 20代以外は応募して来るな!というメッセージと考えておいてください。 |
若手が活躍している会社です! | 若手であっても重責や裁量を任せるという社風をPRしています、この世代は不向きです。 |
年収例 1000万円/入社4年目 29歳 870万円/入社5年目 28歳 600万円/入社2年目 26歳 |
年収例にこの世代のレンジにかかっていないのは対象外と考えてよいでしょう。もし入社できても短期で退社になる可能性が懸念されます。 |
・若手社員の写真が多数掲載 ・若手のインタビューが多い |
若手しか応募して来るな、というメッセージと考えておいてください。 |
「40代転職サイト」において、自身が応募できるかどうかについては、ぜひこのやり方を参考にしてください。
なお、「転職サイト」と一言でいっても、「リクナビネクスト」、「doda(デューダ)」、「日経キャリアNET」等に代表されるような、あらゆる業種・職種を扱う「総合デパート型」のものから、営業専門、会計専門といった特定の業種・職種に特化した「専門店型」のものまで多数あります。
中高年ゆえに、各人によって歩んできた畑は違うでしょうが、専門職でキャリアを積まれたならば、「総合デパート型」の「転職サイト」だけでなく、「専門店型」の「転職サイト」も、ぜひチェックして登録するようにしてください。
中高年はどうしても年齢上のハンデがあります。そのため、できるだけ多くの「転職サイト」に登録して、網をかけておくことが転職を成功させるコツと考えておいてください。
次回は人材紹介会社を活用した、転職活動の方法を説明します。
転職コンサルタント(中谷充宏)講師プロフィール
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