【作:龍たまこさん】
最近ではすっかり定番ワードになってしまった『ブラック企業』。マスコミに頻繁に取り上げられるようになり、一般に広く知られるようになったため、自主的に危機管理もできるようになっています。
ただ広く知られるようになった分、少し過敏になりすぎている側面もあります。実際どんな労働環境をブラックと呼ぶか、聞かれてあなたは詳細が答えられますか?
実際どんな企業をブラック企業と呼ぶのか。そして実際にあなたが置かれた環境はブラック企業の基準に当てはまっているのか。
そしてもし当てはまっている時に、どういう対処をすればいいのか。改めてブラック企業とはどんな企業をいうのか確認してみましょう。
ブラック企業がこれだけ有名なワードになっているにも関わらず、実は公的には明確な定義付けが行われていません。ですが、『一般的な特徴』と示した上で厚生労働省のホームページでは『ブラック企業』をこのように書いています。
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
出典:厚生労働省
労働に対する正当な報酬が支払われない。上司など企業側から不当な扱いを受ける。などが該当しますが、これだけ見るとさすがに広義すぎて少し分かりづらい気もしますので、これからもう少し突っ込んだ例を見ていきましょう。
サービス残業や休日出勤、不当な残業時間など、労働時間に関する内容はブラック企業でも典型的な例です。
労働基準法では1日8時間、1週間で40時間としっかりと法廷内労働時間を提示し、それを超える場合には残業代を支払うようにと定めています。
また残業に関しては「36(サブロク)協定」というものもあり、時間外労働に対して正当な報酬を支払うようにと定められているので、自分の会社の労働時間おかしくない?と思った人はチェックしてみるといいでしょう。
また、厚生労働省では月80時間を超える残業時間を、過労死の可能性がある「過労死ライン」と定めているので、もし該当する人がいるとしたら直ちに状況改善に努めてほしいですね。
給料や福利厚生が正しく支給されないというのも、ブラック企業情報ではよく見かけます。
正しく支給されるのは社会人として当然の権利。嫌味も言われる筋合いはありません。給料が支払われないなんてもっての外です!
人間関係がうまく行かないといのは、退職理由の中でも毎年上位に食い込んでくる理由です。
毎日顔を買わせなければいけない相手と、良好なコミュニケーションを取れないのはかなりストレスの原因になります。
パワーハラスメント:職場において地位などの優位性を利用して、精神的・身体的苦痛を与えること。または職場環境を悪化させること。
モラルハラスメント:言葉や態度などで繰り返し相手を精神的に傷つけること。
自分が人の上に立ち指示をする立場であることを、なんでも命令ができる。相手の進退を自分が全て握っていると勘違いして、好き勝手するのは大きな間違いです。また、部下であるからと言って、不当な扱いに甘んじる必要はまったくありません。
平成26年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクハラ被害の相談は1万件を超えており、そのうち女性の割合は6割と内閣府のホームページに調査報告が上がっています。
(内閣府男女共同参画局:セクシュアル・ハラスメントの実態)
もちろん影には相談できずに悩んでいる人もたくさんいて、実際には更に多くの被害件数があることが予想できます。またセクハラの被害はもちろん女性だけとは限りません。
何事もお互いの合意があって成り立つものを一方的に触ったり、相手の反応を無視して性的にからかったり、しつこく誘いをかけるような行為はセクハラに該当します。
マタニティハラスメントは女性が妊娠・出産をしたことで、職場で嫌がらせを受けたり、本人が希望しない異動をさせられたり、解雇・減給などの不当な扱いを受けたりすることです。
産休や育休といった制度が最近になってようやく注目され始めたばかりの日本は、社会進出した女性の権利確立が先進国の中でもかなり遅れています。職場では制度として存在はするけど、有給などと一緒で利用したら不当な扱いを受ける現実もまだまだ根深いものがあります。
できる限り早く出産・育児後の女性でも臨んだ仕事が続けられるような体制が、企業側に確立することが望まれます。
ホワイト企業とブラック企業はこんなに働きやすさが違います
実はブラック企業が出す求人には、色んな特徴があるということを知っていますか?就職・転職を考えた時に求人を色々見比べながら、ブラック企業にだけは入りたくない…と思うのは誰でも同じです。
求人の時点である程度弾けるようになれば、いくらかストレスも軽減されるのではないでしょうか。
分かりやすい例でいうと、これらの特徴があります。
など、とにかくその場のノリで楽しそうな雰囲気を出そうとしていますが、仕事の内容が全くイメージできません。
若手が活躍というのは、長続きせず若い世代を使いまわしている可能性があります。アットホームは家族経営で、なあなあで仕事を回しているところが多い危険ワード。そして熱意・やりがい・夢・やる気といったワードは全て根性論です。
いざ勤めてみたら、根性論を振りかざして不当な過重労働を強いられる可能性もあるので要注意です。
求人サイトではよく見られますが、同じ会社の似たような求人がページを占拠していることがあります。
また、ずっと長期間同じ求人が掲載されていたり、短期間のうちに何度も求人情報が上がったり下がったりするのも要注意。
人の入れ替わりが激しく、常に人材不足に陥っていたり、人材の使い捨てを行っていたりする場合があります。
こう言ったやたらと高給を謳っているところは、キツいノルマがあり出来高制で達成しないと低賃金、または残業休日出勤当たり前で過重労働をさせられる会社だったりする可能性があります。更に入ってみたらサービス残業当たり前なんていう可能性も。
楽に稼げる仕事なんてありません。必ずどこかで帳尻合わせがされるはずなので、甘えた考えは捨てましょう。
社員を大事にし、後ろめたいところがない会社は、当然何かを隠す必要も取り繕う必要もありません。
給与・就業時間・福利厚生・業務内容・企業情報などしっかりと明記され、業態や就業後のイメージなどを分かりやすく示してある求人は信用できます。
もし上記の条件の中に「応相談」などと書いてある場合は、面接の時にしっかりと事情や要件などを質問で明確にするようにしてください。
もしそこで言い渋ったり、場合によっては厳しい態度を取られたりしたら、聞かれたくない隠しておきたい何かがあるかもしれません。面接はこちらも企業を審査・選別する場と思って、大事なことはしっかり聞きましょう。弱気になる必要はありません。
それでももしブラック企業に入ってしまったら。とにかく早くその状況から抜け出すべきです。
「もし辞めたとしても、そのあと再就職ができるか分からない」
「転職してもマトモな会社で働けるとも限らない。自分に何かスキルがあるわけでもないし…」
といった理由から、とりあえず最低限の生活は保証されているし…と転職を尻込みしてしまう人は結構多いのですが、ブラック企業は転職するならスピードが命です。一度転職を諦めてしまうと、そのままズルズルとタイミングを失い続け、最終的に体調や精神を壊してしまうという結果になるパターンがかなり多いのです。
ブラック企業問題は決して他人事ではなく、私たちの人生に関わってくる問題であり一人ひとりの意識や行動から変えていかなければいけません。
そのためには、正しい情報を持ち企業を見極めることのできる確かな目を養っていく必要があるでしょう。
ブラック企業の罠にハマらないようにTwitter(ブラック企業対策プロジェクト@black_taisaku)やメルマガも参考にしてみてください。