医療機関での安定した働きと高収入のイメージがある看護師。昔に比べて男性看護師も多く働くようになり、年収について気になっている方も多いかと思います。
看護師経験12年以上の筆者が、平均年収や近年の推移、年収アップの方法などを詳しく紹介します。
年収アップを目指す際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
大好評!”元・男性看護師が語る”シリーズ
男性看護師の平均年収について、年齢や施設規模別にご紹介します。
男性看護師の平均年収を年齢別にまとめると、以下の通りです。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 338万2,300円 |
25~29歳 | 484万6,800円 |
30~34歳 | 519万7,900円 |
35~39歳 | 539万4,000円 |
40~44歳 | 572万7,300円 |
45~49歳 | 579万6,600円 |
50~54歳 | 599万8,500円 |
55~59歳 | 527万5,800円 |
60~64歳 | 461万700円 |
65~69歳 | 422万2,300円 |
70歳~ | 316万3,400円 |
参照:e-Stat 『賃金構造基本統計調査/令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(年齢別)』
上記は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の結果から、施設規模10人以上の男性看護師の平均年収を一覧にしたものです。40代から50代にかけて年収が非常に高くなり、60代から年収が下がります。
看護師は経験年数をベースに年収が高くなるため、10年以上経験のある人材は年収が高くなりやすい特徴があります。
また、基本給が高くなることに加え、夜勤手当を基本給ベースの25%増とする施設も多いです。
そのため、年代とともに大幅な収入アップが期待できます。
次に施設規模別で男性看護師の平均年収をご紹介します。同じく令和4年賃金構造基本統計調査を参考にすると、平均年収は以下の通りです。
施設規模 | 平均年収 |
---|---|
10人以上 | 522万7,200円 |
10~99人 | 459万8,600円 |
100~999人 | 512万3,300円 |
1,000人以上 | 553万9,300円 |
男性看護師の年収は、施設規模が大きくなるほど高くなっています。施設規模が大きいほど年収が高い理由は大きく3つあります。
上記の理由から規模の大きい施設に勤務すれば、高収入が期待できます。
参照:e-Stat 『賃金構造基本統計調査/令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(施設規模別)』
男性看護師の年収が高いか低いかについては、意見も分かれますが、筆者は低いことはないと考えます。
例えば、女性看護師と比較しても、女性の平均年収は506万3,800円であるのに対し、男性看護師は522万7,200円です。
また、一般的なサラリーマンの平均年収と比較しても、男性看護師は優遇されています。
国税庁の民間給与実態統計調査によると、男性の給与所得者の平均年収は545万円です。
平均年収だけなら男性看護師を上回っていますが、中央値を計算すると約420万円前後になります。
男性看護師の年収の中央値は約500万円であり、年収が低いとは考えにくいからです。
筆者も中規模病院を2箇所経験しましたが、毎年定期昇給があるため、給与が安いという印象はありませんでした。そのため、安定した収入と仕事を求めるなら、看護師はおすすめできます。
*参照:e-Stat『賃金構造基本統計調査/令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種』、国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査』、国税庁『標本調査結果』
看護師全体の給与の推移について、日本看護協会の調査データをもとに解説します。
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|
高卒+3年課程新卒 | 26万2,277円 | 25万9,233円 | 26万3,711円 |
大卒 | 27万292円 | 26万7,440円 | 27万1,730円 |
勤続10年、31~32歳、非管理職 | 31万8,916円 | 32万846円 | 32万4,446円 |
過去3年間のデータでは、新卒および大卒の初任給はほぼ横ばいで推移しています。
一方、勤続10年の場合は2%近く上昇しており微増傾向です。
看護師の初任給自体は変わりないものの、経験年数とともに昇給幅が大きくなっていることを示しています。
急激に給与や年収が増加するとは考えにくいですが、今後も看護師の給与が上昇していくことに期待できる結果です。
参照:日本看護協会『2020年 病院看護実態調査 報告書 P21』、日本看護協会『2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書 P28・29』、日本看護協会『2022年 病院看護実態調査 結果 P8』
男性看護師が年収をアップするためにとれる方法を具体的にご紹介します。
男性看護師の年収アップ、キャリアアップする方法の一つは資格の取得です。
看護師が取得できる資格には様々なものがありますが、その中でも資格手当による給与向上、管理職へのキャリアアップにつながるのは次の3つです。
いずれも経験年数と専門分野での実務経験、一定期間の研修受講などの条件はありますが、看護師としてのレベルアップにつながる資格です。
施設によって手当の有無や金額に違いはありますが、取得すればキャリアアップにも転職にも役立ちます。
特に職場で管理職へのキャリアアップを目指すなら、認定看護管理者資格が有利です。
専門性の高い看護師はどの職場でも需要が高く、高収入が得やすくなります。
男性看護師が年収アップするには、男性が働きやすく、キャリアアップもしやすい職場選びも重要です。
男性看護師が活躍しやすい場所とは、具体的には次の職場です。
上記の職場と他の診療科との違いとして、筋力・体力が必要になる場面が多い点があります。
特に精神科・救急外来・介護福祉施設では、暴れる患者様を抑えたり、患者様の移乗と移送をしたりすることも多く、男性看護師が頼りにされることが多いです。
また、男性特有の悩みに対応する職場も男性看護師に向いています。
男性の管理職が多い点も特徴ですから、男性看護師同士で悩みを相談できる点もメリットです。
男性看護師が収入アップするには、給料が高い職場や昇給率の高い職場に転職する方法もおすすめです。
看護師の給与は施設規模や地域差が非常に大きく、選んだ職場によってかなりの収入格差が生まれます。
そして、収入アップを狙うには、次の要素を検討して転職先を選びましょう。
転職で収入面の条件を考慮するなら、上記の条件を参考に比較することが大切です。
収入アップを狙う場合、本職以外の収入源を作ることも効果的です。
本業に支障が出ない前提で、別の病院で短時間の看護師として働く方法があります。
男性看護師は体力的に優れている方も多いため、副業での働きもしやすいです。
ただし、職場によっては副業禁止になっている病院も多いことから、本業の規則を破ってまで働くことは避けましょう。
男性看護師の転職活動で年収アップにつなげやすく、おすすめの転職エージェントをご紹介します。
レバウェル看護は転職未経験者の男性看護師が利用しやすく、求人数の豊富さ、地方転職の強さが特徴の転職エージェントです。
求人は病院・クリニック・介護施設のほか、健診センターや訪問看護ステーションまで幅広く取り扱っています。
看護師向け転職エージェントの中でも非常に求人数が多く、転職未経験の方向けに様々なコンテンツが用意されています。
看護師向けの職場適性診断を利用すれば、いくつかの質問に答えるだけで自分に合った求人が可視化できる点もメリットです。
また、全国各地に拠点が設けられているため、地方に住みながら転職先を探したい男性看護師にはレバウェル看護がおすすめです。
公式サイト | https://kango-oshigoto.jp/ |
---|---|
対応地域 | 全国 |
おすすめポイント | 看護適性診断でおすすめの職場がわかりやすく、都市部から地方まで多くの求人が掲載されている |
ナース専科 転職(旧:ナース人材バンク)は多くの看護師が転職活動で利用している転職エージェントです。
「どれを選べばいいかわからない…」と思ったら、登録をおすすめします。
求人数の多さもおすすめ理由の一つですが、公式iOSアプリの「看護師求人」も隙間時間の求人検索に便利です。
公開・非公開問わず、正社員求人が多く、正社員看護師として転職するなら効率的なサービスです。
男性看護師が効率的に正社員転職するなら、利用をおすすめします。
公式サイト | https://www.nursejinzaibank.com/ |
---|---|
対応地域 | 全国 |
おすすめポイント | 看護師の正社員求人が豊富で、アプリを利用してわずかな時間でも求人検索できる |
マイナビ看護師は厚生労働省から「医療分野における適正な有料職業紹介事業者」の認定を受け、品質と信頼性の高いサービスを提供しています。
マイナビ看護師独自の強みは、転職後の定着率や職場の離職率などの内部情報を教えてくれる点です。
応募前に職場の雰囲気や内部事情をキャリアアドバイザーに確認できるため、転職後のミスマッチやブラック企業を回避できます。
また、マイナビ看護師には逆指名制度もあり、気になる病院や施設を伝えると、キャリアアドバイザーが採用枠を確認してくれるサービスもあります。
待つだけの転職活動に加えて、自分から気になる職場をチェックしたい方にもおすすめです。
公式サイト | https://kango.mynavi.jp/ |
---|---|
対応地域 | 全国 |
おすすめポイント | 職場定職率の情報や逆指名制度など、独自のサービスで転職活動をスムーズに進めやすい |
※マイナビのプロモーションを含みます。
結論から言えば、男性看護師が年収1,000万円に到達するのは非常に難しいです。
男性看護師の平均年収は522万円、最も年収の高い50代前半でも平均年収600万円には届きません。
そのため、年収1,000万円を目指すには、管理職にキャリアアップするのが到達の可能性が高い選択肢です。
病院にもよりますが、看護部長が経営に携わることもあるため、役員報酬が期待できるからです。
現場で働く看護師よりも高収入が期待でき、年収1,000万円も不可能ではありません。
ただし、経営に参加するには非常に狭き門を通過しなければならず、並大抵の努力では難しいでしょう。
男性看護師が年収アップを目指す際、注意したいポイントを4点ご紹介します。
看護師の収入アップに夜勤専従がおすすめという話を聞くこともあります。
夜勤手当がある分勤務1回の給与が高く、少ない出勤回数でも稼げるからという理由です。
しかし、実際に夜勤専従が年収アップにつながることはほとんどないため、あまりおすすめしません。
夜勤専従では基本給への増額支給や夜勤手当支給がありますが、給与相場は夜勤1回あたり2~3万円です。
夜勤専従は2~3日の休みを挟んで月に10回程度の夜勤があるため、単純計算でも30万円程度の給与にしかならないからです。
施設によっては日給4万円という求人もありますが、そのような求人には応募が殺到するため、採用成功の可能性はほとんどありません。
夜勤専従が収入アップにつながるという話は鵜呑みにせず、どのくらいの給与なら満足できるか明確にしてから応募しましょう。
男性看護師の年収アップでは、診療科で年収にも差が出やすいことも理解する必要があります。
病院の専門性や方針によって、特定の診療科では手当の支給や基本給が上乗せされる場合があります。
例えば、放射線科や化学療法室では放射線や抗がん剤被ばくのリスクがあり、基本給に手当を支給する病院も多いです。
また、手術室では拘束勤務があり、休日でも緊急手術があれば優先して出勤して対応しなければなりません。
こうした特殊な条件で働く診療科では、通常の診療科よりも手当が多く、収入が高くなる可能性があります。
収入アップのために副業を選ぶ看護師も多いですが、副業禁止の規則には注意が必要です。
病院の業務は患者様の生命に関わる特性上、副業禁止規定のある病院も少なくありません。
副業禁止規定を無視して働いた結果、懲戒解雇になった看護師もいます。
また、副業自体は禁止されていなくても、副業の疲労からミスを繰り返し、勤務態度が改められなかった結果、解雇になった例もあります。
収入アップのために副業を始める場合は、病院の規定を確認することも当然ですが、本業に支障をきたさないことも非常に重要です。
男性看護師が転職で収入アップを目指す場合、一定の経験がなければ選べる職場は少なくなります。
看護師は経験年数や専門性が重要になるため、一定の経験年数がなければ不採用になることもあるからです。
そのため、収入アップを目的にした転職をするのであれば、3年以上の経験または専門領域の知識を有することが重要です。
経験の浅い分野に挑戦するなら、その分収入もダウンする可能性が高いです。どちらを優先するかキャリアプランを立てておきましょう。
今回は男性看護師の年収について、平均年収や年収アップのポイント、注意点などを解説しました。
男性看護師は体力面で優れており、体力的に厳しい現場でも働きやすく、年収アップしやすい立場にあります。
しかし、労働条件を細かく分析しなければ、仕事に見合う給料は得られません。看護師として年収とキャリアを高めるには、男性ならではの有利な条件、働きやすい職場を把握することが大切です。
転職活動を進める際は、自己分析をしっかりと行い、自分の経験やスキルを生かして活躍できる職場を厳選しましょう。