頑張りたい。
今の日本には、そう思っている人が多い気がしています。
いや、これまでの歴史を振り返っても間違いなくそうだったと思うのですが、今また再び、という気がしてならないのです。
というのも、今日に至るまで、数多くのビジネスパーソンのコーチングさせていただいているのですが、「お仕事の場で頑張りたくないんです」という人って本当にいないから。
サイズや金額、規模や大小、強弱はそれぞれにせよ、みんな、何かしら頑張りたいし、頑張ってみたい。
そして、何かしら評価されたいし、誰かしらに認められたい。
多かれ少なかれ、「労働」というものに対しては誰しもがそんな熱を秘めているように思えてなりません。
しかし、不思議なもので、同一人物の人生において「気持ちと自分の中の歯車とが上手くかみ合い、推進力として燃焼させていける時」がある反面、「空回りしてしまったり、なかなか結果に結びつかない時」もあると思います。
これをバイオリズムと呼ぶのか運と呼ぶのかはさておき、やっぱり何らかの波は実在し、その時々の潮目を決定付けています。
そして、コーチとしてビジネスパーソンと関わらせていただく中で痛感するのは、空回りしたり、結果や成果に結びつかない時というのは、知らず知らずのうちに業績や評価、結果や数字ばかりを追っていて、人(自他)に興味を持っていないということ。
業績や評価、結果や数字と呼ばれるものだって、細かく細かく割って見て行けば、その先には「人(自他)」がいるというのに。
恋愛なら、お互いに興味を持ち合うところから始まります。
興味のない相手と心の通う関係を築き、続けていくのは至難の業だからです。
夫婦なら、お互いを思いやることが日々の要。
家の中が冷えていると、とれる疲れもとれないし、温かい夢が見れなくなってしまうから。
お仕事においても同様で、多くの場合、どんなお仕事もどこかの時点では人を介し、人の役や得につながるわけなので、そこにいる人のことを考えないで成功しよう、と思うのはちょっぴり歪。
また、人間には「返応性の法則」があります。
これは、人は何か与えられると、無意識のうちに「その人に対して返さないといけない」と恩義を感じるようになること。
だから、何かしら頑張りたいと思う時には、先輩に、上司に、同僚に、部下に、関係各所に、自分から興味を持つこと。時には雑談だってしてみること。
目的に向かって、時にしたたかにしなやかに、追い風を巻き起こしていくこと。
何かしら評価されたいと思う時にも同様です。
評価されたから愛想よく振舞うのではなく、いつでも愛想よく努めること。
平時から心も態度も整えておくこと。
そうやって、「評価したくなる人」になることも重要です。
正直、私よりも思慮深く、有能であり、数多くの経験を積まれている方(つまりスゴイ方)というのはゴマンといらっしゃいます。
また、失礼を承知で言うのなら、あなたよりスゴイ人もゴマンといるかもしれません。
が、これは「謙遜は美徳である」とか「身の丈を知れ」というようなお話ではなく、私たちにはいつだって学ぶべき点があり、伸びしろが沢山あるということ。
そして、それを教えてくれるのは目の前にいる人であり、日々出逢う全ての人。
その会話の一つに、目線の一つに、言葉選び一つに、メール一つに、ビジネスやビジネスパーソンとしてのスキルやヒントが溢れています。反面教師も然りです。
周囲を見回してもそんな人はいない、と面のであれば、もしかしたら「学ばせていただく視点」で見てないのか(無料の教科書なのにもったいない!)可能性も。
まずは自分から興味を持ち、そんな自分にも興味を持ち、自分自身の人間力を磨きましょう。
スキルや技術はアウトソースできたとしても、人間力だけは発注できないのです。
これはあくまで余談ですが、もしもこの先、自分の好きなお仕事をしているのにブサイクになっていくと感じる時がくるとすれば、それは自分自身を活かせていない証拠。
「今ここ」を楽しめていない証拠。
確認しなさいというサインだと心得てください。
活躍している人が輝いているのは、いい化粧品を使っているとか、いいものを食べているとかそういったことではなく、今ある場所で自分を活かすという視点を持っているか、「今ここ」にいるか、自分のご機嫌を上手くとっているか、ということに尽きると思います。
第5回「お仕事もワークスタイルも、きっと良い方に変わる」へ続く