きつい、辛い、激務、難しい…などなど、給料は高いけれど働くのが大変なイメージがあるインフラエンジニアの仕事。
確かにそういう一面もあるのですが、実は実際に働いてみると、意外にいい面もあったりするのです。
人材不足で未経験を採用し始めたり、クラウド化やオートメーション化がスタートしつつあるインフラエンジニア業界。
夜勤のきつさの実情や、今後業界がどうなっていくかをご紹介します。
IoT化が凄まじいスピードで広がる今、その基盤となるITシステムを支えているのがインフラエンジニアです。
インフラエンジニアはサーバー・ネットワーク・データベース・OSなど多様化するITインフラを、ネットワークエンジニアやSEなどの部署ごとに分かれて、24時間365日コントロールしています。
彼らは普段見えないところで仕事をしていますが、IoT化されたサービスにとってはまさに「縁の下の力持ち」のような存在です。
いかなる時もサービスが使えるようにと昼夜問わず働いています。プログラマやSEが開発したWebアプリケーションやシステムは単体で動かすことができません。
インフラエンジニアが管理しているITインフラと組み合わせることで、初めてインターネット上でサービスを利用することができます。
ここまでの話を聞くとインフラエンジニアは、IT業界の中で幅をきかせているような大御所のように聞こえます。
そうなると「インフラエンジニア=転職すれば大活躍できる将来が明るい仕事なのではないか」と夢を膨らませてしまいそうです。
しかし実際はスポットライトが当たる花形とは違って、インフラエンジニアは影のような存在です。
一生懸命頑張っているからこそ褒められる仕事なのではなく、できるだけトラブルを起こさないのがベスト。静かにしている時間が長ければ長いほど認められる仕事だったのです。
IT業界の土台を支えるインフラエンジニアにとって、働く上で辛い現実が2つあります。
それはシフトに夜勤があること、休日出勤がいつ起こるか分からないという点です。
インフラエンジニアは自分が担当するITインフラを24時間365日安定稼働しなければなりません。夜勤は保守の仕事をする人だけかと思うかもしれませんが、SEやNEの日勤帯の人でも交代で夜勤待機という仕事を任される可能性があります。
夜勤待機とは何かというと、自宅に帰ってから会社のPCをセットし、万が一夜間にトラブルが発生した場合はリモートですぐに対応し復旧させるという役目です。障害が起きなければ何もやることがありませんが、トラブルが起きればたった一人で修復しなければなりません。
会社によっては夜勤がない場合もありますが、通常は日勤と夜勤もしくは夜勤待機を組み合わせたシフトになることがほとんどです。
ネットワーク機器や回線のトラブルはいつ起こるか予測ができません。せっかくの休日であったとしてもリモートで対応したり、緊急を要する場合は出社しなければなりません。
私の知り合いのインフラエンジニアの中には、休日に外出する時も会社のパソコンを持ち歩いて欲しいと頼まれたことがありました。その分手当をもらっていましたが、精神的にかなり負担が掛かっている様子でした。
インフラエンジニアは一体いつ思いっきり羽を伸ばして休んでいるのか。オンとオフの区別がつきづらく精神衛生上激務なため、きついといわれているのです。
日勤と夜勤を組み合わせるタイプのシフトになった場合は、1週間の内、通常通り出社するのは2日もしくは1日程度に限られます。
なぜなら夜勤の次の日は「夜勤明け」としてカウントされるので、その日は休むことができるからです。経験したことがない人はイメージしづらいので以下に例をあげておきます。
【日勤&夜勤シフトの例】
① → 09:30 – 17:30
② → 16:30 – 00:00 明け → 00:00 – 10:00(②から勤続)
→ 休日
1/1 (月) ①
1/2 (火) ②
1/3 (水) 明け
1/4 (木) ー
1/5 (金) ①
1/6 (土) ②
1/7 (日) 明け
1/8 (月) ー
1/9 (月) ①
1/10 (火) ②
日勤だけで働く場合は週に5日間、満員電車に揺られながら出社しなければなりませんが、夜勤があると満員電車に乗るのはたった2日間だけです。休日に出勤するデメリットはありますが、その分平日の人が少ない時間帯に買い物に行ったり、安い時期に海外旅行に行けるメリットがあります。
また夜勤の人数は日勤の時より半分以下になるため、煩わしい人間関係を気にせず、広いオフィスでゆったりと自分のペースで働けます。
最初は夜勤の時間帯に眠くなってしまわないかと心配になるかもしれませんが、職場では緊張感があるため意外と眠くならない人が多いです。
夜勤をすることで最大のデメリットは「体調管理」です。
実は夜勤は一度経験すると体調を元に戻すのが本当に大変です。
夜勤を開始して2週間程度経過すると、自分でも気が付かないうちに肌が荒れ始めたり、日勤の日の夜に眠れなくなったり、不規則な生活のせいで太ってしまう人も大勢います。
恐ろしいことに日勤に戻っても数年間は体の調子が戻らなかった人もいます。
夜勤は人数が少ないので仕事が伸び伸びできて良いのですが、何かトラブルが起きた時は自分一人で対応しなければならないのがつらいところです。
自分のスキルで対応しきれるのか、もし分からない問題が起きてしまったらどう対処したら良いのか。そんなことを考えて不安になったりストレスを感じる人もいるでしょう。
一年に数回程度だとは思いますが、夜勤明けでも残業になることがあります。
ほとんどがトラブルが起きた場合で、引き継ぎのための時系列を残したり、やることが終わるまで帰ることができません。
夜勤明けでの残業は意識が朦朧とする中で一秒でも早く家に帰りたいのに帰れない地獄のようなストレスです。
時々、夜勤明けでアドレナリンが出てしまっているのか、上司から「お前は夜勤だったんだから早く帰れ」と急かされるまで居残り続けるタイプもいます。
自分はこっちかもという人は夜勤が向いている人です。
人材不足が懸念されているインフラエンジニアは現在未経験でも採用される確率が高くなっています。
未経験といってもIT関係の学校を卒業しているとか、ある程度の知識を持っている人しか対象にならないのではないか?と思う人もいると思います。
ここ数年は異業種からの転職が多く、特にネットワークエンジニアやサーバーエンジニアは全くの初心者であっても若年層の20代から30代前半までであれば、素質がありそうと判断されたり、本人のやる気次第で十分にインフラエンジニアへの転職ができるようになってきました。
またここ数年の傾向ですが、インフラエンジニアだけに限らずIT業界全体で、これまでの経歴や学歴を重視した採用から「学歴は関係ない」と人物重視で採用するケースが増えています。
これは一般家庭にもインターネットが広く普及し基礎的なパソコンの知識を持っている人が増えたこと、ITスキルを磨くためのツールがインターネット上に山ほどあることが影響していると思います。
本人のやる気さえあれば十分スキルアップできる環境が整えられたことで全くの未経験にもチャンスが巡って来たのです。
withコロナ時代も相まって、IT業界やエンジニアの人材不足も加速しています。転職するなら「今」です。
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インフラエンジニアの平均年収は現在どれぐらいなのか気になって調べてみました。
給与について詳しい「求人ボックス給料ナビ」という会社が2019年11月に調査した結果、インフラエンジニアの正社員の平均年収は約502万円だということが分かりました。(月給だと42万円)これは日本全体の正社員の平均年収と比較すると高い傾向です。
ちなみにインフラエンジニアの派遣社員の平均時給は2205円。
夜勤や休日対応も多いインフラエンジニアの仕事量を考えると、約502万円というのはやや少ないのではないかと感じます。
ただここ数年、未経験を採用するインフラエンジニアの転職が増えている傾向からか、インフラエンジニアの年収が二極化し始めている傾向があります。
一生400万円前後の年収が続くインフラエンジニアがいる反面、優秀な場合は1500万円を突破する人も多くなっているようです。
生活のあらゆるものがIoT化されていく中で、インフラエンジニアの業界にもクラウド化や自動化の波が押し寄せています。クラウド化については、かつては多くの人がハイスピードで進められるのではないかと予測しました。しかし実際はその逆でした。
実は現場では今「費用が高い」「現行のシステムが複雑かつ膨大すぎて移行したくてもできない」といった主な理由から、クラウド化できていない企業が多いのです。
そんな中、新たに注目を集めたのが「オンプレミス」という言葉です。
オンプレミスとは自社の中にシステムを保有し、自社の設備を使って運用すること、つまりクラウドサービスとは反対の意味の言葉になります。
クラウド化が人気を集めると一時はいずれ全てのシステムがクラウド化されるなどと謳われたことがありました。しかし蓋を開けてみると、機密情報や個人情報を扱うシステムやメールサーバーなどはクラウドではなくオンプレミスの方が良いのではないかと思われ始めたのです。
クラウドとオンプレミスにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
安価なクラウドに対しオンプレミスは高価。申し込んで決済すればすぐに利用可能なクラウドに対しオンプレミスは自社でインフラエンジニアが設備導入しなければなりません。
速度は契約条件によって差が出るクラウドに対しオンプレミスは近距離なので高速です。
今後のインフラ業界では、クラウドとオンプレミスを必要なケースに合わせて使い分けるハイブリッド利用が見込まれます。
オンプレミスだけだった運用がクラウドも導入されるとなると、管理しなければならない対象が2倍に増えるという見方もあります。
しかしクラウド化される部分の不具合は担当しなくて良くなると予想すれば、負担はかなり減るのではないでしょうか。
実は最近、インフラエンジニアの業務の「自動化」が注目されています。今後ITインフラ管理はサーバー・ネットワーク機器・ロードバランサーなど諸々について、統合的に自動で構築管理できるようになるといわれているのです。
それを実現しようとしているのが、例えばREDHATが開発している「ANSIBLE」です。インフラエンジニアの一部の仕事をオートメーション化することによって、長時間労働、夜間対応、休日対応が抑制できるようになると見込まれています。
これからの時代はインフラエンジニアが一つ一つチェックするのではなく、AIによって抜け漏れのない自動的な確認がシステムに組み込まれる。そこから分析が始まってコンピューターが勝手に改善すべき点を割り出してくれるという仕組みになるんだそうです。
現在インフラエンジニアの仕事はきついといわれていますが、5年後・10年後には、インフラエンジニアの一部の業務が自動化される可能性があります。これまでブルーカラーといわれていたインフラエンジニアの仕事はついにホワイトカラーへの仲間入りを果たしてしまうのかもしれません。
インフラエンジニアの仕事がオートメーション化される岐路を経験すれば、それ以降のキャリアパスは多いに広がる可能性があります。インフラエンジニアへの転職を考えているのであれば2020年がチャンスになるのかもしれません。
インフラエンジニアは確かにきつい仕事かもしれません。
しかし夜勤が苦ではない人にしてみれば、休みは多いし人混みが避けられるしメリットもたくさんあります。今後は大きな転換期になるかもしれないインフラエンジニアの仕事。
これからはオートメーション化が進み、より楽に仕事ができるようになるはずです。転職を考えているのであれば今が最大のチャンスかもしれません。