医療や介護、福祉、学校など様々な現場でなくてはならない管理栄養士。国家資格であり、昨今健康志向ブームが来ていることもあって、集団給食施設の他、一般のレストランや食品メーカー、アスリートの栄養管理など就職先は多岐に渡ります。
働き方にも多様性が出てきた昨今では、ワークライフバランスを目指して派遣で働きたいと考える方も多いでしょう。しかし、管理栄養士の派遣は禁止事項があるのを知っていますか?
管理栄養士の派遣派遣禁止の実態とは?派遣で働きたい管理栄養士が知っておくべき事を一緒に確認していきましょう。
管理栄養士は派遣で働くのは禁止!と言われていますが、これは『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律』(通称『労働者派遣法』)という法律に基づいています。
この法律が管理栄養士が派遣で働くことすべてを禁止しているのかというと、そういうわけではありません。管理栄養士は医療関係業務で派遣が禁止されており、『労働者派遣法』によると詳細は以下のようになっています。
『労働者派遣事業が禁止されている医療関係業務』
・栄養士の業務内容:傷病者の療養のための栄養指導
・栄養士の業務が行われている場所:病院・診療所、介護医療院、介護老人保健施設、医療を受ける者の居宅
*参照:厚生労働省『労働者派遣事業を行うことができない業務は・・・』
以上の事から、医療施設や医療行為を伴う介護施設等の職場で派遣として働くことができないという事になります。
医療関連の施設で派遣として働けないということになると、管理栄養士の派遣として働きたいという人にとっては、かなり働き口の選択肢が狭まってしまうのではと不安になる方も多いでしょう。
とはいえ、健康志向が高まってきた昨今では、食の観点からも健康を見直していこうという風潮が高まっています。そんな中で管理栄養士といえば栄養管理のスペシャリストであり、国家資格ということもあり需要は年々高まってきていると言えます。
有機野菜などを使ったオーガニックレストラン、アレルギーフリーを謳うレストランなど、カロリーや厳選された素材、栄養面に配慮する飲食店は増えてきています。
また、食品メーカーでも多くの管理栄養士が活躍していますし、スポーツの分野でも食からの体作りは注目されます。その他スポーツジム、保健センターなどの各自治体など様々な分野で、派遣でも管理栄養士が活躍できる場があります。
できれば医療関連の施設で働きたかった…でも禁止されてるなら派遣は諦めないといけないかなとがっかりしている方もいるかもしれません。確かに基本的には派遣が禁止されているのですが、例外事項があるので確認してみてもいいでしょう。
『1.紹介予定派遣をする場合
2.当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
3.医師の業務であって、当該業務に従事する派遣労働者の就業の場所が以下のいずれかに該当する場合
・へき地
・地域における医療の確保のためには医業に派遣労働者を従事させる必要があるとして厚生労働省令で定める場所である場合
(詳細は該当省令より確認してください)
(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133886.pdf)』
臨時職員としてであったり、将来正社員として働く意思が必要であったりと制限はありますが、まったく不可能というわけではないという事になります。
管理栄養士とは、栄養士の上位資格である国家資格です。仕事内容としては、病院や福祉施設、学校などの集団給食の場で栄養に偏りが出ないよう献立を作り、調理まで行うことも多いです。また、食品メーカーで商品開発を行ったり、アスリートの体作りに食の観点から携わったりもします。
正社員と派遣の仕事内容としては、上記の内容的に大きな差異はありません。とはいえ、直接雇用される正社員に対し、派遣会社に雇用され派遣されてくる派遣社員では仕事内容というよりも立場に違いが出ることが多くあります。
責任ある仕事や立場は正社員が担い、派遣は正社員の補助に回ったり、雑用を任されたりといった事も多いようです。
正社員と派遣では、雇用主と雇用形態の違いがあります。正社員は企業に直接雇用されており、月給制で基本的にはボーナスも支払われます。派遣は派遣会社による雇用となり、基本的には時給制のところが多くボーナスはついていないところが多いでしょう。
厚生労働省による『令和3年賃金構造基本統計調査』(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)では、栄養士の平均月給はおよそ25万円、ボーナスはおよそ60万円となっており、月収✕12か月+ボーナスで計算すると平均年収は360万円となります。
対して栄養士派遣の平均時給はおよそ1,300円ほどとなっており、週5日8時間勤務として、時給✕8時間✕20日✕12か月として計算すると、年収は約250万円となります。派遣にボーナスがつくことはあまりないため、その分正社員よりも年収が低い結果になってしまいます。
最後に管理栄養士として正社員と派遣でどんなメリットとデメリットがあるかについても考えてみましょう。
正社員
[メリット]
・雇用と給料が安定している
・ボーナス支給や福利厚生がしっかりしている
・責任ある仕事を任せてもらえる
・スキルアップやキャリアアップがしやすい環境が整っている
・医療関連の職場でも仕事ができる
[デメリット]
・職場や仕事に対するマンネリが起こりやすい
・仕事や人間関係など職場に不満があっても転職しづらい
・残業対応を迫られる事が多い
派遣
[メリット]
・ライフワークバランス重視の働き方がしやすい
・職場に不安や不満がある場合、派遣担当者に相談ができる
・職場や仕事が合わないと感じたら別の職場に変更しやすい
・残業なしや土日休みとなっている場合が多い
[デメリット]
・スキルアップやキャリアアップがしづらい
・派遣切りや、同じ職場に3年以上居られないなど雇用が安定しない
・ボーナスや福利厚生がつかない派遣会社も多い
安定が得られる正社員に対し、自分に合った働き方ができるのが派遣というのがそれぞれの魅力ではないでしょうか。どちらが良くてどちらが悪いということではなく、それぞれにメリットもデメリットもあります。
自分に合った働き方はどちらなのか、しっかりとメリットとデメリットを確認して、改めてどのように働きたいか考えてみるのもいいでしょう。
数ある派遣会社の中からどこを選べばいいのか、よく分からない。尻込みしてしまったり、多すぎて面倒くさくなってきた…なんて方もいるかもしれません。そんな時にはどんなポイントに気をつけて選んだらいいのか、選ぶコツを紹介します。
どの派遣会社を選んだらいいのかよく分からないし、とりあえず人気のところを選んでおけば大丈夫でしょ!と職種など関係なくSNSや友人の評価を参考に人気や有名なところを適当に選んでしまうのは失敗の元です。
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医療や福祉以外の現場でも、昨今では管理栄養士が活躍する場は広がって来ているのも事実。あなたが目指す職場に合った派遣会社を見つけて、色々と求人を探してみるといいでしょう。