プロフィール
医療系食品メーカーで営業に従事後、独立。レシピ開発、商品企画、記事執筆、栄養価計算や会社の立ち上げを経験。現在はフリーランスの管理栄養士として、特定保健指導・記事執筆・栄養価計算などを中心に活動中。プライベートでは一児の母。
管理栄養士の就職先は、病院や介護施設、保育園など多岐に渡りますが、食品メーカーもそのひとつ。
「自分が開発した商品を消費者に届けたい!」という想いから、食品メーカーで働きたい・商品開発に携わりたい管理栄養士の方も多いのではないでしょうか。
しかし、栄養指導や栄養管理とは異なったスキルが求められるのがメーカーの仕事。
管理栄養士のキャリアは役立つのでしょうか?
今回は、食品メーカーで働く管理栄養士の仕事内容や、求められるスキル、年収などについて紹介します。
プロフィール
医療系食品メーカーで営業に従事後、独立。レシピ開発、商品企画、記事執筆、栄養価計算や会社の立ち上げを経験。現在はフリーランスの管理栄養士として、特定保健指導・記事執筆・栄養価計算などを中心に活動中。プライベートでは一児の母。
管理栄養士の新しい活躍の場として注目されている食品メーカー。
なぜ食品メーカーで管理栄養士が求められるようになったのでしょうか?
それは消費者の中で健康意識が高まっているからです。
たとえばコンビニのお弁当などで「管理栄養士開発」と書かれた商品を見たことがありませんか?
身近なコンビニにも管理栄養士が関わる商品が置かれるのは、それほどその商品が売れるからです。
また某食品メーカーでは、栄養・健康ケア食品が数多く開発、販売されています。
疾患や高齢などで食事量が少ない方への栄養補給にも用いられており、実を言うと胃がんにより胃を切除した筆者の父も、高齢で食事摂取が十分にできない祖母も、お世話になっています。
こういった商品を開発するのに、栄養のプロである管理栄養士の視点は欠かせないのです。
とはいっても、一体どんな仕事をするの?と気になりますよね。
実は、管理栄養士が活躍するのは商品開発の場だけではありません。
管理栄養士の仕事内容
消費者が求めているものをマーケティング調査し、新しい商品の企画・立案を行います。
企画から提案された内容をもとに、商品の新開発やリニューアルなど商品設計を行います。
手順や行程を決め、安定した生産作業の調整、栄養素の分析や衛生チェックなども行います。
営業担当と同行し、お客様を訪問して、栄養学からの説明を行ったり、実際の声を聞いたりします。
商品を置いてくれる店舗を訪問し、営業や宣伝活動などを行います。ネット広告やSNSの発信も行うことがあります。
中小企業などでは企画から開発、広報まで一貫して担当するケースも少なくありません。
一方で、「開発がしたい!」と希望を出しても、広報や営業、製造現場から入社するケースもあり、企業によってパターンは様々です。
また、企業によって取り扱う商品も異なり、原材料から離乳食、サプリメント、ドリンク、オリジナル製品まで多種多様ですので、
をベースに企業を選ぶことが大切です。
管理栄養士は一人職場であることが多い職種ですが、食品メーカーの場合は社員の一員として入るため、一人だけで業務を淡々とこなすといったことはあまりありません。一つのプロジェクトに対して複数人でチームを組み、協力して業務を進めていくことが多いです。
そのため、社外だけではなく社内でのコミュニケーション能力が非常に重要です。縦のつながりはもちろん、横のつながりも強い傾向にあるので、困ったときは相談し合えるような雰囲気の会社を選ぶのも一つのポイントだと思います。
食品メーカーで働きたい管理栄養士には、どんなスキルや知識が必要なのでしょうか。
それぞれみていきましょう。
オフィスワークで必須のExcelやWordなどのパソコンスキルや、業務で必要な専門知識などのビジネススキルは必須スキルです。
商品開発のために市場調査も行いますので、マーケティングスキルも求められるケースが多いでしょう。
商品の研究や開発に関わる仕事を行う際にも、様々な部門や専門職とのコミュニケーションが欠かせません。
また営業や広報を担当する際には、相手に商品のメリットを的確に伝えるための能力や信頼関係構築、スムーズな業務遂行のためにも必要なスキルです。
食品メーカーで働く管理栄養士には以下の知識やスキルが求められます。
調理経験がメインだった方は、改めて知識を身に着けておくことが大切です。
食品の栄養成分や味や香りなどから調理、加工による成分の変化など、食品の専門知識である食品学も必須スキルです。
食品メーカーは、安全な食品を提供することが重要であり開発に関わる管理栄養士は、食品を通じて健康の維持・増進を守る役割をもっています。
そのため食中毒・食品の変質・添加物など食に関する安全性に関する知識も求められます。
管理栄養士の基礎科目として学ぶ学科のひとつですが、消費者に“食”を提供する食品メーカーでは、必須スキルといっても過言ではありません。
食品や食生活の面から人々の健康を支える管理栄養士として、食物の成分が体内に入り、合成や生産、化学反応があり健康を保持するのかを理解しておく必要があるでしょう。
上記でお伝えしたスキル以外には、食品表示の知識やISOの管理、コスト判断ができる管理栄養士のニーズが高いとされています。
クライアントや消費者のニーズを反映した商品の提案や開発だけではなく、企業にとっては「コスト」も大切です。
例えば、砂糖ひとつとっても種類によって味や含まれる栄養素も異なりますし、加工方法やコストも異なります。
一般企業ですから、いい商品を販売するだけではなく、売り上げに繋げなければいけません。
そのため美味しさや栄養を損なわないような原材料の判断をするためにも、原価や値段設定などコスト意識も求められるでしょう。
食品メーカーは、社内にさまざまな部署が存在していることが多く、部署異動によりいろいろな仕事を経験することができます。これにより、幅広いスキルが身につくのはもちろん、自分の向き不向きを知ることもできるため転職やキャリアアップもしやすいと考えられます。
管理栄養士の資格というよりも、知識を活かすお仕事が多いイメージですが、それ以外にもよりマーケティングやビジネススキルなどを身に着けることができるのもポイントです。これらのスキルは意外にも病院や施設では自分から勉強しない限りあまり身に着けることができません。
やりたい仕事や入社したい企業への就職を目標にするにも大切ですが、やっぱり気になるのは「お給料っていくらくらいなの?」ということではないでしょうか。
ここでは食品メーカーで働く管理栄養士の給料についてみていきましょう。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト『jobtag』によると、栄養士の平均年収は367.6万円です。
勤務先や雇用形態、実務経験により異なりますが、だいたい300万円~400万円が相場ということになります。
では、求人情報などを参考に、栄養士と管理栄養士とで月収を比較してみましょう。
およそ3~5万円程度の差があることが分かります。
参照:厚生労働省jobtag『栄養士-賃金(年収)・ハローワーク求人統計データ』
経験や勤務先によって給与は大きく変わりますが、管理栄養士はキャリアを積むほど高待遇が期待できます。
特に食品メーカーは、企業の規模や役職によるものの、病院や介護施設、保育園などに比べると年収が高い傾向であり、昇給制度や福利厚生も充実しています。
中小企業よりも大手企業の方が高待遇である職場が多く、キャリアアップにより収入増も期待できるでしょう。
しかし、会社への貢献度や成果がボーナスの査定に影響するケースも多く、会社からの期待や責任も大きい傾向です。
食品メーカーでの就職は、高待遇が期待できやりがいもありますが、給料だけでなく自分の希望や業務内容、これからのキャリアプランを見据えた選択が大切といえるでしょう。
では、実際に求人情報から食品メーカーで働く管理栄養士の給料をみてみましょう。
デリバリー・福祉事業を手掛ける企業 |
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高齢者向け食品メーカー |
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健康食品メーカー |
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医薬・食品の老舗企業 |
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大手食品会社 |
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宅配食メインの食品メーカー |
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このようにお伝えした栄養士の平均給与相場よりも高いことが分かります。
待遇面についても土日祝日休みや残業少なめ、フレックスタイム制度などワークライフバランスのとれた働き方が可能な職場が多い傾向です。
キャリアプランの実現を目指せる職場を選ぶことは大切ですが、やはり生活をするためには年収を考慮する必要もあります。
実際に入職した後に「思っていた職場(仕事)ではなかった」とミスマッチがないように、年収だけでなく勤務時間や待遇、福利厚生など視野を広げて就職先選びをしましょう。
給与が高くみえがちな食品メーカーですが、給与の中にあらかじめ残業代が含まれているケースがあります。また、土日祝日がお休みでも、業務上、休日出勤が多い会社も存在しています。そのような点については事前にきちんと確認しておくと良いでしょう。
また、福利厚生は会社によってさまざまです。家賃補助や資格手当、ユニークなものだと、自社商品のプレゼントや割引があったり、特殊な休暇があるところも。会社の雰囲気が分かるポイントでもあるので、ぜひチェックしてみてください。
正直なところ、食品メーカーの求人は多くありません。
一般企業の管理栄養士として高待遇で働きたい!と思っても、病院や介護施設、保育園などに比べると求人数が少ないうえ、頻繁な入退職もありません。高倍率の狭き門となるでしょう。
また、食品メーカーは地方よりも都心部に多い傾向にあります。地方では管理栄養士も工場に勤務することが多いようです。
なかなか見つけにくい食品メーカーの求人を見つけるには、どうしたらいいのでしょうか。
働きたい就職先が決まっている場合は、企業の公式ホームページから採用情報をチェックするのもひとつの方法です。
例えばある大手食品メーカーのホームページでは、採用情報に詳しい募集要項が掲載されています。
求める人材像や必要なキャリアなども書かれていますので、どんな人材が採用されやすいかを判断することができますね。
多くのメーカーでは管理栄養士の採用と限定されているものではなく、総合職や専門総合職といった採用になるケースが多いようです。
そのため管理栄養士の資格が採用で有利になるのかどうかわからないと、応募に不安を感じる方も少なくありません。
食品メーカーの管理栄養士の求人情報をもっと手軽にチェックしたい!
管理栄養士の市場価値を把握して応募したい!
という方は、栄養士・管理栄養士の転職に特化した転職サイトや転職エージェントの活用がおすすめです。
一般に公開されない非公開求人や独占求人も多く、レア求人である食品メーカーの管理栄養士の求人情報をいち早くチェックできるので、ライバルよりも早く応募でき、高待遇での転職を実現できる可能性も高いでしょう。
「こんな企業でこんな仕事がしたい」と希望を伝えることで、担当のキャリアアドバイザーがあなたのキャリアプランやスキルに合った求人を提案してくれるのでマッチング度の高い就職が実現できますね。
また転職サービスのキャリアアドバイザーが企業の求める人材像も把握しているため、管理栄養士の資格が採用で有利になるかどうかも知ることができます。
企業の内部情報にも精通しているので、「こんなはずじゃなかったのに」といった入職後のミスマッチを防ぐことができるのもメリットですね。
食品メーカーで働く管理栄養士の仕事内容や求められるスキル、年収などについて紹介しました。
食品メーカーで働く場合は、商品の開発だけでなくマーケティングや営業など業務内容は多岐に渡り、幅広いスキルが求められます。
そのため病院や介護施設で働く管理栄養士以上の+αのスキルが必要な職種となります。
日々学ぶことも多く、知識と技術の研鑽が求められる大変な仕事ですが、自身が手がけた商品が消費者の元に届き、健康を支えているという仕事はやりがいのある仕事です。
「モノ作りが好き」「食に関わる仕事がしたい」という希望を持ち、食品メーカーで働きたいと思っている方は、やりたい分野や仕事を明確にして自分に合った就職先を選択しましょう。