管理栄養士は栄養学のエキスパートであり、食の観点から健康を作る医療職の一つでもあります。
国家資格である管理栄養士ですが、実はその割に年収が低い、ブラックな職場が多いなどのネガティブな意見も多く聞かれる職種でもあります。
管理栄養士のホワイトな職場はあるのか!?あるとしたらどこにあるの!?管理栄養士が転職で失敗しない求人サイトの選び方のコツ、教えます!
管理栄養士の職場は基本的にブラック。なんて意見が実際に管理栄養士として働く方からよく聞かれます。なぜ管理栄養士はブラックなどと言われているのでしょうか?その理由は以下のようなものが原因になっているようです。
管理栄養士の年収は低いと言われていますが、実際に低いのか厚生労働省の『令和3年賃金構造基本統計調査』から抜粋して一般の年収平均と比較してみました。
年収は月収✕12か月+ボーナス等の計算式で算出したものになりますが、実際に栄養士の平均年収は一般の平均年収よりも120万円ほども低くなっており、これは確かに管理栄養士の給料が低いと言われても仕方がないでしょう。
給料が低い割にやたらと仕事が忙しいのも、管理栄養士がブラックだと言われる原因になっているようです。
管理栄養士の主な仕事は、栄養学の観点から対象者に合った献立を作成することです。献立作成及び食材の選定と注文、調理手配、対象者の体調チェックやカウセリングなどデスクワークの方が多いのが管理栄養士です。
ただ職場によっては調理やその後の後片付けなどまでする場合があり、時間内にすべての仕事を終わらせることが困難になって、残業になってしまうという方は多くいるようです。
時間内に終わらせられなかったデスクワークを、1〜2時間程の残業で終わらせる。その際に残業代がつかずに、サービス残業扱いされてしまうという管理栄養士の職場は多くあるのが現実のようです。
特に新人のうちはまだ仕事を教わる側で、通常の業務時間内では通常業務に負われた結果、先輩や上司からの教育時間が時間外に回されてしまい、教わっている手前残業代の申請を言い出せずにサービス残業になってしまう事が多いよう。こんな状況から心身ともに疲れてしまって、新人が長く続かず辞めてしまうという現実もあります。
病院や福祉施設、給食施設などの管理栄養士が働く職場は、あまり規模が大きくない施設が多く、毎日顔を合わせるメンバーは自ずと決まったメンバーになりがちです。
そこで和気あいあいとした関係を築ければ日々楽しく働くことができるでしょうが、もしも合わない人が居た場合には大問題です。毎日顔を合わせることになるため関係は悪化しがちですし、もしもいじめなどに発展してしまえば逃げ場がありません。
狭い環境で、少数の正社員とアルバイト・パートという人員構成を取っているところも多く、正社員が幅を利かせて厳しい上下関係を構築してしまっている場合もあります。
退職理由としてどんな職種でも人間関係は特に多い割合を占めるだけに、人間関係に問題のある職場はそれだけでブラックになりえます。
とはいえ、管理栄養士のすべての職場がブラックというわけでは決してありません。ホワイトな職場だって当然あるので、転職活動でブラック求人に捕まらないよう上手く立ち回ることが重要です。それではブラック求人に特徴というのはあるのでしょうか?
ハローワークや求人サイトでよく見かけるのですが、同企業の同職種の求人がやたらといっぱい並んでいる事があります。別の職種であれば、同時期にたまたま事業拡大によって人員を増員したいという意図がある場合もあります。
しかし、同じ職種、同じ条件でコピペのように並んでいる場合、求人管理がちゃんとできていない杜撰な人事がされているか、空求人を上げているか、短期間に人が辞めるのを繰り返しているか…人が居着かないブラック企業の可能性があります。
同じ求人は並んでいないけど、1度消えたと思った求人が1か月〜3か月周期で復活している。上がったり消えたりを繰り返しているとしたら、こちらも短期間で人員交替が起こっている可能性が高いです。
短期間ですぐに辞める事が多い企業というのは、辞めるだけの理由があるということなので気をつけて観察しましょう。
求人には募集要項として様々な情報が掲載されています。企業紹介、募集したい職種や部署、勤務時間・給与・福利厚生などの雇用条件、応募条件などです。
これらの情報でいくつも抜けがあって、情報が少なかったり内容が浅い場合も注意が必要です。
など、こういった曖昧な情報しかない場合、面接で条件を引き下げて有無を言わせないまま押し切られてしまうというケースが多いです。
「年収1000万円実現可能!」「給与:〜800万円」など、職種や仕事の内容に見合った条件であれば問題ない金額ではありますが、同レベルの他の求人と比べてるとやたらと高い年収を主張している求人などは、残業が多く残業代で給料がかさ増しされる場合や、重いノルマを課される仕事が多いです。
高い年収に心惹かれるのは分かるのですが、楽して稼げる仕事は普通ありません。甘い言葉に騙されて軽い気持ちで飛び込むと、ブラック企業に捕まってしまう可能性があるので、求人は冷静さと客観性を失わないことが大事です。
管理栄養士が主に使う求人サービスのメリット・デメリットを比較
管理栄養士がホワイト求人に出会うためには、どんな求人サービスを使うのがいいのでしょうか。まずは主に使われる求人サービス4種のメリットとデメリットから比較してみましょう
メリット
・担当者による求人紹介が受けられる
・応募書類添削、面接練習が受けられる
・企業との間に入って対応してくれる
・自治体が運営する求人サービスなので地元の求人が豊富
デメリット
・スキルや経験を見られる場合がある
・求人を出す企業側も無料なので空求人やブラック企業求人も多い
・自治体の管轄外の求人や大企業求人がほぼない
メリット
・全国の求人を閲覧でき、応募できる
・気軽に転職活動が始められる
・PCやスマホなどネット環境があればどこでも求人閲覧できるので、通勤時や空き時間で転職活動が可能
・自分のペースで転職活動ができる
デメリット
・担当がつかないので、応募から条件交渉、書類作成、面接対策などすべて自分で行わなければならない
・求人を出す企業側が利用料を支払うが、そこまで高くないため空求人やブラック企業が紛れていることもある
・利用者が多いので、求人の争奪戦や競争率がかなり高い。
・良い求人ほど早く無くなるため、更新チェックが大変
メリット
・担当制なので求人紹介が受けられる
・担当が求人探しからその後の手配まですべて行ってくれるので、仕事をしながら転職活動がしやすい
・応募書類添削や面接対策が受けられる
・求人を出した企業の訪問を担当者が行っているため、企業の内情が知れる
・入社後のアフターフォローもしてくれる
・全国の求人を閲覧でき、応募できる
・給与や福利厚生等に関する条件交渉も行ってくれる
・非公開の優良求人の閲覧、紹介を受けることができる。
デメリット
・度々担当者から連絡が入るため、それが煩わしいと感じる人もいる
・担当者も人間なので、相性の問題はある(担当変更は可能)
・スキルや経験を見られる場合がある
・企業との間に必ず担当者が入るため、タイムラグが発生しやすく急いで転職したい人にはじれったく感じることもある
・担当の独断で希望する条件から外れる求人も紹介される事がある
メリット
(総合型転職エージェントのメリットと一緒。他メリット↓)
・管理栄養士向けなので求人の専門性が高い
・担当者も管理栄養士の資格を持っていたり、働いた経験がある人が多く、より専門性の高いサポートが受けられる
・管理栄養士向け求人ばかりなので、仕事の幅やこだわり条件、視野が広げられる。
デメリット
(総合型転職エージェントのデメリットと一緒。他デメリット↓)
・管理栄養士以外の職種も検討したいという人には管理栄養士以外の求人がないので不向き
メリット・デメリット比較から分かるように、それぞれのサービスによって必ずメリットもデメリットもあります。
人によっての向き不向きもあるので、自分に合ったサービスを利用するのが一番なのですが、それでもやっぱりよく分からない悩んでしまうという方には、特化型求人サービスをおすすめしたいです。
特化型求人サービスとは職種に特化した求人サービスという事で、最後に紹介した管理栄養士向け求人サービスの事です。
管理栄養士向け求人サービスは、メリット・デメリットからも分かる通りターゲットを管理栄養士と栄養士に絞っています。
その分サービスも求人も専門性が高く、管理栄養士の仕事の悩みなども理解してカウンセリングしてくれるので、キャリア相談も積極的にしていくことで将来のビジョンもクリアに転職活動に励むことができるでしょう。
『エス・エム・エス』という医療や介護職に強い企業が運営する、管理栄養士・栄養士の有資格者向け求人サービスです。
管理栄養士・栄養士向けコミュニティサイト『エイチエ』を運営する企業でもあります。(エイチエ:https://eichie.jp/)
管理栄養士と栄養士の有資格者向けサービスということで、サポートの専門性がとても高いという口コミが多く、業界のことをより知ることができた。業界の内情も教えてもらえたと評判です。
こちらも医療・介護職に強い求人サービスです。「求人数が多い」「スムーズでスピーディーに転職ができた」「サイトが分かりやすく使いやすい」といった口コミが多数見られるサービスです。
中でもスカウト機能があるのが『ジョブメドレー』の売りの一つとなっています。会員登録をすることで、入力したレジュメを企業側が閲覧でき、直接スカウトメールが送られてくるシステムになっています。
もちろん公開される情報は経歴や取得資格のみとなっており、氏名や住所等の個人情報が公開される事はありません。安心して仕事をしながら転職活動がしやすいサービスです。
医療や介護、保育系の業界に強い『トライトキャリア』という企業が運営する管理栄養士・栄養士専門の求人サービスです。
担当者の専門性が高く、サポートが手厚いと評判のサービスです。転職エージェントサービスではとかく『連絡がしつこい』と言われがちな面もありますが、『栄養士のお仕事』ではそういった口コミはほとんど見られません。
企業や業界の内情をしっかり教えてもらいたいけど、連絡が頻繁に来ると仕事やプライベートの時間に支障が出ると思っている方には使いやすいサービスではないかとおもます。
管理栄養士の職場は意外と幅広いです。同じ管理栄養士といっても、職場によって仕事内容や業態などが変わります。思っていた働き方ができないストレスで、「ここはブラックな職場だ!」と判断してしまう場合もあります。
あなたに合った仕事ができる職場を探すことも、大事な転職活動の一つです。おすすめのタイプ別に管理栄養士の職場を分類してみました。
ただでさえ収入が低いと言われがちの管理栄養士。できるだけ多く給料が貰える仕事ってどこ?と考える方向けの職場は以下をおすすめします。
各自治体でも管理栄養士は募集しています。公務員はしっかり給与が定められており、勤続年数によって確実に昇給があります。またボーナスもしっかり支払われるので、確実に一般の管理栄養士の平均年収よりも高くなります。
また大手食品メーカーなどの企業も公務員同様、基本給が高めでボーナスや福利厚生もしっかり支給されているところが多いです。
土日祝日カレンダー通り休みたいし、残業もしたくない!という方におすすめなのは以下の職場です。
職場がしっかりカレンダー通りに営業しており、定時の概念もしっかりしている職場を選ぶことが大事です。学校は昼食のみとなっているため、朝から昼過ぎまでとなっていることが多く、残業も少なめです。
家事や育児、趣味などの時間をしっかり確保した上で働くワークライフバランスを実現したいと考える方におすすめしたいのはこちらです。
営業時間が夕方までとなっているところが多い職場です。クリニックではシフト制になっているところもありますし、時短で働きやすい職場でもあります。
毎月しっかり収入を得て、雇用も安定した職場で堅実に働きたい方にはこちらの職場をおすすめします。
正社員として雇用されれば、どこもしっかり基本給を得ることができますし、フルタイムで6〜8時間、時には残業もあるかもしれませんが、その際にはしっかり残業代分の上乗せもあります。正社員ですから当然雇用も安定しているので、しっかり腰を据えて働くことができます。
栄養学から健康維持や体質改善などに携わる管理栄養士ですが、裏方に徹する現場も多いです。
実際に自分が立てた献立で元気になる様子を見たり、日々の様子を観察しながら対策を取っていったりと、もっと利用者と身近な関係を築きたいと考える方もいるでしょう。
患者さんや利用者さんと直接対面で仕事ができる職場はこちらになります。
病院や福祉施設、クリニックなどは給食施設や食堂などになるとあまり患者や利用者と直接話す機会は少ないかもしれません。働くなら栄養相談を行う部署があるところがおすすめです。通院する患者の病状によっては食事制限を行う方も居て、その病状に合った食事指導や相談を受け付けています。
その他、保育園では子どもたちの食事の他におやつを作るところもあり、アレルギー食など体質に合った献立づくりも必要になります。実際に子供たちの食事のお世話なども管理栄養士が行うところは多いです。
ドラッグストアでは健康サポート薬局制度の導入により、管理栄養士を雇う薬局も増えてきています。お客様から相談を受け付け、日々の食事に関する指導を行うことで、地域の人達の健康づくりをサポートする仕事です。
求人サービスも昨今では様々な種類があって、多すぎて悩んでしまうという方も多いのではないでしょうか。それぞれに特色があり、利用が向いている人、向いていない人の違いはどうしても出てしまいます。
人が良いというサービスが自分に合っているとは限りません。実際に自分に合ったサービスを利用して、自分に合った職場が見つけられればそれが『ホワイトな職場』になるのではないでしょうか。
ぜひ自分に合ったサービスで転職を成功させましょう!