パートで働く管理栄養士の実態|時給相場やメリット・デメリットを解説!

管理栄養士・栄養士の雇用形態は正社員以外にも、派遣社員やアルバイト・パート、フリーランスなど多様な働き方があり、その中でもパートは仕事と家庭とを両立させやすいと子育て中のママさん管理栄養士・栄養士に人気があります。

ここでは、パートとして働く管理栄養士・栄養士にスポットを当てパートの求人内容や時給相場、メリット・デメリットなどを詳しく紹介していきます。

管理栄養士・栄養士がパートとして働く割合は?

様々な働き方のある管理栄養士・栄養士ですが、就業形態別の割合を厚生労働省のデータから見てみましょう。

管理栄養士パート
参照:厚生労働省『職業情報提供サイトjobtag』

  • 正社員 75.4%
  • パートタイマー 31.6%
  • 派遣社員 10.5%
  • 契約社員、期間従業員 10.5%
  • 自営、フリーランス 5.3%

このデータは、管理栄養士・栄養士として実際に働いている人が多いと感じる「就業形態」を表しているため正確なデータではないので参考程度に見ていただきたいたいのですが、肌感覚では正社員として働く管理栄養士・栄養士が多いことが分かります。

転職サイト「ジョブメドレー」で管理栄養士・栄養士の求人検索をしてみると、正職員求人が約6,200件に対してパート・バイト求人が約1,600件と正職員求人が4倍近く多いことからもパートとして働く人よりも正社員として働く人が多く、正社員の需要の方が高いことが窺い知れます。

パート管理栄養士・栄養士の時給相場

厚生労働省が令和4年に発表した「令和3年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」によると、栄養士の平均時給の目安は1,270円(参考値)/1,050円(基準値)であることが分かります。
時給は施設形態や地域によっても異なるので、管理栄養士・栄養士の時給目安は1,000円~1,300円程度と考えておきましょう。
施設形態では病院・クリニックの時給が高めであり、地域では東京都など首都圏の時給が高めの傾向にあります。

もちろん仕事をする上で給料面は気になるポイントですが、自分に合った働き方ができる職場を選ぶことが大切です。
次に紹介する就職先ごとの特徴も参考にして自分に合った職場選びをしましょう。

パート管理栄養士・栄養士|就職先の特徴

管理栄養士・栄養士は栄養に関する知識を活かした栄養指導・栄養管理を主に行いますが、職場によって仕事内容や働き方の特徴が異なります。

病院・クリニック

病院やクリニックなどの医療機関では外来患者への栄養指導や栄養相談、献立作成をはじめ入院患者への食事管理などを行い健康のサポートをします。
病院では他職種との連携が必要であるためチームワークが求められます。クリニックは糖尿病など生活習慣病の患者が多い内科クリニックや美容系、スポーツ系の専門クリニックでの求人が多い傾向にあります。

特徴:パート募集もあるが正社員求人や管理栄養士の募集が多め

保育園・幼稚園

保育園や幼稚園では園児や幼児の給食・おやつの献立作成、発注業務、調理、食育計画などを行います。“食”を通して子ども達の成長を支えていき、食事に興味を持ってもらえるような取り組みも大切な仕事です。
パートの場合は調理業務が中心になるケースも多いので業務内容は事前に確認しましょう。

特徴:栄養士求人が多い!未経験OK多め!

介護福祉施設

高齢者施設や福祉施設で生活をする人や利用する人の献立作成や栄養ケア、調理、食事提供などを行います。入居者や利用者の栄養状態や要介護度に合わせて調理方法(流動食、刻み食など)を工夫することも大切な仕事になります。
病院と同じように施設で働く他職種との連携も必要であり、食事のサポートから入居者・利用者の食欲の改善や笑顔が見られることがやりがいに繋がります。

特徴:未経験OK多め!早番・遅番も含むシフト制が多い

給食管理・調理

学校内の給食室や地域の給食センターに勤務して、給食の調理、調理指導、食材管理、衛生管理などを行います。
給食は大量調理のため体力が必要であり大変な一面もありますが、管理栄養士・栄養士として働くうえでの総合的なスキルが身につきやすい職場なので様々な経験を積みたい人におすすめです。

特徴:土日祝休み、夏季・冬季の長期休みの場合が多く、主に平日の日中勤務

社員食堂・学食

大学の学食や、企業や工場内の社員食堂での献立作成や栄養計算、食材発注、調理業務などを行います。健康な成人向けのメニューのため栄養バランスはもちろんのこと、様々な人から喜ばれるバラエティに富んだメニュー作りも大切です。
社員食堂や学食は企業や学校が休みの時は仕事も休みとなるためしっかりと休みが取れることも魅力の一つです。

特徴:週2~3日、土日祝休みの職場も多い

パート管理栄養士・栄養士の求人|実務経験は必須!?

パートとして働く場合でも管理栄養士、もしくは栄養士の資格が必須ですが“実務経験”は応募要件に含まれているのでしょうか?未経験の方やブランクがある方はきっと不安に感じるはずです。

ここでは、転職サイト「ジョブメドレー」で実際に掲載されていた求人からパート管理栄養士・栄養士求人の傾向を見ていきましょう。

(求人例)

糖尿病専門クリニック

募集職種:管理栄養士
仕事内容:栄養指導 ①生活習慣病の個別栄養相談 ②食事療法に関する資料および掲示物の作成
給与:【パート・バイト】時給 1,400円〜 ※実務経験・能力などを考慮して給与を優遇、糖尿病療養指導士の資格のある方は優遇、昇給:年1回、パート勤務でも賞与を支給する場合あり
待遇:交通費全額支給、制服貸与
勤務時間:月曜・火曜 8:45 ~ 13:00 / 14:45 ~ 17:30(休憩60分以上)
水曜・金曜 8:45 ~ 13:00 / 14:45 ~ 19:00(休憩60分以上)
土曜 8:45 ~ 13:00(休憩0分)
※午前のみの勤務可、週2日以上であれば出勤日数は応相談、土曜日の勤務が可能な方優遇
休日:完全週休2日制 (木曜 ・ 日曜 ・ 祝日)
応募要件:生活習慣病の指導実務経験が2年以上ある方、ブランク可
歓迎要件:医療機関での糖尿病の療養指導経験のある方歓迎、土曜日に可能な方優遇、几帳面で丁寧に心のこもったお仕事をしていただける方歓迎

特別養護老人ホーム

募集職種:管理栄養士
仕事内容:食事配膳確認、厨房の衛生管理、調理員の人員管理、行事食の献立作成・発注、入居者の栄養相談、入居者の栄養管理(栄養管理加算)、給食管理全般 ※通常の献立作成・発注・調理は委託
給与:【パート・バイト】時給 1,000円 〜 1,100円 ※交通費別途支給、昇給あり(年1回)、試用期間6ヵ月(条件変更なし)
待遇:雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金、車通勤可、研修制度あり、入院保障制度あり
勤務時間:8:30~17:30(休憩60分)※勤務時間応相談、週3日からOK
休日・休暇:土・日・祝(欠員フォローや行事などにより出勤する可能性もあり)、週所定勤務日数3~5日、育児休暇、介護休暇、看護休暇、有給休暇
応募要件:管理栄養士、ブランク・未経験可

認可外保育所

募集職種:管理栄養士
仕事内容:《調理業務》乳児保育園・病児保育室・栄養ケアステーションでの調理、及び給食準備・惣菜販売
《献立業務》食育に関する献立と食材仕入れ業務、季節ごとの室内への献立飾り付け業務
給与:【パート・バイト】時給 1,300円 〜 1,500円 ※通勤手当実費支給5000円/月、試用期間6ヶ月(期間中は時給1100円)、《昇給・賞与》実績による
待遇:雇用保険、労災保険、定年制あり(一律65歳)、入居可能住宅(単身用/世帯用あり)、利用可能託児所あり(乳児保育園あり/0~2歳児、病児保育・託児あり)※保育料無料にて乳児保育園(0歳~3歳まで)に入園可能、病児保育室の利用可能、マイカー通勤可、正社員登用あり、機能性食品(惣菜)を仕事終了時に持ち帰り可 など
勤務時間:①9:00~13:00②13:00~17:00 《休憩》随時 《残業》なし
休日・休暇:日・祝・その他 ※週休2日のシフト制(シフト調整により週休3日も可)、休日応相談、18時までに退社可能、年末年始5日、有給休暇(6ヶ月経過後5日付与)、特別休暇(産休・育休)、妊娠中の時短勤務可
歓迎要件:新卒予定やキャリアブランクのある女性も歓迎

*参照:ジョブメドレー

「糖尿病専門クリニック」「特別養護老人ホーム」「認可外保育所」の3施設の求人を紹介しましたが、ジョブメドレーに掲載されている【管理栄養士・栄養士/パート・バイト】求人を見ると実務経験が求められる施設と未経験OKの施設はちょうど半々くらいであり、保育所と介護施設が未経験OKの割合が高い傾向にありました。

病院やクリニックなど専門的な知識が必要な施設では時給が高めですが実務経験を求められる場合が多いので、求人を見るときは“応募要件”や“歓迎要件”をしっかりチェックしましょう。

管理栄養士・栄養士がパートで働くメリット・デメリット

管理栄養士・栄養士は正社員として働く人が多く、正社員の求人が多い傾向にありますがあえてパートとして働くことで得られるメリットもあります。
管理栄養士・栄養士がパートとして働くメリットと、注意しておきたいデメリットをそれぞれ紹介します。

メリット

・勤務日数や勤務時間帯の融通が利きやすい
・仕事と家庭との両立を実現しやすい
・正社員よりも職場を変えやすい

デメリット

・収入や雇用が安定しない
・責任のある仕事に携わりにくい

基本的には正社員とパートで仕事内容に違いはありませんが、職場によっては業務内容が限られてしまい管理栄養士・栄養士として働く上で物足りなさを感じてしまうこともあるかもしれません。

しかし、子育てや家族の介護の合間などに週2日だけ、午前中だけ‥と柔軟な働き方を実現しやすいことがパート管理栄養士・栄養士の大きなメリットです。仮に、職場の雰囲気や仕事内容が合わないと感じた場合でもパートなら転職しやすく様々な職場での経験を積んでいくことが可能です。

パートとして実務経験を積んでいき良いタイミングで正社員にステップアップしてみるのもいいかもしれません。

【まとめ】柔軟な働き方を望むならパートが◎

管理栄養士・栄養士が活躍できる職場は今でもたくさんありますが、健康志向の高まりや日本の高齢化なども相まって管理栄養士・栄養士の活躍の場が広がってきています。

そして、管理栄養士・栄養士は国家資格であるため結婚や出産で一時的に仕事を離れてしまっても復職しやすい職業なので、まずはパートとしてライフスタイルに合わせた働き方から再スタートしてみることもおすすめです。
管理栄養士・栄養士としてのあなたに合った働き方を是非見つけてください。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷