プロフィール
医療系食品メーカーで営業に従事後、独立。レシピ開発、商品企画、記事執筆、栄養価計算や会社の立ち上げを経験。現在はフリーランスの管理栄養士として、特定保健指導・記事執筆・栄養価計算などを中心に活動中。プライベートでは一児の母。
栄養に関する知識を活かして栄養指導や栄養管理を行う管理栄養士・栄養士。
その就職先は多岐に渡ります。
“食事を提供する施設”を中心に活躍できる場は多くありますが、就職先によって仕事内容が異なるため、自分に合った職場選びが大切です。
ここでは、管理栄養士・栄養士のおもな就職先を、特徴とともに一つずつ紹介していきます。
就職・転職時の職場選びに役立ててください。
プロフィール
医療系食品メーカーで営業に従事後、独立。レシピ開発、商品企画、記事執筆、栄養価計算や会社の立ち上げを経験。現在はフリーランスの管理栄養士として、特定保健指導・記事執筆・栄養価計算などを中心に活動中。プライベートでは一児の母。
全国栄養士養成施設協会が発表している「令和3年度 栄養士養成施設の卒業生の就職実態」から、管理栄養士・栄養士の就職先ランキングを見てみましょう。
令和3年度の卒業生は17,372人。
就職率は90%と非常に高く、そのうち70%が管理栄養士・栄養士関連業務への就職。20%は事務職等への就職、10%は上級学部への進学や独立等となっています。
管理栄養士|就職先ランキング
栄養士|就職先ランキング
参照:全国栄養士養成施設協会『令和3年度栄養士養成施設の卒業生の就職実態』
管理栄養士・栄養士ともに「病院」「企業」への就職が人気を集めています。
特に「病院」は栄養士よりも管理栄養士に人気のようですが、これは管理栄養士が健康な人だけでなく病気を患っている人への栄養指導も行えるため、「病院」へ就職した人の割合が栄養士よりも多くなったのだといえます。
また、管理栄養士・栄養士は求人自体が少ない傾向にあるため、就職先の割合は人気の有無だけでなく施設ごとの求人数も関係していると思われます。
管理栄養士・栄養士の就職先は先ほどのランキングでも紹介したように多岐に渡りますが、職場によって仕事内容や年収、就職難易度が異なります。
就職・転職の際は、事前にそれぞれの職場の特徴を理解した上で、自分に合った職場を選びましょう。
病院で働く管理栄養士・栄養士は、入院患者の食事を管理する「給食部門」と、外来患者に対する食事指導を行う「臨床部門」に分かれます。
患者一人ひとりの病状に合わせた栄養管理が必要であり、医師をはじめとする他の職種ともコミュニケーションを取るなど、チームワークが求められる仕事です。
病院の規模や種類によって組織体制が異なるため、どのようなキャリアプランを歩めるのか事前にチェック!
一言で病院といっても、急性期や慢性期、回復期リハなど機能分類や設置されている科によって患者さんの状態や症例が異なるため、栄養管理の方法もそれぞれ違います。どんな方に対して栄養管理をしていきたいかによって病院を選ぶのも一つの方法です。
また、日本栄養士会や各学会では専門分野の認定制度があります。病院の中でもより専門性を高めていくことが管理栄養士に求められているので、そのあたりも視野に入れておくと良いでしょう。
NSTの設置や管理栄養士を病棟配置する動きが進められているので、今後、患者さんの近くで栄養管理を行うことも増えていくでしょう。
小学校や中学校などで、成長期に必要な栄養バランスを意識した献立作成などを行います。
一般的な管理栄養士・栄養士の業務が中心の「学校栄養職員(学校栄養士)」として働きますが、教員免許を取得すると「栄養教諭」と呼ばれます。
栄養教諭の場合は、教員として子ども達への食育指導ができるようになり、業務範囲が広がります。
公立学校で働く管理は地方公務員となるため、民間企業よりも雇用・給与面が安定しています。
長く勤めれば着実に年収が上がっていくため人気があるが、求人が少なく競争倍率が高い
介護施設・福祉施設でも、管理栄養士・栄養士が活躍しています。
施設を利用する人の栄養状態や要介護度に合わせて、流動食やきざみ食など、調理方法を工夫することも大切な仕事の一つです。
また、食事を楽しんでもらうために季節・行事に沿った食事を提供することや、介護職員など他職種の人とも連携を図り仕事を進めていくことが求められます。
今後も高齢化が進むため、高齢者向け施設の増加に伴い、管理栄養士・栄養士の需要も高くなる
保育園や児童福祉施設で働く管理栄養士・栄養士は、給食管理・調理の他に、“食”に興味を持ってもらうための食育も大切な仕事です。
児童養護施設の場合は“養育者”としての役割もあります。
子どもが好きな方にはぴったりの職場です。
病院や高齢者施設と比べると、土日祝や年末年始に休みの職場が多いため働きやすい
管理栄養士・栄養士の代表的な就職先の一つ。
直営が難しい施設(病院、学校、介護施設、保育園、社員食堂など)に代わり、給食管理を代行しています。
調理現場の経験を積むことからスタートする場合が多く、一通りの流れを理解してから、献立作成、食材の管理・発注などのデスクワークに進みます。
実務経験を積み役職が上がると、給料もアップしやすいことが魅力です。
比較的求人も多く、管理栄養士・栄養士としての総合的な経験を積みたい人におすすめ
保健所や保健センターなどの行政機関で活躍する管理栄養士・栄養士は、「行政栄養士」とも呼ばれます。
地域住民の健康づくりに貢献する役割があり、栄養相談会や健康増進を目的としたセミナーの開催などを行います。
公務員となるため、管理栄養士・栄養士の資格だけなく、公務員試験にも合格する必要がありますが、仕事や給料が安定しています。
待遇が良いため人気が高く、狭き門になりやすい
食品メーカーや製薬会社などの企業も人気が高く、行政栄養士と同等ほどの狭き門です。
管理栄養士・栄養士としての知識や技術を活かして、商品の研究開発に携わります。
たとえば食品メーカーではお弁当・離乳食・健康食品・サプリメントなど、製薬会社では医薬品・健康食品・サプリメントなどです。
こういった商品開発や研究職の場合は、管理栄養士・栄養士の資格だけでは難しく、食品学や化学の知識、研究経験が重視される傾向にあります。
研究未経験者は広報や営業として活躍する道もアリ
何かと敬遠されがちな営業職ですが、基本的なビジネススキルがほぼ身につくといっても過言ではありません。食品などを扱うメーカーであれば、食品知識や資格を持つ営業ということで、他の営業と差別化することも可能です。
メーカーの中には、病院や施設の管理栄養士に対して営業を行う会社もあり、違った形で管理栄養士と関わることもできます。
商品開発や研究職は、大学院レベルの知識が必要になることもあります。難しそうであれば、研究補助などのお仕事を探してみるのも一つの方法です。
2016年に健康サポート薬局制度がスタートし、薬局・ドラッグストアの来店客をはじめとした地域住民の健康サポートを、管理栄養士・栄養士が担えるようになりました。
薬局やドラッグストアには薬剤師も勤務していますが、管理栄養士・栄養士は“食と栄養のスペシャリスト”として、薬剤師とは異なる観点からのアドバイスが求められています。
他施設との大きな違いは、管理栄養士・栄養士業務以外に、接客を含む店舗業務も行うことが挙げられます。
接客や店舗運営に興味のある人におすすめの職場
薬局やドラッグストアで健康食品やサプリメントを取り扱うお店が増えてきたことで、食事や栄養に関する知識を持つ管理栄養士の需要が高まってきています。+αで登録販売者の資格を取得することもできます。
また、認定栄養ケアステーションを調剤薬局が開設するケースもあり、地域密着で管理栄養士が活躍する場面が増えてきていると感じます。
今後は在宅医療が進むと考えられますが、薬剤師が訪問してお薬を届けに行くのと一緒に管理栄養士が同伴して、食事や嚥下状態をチェックするといったお仕事もあるようです。今後、管理栄養士の活躍の場が増えるフィールドのひとつと言えるのではないでしょうか。
スポーツクラブやフィットネスジム等のスポーツ施設や、エステティックサロンなどの美容施設でも、管理栄養士・栄養士は活躍しています。
施設に就職するだけでなく、実業団やスポーツチームに所属したり、プロアスリートの専属栄養士として働くチャンスもあります。
より高い専門知識を身につけるために、スポーツ関連の資格取得を目指すのもおすすめです。
健康運動指導士や公認スポーツ栄養士資格の取得も◎
このように管理栄養士・栄養士の就職先は多くの選択肢があります。
多いからこそどのように就職先を選べばいいのか迷ってしまうこともあると思います。
そこで、自分に合った就職先を選ぶためのポイントを4つ紹介します!
「給料が高い」
「福利厚生が充実している」
このような理由だけで大規模病院や大企業で働きたいと考えているのなら注意が必要です。
職場環境が整っていたとしても、あなたの能力を発揮できる職場なのか?やりがいを持って働くことができるのか?
これらは職場の規模だけで決められることではありません。
仕事内容が自分に合っているのかを基準に考えてみましょう。
どうして管理栄養士・栄養士になろうと思ったのですか?管理栄養士・栄養士として実現したいことは何ですか?
それを思い出し、あなたが思い描いている目標や夢に一歩でも近づける職場を選びましょう。
大変なことがあっても挫けずに頑張る力が湧いてきたり、イキイキした気持ちで働けたり、仕事に対して満足感・充実感を得たりできるはずです。
目先のことだけでなく、3年後、5年後、10年後‥と、将来のキャリアプランを意識して就職先を選ぶことも大切です。
目標とする管理栄養士・栄養士になるために、今できること、今から積んでおきたい経験や備えておきたい知識を、計画的に考えて就職先を選んでみましょう。
両親、知人、先生、先輩などの第三者に、就職への悩みや不安を相談してみることはとても大切です。
自分では気付かなかったことや、見えてこなかったことが明確になる場合があります。
一人で考え込むのではなく、第三者からのアドバイスを聞くことで、進むべき道が見えてくるかもしれません。
身近な人以外にも、管理栄養士・栄養士の転職サポートに強みを持つ転職エージェントに相談することもおすすめです!
プロの視点からの的確なアドバイスや求人紹介などを通して、満足感の高い就職・転職を叶えるチャンスが広がります。
2005年には「食育基本法」が制定、2016年には「健康サポート薬局制度」がスタートし、食生活や日々の健康作りの大切さが改めて見直されてきています。
このような背景もあり、管理栄養士・栄養士は“食と栄養のスペシャリスト”として活躍の場を広げています。
病院や給食関連の仕事はもちろんのこと、高齢化が進む日本で高齢者施設は増加傾向にあり、食事を通して健康をサポートすることができる管理栄養士・栄養士の需要は益々高まることが予想されます。
また日本人の健康意識の高まりから、スポーツ分野や美容分野でも、管理栄養士・栄養士の専門的な知識が求められるようになりました。
公認スポーツ栄養士やフードコーディネーター、食育アドバイザーなどの資格をプラスして取得することで、もっと活躍の場は広がるでしょう。
さらに、管理栄養士・栄養士は「栄養ケア・ステーション」を拠点に、地域に密着した健康サポートも行っています。
市町村や高齢者福祉関係施設、医療機関等からの依頼や連携をして栄養相談や食育イベントを実施。子どもから高齢者までの健康を守っています。
今後もますます将来性が期待できる職業といえそうです。
管理栄養士・栄養士の資格を活かして働くことができる就職先はたくさんありますが、就職先によって仕事内容が異なるため将来的なキャリアを見据えながら計画的に選んでいくことが大切です。
管理栄養士・栄養士としての目標を持ち、それに向かって進んでいくことで大きなやりがいと充実感のある働き方を実現できるのではないでしょうか。
就職・転職に困ったときは身近な人や転職のプロのアドバイスをもらいながら自分に合った就職先を探してみましょう。