夢だった教師になったものの、現場を経験したことで転職すべきか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「想像していた教師生活と違った」
「今からでも一般企業に転職したい」
このようなお悩みを抱えながらも、教師としてのキャリアやスキルアップを諦めることに、不安を抱えている方も少なくありません。
そこで今回は教員から転職を考えている方向けに、スキルを活かしやすい転職先や元教員ならでは強みなどを細かく紹介します。
一般企業から見た教員のイメージも詳しく解説しますので、転職を少しでもお考えの方はぜひ参考にしてください。
教員として積んできた経験・スキルを活かせる転職先は次の職場です。
8つの転職先について、詳しい仕事内容や特徴を紹介します。
教員の経験・スキルが活かせる転職先の1つ目は、学校職員です。
学校の教師から転職し、学校の事務作業や施設管理、生徒のサポートなどを行うのが主な仕事です。
学校職員は経理作業も担当することがあり、職員の給与計算のためにエクセルや勤怠管理システムの操作スキルも求められます。
主にパソコンを使用した業務が中心となるため、基本的なパソコン操作スキルと経理知識があると転職で有利になるでしょう。
また、小中高校のほか、大学職員になる選択肢もあります。
教師から転職しても、教育機関で働きたい方におすすめの転職先です。
教員の経験・スキルが活かせる転職先の2つ目は、IT系企業の技術職です。
IT企業の技術職とはプログラマーやエンジニアのことを指します。
総務省の試算によると、2030年までにIT人材は少なくとも44万人不足するとの結果が出ています。
実際に多くのIT企業では初心者や未経験の転職も歓迎しており、人材確保に力を入れていることは間違いありません。
また、教師は学校の教育課程にITやプログラミングの授業も入っているため、基本的なIT知識を習得しなければなりません。
論理的思考力が高い傾向もあることから、IT系技術職と相性の良い方が多いです。
*参照:総務省 「IT人材需給に関する調査 調査報告書」P20
教員の経験・スキルが活かせる転職先の3つ目は、塾講師・家庭教師です。
塾講師や家庭教師は、元々教師として培ってきたスキルや経験をそのまま活かしやすい転職先です。
学校との違いは、生徒への個別指導や少人数授業を展開するところも多く、生徒とのマンツーマン授業もあることです。
生徒一人ひとりと真剣に向き合うことができ、生徒の成績が向上すれば仕事へのやりがいにもなります。
また、成果に応じて給与アップやインセンティブが入ることもあるため、金銭面でもモチベーションアップにつながるでしょう。
ただし、利益や集客といった視点も必要になるため、最初のうちは戸惑うこともあるかもしれません。
教員の経験・スキルが活かせる転職先の4つ目は、公務員です。
公立学校の教師の場合、元々公務員という扱いですが、役場などで勤めればワークライフバランスは良くなるでしょう。
日教組の調査によると、教師全体の1日の平均時間外労働時間は2時間55分となっています。
月平均では45時間を超え、非常に多忙な仕事といえます。
一方、公務員は定時退勤が可能なケースが多く、基本的には休日の業務もありません。
教師として磨いたコミュニケーション能力や論理的思考力も発揮しやすく、転職先の1つとしておすすめです。
*参照:日教組 「2023年学校現場の働き方改革に関する意識調査 2023年7~8月実施」P9
教員の経験・スキルが活かせる転職先の5つ目は、教育関連企業です。
教育関連企業とは、子供の成長を助ける知育玩具や雑誌、学習教材・ドリル、教科書・参考書の編集などを行う仕事です。
国が示す学習指導要領に準拠しつつ、オリジナリティのある教材を開発できます。
教師として現場で働いて得た経験、知識を最大限に活かしやすい転職先です。
教員の経験・スキルが活かせる転職先の6つ目は、一般企業の営業職です。
教師から営業職では分野が異なるため、転職のイメージがしにくいかもしれません。
しかし、教師と営業職のスキルは相性が良く、転職しやすいおすすめの仕事の1つです。
教師は生徒や保護者に授業や進捗状況をわかりやすく説明するために、高いプレゼンテーションスキルとコミュニケーション能力を持っている方が多いです。
どちらも営業職には必須となるスキルであり、仕事に慣れれば持ち前のスキルと経験を発揮できるでしょう。
特に教育関連サービスを展開する企業であれば、教師の経験をアピールしやすいです。
教員の経験・スキルが活かせる転職先の7つ目は、児童支援員や学童保育員です。
主に児童福祉に関する仕事のことで、発達障害のある児童向けの指導や家庭の事情で世話が必要な子供、放課後に子供を預かるサービスなどがあります。
子供の支援に関する職場・仕事には様々なものがあります。
特に小・中学校の教師経験がある人は、このような転職先で自分の経験を活かしやすいでしょう。
教員の経験・スキルが活かせる転職先の8つ目は、教育系ライターです。
教育系ライターは雑誌やWebサイトなど、情報メディア向けの教育に関する記事を作成したり、編集したりする仕事です。
教育の専門知識が必要になることから、教師経験を活かしやすい職種といえます。
また、教育系ライターは副業として始める方も多く、お試しでやってみて、転職するかどうか検討しやすいというメリットもあります。
教員としての経験と強みを転職活動でアピールするなら、次の4点がおすすめです。
4つの強みをアピールする際、押さえておくべきポイントを紹介します。
転職活動でアピールできる元教員の強みの1つ目は、プレゼンテーションスキルの高さです。
教師は日頃から生徒に対してわかりやすく授業の内容を伝え、保護者へ授業の進捗状況を説明する必要があります。
子供の理解力や成長段階に合わせた授業が必要になることから、自然とプレゼンテーションスキルが鍛えられます。
プレゼンテーションスキルは営業職だけでなく、一般企業の会議やプロジェクトチーム内での報告、人材への指導など様々な場面で必須のスキルです。
自分の考えやアイディアを相手にわかりやすく伝える能力があれば、幅広い業種で必要とされる人材になるでしょう。
転職活動でアピールできる元教員の強みの2つ目は、論理的思考力の高さです。
教師は生徒の理解度に合わせて、授業の進捗状況を細かくコントロールする力が求められます。
年間のカリキュラムを考慮しながら、必要な時期に学ぶべき内容を整理して教える必要があります。
そのため、物事を論理的に考えながら、順序立てて生徒に説明する能力が不可欠です。
一般企業においても、プロジェクトの進捗状況の整理や課題解決には、論理的思考力が重要視されます。
特にリーダーとなる人材には論理的思考力の高さが求められるため、元教師の強みを活かしやすいでしょう。
転職活動でアピールできる元教員の強みの3つ目は、コミュニケーション能力です。
教師は生徒や保護者、他の教師、関係機関の職員ともコミュニケーションを取る機会が多い仕事です。
様々な人と交流するため、コミュニケーション能力も大切なスキルになります。
一般企業でもチームや仲間とプロジェクトを進める際、緊密なコミュニケーションは必要不可欠です。
転職活動では、コミュニケーション能力を活かしてどのような成功体験があるのか、問題解決に役立ったエピソードを話せるとアピールになるでしょう。
転職活動でアピールできる元教員の強みの4つ目は、指導力やリーダーシップです。
教師は授業や年間行事などの様々な場面で生徒を導き、進捗状況や行動を管理しています。
リーダーシップのない教師では、生徒も指示を聞かず、クラスはうまくまとまりません。
一般企業でもチームや部署で働くことは多く、リーダーシップや指導力を発揮すべき場面は度々あります。
リーダーシップや指導力をアピールできる出来事があれば、その点を転職活動で打ち出すのがよいでしょう。
教員から別の仕事で採用してもらうには、転職を成功させるためのポイントを知っておきましょう。
5つの成功ポイントについて、具体的な内容を紹介します。
教員からの転職を成功させるには、まず教員の経験を活かせる仕事から探すことがポイントです。
教師はコミュニケーション能力や論理的思考力、リーダーシップなどのスキルを磨きやすい仕事です。
自分の持っている強みを考えながら、教師の経験がアピールしやすい仕事を探しましょう。
例えば、プレゼンテーションスキルなら営業職、論理的思考力なら事務職やコンサルタント、リーダーシップならインストラクターなどがあります。
教師の強みと経験を活用しつつ、興味を持てる仕事を探すことが大切です。
教員からの転職を成功させるポイントの2つ目は、スキルの棚卸しと習得を行うことです。
教師から一般企業へと転職する場合は、転職先の業界・業種によって求められるスキルが異なります。
例えば、エンジニア職ならプログラミングや通信機器について、専門的な技術と知識が必要です。
現在の自分にどんなスキルがあるか棚卸しを行い、転職するために必要なスキルや資格の習得を目指しましょう。
資格を取得できればアピールになるほか、資格勉強中であっても仕事への意欲をアピールする材料になります。
教員からの転職を成功させるポイントの3つ目は、将来のキャリアプランを明確にすることです。
転職後に自分がどんな働き方をしたいのか、どんな役職に就きたいのかなどの将来像を固めておきましょう。
教師は公務員という安定した立場であり、転職活動中は「あえて転職したいのはなぜか」と尋ねられる可能性が高いからです。
また、自分のキャリアビジョンが明確になっていれば、習得すべきスキルや資格も具体的にイメージできます。
現代のトレンドも取り入れつつ、自分のキャリアや転職後にやりたいことが答えられるよう準備しましょう。
教員からの転職を成功させるポイントの4つ目は、転職時期を見極めて行動することです。
教師は4月を開始時期として、1年毎にカリキュラムや人員が決定されています。
既に年間のスケジュールが決まっている以上、中途半端な時期の転職活動は職場に迷惑がかかります。
そのため、転職活動の開始時期は9月頃、内定は2月頃にもらうように計画するのがよいでしょう。
「良い求人があったら転職しよう」と考えていると、転職時期を見逃すおそれがあります。
活動時期をしっかりと決めたうえで、計画的に行動することが重要です。
教員からの転職を成功させるポイントの5つ目は、転職エージェントを利用することです。
転職エージェントは転職活動をする方の心強い味方であり、自分の希望条件に合う職場を紹介してくれるパートナーとなります。
教師から別の仕事に転職する方の場合、初めての転職活動になる方が多いでしょう。
転職エージェントは初めて転職活動をする方向けのサポートが充実しています。
また、各業界の企業情報についてもアドバイザーから教えてもらえることがあります。
多忙な業務をこなす教師でも、転職エージェントを利用すれば効率的に転職活動を進められるはずです。
教員から転職を目指す際におすすめの転職エージェント・転職サイトを3社紹介します。
それぞれのサービスの特徴、利用に向いている人を解説します。
30代以上で幅広い業界を検索し、転職先の選択肢を増やしたい方にはリクルートエージェントがおすすめです。
リクルートエージェントは業種・業界を特定せず、あらゆる求人が集まる総合型の転職エージェントです。
教師向けの求人も数多く掲載されており、転職したい業界が決まっていない方は、リクルートエージェントで求人を吟味するのもよいでしょう。
求人の中心となる年代は20代・30代ですが、40代以上の求人も多く取り扱っています。
リクルートエージェントは利用者数も非常に多いことから、企業情報や転職支援のサービスが充実している点も特徴です。
様々な求人をチェックしつつ、転職活動を効率的に進めるならリクルートエージェントの利用がおすすめです。
公式サイト | https://www.r-agent.com/ |
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特徴 | 幅広い業種・業界の求人を網羅しており、経験豊富なアドバイザーが多数在籍している |
おすすめポイント | 20代・30代を中心に幅広い業種の求人を取り扱っており、転職先の選択肢を増やしたい人にもおすすめ |
転職を通して将来的にキャリアアップを目指したい方は、マイナビジョブ20’sの利用がおすすめです。
マイナビジョブ20’sは、20代の転職に特化した総合型転職エージェントです。
20代の転職はスキルが多少不足していても、将来性を見込んだ採用につながる可能性があります。
マイナビジョブ20’sは、教師としての経験やスキルも参考にしつつ、一人ひとりに合わせた転職のアドバイスをしてくれます。
オンラインの転職サポートも行っており、忙しい教師の方でも隙間時間を見つけて転職活動を進められるでしょう。
中小企業から大企業まで様々な求人を取り扱っており、20代の転職でキャリアアップを目指すならマイナビジョブ20’sへの登録がおすすめです。
公式サイト | https://mynavi-job20s.jp/ |
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特徴 | 20代の転職に特化した総合型転職エージェントで、国内の優良企業の求人を取り扱っている |
おすすめポイント | キャリア相談からキャリアアップまで、20代の転職に有利な情報収集がしやすい |
IT系企業や一般企業の事務職への転職成功を狙うなら、Greenがおすすめです。
Greenは、主にIT業界の求人を中心に取り扱う特化型転職サイトです。
IT業界以外にも、経理やバックオフィス、事務職の募集も取り扱っています。
特徴はプロフィールを登録すると、企業から直接スカウトが届く点です。
IT系のベンチャー企業の求人が多く、未経験者や初心者にもスカウトが期待できる転職エージェントです。
ただし、転職エージェントとは異なり、アドバイザーのサポートはない点に注意しましょう。
自分のペースで転職活動を続け、IT業界・事務職への転職を成功させるならGreenがおすすめです。
公式サイト | https://www.green-japan.com/ |
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特徴 | IT企業の求人が豊富で、企業から直接スカウトが届く |
おすすめポイント | 自分のペースで活動を進めやすく、初心者・未経験者向けの求人も豊富 |
教員は地方公務員であり、一般企業の視点からは特殊なイメージを持たれている場合があります。
このような先入観やイメージが、教師の転職を難しいものにしている面もあります。
一般企業から見た教員のイメージの1つ目は、ビジネス経験が少ないということです。
学校の教師は、基本的に業績や利益といった意識を持つことはありません。
公立学校の場合は地方公務員と同じであり、安定した地位と給与が約束されています。
そのため、教師から一般企業への転職では、ビジネス経験の少なさから「企業の利益を追求できるか」について疑問を持たれることがあります。
特に30代を越えてくると、ビジネス経験の乏しさはネガティブな要素になることがあります。
ただし、ビジネス経験は働きながらでも磨けますから、あまり心配しすぎる必要もないでしょう。
一般企業から見た教員のイメージの2つ目は、なぜ教員という安定した仕事から転職したいのかと疑問を持たれることです。
このイメージは決してネガティブな意味ではなく、人事担当者の純粋な疑問から出るものです。
教師の仕事は公務員であると同時に、一般企業に比べて高収入を得やすいとされています。
あえて転職をする以上、何か目的があるものと一般的には思われやすいからです。
面接でも同じ質問をされる可能性が高いため、転職を決断した理由をポジティブに語れるように準備しておきましょう。
一般企業から見た教員のイメージの3つ目は、業務上必要なスキルを持っていないと思われやすいことです。
企業の業務を遂行していくには、業界や業種に応じたスキルや資格が求められます。
教師は一般企業とは基本的な業務内容が違うことから、「スキルを持っていない」と思われることがあります。
しかし、先述の通り教師は様々なスキルを磨きやすい環境にあるため、スキル不足というイメージは必ずしも当てはまりません。
転職先を決める場合は、事前に企業情報を収集するとともに、必要なスキルもチェックしましょう。
足りないスキルがある場合でも、転職までに身に付ける努力をすれば、逆に好印象を与えられます。
一般企業から見た教員のイメージの4つ目は、真面目に仕事に取り組んでくれそうというイメージです。
教員は公務員であり、学生や保護者としっかり向き合う必要があるためこのようなイメージを持たれやすいでしょう。
ただし、真面目であることがかえって「固い」「プライドが高そう」という思い込みに繋がる恐れもあります。
面接や企業説明会などで直接話す機会があれば、担当者とは誠実に接するように心掛けましょう。
あくまで一般的なイメージですから、丁寧な態度で向き合えばすぐにイメージは覆せるはずです。
過去には教員から一般企業などに転職したケースも多くあります。
先人の例から教員の転職にまつわるよくある質問を紹介します。
質問への回答と詳しい内容を解説します。
結論からいうと、教員と同水準の職場への転職は難しいです。
令和4年の年収を比較すると、次の通りです。
職種 | 年収(基本給+賞与) |
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小・中学校教師 | 739万7,200円 |
高等学校教師 | 677万5,000円 |
民間企業全体 | 458万円 |
学校教師と民間企業では、およそ200万円以上の年収の差があります。
あくまで平均年収を比べたものですが、転職してすぐに教師ほど高年収を得るのは簡単ではないでしょう。
*参照:e-Stat 「賃金構造基本統計庁/令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
教員から転職するなら、20代のうちが最も転職しやすいです。
30代以上になると、企業側も一般企業で十分な経験のある人を求めるため、採用率が下がりやすくなるからです。
ただし、採用率が下がるといっても、職種で求められるスキルや資格、やりたいことを明確にしていれば採用される可能性は十分にあります。
大切なことは、自分が転職で何をやりたいのか、何を目指しているのか明確にすることです。
早いと感じるかもしれませんが、教員の転職は9月頃からスタートし、3月末に退職するのがよいでしょう。
教師は4月から翌年の3月までの1年間でカリキュラムや人員を決定しているため、中途半端な時期の転職は職場に迷惑がかかります。
また、教師は多忙な職種ですから、早めに転職活動を始めたほうが時間も確保しやすいでしょう。
9月以降はどの業界でも中途採用の募集が増える傾向があるため、転職先を検討し始めるにはちょうど良い時期です。
小・中学校教員から転職する場合、幼稚園教諭や児童支援員、塾講師などがおすすめです。
小・中学校教員は低学年の子供や発達障害を持つ子供と接する機会も多く、幼稚園や児童支援員との相性が良いからです。
また、私立の小・中学校には受験もあるため、受験対策の塾講師になる選択肢もあります。
ただし、一般企業への転職に成功している小・中学校教員の方も多いですから、あくまで参考として考えましょう。
体力のいる仕事や福利厚生が整った環境で働きたい方は、一般企業を狙うのもおすすめです。
今回は教員からの転職について、おすすめの転職先や教員ならではの強み、成功のポイントなどを詳しく解説しました。
教師からの転職は不利になりやすいと思われるかもしれません。
しかし、教師には業務を通して磨けるスキルが多く、その多くが一般企業でも通用するものばかりです。
教員から転職して一般企業でチャレンジしたい方や、新しいキャリアを開発したい方は、本記事をぜひ参考にしてください。