科学や医療が日々進歩する中で、理学療法士の働き方も大きく変化しつつあります。
病院以外で働く人やダブルライセンスを取得する人、医療とは別の道を選ぶ人も現れています。
理学療法士としての経験を生かし、転職後のセカンドキャリアで活躍する方も少なくありません。
本記事では理学療法士から転職し、別の道を選びたいと考えている人のために、セカンドキャリアを成功させるポイントなどを具体的に解説します。
理学療法士のセカンドキャリアを考えるうえで、どのようなポイントを意識すべきか解説します。20代から50代までの年代別でポイントをご紹介します。
セカンドキャリアは40代、50代の方だけでなく、20代のうちに考えることが大切です。
セカンドキャリアを考えるには早いと思われるかもしれませんが、20代はスキル習得や資格取得を積極的に進めましょう。
20代は理学療法士としてのスキルアップが早く、成長が期待できる時期です。
20代で理学療法士に必要なスキルと経験を磨けば、セカンドキャリアでも選べる道や自分の強みが明確になります。
自分の積んだスキルと経験が、転職後の自信にもつながります。
30代からはセカンドキャリアに向けて、理学療法士として培ったスキルの棚卸しを行い、新しい道に転身する時期です。
2023年(令和5年)の理学療法士の合格者数は1万1,312人、有効求人倍率は4.21倍となっています。
理学療法士は非常に需要の高い職業で、特に介護分野ではリハビリ専門職として必要とされています。
しかし、自分のスキルや適性とセカンドキャリアがマッチしないと、転職失敗につながりかねません。
スキルの棚卸しを行うことで、自分がどの分野に転身すべきか明確になり、セカンドキャリアで活躍する未来をイメージしやすくなるでしょう。(*)
*参照:厚生労働省『第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について』
*参照:Jobtag『理学療法士(PT)』
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40代はスキルと経験が成熟する一方、成長に限界を感じ始める時期でもあります。
そのため、40代の理学療法士はスキルと経験、特化した能力を生かして、キャリアアップを意識したセカンドキャリアを考えましょう。
職場でもリーダーや管理職を任されることが多くなっていると思います。
転職する場合、管理職候補として採用されるケースも多いでしょう。
ただし、転職後は一時的に年収が下がることも多いため、家族とも相談したうえでセカンドキャリアを選択することが大切です。
50代は病院や企業でも最も年収が高くなる時期で、セカンドキャリアを考える際は定年後の人生をどうしたいのか、新たな生きがいをどう見つけるかを意識すべきです。
定年後にダブルライセンスを取得し、独立開業の道を選ぶ理学療法士も一定数います。
また、知っておくべきポイントとして、50代の理学療法士は非常に貴重な存在です。
2023年3月末時点で、日本理学療法士協会員になっている50代の理学療法士は8,381人、会員数全体の約10%です。(*)
希少性の高い存在として、経験を生かしたマネジメント職に採用されるチャンスもあります。
50代は定年後のセカンドキャリア設計、どんな生きがいを見つけるかが大切です。
理学療法士がセカンドキャリアを選び、活躍を目指すには主に3つの選択肢があります。
一つ目は、理学療法士としてのスキルと経験を生かし、リハビリや医療に近い分野でセカンドキャリアを積む道です。
理学療法士は運動機能の維持・改善の訓練を行う仕事ですから、訪問看護ステーションや訪問リハビリ、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなどで働く道があります。
自分のスキルを生かしながら、専門職としてキャリアアップもできるメリットがあります。
病院よりも高収入を得やすく、ライフスタイルに合わせて働きやすい点もメリットです。
理学療法士として積み上げた経験を生かし、人とのコミュニケーションを大事にして働きたい人におすすめです。
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理学療法士はリハビリの専門家であり、人体構造のプロです。
理学療法士資格に付加価値をつけるためにも、ダブルライセンスを取得してセカンドキャリアを考える道もおすすめです。
理学療法士と相性の良い資格には、次のものがあります。
理学療法士のダブルライセンスとしておすすめの資格
紹介した資格はリハビリ分野だけでなく、医療に関連した一般企業への就職でも強みになります。
独立開業も目指すなら、柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などがおすすめです。
一般企業で働くなら、義肢装具士、栄養サポートチーム専門療法士、シーティング・コンサルタント、JATAC-ATCがよいでしょう。
ダブルライセンスは自分のスキルと知識のアピールにもなりますから、積極的に活用してください。
理学療法士や医療業界ではなく、全く別の分野に挑戦してセカンドキャリアを積み重ねる選択肢もあります。
例えば、理学療法士の経験を生かしたフリーライター、病院勤務経験を生かしてカスタマーセンターで働く理学療法士もいます。
また、医療機器メーカーで商品開発や営業担当をするケースもあり、セカンドキャリアのあり方は様々です。
理学療法士時代の困った症例や体験をもとに、IT企業に転職してアプリ開発に役立てている人もいます。
医療とは別分野に転職したとしても、理学療法士時代の経験は何らかの形で生かせます。
挑戦することに不安を抱く方もいるかと思いますが、まずはやりたいことを明確にすることが最重要です。(*)
*参照:PRTIMES『リハビリをエンタメに!「デジリハ」が2021年4月ついに正式リリース!』
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理学療法士のセカンドキャリアを考える際に、おすすめの転職先をご紹介します。
介護老人保健施設は病院と自宅の中間に位置する復帰支援施設です。
病気や怪我でリハビリや介護が必要な人を対象に、自宅に帰る前の身体機能の維持、向上を目指します。
理学療法士の役割は入居者やデイサービス利用者に対し、在宅復帰に必要な日常生活動作のリハビリを行い、身体機能を高めることです。
施設内の介護士や看護師、ケアマネジャーなどと連携し、ケアプランに沿ってリハビリを行います。
日本では高齢化が進んでいるため、介護老人保健施設においてもリハビリ専門職の理学療法士は需要が高いです。
訪問看護ステーションや訪問リハビリも、理学療法士のセカンドキャリアにおすすめです。平日日中に患者さまの自宅を訪問し、30分~1時間程度のリハビリを行います。
給与は働いた分になるため時給制がほとんどですが、時給3,000円以上の求人も珍しくありません。
仕事の時間は私生活の都合に合わせやすく、基本的に土日は休みになるため、ワークライフバランスを重視したい方におすすめです。
フィットネスクラブやスポーツクラブでも、理学療法士は活躍しています。
フィットネスクラブは会員のトレーニングやストレッチ指導を行い、体重や運動量から適切なメニューを提案します。
また、スポーツクラブではスポーツ選手のリハビリ、チームでのトレーニングメニュー公安などが仕事です。
医療業界とは違った知識が必要になりますが、栄養サポートチーム専門療法士のほか、柔道整復師のダブルライセンスがあると働きやすいでしょう。
理学療法士と親和性の高い職場として、整体院や整骨院もあります。
整体師は無資格でも名乗れますが、キャリアアップを目指すなら柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などを取得すると便利です。
理学療法士と柔道整復師のダブルライセンスで、独立開業する方も一定数います。
ただし、収入アップには他院との差別化も必要で、営業努力も欠かせません。
整体院・整骨院は自分のペースで仕事を続けやすいため、ライフスタイルを大切にしたい方にはおすすめです。
理学療法士の現場から離れたい方は、大学や専門学校で学生の指導を行う道もあります。
自分の経験をもとに学生への指導を行い、成長を見守る仕事です。
大学教員の場合は研究もあるため、学生への指導をテーマに成果報告を行う機会もあるでしょう。どちらの教員になるにも、臨床経験が5年以上必要です。
さらに、大学の場合は学位も必要ですから、狭き門と言えます。自分の経験を後輩に伝え、人材育成に注力したい方におすすめです。
理学療法士のセカンドキャリアを考える際、職業の幅を大きく広げるなら一般企業への就職がおすすめです。
資格を生かすなら医療機器メーカーや義肢装具メーカーなどもありますが、資格に関係のない企業のほうが自由度も高まります。
理学療法士時代にリーダーや管理職経験のある人は、マネジメント職への転職も考えられます。
理学療法士は国家資格の1つで信頼性も高いですから、企業への就職でもアピールポイントになるでしょう。
理学療法士が転職でセカンドキャリアを成功させるには、ポイントを押さえて行動することが重要です。
どのようなポイントを意識すべきか、5つを詳しくご紹介します。
セカンドキャリアを考える年代は人それぞれですが、どんなキャリアを設計するかが非常に重要です。
勢いや思いつきではなく、1年後、3年後、5年後、10年後まで考慮したキャリアプラン・人生プランを設計しましょう。
若い世代なら将来の結婚や子育ても考えて、収入や働き方を慎重に考えるべきです。中高年世代であれば、キャリアアップや定年後の生活、老後の暮らし方なども考慮しましょう。
セカンドキャリアは長い人生を生きていくうえで、人生の価値を高める目的もあります。
そのため、現在の自分がどんなことができ、これからどんなスキルを身に付けていきたいか、仕事へのやりがいを考えることが大切です。
収入やキャリアアップも大事ですが、最も大事なのは自分自身が満足できるかどうかです。
現在の自分が仕事に満足できているか、将来どんな自分なら満足できるかを考え、求める未来を掴むために行動しましょう。
理学療法士は毎年1万人以上の合格者が出ており、医療機関や施設からも需要が高い職業です。
しかし、将来的に供給過多へと陥る懸念もあるため、セカンドキャリアを考えるにはさらなる資格取得をおすすめします。
ダブルライセンスを取得すれば、他の理学療法士との差別化にもなり、対応できる業務の幅が増えます。
対応できる業務の幅広さは職場での評価を高め、セカンドキャリアへ移行する際の強みにもなるからです。
キャリアプランに合わせて、どんな資格で付加価値を高めるのか考えることが重要です。
理学療法士が転職する際、ネックになるのが前職の環境や待遇を基準に考え、次の職場への不満をもってしまうことです。
理学療法士の多くは医療機関に勤務しており、福利厚生や給与などの条件が整っています。
そのため、転職すると労働条件が変化し、新しい職場の常識に適応できないことがあります。
基本的に病院の待遇は一般企業より有利な面が多く、セカンドキャリアで環境や待遇面に不満を感じる人も少なくありません。
前職の待遇を基準にするのではなく、変化を柔軟に受け入れる心の余裕を持つことが、セカンドキャリアを成功させるポイントです。
セカンドキャリアを考える場合、転職エージェントのアドバイザーに相談する方法もおすすめです。
転職エージェントでは自己分析を行い、希望条件から自分に合った求人紹介を受けられます。
そのため、アドバイザーにセカンドキャリアの相談に乗ってもらえば、客観的な立場からアドバイスがもらえます。転職エージェントによって様々な意見がある前提で、自分のスキルや経験がどこに生かせるか相談しましょう。
新しい視点を入れることで、転職先の選択肢は大きく広がります。
理学療法士はリハビリの専門職として、医療や福祉の現場で必要とされています。
セカンドキャリアも医療・福祉業界を選ぶ方が多数ですが、視野を広げることも大切です。
転職に必要な資格を取得したり、就職支援セミナーや合同説明会に参加したりするなど、転職先の選択肢を自ら広げる努力をしましょう。
日本でもセカンドキャリアで活躍する人は増加しており、1つの資格と職場にこだわる必要はなくなりつつあります。
自分が挑戦したいと思える分野があれば、セカンドキャリアへと踏み出しましょう。