「理学療法士は生活できないって本当?」
「理学療法士の平均年収は?」
「年収アップの方法は?」
体の動きの専門家ともいわれる「理学療法士」。理学療法士を目指している人のなかには、上記のような不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、理学療法士が生活できないといわれる理由を解説します。
平均年収や年収アップの方法も紹介しますので、理学療法士を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
理学療法士が「生活できない」といわれるのは、以下の3つの理由が考えられます。
国税庁が公表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は523万円です。
一方、正社員で働いている理学療法士の平均年収は358万円で、全産業の正社員と比較すると170万円ほど低いことが分かります。
決して生活できない年収ではありませんが、2人暮らしをしたり子供ができたりすると、生活が苦しくなる可能性があるといえます。(*)
*参照:求人ボックス 給料ナビ『理学療法士の仕事の年収・時給・給料』
理学療法士は勉強熱心な人が多く、研修に行ったり書籍で勉強したり自己研磨に日々励んでいます。
しかし、理学療法士は、日々の勉強や研修が給料に反映されにくいといわれています。
理学療法士が行うリハビリは、「報酬医療制度」によって診療項目別に点数が決まっています。
リハビリの点数から医療機関の診療報酬が決まり、その一部が理学療法士の給与となります。
診療医療制度は、診療項目によって点数が決まるため、理学療法士の経験やスキルに左右されることはありません。
経験豊富な人がリハビリ指導をしても、新人理学療法士が指導したときと同じ金額しか稼ぐことができず、昇給につながりにくいとされています。
また、理学療法士が行うリハビリは、1単位20分と時間が決められています。
リハビリの種類によって、1人の理学療法士が取得できる単位の上限が定められているため、理学療法士が生み出せる売上には限りがあるといえます。
リハビリを効率よく行える理学療法士でも、一定数の売上しか出せないため、給料に反映されにくいのが現状です。
理学療法士の退職金は、他業種と比べると少ないとされています。
東京都産業労働局が公表した「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年度)」をもとに、一般企業と医療・福祉分野の企業の退職金を比較した結果は、以下の通りです。
勤続5年 | 勤続15年 | 勤続33年 | |
---|---|---|---|
理学療法士 | 26万3,000円 | 98万5,000円 | 279万7,000円 |
他業界 | 47万円 | 212万9,000円 | 776万円 |
参照:東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年度)』
退職金は勤続年数によって大きく変わりますが、同じ勤続5年でも20万円ほど差があることが分かりました。また、勤続33年になると約3倍の差があります。
今回は中小企業との比較なので、大企業と比べるとさらに退職金に差が出るといえるでしょう。
理学療法士の平均的な退職金では、老後の備えとしては不十分になることが考えられます。
現在勤めている病院や施設によっても退職金は異なるため、退職金の算出方法は今のうちに確認しておくことが大切です。
ここでは、理学療法士の平均年収を年齢別に紹介します。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 約328万6,000円 |
25~29歳 | 約379万5,000円 |
30~34歳 | 約414万5,000円 |
35~39歳 | 約437万5,000円 |
40~44歳 | 約487万2,000円 |
45~49歳 | 約515万8,000円 |
50~54歳 | 約539万5,000円 |
55~59歳 | 約575万円 |
60~64歳 | 約479万3,000円 |
65~69歳 | 約357万4,000円 |
参照:e-Stat政府統計の総合窓口『賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般職 職種』
このように、30代では400万、40代後半では年収500万を超えることが分かります。しかし、50代をピークに60代になると年収は下降傾向にあります。
理学療法士の年収は、決して低すぎて生活できないという金額ではありません。
しかし、理学療法士が国家資格ということを考えると、年収が低いと感じる人も一定数いると考えられます。
理学療法士として年収をアップさせたいと考えている人には、以下の4つの方法がおすすめです。
スキルアップすると、大幅な年収アップにつながる可能性があります。
なぜなら、理学療法士の有資格者の数が年々増加傾向にあり、需要が見込めなくなる恐れがあるからです。
日本理学療法士協会が発表した「理学療法士国家試験合格者の推移」によると、令和5年度の合格者数は、21万3735人です。
10年前の平成26年の合格者累計である11万9979人と比較すると、約1.8倍増加したことが分かります。
厚生労働省が平成31年に公表した資料によると、理学療法士の数は2040年に需要数の約1.5倍になると推測されています。実力のない理学療法士は、需要がなく昇給しにくいといえるでしょう。
しかし、今後ますます高齢化が進み、介護職の需要は高くなることが予想されます。ほかの理学療法士と差別化できるような専門スキルを身につけると、大幅な給与アップにつながるでしょう。(*)
*参照:厚生労働省『医療従事者の需要に関する検討会 理学療法士・作業療法士分科会(第3回)』
*参照:日本理学療法士協会『統計情報』
今の職場で働き続けながら年収アップを目指したい方には、管理職を目指すことをおすすめします。
昇給の可能性が低い職場でも、主任などの管理職になると役職手当が付き、給料の大幅アップが期待できるでしょう。
ただし、管理職に昇進するためには、施設ごとに設定された基準をクリアしていく必要があります。
管理職になるための基準を確認し、計画的にスキルアップしていきましょう。
また、管理職は技術面だけでなく、部下のマネジメント能力も不可欠です。日頃から周囲に信頼されるような働き方をすることも大切です。
今の職場での給料を維持しながら副業を始めると、年収アップが見込めます。
ただし、副業を禁止している企業もあるため、現在働いている企業が副業を許可しているかどうか事前に確認することが重要です。
理学療法士の資格を活かした副業が数多く存在します。理学療法士が活躍できる副業の一例を紹介しますので、副業を始めたい方は、参考にしてみてください。
スポーツトレーナー |
スポーツ選手のケガの予防や身体動作のアドバイスを行う仕事です。 スポーツチームと個人契約を結ぶことで、資格を活かして副業を始められます。 |
ライター |
理学療法士の資格を活かして、専門性の高いライターとして活躍できます。 パソコンとネット環境さえあれば、自宅でも仕事できるのが魅力の副業です。 |
訪問リハビリ |
訪問リハビリは、個人の家を訪問してリハビリを行う仕事です。 訪問件数や時間で報酬が決まるため、短時間で効率よく稼ぐことができ、収入アップを見込めます。 |
年収アップのためには、今より基本給や賞与額の高い職場に転職するのも1つの方法です。
これまでの経験を転職先の企業に認めてもらえると、給与の交渉ができる可能性があります。
今の職場で昇給が見込めない場合、転職は年収アップの近道となるでしょう。
転職する際には、リハビリテーション職専門の転職サイトであるPTOT人材バンクがおすすめです。
PTOT人材バンクは、理学療法士や作業療法士などリハビリテーション職に特化した転職サポートサービスです。
リハビリテーション専門のキャリアパートナーが在籍しており、職場の雰囲気など求人票では分からないリアルな情報を提供しています。
履歴書の作成や内定後の条件確認なども、キャリアパートナーにサポートしてもらえるのが特徴です。
理学療法士は、体力が必要な仕事が多く、転職活動に時間がとれないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
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公式サイト | https://www.ptotjinzaibank.com/ |
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おすすめのポイント | リハビリテーション専門のキャリアパートナーが、在籍が転職を手厚くサポート |
理学療法士は、年収の低さ・昇給の難しさ・退職金の少なさが理由で、生活できないと考える人がいます。
1人暮らしであれば、普通に生活できる年収ですが、2人暮らしや子供ができると生活は苦しくなるといえるでしょう。
今の職場を変えずに年収アップしたい人には、スキルアップや管理職を目指すことをおすすめします。
理学療法士のスキルを活かせる仕事であれば、なんでもして年収アップしたいと考えている人は、副業や転職を検討してみてはいかがでしょうか。
転職をするときには、リハビリテーション職専門の転職サイトを利用しましょう。