新卒で経理に就職するには?仕事の魅力・難しさ・スキルを解説!

「新卒社員だけど経理で働きたい!」という思いを持つ新卒の方は少なくないでしょう。

今回は新卒が経理に就職するにはどうすべきか、仕事の魅力や就職の難しさなどを紹介します。

経理で働きたい方向けの代表的な資格も紹介しますから、新卒の方はぜひ参考にしてください。

経理の仕事の魅力とは?

就職活動の経験がある方なら、経理部門が狭き門であることは感じているでしょう。

経理の仕事は会社のエリートが集まる分野だからこそ、多くの魅力もある仕事で人も集中しやすいからです。

経理の仕事の魅力について見ていきましょう。

社会が続く限り仕事がなくならない

経理の仕事は請求書の作成・発行・仕訳などを行う「定型業務」、管理損益・決算書作成などの「非定形業務」の2つに大きく分かれます。

もちろん、この他にも会社の業績予測や経営のサポート、監査法人との面談など色々な仕事があります。

そして、経理は単に社内の数字を見ているだけでなく、社外向けの資料や外部の監査法人との交渉も行う重要な仕事です。

「経理はAIの進化で無くなる仕事」と言われることもありますが、現状のAIに経営サポートや交渉、業績予測などはできません。

経理の仕事はこれからも社会が続く限り必要とされるものであり、なくなる心配はありません。

ワークライフバランスを取りやすい

経理は事務仕事の代表格とも言えるものですから、基本的に会社が休みの日は仕事も完全にオフになります。

仕事内容そのものにもノルマはなく、1年間を通して会社の損益に間違いがないように書類を作成する事務仕事です。

日本は土日祝を休日にする会社が多いですから、経理ならほぼカレンダー通りの休みを貰える点も魅力です。

また、定時で帰れる職場がほとんどですから、残業時間もそれほど多くならないでしょう。

ワークライフバランスの面で考えても、経理の仕事は優れています。

会社のエリートが集まる部門

新卒社員の多くは、「会社員としてキャリアアップしたい」という思いを少なからず抱いています。そして、経理の仕事は少数精鋭で、非常に競争率の激しい職種です。

そのため、働いている社員は社内でもエリートと呼ばれる人が多く、キャリアアップに繋がることが多いです。

一方で、エリートが集まる部門ということは、新卒で採用されるには相当な能力がなければ務まりません。

新卒で経理として採用されたのなら、将来有望と見られていると考えてよいでしょう。

新卒社員が経理部門に配属される2つのルート

新卒社員が経理部門で働くには、2つのルートがあります。どちらのルートもチャンスを見逃さず、積極的に自分をアピールして機会を掴みましょう。

経理募集の求人に応募する

確実に経理として働けるルートは、経理を募集している求人を見つけ、その会社に応募することです。

経理はそれほど定員が多くないですから、どの会社も大体1~2人しか募集はありません。

そして、当然ながら経理の仕事は多くの新卒が殺到しますから、その中から選考を勝ち抜かなければなりません。

大変なルートですが、採用されれば経理として働ける未来が待っています。

学歴や資格も採用判断では重要になりますが、狙ってみる価値のあるルートです。

所属する会社で部署異動してもらう

もう1つのルートは、新卒で総合職や事務系の職種で採用してもらい、その後部署異動するルートです。

現実的には、多くの方がこちらのルートで経理として経験を積んでいます。

経理の仕事は1円でも間違っていれば問題で、会社の信頼にも関わる重要な仕事の1つです。

特に毎年の決算報告書などは、株主にも公開する必要があることから、そこに関わる経理の責任も重大です。

新卒でいきなり経理というルートは難しくても、働き方や会社のやり方に慣れてきてから、経理へ移動するルートは珍しくありません。

もし新卒で経理になれなかったとしても、部署異動のチャンスはありますから、経理に異動したいという意思を伝えておくことが大事です。

新卒で経理部に入るのは難しい?

新卒で入社して、経理部に入るのは実際のところどのくらい難しいのでしょうか。

求められる資格と経理部に向いている年代を解説します。

そもそもの定員が少ない

経理部門は会社の損益計算や給与の計算、データ入力などの事務作業が主な仕事です。

働くには最低限パソコンを操作する能力はもちろん、ワード・エクセル・パワーポイントまでは扱えなければなりません。

そのため、経理には情報処理能力の高い人が配属され、大企業でない限り経理部門にそれほど多くの人材を必要としていません。

500人ほどが働く企業であっても、経理を担当するのは5~10人以内というのが普通です。

従業員全体で見ると1%程度が経理担当と考えれば、いかに狭き門かわかるはずです。

企業によっても人員は変わりますが、経理部門は定員が少ないことから、新卒で配属されるのは難しい職場と言えるでしょう。

簿記資格を持っている人がほとんど

経理を担当する以上は、企業の規模や業態を問わず、経営における収支や記録を正確に残しておく必要があります。

無資格でもできないわけではありませんが、経理を担当する社員の多くは簿記資格を持っていることがほとんどです。

日商簿記検定には初級・3級・2級・1級があり、ビジネスで必要とされるのは2級以上です。

ただし、あくまでも2級が最低ラインですから、経理部門でキャリアアップも目指すなら簿記1級まで取得した方が良いでしょう。

日商簿記の資格は経理だけでなく、税理士や公認会計士の業界でも活躍しますから、取得しておいて損はありません。

新卒で経理部門を目指すなら、まずは日商簿記2級の取得を狙ってください。

20代のうちでなければ難しいケースが多い

経理部門で働くなら、20代のうちに就職または異動するのが理想です。

経理の仕事は実務経験も非常に重要な仕事ですから、30代から経理になるのはキャリアを考えると厳しくなります。

新卒入社時に経理へと配属されなくても、できるだけ早い時期に異動させてもらいましょう。

そして、経理の経験を積んでいけば、そのまま会社でキャリアアップすることも、転職して別の会社でキャリアを積むことも思いのままです。

多くの会社は3年毎に部署異動するのが一般的ですから、経理の定員が空いている時は、部署異動のタイミングを狙ってアピールしてみてください。

能力と意欲を上手く伝えれば、経理部門で働けるチャンスは十分にあります。

新卒社員が経理部門で働くには?

新卒社員が経理部門で働くには、どのようなポイントを意識すべきか解説します。

中小企業で若手を積極的に採用しているところに就職する

新卒で経理部門に配属してもらおうと考えるなら、大手の会社を狙うのは難しいでしょう。

大手の会社は優秀なベテラン経理担当者が多く、あえて新卒を採用する必要性がないからです。

一方、中小企業やベンチャー企業の場合は、若手を積極的に採用し、活躍の場を与えようとすることが多いです。

現在働いている経理担当者が少人数で、かつベテランが対応しているなら、若手の育成まで考えて採用する可能性は十分にあります。

また、ベンチャー企業はモチベーションの高い若者を採用する傾向があるため、簿記や経理の知識があれば採用される可能性は高いです。

新卒で経理の実務経験を積みたい方は、若手採用に積極的な中小企業を狙いましょう。

事務・総務系の総合職に採用されてから異動を狙う

経理部門を担当したいなら、業務内容が近い事務や総務系の総合職から異動を狙うのもポイントです。

経理は会社の懐事情を記録する仕事ですから、営業職や開発部門などに就職してしまうと、分野が大きく違ってしまいます。

比較的仕事内容が近く、異動しても大きく仕事内容が変わらない事務・総務系の職種から、キャリアを重ねていくという方法がおすすめです。

また、特殊なルートとして、税理士事務所や金融機関で勤務した後、民間企業の経理になる人もいます。

いずれのルートでも、事務や総務などで何かしら数字に関係する仕事をした後、経理担当者になっています。

回り道にはなりますが、将来的に経理部門で働きたいと考えている方は参考にしてください。

日商簿記2級以上を取得する

経理で働きたい方は、本気度を会社に示す意味でも、日商簿記2級以上の資格を取得するのがおすすめです。

特に新卒で経理部門に配属されたいのなら、日商簿記2級以上を取得していれば他の新卒と差別化できます。

なにより、会社としても経理未経験者にイチから教えるよりも、経理の知識を持っている方なら即戦力として活躍してもらえるというメリットがあります。

さらに、日商簿記1級を取得できれば、会計のスペシャリストとしてキャリアアップの道も開けるでしょう。

合格率は日商簿記2級が約20%、日商簿記1級が約10%となっており、非常に難易度の高い資格ではあります。

しかし、取得できれば新卒でも経理担当者になりやすく、自分の夢や目標に一歩近づけるはずです。新卒で経理部門に配属されたいなら、日商簿記2級以上の資格取得を目指しましょう。

新卒が経理になるために必要なスキル・資格

新卒が経理担当者になるために必要なスキルや資格、資質について解説します。

経理を目指している方は、自分が条件に当てはまっているか振り返ってみてください。

細かく数字をチェックする正確さと根気強さ

経理は会社のお金、顧客に支払うお金、請求するお金を計算・管理する仕事ですから、例え1円であっても間違いがあってはいけません。

1日の収支計算に1円でもズレがあるなら、計算が合うまでひたすら計算し直すのが仕事です。

1円の間違いでも会社や取引先に多大な迷惑が掛かることから、数字を細かくチェックする正確性・精度と、一つひとつの項目を比較して計算していく根気強さが求められます。

人間は単調な作業が続くと集中力が切れやすく、些細なミスをしやすい生き物です。

そのため、どんなに細かな数字の間違いも見逃さず、的確に修正できる人は経理に向いています。

また、決算報告や確定申告などの期限が設けられている仕事もありますから、期限内に終わらせられる責任感も重要な資質です。

H3:数字を基に客観的に分析できる力
経理は毎日会社の数字や記録と向き合い、日次・月次・年次の収支報告書などを作成しなければなりません。

数字の変動から経営基盤の安定性や業績の予測を行い、社員全員が情報共有できるような資料作りをすることも仕事です。

そのため、主観的な意見だけではなく、数字からわかる客観的な予測や分析を行えることも、経理にとっては大切なスキルです。

また、心構えとして、会社のお金を管理するということを念頭に置いて、不正会計がないようにしなければなりません。

時には、お金の流れから経営活動を分析し、経営陣に状況を説明する場面もあるでしょう。

数字から会社の経営状況はどうなっているのか、現場で働く社員はどう動いているのか、という会社全体まで正確にイメージすることが経理としての腕の見せ所です。

簿記以外の資格も取得する

経理で働くなら日商簿記の資格はほぼ必須ですが、他にも経理で働くのに有利な資格はあります。

企業の経理業務・独立開業・外資系企業の経理業務・初心者向けの4つの分類からおすすめの資格を一覧で紹介します。

分類 おすすめの資格
企業の経理業務
  • ビジネス会計検定
  • FP技能検定
  • 電子会計実務検定
独立開業
  • 公認会計士
  • 税理士
外資系企業の経理業務
  • 米国公認会計士(U.S.CPA)
  • 国際会計検定(BATIC)
  • TOEIC
  • 認定ファイナンシャルプランナー(CFP)
初心者向け
  • 経理・財務スキル(FASS)検定
  • 経理事務パスポート検定
  • 消費税法能力検定

日商簿記1・2級以外で資格を取得するなら、上記の資格取得を目指しましょう。

最初は初心者向けの経理・財務スキル検定や経理事務パスポート検定がおすすめです。

その後はキャリアに応じて、FPやCFP、ビジネス会計検定など業種や仕事内容に合わせた資格を取得すると良いでしょう。

もちろん、最優先は日商簿記ですが、色々な資格を取得しておけば働く意欲も認められ、経理に配属される可能性が高まります。

新卒で経理を担当するために、日々の学習を怠らないでください。

まとめ:新卒で経理を任されるには資格はほぼ必須

新卒社員が未経験・無資格で、いきなり経理を任されることはそれほどありません。

ですが、資格を持っていれば、知識があると評価されて経理に配属されるチャンスがあります。

そもそも、経理は比較的若いうちに担当し、その後も長くキャリアを積んでいく仕事です。

新卒または若手のうちに経理を経験したいなら、日商簿記2級以上の資格はほぼ必須と言えます。

高校・大学を卒業し、新卒として就職活動される方は、まずは資格の取得を優先しましょう。

経理の仕事は資格の有無で全く扱いが変わりますから、チャンスを掴むためにも資格取得の勉強から始めてください。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷