- 「新卒は大手企業に入社するべき」
- 「新卒でベンチャー企業はやめとけ」
- 「新卒でベンチャー企業には絶対入らない方がいい」
就職活動中にこう言われたらベンチャー企業ではなく大手企業への就職を目指そうかな‥と思う就活生が多いでしょう。
しかし、ここ数年で新卒からベンチャー企業へ就職する学生が増加傾向にあるのです。
新卒はベンチャー企業へ就職すべきなのか?すべきでないのか?
また、新卒からベンチャー企業に就職するならどのような点に注意すればいいのか?など、ベンチャー企業への就職に興味がある・悩んでいる就活生に役立つ情報を紹介していきます。
この記事の監修者:中園暁子さん
プロフィール
大学卒業後から大手進学塾で国語を専門に、約4000名超の中学・高校受験生の指導にあたる。転職後、コーチングを学び、コミュニケーション力向上をテーマとした企業様研修なども担当。加えて人事部として、新卒採用や中途採用担当となり、面接で力を出せない姿や、職業選択で迷う学生たちを目の当たりにし、将来、彼らの力になることを決意。
現在は、代表を務めるN-Projectで、大学生の就活支援や若年層の転職支援、キャリア授業、求職者支援訓練のキャリアカウンセリングなどを行っている。またコーチングや心理学に基づいた「子育てセミナー」も定評がある。
新卒でベンチャーやめとけ!と言われる理由とは?
“ベンチャー企業”とは独自のアイデアや技術をもとに新しい技術やビジネスモデルを展開している企業のことを指し、多くが小規模から中規模企業であることが特徴です。
代表的なベンチャー企業
- サイバーエージェント
- 楽天
- メルカリ
- ぐるなび など
ここに挙げたベンチャー企業はベンチャー企業から大企業へ成長したメガベンチャーと言われる企業であり就活生からの人気が高い企業です。
メガベンチャーであれば独自のビジネスモデルが確立されており、経営も安定していますがベンチャー企業すべてがメガベンチャーではありません。
設立間もないベンチャー企業がメガベンチャーとなる可能性を秘めていることは否定できませんが、ビジネスモデルが確立し経営が安定するまではハイリスクな選択と言わざるを得ないのです。
この他にも「新卒でベンチャーやめとけ!」と言われる理由には以下のようなことが挙げられます。
- ベンチャー企業で成功する保証はない
- 甘い謳い文句に騙されている
- 大手からベンチャーへの転職は可能だが、ベンチャーから大手への転職は難しい
- 基本的にベンチャー企業は人手不足であるため大企業にはないような雑務が多い
- ベンチャー企業でも新卒者に裁量権はない
簡単にまとめると、
将来的なことを考えると大手企業出身であることが強みとなる、人を育てる環境が整っている大手企業で任された仕事を堅実にこなしていくべき、保証のない“夢”を見るべきでない‥
と言ったところでしょうか。
大手企業に就職できない人が妥協して就職するのがベンチャー企業と考える人も多いのです。
会社の方向性やビジョン、働き方など確認しよう
日本で生まれたベンチャー企業という言葉は、非常に幅広い意味合いで使われています。
設立が間もない企業、スモールビジネスを展開する企業、また既存のビジネスモデルをベースに収益性を高める工夫をする企業などです。
ベンチャー企業と比較されがちなものとして、「スタートアップ企業」があります。スタートアップ企業とは、これまで市場になかった革新的な全く新しいビジネスモデルを創出する企業のことです。
それぞれの会社の社会的存在価値や特徴をしっかり確認し、何に力を入れていて、これからどうしようとしているのか、その方向性やビジョン、働き方などが自分の希望と一致しているのかなどを確認することが大切です。
新卒でベンチャーを選択する優秀な就活生が増加中
「新卒でベンチャーやめとけ!」と言う人がいる一方で、ベンチャー企業のチャレンジできる環境に魅力を感じ新卒でベンチャー企業を選択する就活生が増えていることも事実です。
“ベンチャー企業に就職”とはやや異なりますが、2023年5月に経済産業省が公表した『令和4年度大学発ベンチャー実態等調査』によると大学発ベンチャーが年々増加していることが分かります。
参照:経済産業省『令和4年度大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました(速報)』
大学発ベンチャーが最も多い東京大学の松尾豊教授は「ベンチャー企業が活躍しないと、日本経済は成長しない」と断言しています。
東京大学の新入生のうち1割程度は起業家を志向しているといい、コロナウイルスなどの影響で大きく落ち込んだ日本経済を立て直すのが若き起業家たちでありベンチャー企業だと松尾豊教授は期待しているといいます。
実際に大手企業に就職すると心に決めていた就活生がベンチャー企業でインターンをしたことをきっかけに、ベンチャー企業に対する見方が大きく変化することがあります。
- 大手企業にはない魅力(発想力の高さ、広い視野で全体を把握する力)
- 自分のやりたいことを最優先にできる
- 目標とする人物との距離が近い
いずれは起業したい、独立したいなど将来の目標が明確な就活生ほど大手企業よりもベンチャー企業を選択する傾向にあるように感じます。
コロナショックで多くの企業に影響が及び大手企業だからと安心していられない状況を目の当たりにした人も多かったのではないでしょうか?
これからは自らで考え行動できる人こそが生き残っていける時代となるはずです。
ベンチャー企業への就職はチャレンジでありチャンスでもあるのです。
「本当に自分が何をしたいのか」を問われる時代に
「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」の結果によると、2020年卒以降、減少傾向であった「楽しく働きたい」が最多で37.6%(対前年2.8pt増)となり、続いて「個人の生活と仕事を両立させたい」「人のためになる仕事をしたい」となりました。
また大手企業志向は48.5%(対前年2.6pt減)、対する「中堅・中小志向」は47.8%(対2.9pt増)となり、両者の数値は17年卒調査以来、最も差がなくなりつつあります。
多くの学生はその会社でやりがいのある仕事ができることを重要視し、それが実現できるのであれば大手企業であることにこだわらないという傾向が読み取れます。
いよいよ「本当に自分が何をしたいのか」を問われる時代になってきた、とも言えます。
*参照:マイナビキャリアサーチLab『2023年卒大学生就職意識調査』
ベンチャー企業と大企業の働き方の違い
チームとして仕事に取り組む大企業と対照的な働き方であるのがベンチャー企業の特徴です。
社員一人一人の考えや意見を積極的に取り入れスピード感を持って事業に取り組み、主体的に携わっていくことが求められます。
また、社員の多い大企業のように部署が細分化され仕事の分業が進んでいない場合が多く、雑用も含め幅広い仕事をこなしていく必要があります。
色々な仕事に携わることで成長スピードが早くやり甲斐を感じやすい反面オーバーワークになる可能性も否定できません。
福利厚生に関しても大企業のように充実しているベンチャー企業は少ないですが、ユニークでオリジナリティのある福利厚生を提供している企業もあるので調べてみるとそのベンチャー企業の社風を読み取れることもあり参考になります。
大企業と比較すると仕事の規模は小さいですが、個人に与えられる裁量権、仕事量が圧倒的に多く成長できる機会に恵まれた環境です。
ベンチャー企業の特徴
- 社員一人一人の意見が尊重されやすい
- スピード感がある
- オールマイティーに仕事をこなしていく必要がある
- 成長スピードが早い
新卒がベンチャー企業で働くメリット!ベンチャーに向いている人の特徴
ベンチャー企業の働き方や特徴からもベンチャー企業で働くメリットを感じられると思いますが、中途採用ではなく新卒がベンチャー企業で働くことで得られるメリットとベンチャー企業に向いている人の特徴を挙げていきます。
メリット
- 入社したばかりの若手にも一定の裁量権が与えられることがある(自分の意見が言える、反映される、声が通りやすい、早い段階で仕事を任せられることがある)
- 実践を通して成長できる(教えられるのではなく日頃から成長のチャンスが多い)
- 年齢や勤続年数ではなく実力・実績が評価される(実力さえあれば若いうちから活躍でき昇給・昇進も可能)
- 経営陣と近い距離で仕事ができる(様々な事を学び吸収できる、経営者視点を身につけられる)
- 若手のうちから主体性、自発性が身につく(活躍の場が広がれば提案力や企画力、マネジメント力も早めに身につけられる)
- 会社への貢献度が分かりやすい(自分の関わった仕事がダイレクトに反映される)
ベンチャー企業に向いている人
- 将来的に起業を考えている人
- 明確な目標(やりたいこと)がある人
- 給与ではなく仕事への“やりがい”や“自身の成長”を重視している人
- 競争意識の高い人
- アグレッシブでありチャレンジ精神旺盛な人
- 変化を楽しめる人
- 自分の実力を試してみたい人
保守的な考え方の人や決められた仕事をしっかりとこなしていきたい人、一つの会社に長く勤めたい人はベンチャー企業よりも大企業が向いています。
自分の性格や思い描いているキャリアビジョンによってベンチャー企業向きなのか、大企業向きなのかを見極めることは可能です。
「成長できそうだから」「自由に働けそうだから」「楽しそうだから」など何となくのイメージだけでベンチャー企業への就職を決めるのではなく、なぜベンチャー企業に就職したいのかが重要です。
説明会やインターンシップに参加し自分の目で確かめよう
様々な場面でのオンライン化が進んだ影響か、学生さんの「自分にあうキャリアが不明瞭」「どう業界を広げたらいいのかわからない」「企業選択の判断軸がわからない」という不安の声が増えている、という話を耳にしたことがあります。
友人にも大学・教員にも相談する機会が減っているのかもしれません。
就活が本格化すると時間に余裕もなくなり、手あたり次第試験を受ける、ということもあるかもしれません。
インターンシップも複数参加すると、比較ができるようになり、気づくこともその分増えます。
計画性をもって、説明会やインターンシップに参加し、自分の目で確かめたり、社員の方への質問の機会などで聞きたいことを聞ける準備をしておくことなどが大切です。
優良ベンチャー・ホワイト企業の見分け方
ベンチャー企業のメリットを紹介しましたが、メリットがあればデメリットもありホワイト(優良)ベンチャー企業もあればブラックベンチャー企業があることも確かです。
ベンチャー企業に限らず、入社する企業によって良し悪しが分かれるので、社会人デビューとなる新卒者は特に注意が必要となります。
ベンチャー企業への入社は多少のリスクがあるものの、急速に売上を伸ばし急成長を遂げる企業も少なくはないため、事前にしっかりと情報収集をして優良ベンチャー・ホワイトベンチャー企業を見極めることが大切です。
業績の伸び率が良い
過去数年の業績の伸び率が大きければ将来的な成長に期待できるベンチャー企業であると判断しやすい
ベンチャーキャピタルから投資を受けているか
将来性がある・高い成長率を有する未上場企業に投資を行うベンチャーキャピタルから投資を受けているベンチャー企業は今後の成長に期待できる
受賞歴
優良な企業を表彰する制度(「日本ベンチャー大賞」など)の受賞歴をチェック。企業の強みや実績が分かる
経営者の人物像
経営者の人柄やしっかりとしたビジネスモデルを持っているのか、今後のビジョンなど自分の上司となるかもしれない人が信頼できそうな人物なのかを企業のホームページやSNSなどでチェック
また、社長自らが採用選考に関わっているベンチャー企業は人材を大切に考えている可能性が高い
成長しているマーケットで結果を残しているか
成長産業・業界やこれから成長していくと思われる産業・業界をターゲットにしていて、結果を残せているベンチャー企業であれば今後も成長しやすい傾向にある
オフィスの移転歴
業績が伸び、業務が拡張している企業は会社規模に合わせより広い場所へ移転することがあり、郊外から都市部への移転もプラスの要素が窺える。広い場所・条件の良い場所へのオフィス移転を繰り返しているベンチャー企業は成長している証
ブラックベンチャー企業を回避するには
優良ベンチャー企業の見極め方と同じように、ブラックベンチャー企業にも特徴があります。まず、ベンチャー企業のデメリットから見ていきましょう。
ベンチャー企業のデメリット
- ハードワーク、オーバーワークになりやすい
- 離職率が高い
- 経営基盤が安定していない
- 福利厚生が整っていない
- 最悪倒産する可能性も
一般的にベンチャー企業のデメリットとして挙げられることは、いわゆるブラック企業の特徴と似ています。入社したベンチャー企業がブラック企業なのかを見極めるのは社会人デビューしたばかりの新卒者では区別が難しいかもしれません。
事前にブラックベンチャー企業を回避するためにできることは、ブラックベンチャー企業の特徴を頭に入れておくことが大切です。
ブラック企業の特徴というのは案外わかりやすいのです。
ブラックベンチャー企業の特徴を知る
特徴
- 募集人数がやたら多い
離職率が高いため常に大量募集している、人材を大切にしていない
- 書類選考がない、内定までが早い
人手不足で誰でもいいからすぐに人材が必要
- 社名を変更している
過去に不祥事や問題を起こしたことがある可能性
- 募集要項に記載されている給料が他のベンチャー企業よりも高い
基本給ではなく残業代を含めた金額であり、異常に残業が多い可能性も
- 求人に抽象的な言葉や甘い謳い文句が多い
「成長できる」「高年収」「夢」「フラットな組織」「若い世代が多く働きやすい」など、具体性がなくポジティブな言葉を並べているだけの企業は要注意
ベンチャー企業は創業したばかりの規模が小さい会社が多く、労働環境が整っていない・経営が安定していない・会社が軌道に乗るまで従業員は二の次・資金力がなく薄給‥などブラック企業化しやすい傾向にありますが、すべてのベンチャー企業がブラック企業体質となっているわけではないので事前にチェックできる特徴を頭に入れておきましょう。
就活生が優良ベンチャー企業に就職する方法
優良ベンチャー企業に就職するには、インターンに参加する、専門の就活サイトを使う、この2点が有効です。
インターンに参加する
学生のうちに興味のあるベンチャー企業への訪問や一定期間働くことができるインターン(インターンシップ)に参加することはおすすめです。
ベンチャー企業のインターンに参加するメリット
- インターン先企業や業界への理解が深まる
- 現時点での自分の実力が確認できアドバイスをもらうことで今後の成長に繋がる
- 志や目的意識の近い他大学の学生から刺激をもらえる、就活に関する情報交換ができる
- 経営者と近い距離で就業体験できる
- 仕事の厳しさや大変さをリアルに感じられる
インターンには短期(1日~1週間程度)と長期(1ヶ月~)があり、現場で実際に働けるのは長期インターンです。ブラック企業か否かを見極めることやインターンの経験を今度に活かすことを考えると長期インターンに参加するほうがいいでしょう。
ベンチャー企業に特化した就活サイトを利用する
就活サイトは数多くありますが、ベンチャー企業・成長企業に特化したサービスの利用がおすすめです。
ベンチャー企業からスカウトがもらえる就活サイト【チアキャリア】
「働きがい」「やりがい」「成長」を重視した就職を叶えたいベンチャー志向の就活生におすすめなのがスカウト型就活サイトである「Cheer Career(チアキャリア) 」です。
ホワイト企業を厳選
Cheer Career(チアキャリア)を利用している企業はベンチャー企業・成長企業が中心であり、“本業において公益性があること” “成長環境があること” “人材・組織ポリシーに共感・賛同できること”の3つのポイントをクリアした社会やあなたにとっても良い価値を提供してくれる企業ばかり。
スカウトで効率的に就活
自分らしさをアピールすることであなたに興味を持った企業からのスカウトが届く確率が高く、Cheer Career(チアキャリア)のスカウト受信率は脅威の94.6%!就活の視野・可能性を広げることのできるサービスです。
CheerCareerでは1学年約40000名の学生が利用し、スカウトを受け取っています。スカウトメールを送っているのはベンチャー・成長企業など、業界でも注目されている企業の社長や人事。一斉送信ではなく、1通1通厳選してスカウトメールを送付しているため、あなたへの採用の期待度もかなり高くなっています。
待っているだけでも効率的に仕事探しができます。
視野を広げられる
また、Cheer Career(チアキャリア)就活支援のセミナー・イベントも充実しており、特に人気の高いイベントが内定直結就職イベント「情熱フェスタ」です。優良ベンチャー6社の社長に会うことができ、社長自らが学生をスカウティングすることも!
Pointベンチャー企業の情報収集目的としてもこのような就活サイトの利用は有効
新卒を積極的に採用するベンチャー企業の特徴とは?
ここまで「新卒×ベンチャー企業」について色々とお話ししてきましたが、そもそも新卒採用を行っていないベンチャー企業も多くあるため自分のやりたい仕事とマッチしたベンチャー企業を見つけたとしても入社する方法が中途採用のみということも十分あり得ます。
新卒を採用しない理由として、
- 新卒を教育する時間が取れない
- 新卒は育成に時間がかかるから
- 即戦力を求めている
- 新卒を雇う資金的な余裕がない
このようなことが考えられますが、ベンチャー企業の中にも新卒採用を積極的に行っている企業もあります。
いわゆるメガベンチャーと言われる企業は経営が安定しており教育体制も整っているため大企業のように新卒採用を積極的に行っている場合が多いです。
ベンチャー企業とは言えメガベンチャーへの就職は比較的難易度が高い選択となりますが、メガベンチャー以外にも新卒採用を積極的に行っているベンチャー企業に共通する特徴には以下のようなことが挙げられます。
新卒を積極的に採用するベンチャー企業の特徴
- 新卒を雇う資金力がある
- 新卒の育成(教育)環境が整っている
- 近い将来(事業・サービスの拡大、上場など)を見据えて若手を育成している
成長する可能性の高いベンチャー企業
求人情報などから新卒採用に積極的なベンチャー企業を探してみてもいいですが、ベンチャー企業の探し方や見分け方に自信がない人や、優良ベンチャー企業へ就職したい人は先ほど紹介したような就活サイトを上手に活用してみましょう。
ベンチャー企業だっていいじゃないか
新卒でベンチャー企業に就職するのであれば
「伸びている企業」
「これから伸びる可能性の高い企業」
に入社することが重要です。
ベンチャー企業は成長できそう!と期待しがちですが、やりたい仕事やキャリアビジョンが明確であり成長できる環境が整ったベンチャー企業で働くことでベンチャー企業のメリットを最大限活かせます。
新卒はベンチャー企業はやめとけ!大手企業に就職した方がいい!なんて言葉は全ての就活生に当てはまることではなく就職先の向き不向きや価値観は“人それぞれ”であり“考え方次第”です。
大切なことは妥協から始まる就活ではなく、目的意識をしっかりと持った自分らしい就活なのではないでしょうか。
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