「転職」の二文字が頭を過りだした時。現実的に考えている時。
あるいは、新しい世界に踏み出そうとしている時や、今の仕事に拭いきれない違和感を覚えた時。
みなさんが伸す手の先には一体何があるでしょう?
情報収集のためのパソコン? 転職情報誌? 履歴書や職務経歴書?
望む職種の専門書だという方もいれば、資格の本だという方もいるでしょう。
また、転職後のことを考えて、必要スキルのトレーニングに励まれる方もいらっしゃるかもしれません。
そして、自分自身を高めるために自己啓発本に手を伸ばす方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちなみに、私が転職を考えだした際には「自らの運気を劇的に上げようと思って風水の本を読み漁り」「神社仏閣への正しい参拝の仕方を調べまくっていた」派なのですが(後に大きく正すことになりますが、その時は良かれと思って)、今ならただただこう思います。
「それもこれもいいけれど、なにはともあれまずは体力をつけよう」と。
もしも、これからの人生で「仕事についての金言を一つ選びなさい」という設問に出逢った際や、「我が子に残す言葉を一つ選びなさい」なんていう問いを課せられた際にも、私はきっとこの言葉を選ぶと思います。
「まずは体力だ」と。
というのも、ベストパフォーマンスで仕事を完遂し、余すことなくポテンシャルを発揮し、自分を活かしていくためには、職種を問わず「体力」が必要だからです。
アイデアを形にするにも、パワフルなプレゼンをするにも、直観を活かすにも、です。
いや、お仕事に限らず、夢を叶えようとする時にも、自分の楽しみを楽しみ尽くす時にも同様だと言えます。
反対に、これがないと全ての理想は絵に描いた餅。想像。妄想。
故に、つけるべきは、体力。持つべきは、体力。新人さんも中堅さんも、鍵は体力。
実は、体力というのは何もしなくても減っていきます。
心臓を動かし、呼吸し、脳を動かしている以上、私たち生物は常に消耗しているからです。
それは精神論や根性論で補えるものではなく、自然の摂理によるもの。性別や容姿に関わらず、万人に共通する宿命とも言えます。
その上で、私たちは日常をこなし、仕事に就き、業務を進めていくわけですが、仕事となればスピードや正確性、繊細さや気遣いが求められることもあるでしょう。時にはストレスにも晒されるでしょうし、雨風に晒される機会もあるかもしれません。
そうなった時にも当然、脳を使えば使うほどに、体も使えば使うほどに体力を消耗していくのですが、そもそもの基礎がないと、ベストパフォーマンスを発揮する前にチカラ尽きてしまう、なんてことにも成り兼ねません。
どんな能力を秘めていようと、どんな才能があろうと、それを開花する前に「終了」してしまうのです。
だからこそ、実はどんな職にも体力が必要。
これはホワイトカラーも例外ではありません。
「お仕事を上手く回す秘訣は気力では?」と思われる方もいらっしゃると思うのですが、気力の基盤となるのは体(フィジカル)です。
というのも、気力や精神力というのは、それそのものが単独で機能しているのではなく、体力という基盤の上にあるものだから。
だからこそ、今、何をしたらいいのか具体的に分からない!という方も、明確な目標が見えているという方も、基礎体力の向上だけは侮らないように。
じっと考えこむ時間が続くようであれば、ウォーキングでも、ウエイトリフティングでも、スイミングでも、ランニングでも、とにかく体と脳を動かし、体力作りに励むこと。
某外資系車メーカーのショールームの受付嬢の一人は、360度どこから見ても美しい姿勢を保つために、腹筋と背筋のトレーニングを欠かさないと仰っていました。
それらの筋肉がないとすぐに猫背になってしまうし、正しい姿勢を気力や意識だけで維持しようとするのは難しいことなのよ、と。
かの歌姫が、かつてはオーディションに落ち続ける日々を送っていたように、かの名優が野晒しの死体役で銀幕デビューしたように、かの名女優が“お色気要員”からスタートしたように、どこの世界においても、最初の一歩、最初の一段、最初の仕事というのは、エネルギー消費量の多い内容であることが多々あります。
それは私たちの職においても同様で、「最初」というのは何かと疲れるもの。
が、「今が充実している人」というのは、ここを通り越し、結果を出してきた人だと言えます。
そのためにも、なにはともあれまずは体力!
仕事を楽しむにも、自分を活かすにも、夢を叶えるにも、まずは体力!
第3回「やる気になる度に、それを阻む事象が起きる時には」へ続く