年齢が高くなるにつれて、それまで働いてきた実績や過去のスキルにこだわりを持つことが多いようです。
60歳以上のシニア向け相談では、特にそれを感じることがあります。
「40年間営業一筋、最後は部長職で定年退職しました。接客は得意なので経験を活かした仕事を希望します。」
こんな相談があるとします。ご本人の経験は素晴らしいし、接客が好きなのも理解出来ます。
でも、態度が椅子にふんぞり返っていて、言葉の調子が「上から目線」を感じてしまうのならこの人が接客で大丈夫だろうか?と採用側は不安になります。(男性に限らず女性にも見受けられます)
まだ部長気分が抜けていない方に、いきなり現場を任せられないものです。
また、ブランクがある女性に多いのが「昔は~」タイプです。
結婚や育児で退職されて久しい方は、現状が見えていない場合があります。
「結婚前は事務を10年ほどやっていました。パソコン操作はあまり得意じゃなくてワードやエクセルはよく分からないので教えてもらえると助かります。」
今どきパソコンが使えないという時点で事務職は難しいですし、手取り足取り教える暇は職場にはありません。即戦力が欲しいという採用側の意図を汲み取れない例です。
以前の仕事が何年前なのかにもよりますが、あまりにも年数が経っているのであればそれは現状にそぐわないですね。
ひと昔前のスキルは使えるものかどうかの判断が冷静に出来るようになっておきたいものです。
では、これまでやってきたことは無駄になるのでしょうか?
そんなことは決してありません。
キーワードは「しがみつかない」です。
基本に戻りましょう。なんのために転職を考えましたか?
あなたが求める転職先に行くために必要なことは、前職での輝かしい成績でも想い出でもありません。
今何が出来るかということです。
仕事にブランクがある先ほどの女性の場合は、過去の事務経験を自己PRしてもダメでした。退職から現在に至るまでを伝える必要があるのです。
どうしても事務職に就きたいと思うなら、事前にパソコンの勉強は必要です。最低ワード・エクセルの基本操作が出来ないと職場では誰も教えてはくれませんね。
プラス、今どきの事務職に求められることも情報収集しておく。
その上で、職場で自分が役に立つ人材であることを伝えていかなければならないのです。
ここまで準備する中で「もしかして、私は事務職をそれほどやりたいと思わないのかも?」と気付くことも出て来ます。
同じ事務職でも、企業によって仕事内容は違いますね。前職で慣れているから次も、と安易に決めつけることがないようにしたいものです。
ミドル・シニアという言葉をご存じでしょうか?
「ミドル」は30代後半から50代前半、「シニア」は55歳以降と言われています。
40代で転職するということは、定年まで約20年。
50代での転職ならば、定年まで約10年働くことになります。
(但し、定年が60歳の場合)
もしかすると、この転職が職業人生の最後の場所選びになるかも知れません。
ならば、これまでの仕事内容にしがみつく必要性があるかどうかをもう一度考えてみませんか。
積み重ねてきた実績やスキルを捨ててしまうのではなく、それを基に新しい分野に挑戦してみる。
大人になるほど失敗を恐れる傾向にはあります。でも、転職するということはすでに次へ一歩を踏み出すことですね。
「自分の可能性を信じてみること。」これが転職を成功させる秘訣です。
勤務条件や働き方、自分の立ち位置など考えることはたくさんあるでしょうが、これまで身にまとってきた思い込みが実は独りよがりなものだったと気づくのが転職時だったりします。
せっかくの機会です。
実はやってみたいと思っていた仕事や、ちょっと面白そうと感じる企業を見つけたらチャレンジしてみてはいかがですか?
年齢で諦めるのではなく、年齢を重ねてきたからこその経験や魅力を発揮しましょう。