高卒と大卒、学歴で就職や年収の差はでるのか?

高卒と大卒、就職や年収で学歴の差はでるのか

就職活動や転職活動においてどうしても付いて回る学歴問題。「高卒よりも大卒の方が優遇される」「大卒の方が就職に有利」など、噂レベルのものから実体験まで、世間でも様々な意見があることと思われます。

特に高卒の方が転職活動をしようとしたとき、高卒であることがネックで転職に不安を覚えることもあるのではないでしょうか?

今回は、転職市場における高卒と大卒の差の実態と、高卒が転職活動を行う上で大切にしたいポイントをご紹介いたします。

[高卒と大卒の違い] 市場における現状を比較

高卒と大卒にどのような差や違いがあるか、具体的な数値やデータから比較してみましょう。

高卒は離職率が高い

高卒大卒
まずは、高卒と大卒の離職率です。厚生労働省が発表したデータによれば、就職後3年以内に離職する割合は2016年卒の大卒者では32.0%であるのに対し、高卒は39.2%と大きな差があることがわかります。

また離職の理由も、「人間関係が良くなかった」という理由に関しては大卒が15.5%であるのに対し、高卒は19.6%と、他の理由に比べて大きな差があります。

この背景には、日本の高卒の就職活動は学校からの斡旋をメインに行われていることが挙げられます。学校からの斡旋を受ける場合、ほとんどが「1人1社制」を原則としているため、大卒の就活生のように複数社から比較検討するということができません。

しかも、学校に送られる求人票のほとんどは待遇面が簡単に書かれただけのものであったり、内定が出た場合は辞退NGという暗黙のルールも未だ根強く存在しているため、実際働いてみたら思っていたものと違ったという事象が起きやすいのです。

また、高校生は大学生よりもアルバイトの機会が少なく、社会体験を得られないまま社会人になる人が圧倒的に多いという面もあります。そのため、高校生の就活環境では“社会人として働く”ことのイメージがつきにくく、ミスマッチを起こしやすいと考えられます。

しかし転職市場においては、残念ながらこうした背景はあまり考慮されていません。単に『離職率が高い=すぐ辞める』というイメージがつきまとっているため、高卒はすぐ辞めると考えてしまう採用担当者も少なくないでしょう。
引用元:厚生労働省 学歴別就職後3年以内離職率の推移(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000556419.pdf)

高卒は就職率も高い

高卒大卒
一方、就職率はどうでしょうか。2人に1人が大学に進学している昨今ですが、高卒の就職希望者も17.7%と一定数で推移し続けています。

そして注目すべきはその就職率。就職成功者は約17.4%と、希望者のおよそ98%が就職に成功しているのです。これは2019年の大卒就活生の就職率89.1%と比較すると、どれだけ高い就職率を誇っているかが読み取れます。

特に工業や農業、商業、情報、福祉などの専門学科においては、99%を超える就職率を出した分野もあるほど。ITや福祉などの業界では人手が不足していることも相まって、高卒だからと言って必ずしも就職が難しいという事ではないようです。

ちなみに転職における就職成功率は、正式なデータは発表されていませんが、大手転職サイトの調査によると高卒も大卒も就職成功率にそれほど差がないことがわかっています。これは、中途採用では新卒採用と異なり、ポテンシャルよりもスキルや経験を重視する傾向にあるためです。

引用元:文部科学省2019年調査データより(https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kousotsu/kekka/
k_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/17/1416864_001.pdf)

高卒・大卒の転職事情

就職活動の時と同様に応募条件を”大卒以上”としている企業の場合は応募を躊躇してしまい「やっぱり高卒だと‥」と思いがちですが、転職時は学歴よりも経験・スキルが大事です!

就職年齢を比較すると、早い人で高卒は18歳、大卒は22歳から社会人として働き始めます。
その差は4年。大卒よりも社会人経験が長い高卒の経験・スキルを武器に転職を成功させている人も多く居ます。

とは言え、高卒は大卒と比べ転職先の幅を考えると少ないことは確かであるため、幅広い転職先から企業を選べるという面では大卒の方が有利であると認識しておく必要があります。

Point転職時に必要なのは、学歴より経験・スキル・やる気も大切◎

一流・有名大学出身者であっても経験・スキルが伴っていなければ学歴なんて全く関係ありません。
いずれ転職をしたいと思っているのであれば学歴よりも『経験』『スキル』『実績』を身につけておくことを一番に考えましょう!
また、人間性やコミュニケーション能力を伸ばしておくことも転職に於いて重要なポイントとなってきます。

高卒・大卒の待遇・賃金

それでは高卒と大卒、実際に社会人となった後には、どのような差が出てくるのでしょうか。

初任給

生涯賃金

職種

出世

これらの項目においての高卒・大卒の違いを見ていきましょう。

学歴でみる初任給(男女別)

最も顕著にあらわれるのは給与額です。厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」によると、高卒と大卒の初任給の時点で4万円~5万円の差が出ているのがわかります。

もちろん高卒は大卒よりも最低でも4年は長く社会人経験を積むことになるため、同年齢の大卒者が入社する頃には、昇給して大卒者よりも給与が多くなることもあるでしょう。

大卒 高卒
男性 21.2万円 16.8万円
女性 20.7万円 16.4万円
男女計 21万円 16.7万円

参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」

しかし厚生労働省同調査のグラフを見てもわかるとおり、どの年齢においても高卒よりも大卒の賃金が上回っており、学歴による給与の差は簡単には埋められないということがわかります。
参考:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/dl/03.pdf)

生涯賃金

高卒:2億5000万円
大卒:3億3000万円
参照:ユースフル労働統計 2019「生涯賃金など生涯に関する指標 」

職種

高卒:一般職
大卒:総合職、専門職(※専門的な知識と学力が必要)

出世

高卒:出世を目指すなら転職を考える必要も?
大卒:一企業で働き続ける場合、上役や経営幹部に就きやすい傾向

転職時の待遇面においては、学歴の差が生じることはほとんどないといっていいでしょう。企業にもよりますが、転職時の給与を定めるポイントは、本人のスキルや経験と前職での給与です。大卒だから、高卒だからという理由だけで給与が設定されることはほぼありません。

新卒で入社した後のキャリア形成では、特に企業規模が大きいほど大卒と高卒で差がつけられることもあるので、現在の職場で大卒よりも出世したいがその環境がないという高卒者は、転職することで逆に実現できる可能性があるかもしれません。

学歴による有利不利は、本当に存在するのか

高卒と大卒の市場における違いが理解できたところで、いよいよ本題です。中途採用の現場では、学歴による有利不利は本当に存在するのでしょうか。

根深く残る、学力至上主義

転職活動中の方なら、1度は見たことのある求人広告。たくさんの求人に目を通すと、応募要件に『大卒以上』『学士号以上取得者』などという記載を見たことがある方もいるでしょう。

もちろん、『学歴不問』という求人も数多く存在しますが、大手転職サイトに掲載されている求人の内、大卒以上を募集要件とする企業の割合は全体の約44%と半数近くに及びます。当然ながら、高卒は『大卒以上』を募集要件とする企業に応募することはできないので、求人の約半分は応募資格すらないということになります。

また、入社後のキャリア形成においても、役員まで昇進できるのは大卒のみという暗黙のルールや、高卒は管理職になれないなど、水面下でそうした実態のある企業が未だ見受けられることも事実。まだまだ日本の転職市場においては、学歴を重視する企業が存在しているというのが現状です。

企業から見た高卒と大卒の違い

高卒大卒
では実際に企業側からは、高卒と大卒の求職者にどんな違いがあると見られているのでしょうか。また、高卒と大卒ではどちらの方が採用したいなど、求職者側にとって有利不利はあるのでしょうか。

確かに新卒で採用する場合には、両社に社会経験の差を感じる採用担当者もいるでしょう。特に敬語やビジネスマナー、パソコンなどのITスキルには大きな差があると捉えられ、中途でも社会人歴が浅いうちはそれが顕著にあらわれることもあるかもしれません。

しかし1度社会人になった後は、同年齢であれば社会人経験が長いのは高卒者。特に20代や30代前半くらいまでは社会人歴の長さがスキルや知識に直結することも多く、大卒よりも長い社会経験の中で培われた技術や経験を買っている企業も多く存在します。但し社会人歴が20年近くにもなると、高卒・大卒の社会人歴の長さの差はそれほど関係なくなってもきます。

また、大卒者は学生時代にある程度の社会観や職業観を既に形成させていることもあり、高卒ならではの“素直さ”に魅力を感じている採用担当者も少なくありません。上司や先輩から可愛がられやすいといった人間性は社会人歴を積んでも残るもの。そこを評価する採用担当者もいるでしょう。

違いはないと考えている企業も多い

前述のとり、高卒と大卒には違いがあり、故に募集要件で学歴を定める企業は確かに一定数存在しますが、学歴不問としている企業においては、学歴による差はほとんどないと考えられていると言えるでしょう。

実際人手不足といわれるITや福祉業界においては、未経験であれば大卒・高卒の差は特になく、どのようにスキルを磨き経験を積んでいくかは本人のポテンシャルによるという声もよく聞かれます。また、高卒者には「大卒に負けてなるものか」という反骨精神の強い人も多く見受けられ、大卒者も「高卒には負けられない」というプライドを持つ人が多くいます。そうした両者の相乗効果を狙って、どちらも均等に採用しようという企業も実際にあります。

高卒が転職を成功させるためのポイント

中途採用では学歴よりも職歴が重視されるとはいえ、やはり転職活動を有利に進めるためには高卒ならではの大切なポイントがいくつかあります。下記の3つのポイントを抑えて、ぜひ理想の転職を実現させましょう。

大卒との違いをアピールする

繰り返しになりますが、同じ年齢であれば大卒よりも高卒の方が社会人歴は長くなります。特に中途採用においては、学歴よりもスキルが重視される傾向にあるので、ぜひご自身の社会経験の中で培ったスキルを存分にアピールしてほしいと思います。

また、高卒で就職すると決めた意識の高さや、仕事をすることに対する熱意などもアピールしたいポイントです。高卒であることを卑下するのではなく、逆に大卒にはない魅力として自身でも捉えることが大切です。

大卒との差を埋める努力をする

高卒大卒
大卒に比べて不利になる要素が自分にあると感じたら、何らかの形でそれを埋める努力も必要です。

大卒者は学生時代に資格取得や語学勉強をしている人も多いので、ITパスポートやマイクロソフトオフィススペシャリストなどパソコン関連の資格やITスキルを身に付けたり、秘書検定やビジネス文書検定などを受験することも高卒者にとって更なる道が開けるでしょう。

また宅地建物取引士や医療事務、介護福祉士といった専門分野の資格も、手に職をつけられるのでおすすめですし、TOEICなどの語学スキルを磨くことも増々グローバル化が加速する現代には有利に働きます。

そして転職市場で最も高卒者が身に付けるべきスキルは、“転職に必要な知識”そのものであることも忘れてはいけません。高卒は、大卒のような就職活動を経験していない方がほとんどです。そのため応募の仕方から履歴書の書き方、面接の受け方など、きちんとした転職の知識を身に付けていない方が多いのです。もしかすると、それが中途採用において高卒が大卒よりも不利になる最大の要因かもしれません。

だからといって、大げさに不安がる必要はありません。今は転職サイトや転職エージェントなど求職者向けの様々なサービスが展開され、無料の履歴書添削や模擬面接をしてくれるところもあります。そうしたサービスや情報を活用すれば、『高卒』ということだけを理由に転職が不利になることはないでしょう。

応募する企業の体質を見極める

応募する企業自体にも、高卒者が決まりやすいかどうか見極めるポイントがあります。もちろん募集要件が『高卒以上』か『学歴不問』であることは大前提ですが、応募の際には企業HPの以下のポイントをチェックすると、学歴を重視しない企業であるかどうかある程度の目安にすることができます。

1.社員の年齢層の構成を見る

学歴を気にする傾向は、年齢があがるにつれて高まるように感じます。そのため構成される社員の年齢層が若ければ、学歴をそれ程重視しない傾向が強いです。企業HPに掲載されている社員の年齢構成表や、社員の平均年齢などを参考にするといいかもしれません。
ただし、年齢構成の他に出身校の構成表が掲載されている場合は、ある程度学歴を重視する企業である可能性が高いと考えられます。

2.社長や役員の学歴を見る

企業の根幹となる社長や役員が高卒または中卒であると、学歴を重視しない傾向が強いです。企業HPの社長紹介ページに記載されていることも多いのでチェックしてみましょう。ただし、面接で直接聞くことは避けましょう。失礼に当たります。

学歴で人生は左右されない

高卒大卒
いかがでしたでしょうか。高卒と大卒には、具体的なデータや企業からの見られ方など、確かに違いはあります。

しかしそれが中途採用で直接的に有利不利につながるような差かというと、そうとは言い切れません。あくまで学歴というのは可能性の範囲を決める“資格”と同等のものであり、大卒でないと応募すらできない企業がある一方で、学歴にとらわれず人間性やスキルで判断する企業もたくさん存在します。

皆さんも学歴ばかりに注視せず、これまでの社会人歴で培ったスキルや経験に目を向け、どうキャリア形成するか、どういうキャリアプランにするかなど未来へ向けて注力してほしいと思います。

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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷