【専門家監修】50歳から始める資格取得と仕事の探し方

再就職のチャンスをつかむ 未経験、資格なしOK! 50代からできる仕事10選

50歳からの転職・再就職は男女ともに厳しい現実が待っていると言われています。大手企業が大量リストラを行い、年功序列の廃止、出世年齢の若年化が進んでいます。

ここでは、様々な成功パターンを基に50歳から始める上手な仕事の探し方と50歳からの資格について解説していきます。就職を叶えるためのヒントとして参考にしていただけたら幸いです。

この記事の監修者:秋田拓也さん
  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • 産業カウンセラー

プロフィール

大学卒業後にベンチャー企業に就職。その後、転職した大手警備会社の人事採用担当として従事した後、セカンドキャリア実現に向け早期退職。

国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラーの資格を活かして、厚労省キャリア形成事業では様々な業種の企業で働く従業員の方にキャリアコンサルティング面談を実施。

現在も、キャリアコンサルティング面談と並行してキャリアアドバイザーとして大学生の就活支援、転職希望者の転職相談などを行っている。一人でも多くの人が「自分らしく」という想いで、個人事業の「To Be Myself」を立ち上げ、個人や企業を対象にした幅広いサポート行っています。

運営サイト・著書

HP:https://www.tobemyself.biz/

Instagram:https://www.instagram.com/tobemyself.biz/

Twitter:@ToBeMyself2021

50代の仕事探しで大切なこと

専門性と経験と即戦力

企業が50代に求めるものは資格より豊富な経験と即戦力です。そして新しい職場に馴染める順応力です。もしあなたに何かしらの経験やスキルがあるなら、まずはそれを生かした仕事を探してみるのがおすすめです。

男性の場合は今の給料よりは下がることと、転職活動が長期化することは覚悟してください。

転職において年齢の壁は非常に厚いです。50代の仕事探しは企業規模や雇用形態のハードルを下げざるを得ません。

元大企業の幹部という肩書きがネックになることもあります。中小企業やベンチャー企業、零細企業であれば競争率は低くなります。正社員だけにこだわらず、非正規社員も選択肢に入れておきましょう。

女性の場合は若い人より家事能力が高く、年配者とのコミュニケーションができるなど豊富な人生経験を買われる傾向にあります。正社員雇用は難しいですが、パートであれば職に困ることはないでしょう。

【50代】転職によるリスク

  • 転職活動が長期化する傾向がある
  • 正社員ではなく、非正規雇用になる可能性も高い
  • 前職よりも収入が減るかもしれない
  • 家族の理解が必要となる

50代の転職成功の3ステップ
※ブックマーク必須 失敗しやすい・就職できないと言われている50代の転職成功のための3ステップを紹介しています。

顕在化する50代のスキル

多くの企業がテレワーク・リモートワークを導入しておりますが、これが50代の様々なスキルを顕在化させているようです。

会社に居れば誰かがやってくれていたのが、突然の在宅ワークに戸惑いは隠せません。ネット設定から始まり社内共有へアクセス、チャット、ビデオ会議と対応しきれない50代が多いようです。

これらが出来ない=当たり前のことができないと周囲から思われることでしょう。転職においても必修スキルであることを念頭に活動するべきです。長年培った経験も大切ですがさらに活躍の場を広げるためには新しいスキルを身に着けてほしいです。

専門家がアドバイス!
50代は多方面にアンテナを張り巡らせておく必要あり

企業によってはセキュリティ上の問題から使用できるツールやコミュニティが制限されているのではないでしょうか?

私が所属していた企業でも指定されたもの以外のツールは使用できませんでした。まさに「井の中の蛙」・・・。

退職してからこんなに多くのコミュニティツールがあるのかと驚きました。

例えば「Slack」や「Chatwork」などのツールを使用すれば業務連絡や進捗状況を確認・報告できます。

どの場所からでも迅速にアクセスできとても便利です。このような最新ツールなどは無料で利用できるので、今から使いこなせるように準備が必要です。

多くの50代の方は、「ついていけない!」と諦めてしまう傾向にあります。若い世代の方が利用しているツールやコミュニティについても、もっとアンテナを張るべきだと感じます。

秋田拓也さん
  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • 産業カウンセラー

スキル・実績がなく資格でカバーしたい50代

結論から言うと、50代が資格を取ってもさほど有利になりません。しかし、経歴やスキルに合わせた資格であれば有利に働くこともあります。

資格取得は再就職・転職を有利に進めていく方法として考えられています。しかし、資格を持っていることで有利になるのは若い世代ということを認識しておかなければなりません。

同じ資格をとった若い人がいれば50代よりもそちらが採用されやすいのが現実であるため、50代になって新たに資格を取得しても必ずしも有利に再就職・転職を進められる訳ではありません。

特別な実績やスキルがなく、資格をとって少しでも有利にしたいということであれば、若い人と比べられる業界などは避け、50代でも不利にならない・中高年が歓迎される業界の資格を取り、就業するのが一番の近道です。

実績があってももうその仕事には就きたくない、また女性などでは経験が事務職のみの場合や、子育てであまり仕事的な経験を積んで来なかったという人も珍しくはありません。

そんな中、自分の就きたい仕事に応募するのは当然無謀で、50代でも不利にならない、むしろ年齢が武器になるような仕事に就職するのが妥当です。

50代からスキルを身に着ける

AI化が進み、人が行う仕事が少なくなっていくと危惧される中、伸び続けているのがIT業界。

IT業界もまた慢性的な人材不足です。働く人は増えていますが、それ以上にサービスの増加に追い付いていません。

エンジニアから、プログラマー、テスター、デザイナーなどIT業界といっても職種も難易度も様々です。

テスターやデバッガーなどは比較的易しく、派遣やアルバイトでも気軽に始めることができます。

易しい職種からステップアップし手に職をつけて、在宅や、フリーランスとして働くこともでき、比較的高年収が望めるため最近では女性で働く人も増えてきました。

実績・スキルを身に着ける業界のため、学歴・資格・年齢に惑わされることなく安定した収入を得られるのがメリットです。

専門家がアドバイス!
どの職種でも必要とされるスキルを知ることが大切

あなたが取得した資格について、実際の職務経験ではどれだけ活かされていましたか?

転職時にどれだけ多くの資格を履歴書に記載しても実務経験がなければ全く意味のない資格として扱われます。

「即戦力を求めている」これが転職の厳しい現実なのです。

現に、私が支援させて頂いていた方も資格の経験年数が少ないことを理由に書類選考で不採用になるケースがありました。

それよりもむしろ、これまであなたが職務経験から得た「ポータブルスキル」(持ち運びできるスキル)と呼ばれるスキルを知ることが大切です。

社内調整能力や環境適応能力など、どの職種でも必要とされるスキルを持ち合わせているのではないでしょうか。蓄積された職務経験と強みに気づくことが大切です。

秋田拓也さん
  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • 産業カウンセラー

働きながらスキルアップ

人材派遣会社は数多くありますが、多くの人材派遣会社で様々な資格取得支援やスキルアップ支援を行っています。

OAスキル、語学、IT、CADなどのスキルアップ講座を開講しているところから、提携スクールでの受講を割引で受けられたりと人材派遣会社には働きながら資格取得を目指す環境が整っています。

派遣登録をすることで通学型のスクール・eラーニング等、派遣会社が提携するあらゆるジャンルのスクールで資格取得をサポートするプログラムがあります。そのため派遣から直接雇用になる道も用意されています。

オンラインで資格取得

資格の受験者の悩みは「時間がないこと」「わからないこと」「お金が無いこと」です。そのような忙しい方でも場所や時間を気にすることなく資格取得ができるのがオンライン資格講座です。

インターネット環境の整備が進み、多くの企業がリモートワークを推進しています。このことにより通勤ストレスが解消し、自分時間がコントロールできる様になった今こそ、オンライン講座は、スマホ・PC・タブレットで学べるため、今の生活スタイルにふさわしいと言えます。

社会人の方が資格取得するには「スキマ時間」を活用するのが重要だと言われます。多くの無駄を省くことにより、圧倒的にコスト削減ができ転職準備資金の負担軽減にもつながります。

働きながら資格取得できる介護業界

介護業界は、資格がなくても現場で働きながら取得が可能です。実習も必要とする介護士の資格は、実務経験があるからこそ資格取得しやすいと言えるでしょう。

介護職と聞いただけで、尻込みする人は多いですが、人手不足の業界こそ福利厚生までしっかりしている企業とそうでない企業にハッキリ分かれます。問題に上げられるのは後者の方ですね。

意外と知らない?介護業界で働くメリット

  • 正社員・派遣・パートなど働き方が選べる
  • 派遣は高時給で働ける(1200円~
  • 近場で働くことができる
  • 働きながら資格を取得できる
  • 介護事務や、施設など職種や場所の選択肢が広い
  • 需要があるため仕事に困ることがない
  • 自分自身の人生に生かせる
  • 経験を積んで管理職を目指せる

体を使う仕事なので年齢的にきついのでは?という疑問もありますが、その程度は選ぶ職種や、施設によって様々です。自分に合った施設を見つけられれば近場で高時給で働ける介護職は逆にメリットも多くあります。

初級から上級の介護福祉士(国家試験)まで資格取得代を負担してくれるところも多く、働きながら職に手をつけられるという点でも◎

50代未経験歓迎の仕事

50代など中高年の転職で高い実績を持つ転職サイトのリクナビネクストで「キーワード:50代」「未経験者歓迎」で検索したところ約1,700件がヒット(2022年11月現在)。以下の職種の順に多く求人情報が掲載されていました。

1位:技能工・設備・交通・運輸 526件

仕事内容:ドライバー・警備・マンション管理・製造・生産管理など

技能工・設備・交通・運輸の分野の仕事は「50代」「未経験歓迎」の仕事が最も多くヒットした職種であり、特にタクシードライバーや警備員、マンション管理は50代未経験からでも活躍している人が多く中高年のニーズが高い仕事です。

これまでの経験・スキルを問わずチャレンジしやすい職種ばかりなので、これまでの仕事とはガラッと変えて新たな一歩を踏み出したい人にもおすすめです。

2位:営業 408件

仕事内容:営業・コールセンターなど

営業は自社のサービス・商品を法人や個人に提案し契約を結ぶことがメインの仕事となります。
コールセンターの仕事にはインバウンド(受信業務)とアウトバウンド(発信業務)があり、“営業”の仕事となるとアウトバウンド業務になります。

コールセンターも含め営業職は研修制度やフォロー体制が整っているケースが多く、転職後に知識・技術を身につけられるため未経験からでも転職しやすいと言われています。

人と話すことが好きな人、聞き上手な人、自己管理ができる人、コツコツと努力できる人に向いています。

3位:事務・管理 265件

仕事内容:人事・総務・労務・経理・営業事務・医療事務など

半年前と比較すると80件ほど増加している事務・管理のお仕事。事務職には様々な種類がありますが、その中でも未経験からでも転職しやすいのは「一般事務」です。

データ入力や電話・来客対応、書類作成、ファイリングなどデスクワークの仕事を幅広く担当します。一般事務から始め営業事務や経理などにステップアップも可能。

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)や簿記の資格を持っていると転職の際に有利となる可能性がありますが、事務職は人気があるため競争率が高いことがネックとなることもあります。

4位:建築・土木技術職 254件

仕事内容:施工管理など

建築・土木技術職にも様々な職種がありますが、未経験からの転職であれば「施工管理」を目指してみてもいいでしょう。

施工管理の仕事は建設工事のプロジェクト全体を指揮・管理しスムーズに進行していく役割があります。

リーダーシップ、コミュニケーション能力、コツコツと努力できる人、臨機応変な対応ができる人に向いており前職の経験を活かしやすいことが特徴です。

実務経験を積むことで1級・2級建築施工管理技士、1級・2級土木施工管理技士などの国家
資格にチャレンジすることも可能です。

施工管理の転職なら「施工管理求人.com」

転職先を探すなら、希望業界に特化した転職支援サイトの利用がおすすめ。「施工管理求人.com」は、建設業界を専門とする転職支援サービスです。

「残業が少ない」「年収500万円以上」「住宅手当がほしい」など、企業には直接伝えにくい希望も、専門のキャリアアドバイザーがしっかりとヒアリングしてくれるため、条件に合った企業とのマッチングが叶います。

建築業界で10年以上の実績があり、厳選された優良求人を豊富に取り扱っているのも魅力です。利用は完全無料。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

5位:サービス・販売・外食 210件

仕事内容:ホテルスタッフ・店舗スタッフ・接客など

外食産業や飲食業界の店舗スタッフや接客・販売系のサービス業、ホテルスタッフなども未経験からでも転職のしやすい職種です。ホテルスタッフの場合は高級ホテルよりもビジネスホテルの方が採用されやすい傾向にあります。

しかし、これらの職種は若い世代も多く働いているため“年下の上司”となる可能性が非常に高い職場でもあります。

気配りのできる人、コミュニケーション力のある人、柔軟な対応ができる人、チームワークを大切にできる人、マナーを心得ている人、携わってみたい店舗や商品がある人に向いている仕事です。

6位:専門職(コンサルタント・士業・金融・不動産) 121件

仕事内容:経営コンサルタント・システムコンサルタント・人事コンサルタント・税理士・不動産営業関連など

デジタルトランスフォーメーションが進み、企業でも様々な業務改革を行っており、コンサルタントが必要とされる場面は増えています。

“未経験歓迎”とはいえ、業界に関する専門知識や技術が必要なため実際は未経験からの転職は厳しめな職種です。

この中で未経験からチャレンジしやすいのは不動産業です。不動産会社自体の数は毎年増加しているため、需要のあるお仕事です。

50代で未経験からの転職ともなるとある程度の覚悟が必要ですが、“できそうな仕事”を探すのではなく“チャレンジしてみたい仕事”といった視点で求人探しをしてみてはいかがでしょうか?

リクナビネクストでこれらの求人の詳細を確認できるので、興味のある仕事を一度チェックしてみましょう。

50代からの仕事を再構築しよう

いかがでしたでしょうか?

厳しいと言われている50歳からの仕事探しですが、固定概念を一度捨て今の目まぐるしい変化に対応できる様日々精進していきましょう。この積み重ねが新たな道を切り開いていくはずです。また、新たなスキルを身に着けることで副業や独立ができるような土台を作っておくのもこの先のライフプランでは大変重要になります。

頭では分かっていても上手く行動に移せないのであれば、人材派遣会社や転職支援サービスなどの再就職・転職をサポートしてくれるサービスを利用してみましょう。

親身になって相談に乗ってくれるほか、自分では気付かなかったあなたの魅力を見いだしてくれる、希望条件に合った仕事を紹介してくれるなど徹底されたサポートでスムーズな再就職・転職となる可能性が大いにあります。

ここに書かれているポイントも押さえながら、まずは新たな一歩を踏み出してみましょう!

専門家がアドバイス!
ブレずに本気で挑んでいくかが重要

多くの専門家の研究結果からも、50代になると転職やセカンドキャリアを考えることは自然なことだと言えます。

自分の役割のゴールが見え始めるこの時期に「このまま人生が終わってもいいのか?」と悩むのです。

ただ、リスクを考えると諦めてしまう50代が多いのも事実です。私自身もセカンドキャリアを目指し早期退職をしました。

家族の理解や経済面など様々なリスクを考えた時、決断するまでに時間がかかりました。

どこまでもブレずに本気で挑んでいくかが重要な鍵だと思います。

その姿を見せることで家族の理解も得られ、困難にも立ち向かえる意志が強固なものになるはずです。そう望むことで行動が変わり、環境も変わります。

秋田拓也さん
  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • 産業カウンセラー


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷