アルバイト生活は気楽に働けますが、将来への不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
将来の安定した生活のために、正社員就職や正社員登用を考えている方もいるかと思います。
アルバイトは仕事への責任があまりない分、給与や雇用期間が不安定です。
今回はアルバイトから正社員を目指す方のために、正社員になる方法や履歴書と志望動機の書き方を徹底解説します。
アルバイトから正社員になるためには、どのような方法があるのか詳しく解説します。
慣れた職場で正社員を目指すなら、正社員登用制度を利用するのがおすすめです。
正社員登用制度は、アルバイトなどの非正規雇用を対象として、一定の条件を満たした人を正社員として採用する制度です。
企業によって登用の枠や時期が異なるため、アルバイト先がいつ正社員登用を行っているか確認しましょう。ただし、正社員登用は狭き門ですから、決して簡単な道のりではないことも理解しておくべきです。
さまざまな求人から就職先を選ぶなら、求人サイトで検索する方法もあります。求人サイトはパソコンやスマホから求人を検索し、気に入った求人に応募するサービスです。
求人は日々更新されているため、毎日チェックすると自分に合った企業が見つかりやすくなります。
ただし、アルバイトをしながら就職活動を進めることから、休日返上で活動することになるでしょう。
働きながら就職活動を進めるには、就職エージェントを利用する方法もおすすめです。
求人サイトとは違い、専属のアドバイザーが履歴書の添削、志望動機のブラッシュアップ、面接練習など、就活に必要なサポートを受けられます。
また、就職エージェントだけの非公開求人と独占求人もあり、複数のサービスを同時に利用すると優良求人からの採用率が高まります。
アルバイトやフリーター向けの就職支援制度も充実しているため、正社員就職を目指すなら就職エージェントに登録しましょう。
求人探しで誰もが無料利用でき、地元の求人を多く取り扱っているのがハローワークです。地域密着型で近隣の正社員求人を探すなら、ハローワークが優れています。
ただし、注意すべき点もあります。
ハローワークの注意点
ほかにも注意点はありますが、代表的なものは上記の4つです。
注意点も理解したうえで利用すれば、効率の良い就活が行えるでしょう。
アルバイトから正社員になるためには、応募先への履歴書・志望動機の書き方も重要です。本項では、履歴書・志望動機の書き方のポイントをご紹介します。
履歴書の学歴・経歴・スキルなどの項目には、これまでの自分について正直に書きましょう。経歴詐称がいけないことは当たり前ですが、スキルに嘘をつくことも後で自分の首を絞めます。
アルバイトの期間は空白期間になりますが、経験から身に付いてスキルを履歴書に記載することをおすすめします。「アピールできるスキルがない」「自慢できる学歴・経歴ではない」という不安があっても、誠実に記載することが最も重要です。
履歴書の志望動機には、あまり長々と書かないこともポイントです。担当者は多くの応募者の履歴書をチェックするため、長すぎる文章は最後まで読まれないからです。
志望動機は200~300文字程度で簡潔にまとめて、詳しい内容は面接の場で伝えれば問題ありません。志望動機は要点だけをまとめて簡潔にすることで、文章力の高さもアピールできます。
履歴書を書く際は、「誰が読んでもわかりやすいか」という視点で記入しましょう。
履歴書の自己PRには、学生時代の体験やアルバイトでのエピソードも入れ、具体的な内容を記入しましょう。
自己PRは担当者に対し、「私はこういう人です」と伝えるものです。
応募先を志望した理由とも関連性を持たせて、具体的なエピソードがあると伝わりやすくなります。
ただし、人間関係の悪さや給与の安さ、休みが少ないなどのネガティブな内容は避けましょう。
面接でも自己PRについて深掘りされることも考え、話を広げやすいエピソードを選ぶのがポイントです。
アルバイトから正社員を目指す方のために、さまざまなケースを想定した志望動機の例文をご紹介します。
夢や目標のために就職する方は、次のような内容を参考にしましょう。
夢や目標をアピールする場合の例文 |
「私は商品の企画や開発に携わる仕事をしたいと考え、御社を志望いたしました。大学卒業後はアルバイトで販売員をしており、お客さまに商品を販売する楽しさを感じていました。新商品をお客さまに販売する際、お客さまからの生の声を聴くうちに、人に喜ばれる商品を開発したいという思いが強くなったことが御社を志望したきっかけです。アルバイト時代の経験を生かし、御社で商品の企画や販売戦略の立案、店舗経営などの業務に携われればと考えております。」 |
自分の理想とする求人に出会えた場合、次のような内容を参考にしましょう。
理想の求人に出会えた場合の例文 |
「大学時代、就職活動で複数の企業から内定をもらいましたが、私のやりたい仕事との違いから就職はせず、アルバイトの道を選びました。いずれは正社員就職することを考え、求人を検索していたところ、御社の求人に魅力を感じ応募いたしました。御社の経営理念、将来へのビジョンに共感し、微力ながら私も貢献したいと感じたからです。大学時代は経済学を専攻しており、販売戦略や売上に貢献できる人材として活躍していきたいと考えています。」 |
アルバイト経験を生かして働きたい場合、次のような内容を参考にしましょう。
アルバイト経験を活かして正社員を目指す場合の例文 |
「私はアルバイトとして、建設現場で働いた経験があります。この度、御社の作業員の正社員求人を目にし、私の経験が生かせると感じ志望いたしました。アルバイトでは毎日少しずつ建築物ができていく様子に、非常にやりがいを感じていました。私は日頃から体力作りも欠かしておらず、体力にも自信があります。また、将来的には施工管理技士資格も取得し、現場の責任者になれるよう努力していきたいとも考えています。」 |
アルバイトから正社員登用を目指す方がよく抱いている疑問や質問について詳しく解説します。
伝えること自体は構いませんが、意味はほとんどありません。正社員登用は企業の方針に左右されるため、各店舗の店長や責任者に伝えても正社員にはなれないからです。
ただし、正社員登用には責任者の推薦も必要ですから、ほかのアルバイトの方よりも優先度が上がる可能性はあります。過度な期待はせず、業務に集中して活躍することが正社員登用への近道です。
アルバイトから正社員登用された場合、雇用関係に変更があっても、アルバイトとして稼働している日数も勤続年数に通算できます。
たとえば、アルバイトとして4月に入社し、10月に正社員登用された場合、継続勤務日数6カ月以上となるため、有給休暇が10日分付与されます。
また、正社員登用された場合、有給休暇の付与日数は正社員が基準です。細かい点については各企業の就業規則をチェックしましょう。
アルバイトから正社員登用されるには、長く働いていることは大事な条件です。しかし、長く働いているからといって、正社員に登用されるとは限りません。
企業が正社員登用する人は、正社員になることで企業の利益に貢献できる人物です。そのため、アルバイト歴がどれだけ長くても、企業にとって必要でなければ正社員登用されません。
アルバイトであっても、精一杯働けば正社員登用のチャンスが巡ってくることもあるでしょう。
アルバイトから正社員登用に切り替わる月は、前月のアルバイトでの給与と税金、翌月の正社員の給与と税金が別々で発生します。
給与票では一つにまとめられることもありますが、税金については別で請求されます。ただし、正社員の場合は年末調整があるため、正社員期間の確定申告は不要です。
アルバイトから正社員登用、または正社員に就職するとどのようなメリットがあるのかご紹介します。
アルバイトは基本的に有期雇用契約であり、労働期間が決まっています。そのため、期間が経過すれば自動的に契約が終了する可能性が高く、長期に安定した雇用は保証されていません。
一方、正社員は無期雇用契約となり、雇用期間の定めがありません。
また、企業に大きな損失を出したり、犯罪をしたりするなど、問題を起こさない限りは解雇されることもなく、非常に安定した立場が保証されます。
アルバイトと正社員では、給与とボーナスにも大きな違いがあります。国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」によると、非正規社員と正社員の平均給与には以下の違いがあります。
区分 | 平均給与(男女計) |
---|---|
正社員(正職員) | 508万円 |
正社員以外 | 198万円 |
参照:国税庁『「令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」 P13』
アルバイトと正社員の平均給与には300万円以上の開きがあり、正社員は収入面でのメリットが非常に大きいです。生活の安定を考えても、正社員を目指すメリットがあると言えます。
アルバイトから正社員になることで、社会的な信用が高くなる点も大きなメリットです。社会的信用が高いと、住宅ローンの契約やクレジットカードなどが利用しやすくなります。
アルバイトは収入面が不安定になりやすく、社会的信用の低さから大きなお金の貸し借りがしにくいため、社会的信用は正社員になるメリットの1つです。
正社員になることで、福利厚生が充実する点もメリットです。アルバイトも年収などの一定条件を満たせば、雇用保険や社会保険に加入できます。
しかし、基本的には国民健康保険と国民年金となるため、金銭面での負担が大きいです。正社員になると社会保険と厚生年金に加入し、保険料は会社と半分ずつ負担になります。
将来的な年金額も国民年金に厚生年金がプラスされるため、老後の安定した生活のためにも正社員を目指すメリットがあります。
アルバイトは期間雇用が基本になるため、業務で必要な最低限のスキルのみを指導するのが一般的です。当たり前のことですが、責任のある仕事を任されることもないため、キャリアアップもありません。
正社員の場合、無期雇用が基本となるため、企業も長期的に利益となる人材を育成しようと考えます。そのため、スキルアップの機会も多く与えられ、研修や教育制度が充実しているため、キャリアアップのチャンスがあります。
アルバイトから正社員になることで、どのようなデメリットがあるのかについてもご紹介します。
アルバイトは労働時間を自由に決められるため、ライフスタイルに合わせて勤務時間や労働日数を変えられます。
しかし、正社員になると労働時間が決まっており、1日8時間で週5日勤務がほとんどの企業で採用されています。
年間休日も企業の規則で決まっており、アルバイトほど自由な働き方はできません。ただし、近年は祝日や記念日に休暇を設定しているほか、年間5日以上のリフレッシュ休暇を採用している企業も増えています。
正社員になると企業から正式に雇用される立場になるため、組織の一員として責任が発生します。アルバイトの管理も正社員の仕事の1つになるため、上に立つ者の責任がある点を理解しなければなりません。
また、正社員には成果や結果も求められるため、仕事のプレッシャーもあります。正社員としてメリットを享受するには、相応の責任が生まれることは覚悟しましょう。
企業の就業規則にもよりますが、正社員には副業禁止規定を設けている企業は少なくありません。アルバイトの頃に行っていた副業や兼業があっても、正社員就職と同時に辞めざるを得ない可能性があります。
副業の収入が多い方であれば、正社員になることで収入が減少するおそれもあります。正社員を目指すなら、副業禁止規定の有無も確認したうえで就職先を選びましょう。
アルバイトは期間雇用であり、採用された店舗だけで働くのが基本です。しかし、正社員になると、企業によっては転勤や異動を命じられる可能性があります。
人材育成やマネジメント職の拡充を目的として行う業務命令ですが、正社員ならではのデメリットと言えます。ただし、転勤や異動のない正社員雇用契約もあるため、就職や登用の際は雇用契約の内容を詳しく確認しましょう。
アルバイトから正社員を目指す方のために、実際に正社員就職や正社員登用が難しいのかどうかを詳しく解説します。
結論から述べると、一般的な就職にくらべて正社員登用は難しいです。正社員登用制度自体は珍しいものではありませんが、登用されるかどうかは運次第だからです。
その背景には、アルバイトから正社員登用されるための2つの条件があります。
2つの条件が満たされなければ、正社員登用試験すら受けられません。企業は正社員を毎年登用するわけではなく、人材が不足しているときに枠を用意します。
そのため、本社が正社員登用枠を設けなければ、その年は正社員登用が0人という可能性もあります。
また、アルバイトから正社員登用してもらうには、就業先の責任者から推薦が必要です。
推薦されるには、長く勤めていること、リーダーシップが発揮できること、企業の利益に貢献することなどの条件があります。
条件が厳しいため、正社員登用は誰でも選べる道ではありません。
正社員登用を期待して働くよりも、アルバイトをしながら就職活動を進めたほうが、正社員になれる可能性は高いです。
正社員登用の枠は毎年あるとは限らないため、あえて狙うものとは言えないからです。
それよりも、就職活動を進めて自分の気になる職場を見つけ、正社員就職を狙うほうが可能性はあります。
また、アルバイト先に就職活動のことを伝えれば、正社員登用の話がもらえる期待もわずかながらあります。
いずれの場合でも、就職活動は積極的に進めておくのがおすすめです。
アルバイトから正社員登用する制度を用意している企業は、業界によって差があります。業界による制度の有無の割合一覧は以下の通りです。
業界 | 正社員登用制度がある企業の割合 |
---|---|
全産業 | 75% |
建設業 | 61% |
製造業 | 74% |
情報通信業 | 57% |
運輸業・郵便業 | 68% |
卸売業・小売業 | 84% |
金融業・保険業 | 81% |
不動産業・物品賃貸業 | 71% |
学術研究・専門・技術サービス業 | 66% |
宿泊業・飲食サービス業 | 73% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 81% |
医療・福祉 | 81% |
サービス業(他に分類されないもの) | 70% |
全体で75%の企業に正社員登用制度があることがわかります。ただし、産業によって登用制度が用意されていないこともあるため、自分がアルバイトをしている業界と比較しながら、正社員登用を目指すか、別の企業に就職するか検討しましょう。
アルバイトから正社員を目指すなら、とにかく若いうちに積極的に就活を進めましょう。
年齢を重ねるほどアルバイトから正社員になるのが難しくなり、年齢制限にもかかりやすくなります。
どの企業も正社員を採用するなら若い人を重視するため、30代後半からは正社員就職が厳しくなります。将来への不安を感じている方ほど、迷うよりも積極的な行動が大切です。
安定した生活とキャリアアップのためにも、1日も早く正社員就職を目指しましょう。