【作:フカザワナオコさん】
働き方の多様化が進み、いまや転職は珍しいことではなくなっています。
とはいえ、10回以上転職回数を重ねた方は「不利になるのではないか」「忍耐力がない人と思われるかもしれない」と不安を抱えているのではないでしょうか。
転職回数が多いことは、本当に転職活動での不利になるのでしょうか?
今回は、転職回数が多い方の強みや特徴、転職成功を実現する方法などを紹介します。
転職を重ねずそろそろ仕事を定着させたい方、転職回数を武器にして転職成功を目指している方はぜひ参考にしてください。
転職は珍しいことではなくなりつつあり、実力主義の企業も増えていますが、日本にはまだ終身雇用制や年功序列制度が根強く残っています。
そのため転職回数の多さにネガティブなイメージを抱かれることはどうしてもあり、避けて通ることはできません。
転職回数が多い人に対して企業がもつイメージには以下のようなものがあります。
転職回数が多く、さらにそれが10回以上となると、残念ながらますますネガティブなイメージをもたれてしまうでしょう。
「コストをかけて採用したのに、すぐ辞めてしまったらどうしよう」と、企業に対して懸念を抱かせてしまうからです。
採用コストの大きな損失を防ぐため、できるだけ長く働き貢献してくれる人材を採用したいと考える企業が多いのです。
とはいえ、転職回数が5回以上でも10回以上でも気にしないという企業があるのも事実。
なぜ転職回数が多いのに採用したのか?というと、実は転職回数の多い人には大きな強みがあるからです。
転職回数が多いことはデメリットばかりではなく、様々なメリットや強みになることもあります。
では、ほかの人にはない転職回数の多さから生まれる“強み”はなんなのか、見ていきましょう。
転職回数を重ねた方は、「転職を繰り返したためひとつの職場での成果がアピールできない」と悩んでいることが多いですが、様々な経験は逆に強みになります。
同業界での転職を繰り返した方はもちろん、それぞれ別の業界や業種を経験したことも、あなたの強みとしてアピールすることができます。
それぞれの職場によって働き方や人間関係は様々ですし、仕事に対しての方針も異なっていたかと思います。
それは、同じ会社でずっと働いていたら知ることができなかった経験ではないでしょうか。
「会社によって考え方もやり方もちがう」ことを理解し、次に活かせるということが最大の武器となるでしょう。
未経験転職で全く別の業界、業種に転職する際も、それらの経験が無駄になることはありません。
いろいろな職場で経験したからこそ、次の職場で新しい提案や変化を生むことができるのです。
これをビジネス用語でシナジー効果と言い、「相乗作用」や「相互強化」の意味を持ちます。
転職回数が多くても採用に躊躇しない企業は、違う業界や業種の経験や考えを取り入れたいと思っています。既存の方針とのシナジー効果を狙っているのです。
これまでの経験を武器に、良かった点は導入して、ダメだった点は反面教師にすることで、新しい会社で貢献できるでしょう。
転職回数が多い人は“ジョブホッパー”か“キャリアビルダー”の2つのタイプに分かれます。
ジョブホッパーとは転職を短期間で繰り返し、長期的な勤続の見込みが低い人のことを指し、流れのまま転職を重ねている人のことです。
具体的にはこのような特徴があります。
ジョブホッパーがネガティブな転職を指す一方で、キャリアビルダーはポジティブな転職の意味が込められています。
ジョブホッパーと異なり、転職が“逃げ”ではなく、次のステージへの一歩となるのがキャリアビルダーです。
職を転々としながらも、最後には腰を据えて働ける仕事に定着することができるでしょう。
これまでお伝えしたように転職回数が多い人のイメージはネガティブなものが多いです。
確かに「仕事が嫌だから」と不満を持ち早期退職される方もいます。しかし「短期間で転職を繰り返すことができる」そして「10回以上転職できている」ことは、忍耐力がない・飽きっぽいだけで終わらせられることではありません。
では、10回以上転職成功させた方やキャリアビルダーにはどんな特徴・長所があるのでしょうか。
七転び八起きというように、転職に失敗してもくじけず先を見て行動できる、行動の早さが長所のひとつとなります。
一般的に転職というと、相当な時間をかけて決断し、やっと行動を起こし始めるという方がほとんどではないでしょうか。
なかなか決断ができず時すでに遅し…と、転職のタイミングを失敗する方もいらっしゃいます。
しかし10回以上の転職経験者となると、転職することで生じる将来への不安よりも、自分が望む道や企業の将来性に早々に見切りをつけることが得意です。
そして新しいことにチャレンジするための行動力があり、それをもって転職活動をスタートする方が少なくありません。
転んでもすぐに立ち上がる、というアクティブさで目の前のチャンスを逃さずゲットできるのです。
多くの人が苦手とする「転職の決断が素早くできる」タイプの人は、転職回数が多くても成功しやすいでしょう。
10社以上の職場を渡り歩いてきた方は、コミュニケーションスキルが高い方が多いことも特徴のひとつ。
短期間ながらもそれぞれの職場の企業風土に馴染み、人間関係を構築してきた経験があります。そのため多様な人とのコミュニケーションスキルが自然と身に着いているのです。
ジョブホッパーは一定の職に定着しないことから“飽きっぽい”イメージがありますが、それは言い換えると「興味のある分野の幅が広い」ということです。
様々なことに目を向けチャレンジしてみようという視野の広さをもっています。
日本の企業では「どれだけ1つの会社で長く働き貢献してきたか」が重視されがちです。
しかし転職を繰り返し様々な経験を積み重ねた方は、その経験の豊富さからあらゆる分野やシーンに活かせる視点やアイデアをもっています。
他の人にはない経験やスキルをもっているため、転職回数が多くてもライバルと差別化ができ、自分の価値をアピールすることができます。
1つの会社を極めた人よりも、新しい工夫や提案ができる可能性が高いのです。
転職回数が多い人が転職を成功させるにはどうすればいいか、見ていきましょう。
転職回数が多いとスキルや経験が未熟だと捉えられがちです。
しかしキャリアプランが明確であり、これまでの職歴が一貫していること、そして転職でステップアップに成功している場合はネガティブな印象を与えません。
例えば、年収が上がっている、役職についているなどのほか、転職することで新たな知識やスキルを身に着けている場合です。
成長のプロセスが分かるような転職をしている人は、それをしっかり伝えることで多くの場合プラス評価を得ることができるでしょう。
採用側の企業は、転職を繰り返した人に対して「またすぐに辞められたら困る」と思うものです。
そのためこれまでの転職を振り返り、なぜ転職をしてきたかをしっかり説明できるようにすると良いでしょう。
例えば、「キャリアプランに沿って成長できる企業を目指し転職を重ねた」という理由でも◎。
特に理由がなく、なんとなく転職を繰り返してきた方や、前職に不満を持ち転職された方は、理由をそのまま伝えるのではなく、ポジティブな言い換えをしましょう。
「職場の人間関係が嫌で辞めた」と伝えてしまうと、協調性がない人・問題のある人とイメージされてしまう可能性があります。
このような場合は、「よりチームで協力して仕事ができる環境で働きたいと思った」「企業風土に共感できる場所を求めて転職をした」と伝えると良いでしょう。
様々な職を通して培ってきたスキルやキャリアをアピールすることも効果的です。
定着していた期間は短くても、企業が求める人材像とマッチしていれば評価を得ることができます。
また、未経験転職の場合でも「様々な場所で経験したことで広い視野を持ち知識の幅が広がった」と伝えることができればポジティブな印象を与えるでしょう。
転職回数の多さは引け目に感じてしまうかもしれませんが、視点を変えれば「いろいろな職での経験値がある」という強みにもなります。
不安を持たず、スキルや経験を身に着けてきたことを武器と考えましょう。
中途採用の場合、即戦力として期待できるようなスキルやキャリアの有無が採用に影響します。
やる気や前向きな姿勢、入社意欲、将来性といったポテンシャルは新卒に求められがちです。
しかし、中途採用でもそれらのポテンシャルが重視されることはあります。
転職回数の多さから転職に対して諦めるのではなく、「これまでの経験を活かして貢献したい」という前向きな姿勢をアピールすることで転職成功率はグッと上がるでしょう。
以下の業界では転職者は珍しくありません。転職回数の多さは採用時に不利にならない可能性が高いでしょう。
それぞれ詳しく説明していきます。
IT化によって人材ニーズは高まっているのに供給が追い付いていないのがIT業界。つまり慢性的な人材不足なのです。
そもそもIT業界は、実力やスキルを重視する業界なので、転職の回数よりもどれだけ貢献してくれるかが採用のポイントになります。
中には未経験であっても入社後に研修制度があることもあります。そういった企業を選べば、スキルを身に着け活躍できる可能性は高いでしょう。
転職回数が不利になるどころか強みにもなるのが介護業界です。
こちらもIT業界と同様に、急速な高齢化により介護を担う人手不足に悩む業界です。
少し調べてみるとわかると思いますが、「介護未経験者・無資格者歓迎」の求人が多いのは介護業界です。
介護職は、これまでの人生経験が全て仕事で活かせる業界です。色々な職場を経験しスキルやキャリアを身に着けた人生経験は、利用者とのコミュニケーションやケアで大いに役立つでしょう。
転職回数の多さに悲観されている方は、「もうどこの会社でもいいや」と諦めの気持ちを持っている方も少なくありません。
しかし後ろ向きの気持ちのまま転職活動を進めてしまうと、ミスマッチしてしまったり、ブラック企業を選んでしまうリスクがあります。
次こそは転職で失敗したくない!という方は、転職エージェントや転職サイトに相談されることをおすすめします。
転職エージェントや転職サイトを利用すると以下のメリットがあります。
キャリアカウンセリングや自己分析をサポートしてくれるので、企業とのマッチング率が高くなります。
ご自身のキャリアプランを実現させる企業とのマッチングや希望条件に合う企業を提案、紹介してくれます。
1人で求人情報をチェックしていても見つけられなかった企業や非公開求人の情報も多数保有していますので、選択肢の幅を広げた転職が実現できるでしょう。
転職回数が多い方の1番の悩みは、履歴書や職務経歴書の書き方や面接ではないでしょうか。
転職のプロから、転職回数の多さをポジティブに伝えることができる書類の書き方や面接対策を受けることができます。
入社した後に「また辞めたくなった」「仕事に対して不安になった」という方も安心。
転職エージェントや転職サイトによって入社後のフォローが充実しているところがありますので、新しい職場へ変わっても相談することができます。
転職回数が多い方の強みや特徴、転職成功を実現する方法などを紹介しました。
転職回数が多いと採用時不利になりやすいですが、キャリアビルダーのように転職の経験が強みや武器になる可能性もあることがお分かりいただけたかと思います。
転職経験をプラス評価になるようアピールすることで転職成功率を上げることができますので、悲観せず前向きに行動することが大切です。
1人での職探しや転職活動が不安な方は転職エージェントや転職サイトを活用し、ご自身の市場価値について客観的なアドバイスをもらうこともおすすめです。
腰を据えて働くことができる仕事に就きたい方は、ぜひ気軽に相談されてみてください。
転職回数を強みにして、ご自身に合った仕事探しに一歩踏み出していきましょう。