「結婚、出産を機に退職して、子供が大きくなってから仕事復帰しようと思うのですが、そのタイミングが難しくて。いつがベストなんでしょうか。」
このようなご相談を受けることがあります。私が相談を受けての感覚として、「出産後の再就職は大変と聞いてはいるものの、その時が来たらなんとかなる」と思っていらっしゃる方が多いように感じます。
そのためか退職する時には、子供が大きくなったら再就職しようと思っていたものの、この「大きく」のタイミングのイメージも漠然としている、という方が多いです。
「子供が3歳になったら」、「小学校に上がったら」など様々な節目がありますが、実際に復帰したいと思ったときに、皆さんが最も困っていることが、預け先の問題です。
相談を受けた方の中には、入社して3か月で退職された方もいらっしゃいました。
何とか預け先を見つけ、タイミングよく仕事をスタートさせることができたものの、入社早々から子供が熱を出したなど、予測のつかない状況に会社に迷惑をかけることも多く、結局もう少し子供が大きくなってからと、せっかく入れた会社の退職を決意したのです。
その方にお話をお伺いすると、もし、前職の企業に在籍したまま出産後の仕事復帰であれば、今までの実績をわかってくれている人たちに迎え入れてもらえることになるばずだったとのことです。
しかし、新しい会社では、人間関係も実績もゼロからのスタート。気にするなと周囲は言ってくれても、結果が出せない状態で急に休んだり早く帰ったりすることに肩身の狭い思いをして、自ら辞めてしまったとのこと。
また、退職面接の際に言われたことが、今も再就職に踏み込めない理由になっているそうです。
「採用面接のとき子供を面倒見てくれる人がいるから大丈夫。仕事に穴をあけることは余程のことがなければない。とおっしゃっていましたよね。最初から難しいことを言っていただけたら、お願いする仕事内容やサポート体制を考えたのに。」と言われてしまったそうです。
実際、彼女は預け先についてはほぼ調べておらず、「なんとかなるだろう」と思っており、また、「正直に言ったら採用してもらえないだろう」と思ったのだそうです。
では、一体いつからのタイミングが良いのでしょうか。また、どのような状況であれば、仕事探しがスタートできるのでしょうか?
折角仕事をスタートしても、長続きしなければもったいないことに。しかし、復帰したい気持ちが先立つあまり、実際には無理なことでも面接の際には「大丈夫です」と答えてしまうこともあります。そして後から落ち着いて考えてみたら、やはり現実的には難しいと気付く方もいらっしゃいます。
これでは、企業からも評価されず「やはり子供のいる人は難しい」と判断されてしまうものです。そうならないためには、どのような条件であれば現実的なのかを一度書き出してみることです。
たとえば、
などです。
特に面接の際、採用担当者が一番気になる子供の預け先やサポート体制については、「大丈夫」と根拠のない状態でアピールするのではなく、いざという時に助けてくれそうな周囲の人に相談、確認したり、地域のサポート制度を調べたりして、なぜ大丈夫なのかを具体的にアピールすることをお勧めします。
待機児童問題という現実もあり、確かに大変ではあるのですが、地域のサポートで本当に使えるものはないかを、しっかりと調べてみることです。
しかし、色々と調べたものの、現実的に(金銭面も含めて)難しいという場合は、自分ができる範囲の条件の仕事からスタートするとよいでしょう。少しずつでも仕事を始めれば、ブランクの期間は短くなります。その時は収支がトントンでも後で戻ってくる、くらいの気持ちでやってみるとよいのではないでしょうか。
出来る範囲で、無理せず一歩踏み出してみるとよいでしょう。
また、こんな方もいらっしゃいました。
「子供が中学生になり、だいぶ手も離れたので転職活動を開始。出産前はそれなりに仕事は出来る方だったと認識しているので、自分としては少し慣れればすぐに感覚は取り戻せると思っているが、何とか早めにブランクを埋めてみんなに追いつきたい。正社員を目指して就職活動しているが、なかなか受からなくて・・・」
状況を分析していくとブランクが採用のネックとなっているようで、「即戦力として心配」という不採用理由をもらうことが多いのがわかりました。確かに15年ほどのブランクがある人を正社員で採用するのは、企業側としても心配なのはごもっともです。
そこで、ブランクのある方にお勧めしているのは、正社員にチャレンジする前に別の雇用形態(派遣社員、契約社員、パート、アルバイトなど)で、ワンクッション置くこと、そこで積んだ実績を活かして、次のステップで正社員にチャレンジするというキャリアプランです。その間に、何か資格を取得してもよいかもしれません。
または、もう一つお勧めしている方法としてキャリアチェンジがあります。お子さんがいらっしゃる女性の多くが、過去にデスクワークをしていました。その理由は、今以上に「女性はデスクワーク、アシスタント職である傾向」が高かったからです。
しかし、残念なことにここ最近、アシスタント職などの事務仕事は正社員の求人が減ってきています。求人が少ないなかで、ブランクのある女性が闘うのはより大変です。そんな時は、未経験可の仕事に思い切ってキャリアチェンジしてみることです。たとえば営業や販売など、コミュニケーションスキルを活かして未経験でも就業可能な職種もあります。
また、新しい職業にチャレンジするのも一つです。経験者が少ない職業の場合、競争率も低くチャレンジしやすいので、何か資格を勉強して意欲をアピールしてみることもよいでしょう。
再就職しよう!と前向きに仕事探しにチャレンジすることを望んでも、「私はもう働けないんだ・・・」と落ち込むことになり、再チャレンジを諦める方もいらっしゃいます。理由は再就職へのステップや方向性を間違えてしまっているだけなのです。
ブランクがあるからこそ、情報収集は欠かさず自分にできることと社会のニーズを一致させて、一歩ずつ進んでみることをお勧めしたいと思います。
「焦らず」です。