専業主婦を卒業して働きたい女性は多く、その数は専業主婦全体の約8割とも言われています。
しかし、実際に働き出すまでには色々とクリアすべきハードルがあります。
「ブランクが長くて…」
「子供が小さいから…」
「家庭と仕事の両立が…」
働きたい専業主婦を取り巻く環境は思ったより厳しく、働きたくても働けない人もたくさんいるのが現状です。
特に夫や家族の理解と協力が重要ですが、実際はこのハードルを超えることが難しく、就職を諦めてしまう人も…。
本記事では、専業主婦が夫や家族の理解を得て働くためのポイントについて解説します。
大変な主婦業と兼業してでも働きたいと思うには、いくつかの大きな理由があります。では、その理由はどういうものなのでしょうか。
子供が大きくなったり人数が増えるほど、学費や養育費の負担は増えていきます。特に就学後にかかる費用は、就学前とは比べ物にならないほどです。
でも、何かあったときのための貯金も必要ですし、娯楽やイベントに使うためのゆとりだって欲しいですよね。そう考えると、単純に夫だけよりも二人で稼いだ方が生活水準を上げやすくなります。
Point共働き世帯の平均年収は約716万円
特に子育てをしている女性は、周囲からの孤立感や孤独感を感じやすい状態に陥りがちです。
一日中家事と育児に追われ、日中話をするのは子供とだけ。外に出ようにも小さな子供を連れての外出は何かと気を遣います。
こうした状態が続くと孤独を感じたり、「このまま社会と分断されてしまうのでは」という不安を抱くことも。
社会との繋がりを保つために外で仕事をしたいという主婦の方もたくさんいます。
Point専業主婦はどこにも所属していないので不安になる
いくら家計を管理しているのは自分でも、収入が夫の一本柱であれば「自分が稼いだお金ではない」と思い自分のためにお金を使うことに罪悪感を抱く人は多いのです。
自分で稼いだ自由になるお金であれば、罪悪感なく自分のために使うことができます。
特に何か趣味を持っている人は、自分のお小遣いぐらいは自分で稼ぎたいと思う傾向があります。
Point夫への負い目から趣味などにもお金を使いずらい気持ちになる
専業主婦はどうしても家の中にこもりがちになってしまいます。
家事や育児に追われ自分のために外出することは少なくなってしまうのです。
話す相手も夫と子供だけで、同じようなことを繰り返す毎日にストレスを溜めてしまう人も少なくありません。
刺激のない日々の暮らしに飽きてしまい「外に出たい、働きたい!」と考えることもあるのです。
Point毎日同じことの繰り返しは飽きる
「男は外に出て働き、女は家を守る」という考え方を持つ人は今も少なくありませんが、日本では平成以降共働きの世帯が明らかに増えています。
こちらの表は内閣府が行った統計で、共働き世帯の年代による推移を表にしたものです。
平成8年から専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転しており、さらに平成29年には昭和55年と反転した状態になっています。
家計を一人で支えるのが難しくなっているということもあり、日本でも次第に共働きが一般化しているのです。
いざ「専業主婦を辞めて仕事を再開したい!」と思っても、実際に行動しようと思うと様々な不安や障害があることも。
働きたい専業主婦は、どういう不安や悩みを抱えているのでしょうか。
毎日滞りなく家事を行うことは、当たり前のことのように思われがちですが、実はとても大変なことです。
家の中を清潔に快適に整え、家族の健康を考えた食事を作り、日々の生活を送るための下準備をする。専業主婦が家庭で担っている役割は、決して簡単なものでありません。
だからこそ、働きに出て今の家事の水準が保てるか、家の中の状態や家族の健康をきちんと保てるかという不安はつきまとうのです。
一度切れてしまったキャリアをもう一度再開させるのは大変です。
ブランクが長くなるほど就職は不利になりがちで、子供がいる場合はそれだけで就職先の選択肢が狭まってしまうことがあります。
自分のライフスタイルや希望に合った就職先を探すのは大変です。
さらに、見つかってもそういった求人は倍率が高いため、なかなか就職が決まらないということもあるでしょう。
専業主婦の期間が長ければ長いほど、「自分はもう何もできないのではないか」とか「誰の役にも立っていない」という不安や怖さを心の底に抱きがちです。
すると、「いざ働きに出ても役立たずで終わってしまうかもしれない」という気持ちになりやすいのです。
「自分が思っているより仕事ができなかったらどうしよう」とか、「一からまた仕事を覚えられるだろうか」という不安は、実際に働き始めるまでつきまとってしまいます。
働きたいと思っても、子供がいる家庭では預け先を確保しなければ働けません。
保育園の空きがなく働くことができない人も数多く存在します。
保育園や幼稚園が決まるまで一時的にでも子供を預かってくれる場所がある人はいいですが、そうでない場合は子供の預け場所は再就職の際に大きな課題となるのです。
働きに出るということは、これまで家事に使っていた時間が減るということです。
そのため、家族の理解と協力が得られなければ、それまでの環境水準を保つことはなかなか難しくなります。
小さな子供がいる場合は保育園や幼稚園への送迎などのタスクも増えますから、一人で何もかもをこなそうとすると無理が出てしまうもの。
働きたい気持ちと家計の状況を家族に理解してもらえて、さらに家事や育児を協力して分担してもらえるならばいいのですが、理解が得られないと一人で抱え込むことになったり、結局働くことを諦めることにも繋がってしまいます。
これまで挙げてきた様々な不安ですが、結局のところ、家族、特に夫の理解と協力が得られることで解決できることがほとんどです。
しかし、夫や家族の理解や納得が得られないままだと、そもそも働けなかったり働き始めても負担が増えてオーバーワークになる可能性もあるでしょう。
そこで、専業主婦が働きたいと思ったときとき最初にクリアするべきハードルは「夫や家族に理解を得ること」になります。
家族の理解がなかなか得られず働くことを諦めた人の中でも、「夫に反対された」という方は多いようです。
夫が反対する理由として、以下の理由が挙げられます。
こうした理由を並べると自分勝手な理由のように見えがちですが、夫もまた生活が変わることに対して不安を抱くということを忘れてはいけません。
まずは、「家庭を支えているのは自分だけではない」ことを、妻が理解しましょう。それが結果的に夫の理解を得ることにも繋がっていきます。
理解が得られないまま働き始めたり、あるいは働くことを隠しながら働くと、後から自分の首を絞めることになりかねません。
特に、家族に内緒で働いてしまった場合、家族にバレないようにするため、誰の助けも借りず家事と仕事を両立せざるを得なくなりますし、バレたときに大きな問題へ発展してしまうこともあり得ます。
働いていることを内緒にするのは、自分のためにも絶対にやめた方がよいでしょう。
反対する夫を説得するためには、自分も家族としっかり向き合う必要があります。
では、どう話を進めると家族の理解や納得を得やすいのでしょうか。ポイントは4つあります。
家族に理解を得るためのポイント
これらに気を付けた話し合いをすることで、夫や家族の理解を得やすくなります。
この4つのポイントをもう少し詳しく解説していきましょう。
「専業主婦を辞めて働きたい」という話をしたとき、夫から「どうして?」と訊かれたり「そんなことする必要はない」と言われたとしても、相手の気持ちを逆なでするような言葉を選ぶのは禁物です。
「あなたの収入が低いから、私も働かなければいけない」
「家事や育児を私に任せきりで、家のこと何も分かってない」
日頃の不満やストレスから、こうしたことをつい言ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、夫からすると人格の否定や批判に取られる可能性が高く、気分を害してしまいます。
相手の気持ちを逆なでしてしまえば、話を聞いてもらえなくなることも。
もし相手を説得したいのであれば、穏やかに、かつ相手が納得するための材料をきちんと提示しながら話を進めることが大切です。
Pointネガティブな言葉はネガティブな結果を呼びやすい
たとえば「家計が苦しいから働きたい」と言ったとしても、「(妻の)家計管理に問題があるからでは?」と言われてしまうこともあるかもしれません。
収支のデータをきちんと説明しながら「無駄遣いはしていないけど家計が苦しい」とか「今は余裕があるけれど、将来に備えてもう少しゆとりを作っておきたい」などと伝えましょう。
そのほうが、当然夫も納得しやすくなります。
Point状況は視覚化することで把握しやすくなる
もし収入に対してプライドが高いタイプの夫であれば、そもそも「妻が外に働きに出る」という事に対して抵抗を示す場合もあります。
そうした場合は、夫への感謝や尊敬など、相手を尊重する態度や言葉をきちんと示すことも重要です。
その上で「夫が頑張って働いてくれた収入を自分のせいで浪費したくない」「自分ももっと夫のサポートをしたい」など、相手を尊重しているからこそ専業主婦をやめて働きたいのだという意思を見せましょう。
Point相手の大切にしていることを自分も大切にする
専業主婦が働くことを嫌がる夫は「自分が家庭の一員であるという意識が薄い」という可能性もあります。
そうした場合は、「家族でやりたいこと」や「家族として達成したいこと」を話しあって見るのも良い手段です。
たとえば「年に一回は大がかりな旅行に行きたい」「休日のレジャーでもう少し贅沢するためのゆとりを作りたい」、あるいは「子供が大きくなるまでにマイホームを建てたい」など、それぞれの家庭でかなえたい夢や目標を見つけてみてください。
そして「その夢のためにはもう少し家計にゆとりがあったほうがいい」という流れに持っていくことができれば、説得もしやすくなるでしょう。
Point目標があることで気持ちが一つになりやすい
働く前にきちんと夫や家族が納得してくれたとしても、実際に働き始めると家族が家事などを手伝ってくれず、結局一人でやるしかない、という家庭もよくあります。
話が違うことでもストレスが溜まりますし、タスクが増えることで忙しさも増すため心身ともに疲れてしまい、結局仕事を手放してしまうことだってあるのです。
そうしたリスクを避けるために、働くことが決まった時点である程度の分担を決めてしまうといいでしょう。
生活リズムが変わることで、家族全体のリズムも乱れてしまうかもしれません。その状態から早く脱するには役割分担が有効です。家族の一員である自覚が持て、家族のことを思いやる気持ちを生み出しやすくなります。
ぜひ家族のことを信頼し、つらいときには頼りながら、家庭も仕事も楽しく過ごせる環境を作ってくださいね!