女性の社会進出が進み、結婚後に専業主婦ではなく共働きを選ぶ女性は、明らかに多くなりました。
まして夫婦ともに正社員の場合、「勝ち組」「うらやましい」なんて言われることもあるようです。
しかし、実際に共働き正社員の方は、「夫婦で働かないと家計が回らない」「正社員で共働きだけど疲れた、もう無理」などと思っている人も多いことでしょう。
ここでは、共働きを検討している人や今共働きで大変な人に向けて、共働き夫婦の体験談や、仕事と家庭の両立のためにできることなどを紹介します。
まずは、夫婦共働きの家庭がどのくらいあるのかを見ていきましょう。
共働きの世帯数は、年々増加しています。
男女共同参画局の調査結果を見てみると、その増加率は一目瞭然です。
昭和の時代は、無業の妻(=専業主婦)の世帯数の方が圧倒的に多かったのが、平成に入って同率ほどになり、平成9年に逆転しています。
そして令和2年では、共働き等世帯数が1,240万世帯となっています。これは、無業の妻(=専業主婦)世帯数の倍以上です。
では、共働きで、かつ母親が正社員である家庭はどのくらいあるのでしょうか。
2021年の厚生労働省の調査結果では、18歳未満の子どものいる世帯で、母の仕事状況を見ると、「仕事あり」と答えたのは75.9%、「仕事なし」と答えたのは24.1%でした。
児童のいる世帯での母の仕事状況
7割以上の家庭で、母親が働いていることがわかります。
そのうち、正社員の割合はどうでしょうか。
「仕事あり」と答えた母親75.9%の内訳は、正規の職員・従業員が29.6%、非正規が37.3%、その他8.9%でした。
これを換算すると、仕事をしている母親のうち、約4割が正社員として働いていることになります。
そして、非正規の母親は約5割という結果でした。
正規の職員・従業員の数は、10年前と比べると10%ほど増えていますが、それでも共働き世帯においては、非正規の母親の方が正社員の母親よりも多いということです。
参照:厚生労働省『2021年 国民生活基礎調査の概況「児童のいる世帯の状況」』
共働きをしている人はどんな風に暮らしているのでしょうか。体験談をご紹介します。
子供が小さいうちは専業主婦でしたが、子供の手が離れてきたことと家に居ることにストレスを感じるようになったので働き始めました。
共働きになり、私個人としては会社の人達と触れ合うことで生活に張り合いを持てるようになり、イキイキしていると自分でも思います。
家事は完璧には出来ていませんが、夫や娘達が手伝ってくれるので家族の協力なしでは無理だな‥と思うこともあります。
家事を完璧にこなしたい人、妥協できない人では共働きは難しいかもしれません。
私は専業主婦も経験したことがありますが、現在は共働きです。
専業主婦のときは生活にメリハリをつけることで一苦労。趣味も特にないのでとにかくヒマでした。
今は共働きで家事を分担して、お互いに文句も言わず上手くやっている方だと思います。
お金は稼げても時間の余裕がなくなることがあるので、家事代行のようなものもたまに利用しつつ、ネットスーパーや生協なども上手く活用して、メリハリのある生活をしています。
3歳と7ヶ月の子供を2人保育園に預け、夫婦で共働きをしています。
私の帰宅は子供を迎えに行き買い物をして19時頃、主人は20時過ぎに帰宅します。
家事分担はほとんど出来ておらず、主人がしてくれるのはゴミ捨てと風呂掃除のみです。そのため、仕事から帰った後は食事の支度から子供との食事、お風呂、寝かしつけ、片付け、洗濯、明日の準備をし、深夜2時過ぎに寝ることもあります。
主人は「疲れた」と言い、子供の面倒も少ししか見てくれずスマホで動画を見ています。
疲れすぎて仕事中も居眠りをしてしまうことすらある状態で、正直この生活どうにかしたいと思っています。
子供が1歳になってから共働きですが、出来ることを無理のない範囲で頑張っています。
平日の昼間は家に誰も居ないので部屋も汚れず、光熱費も安く済む。
お金も貯めやすいのでこのまま仕事は続けていきたいと思っています。
共働き体験談を紹介しましたが、共働きはメリット・デメリットどちらもあることが見て取れます。
そのメリットとデメリットを具体的に紹介します。
メリット
2倍近くの世帯収入になる場合があり、生活に余裕が生まれ、老後の安心にも繋がる。また二人とも厚生年金に加入していれば、定年後の年金額のアップも見込める。
近所のコミュニティやママ友付き合いだけでなく、同僚や取引先など、様々な人とコミュニケーションをとれる。視野を広げたり、仕事を通してやりがいを見つけられることも。
仕事をして家事・育児から一時的に離れる時間があると、気分を切り替えることができ、精神的な余裕に繋がる。
夫婦のどちらかが病気やケガで働けなくなった場合や、職を失ってしまうことがあっても、完全に収入がなくなることはない。
会社で働くことの大変さ、家事や育児の大変さ、それぞれが同じ立場で経験することでお互いの理解を深められる。
デメリット
社会保険料、子供の保育料、交際費などが増える。惣菜やお弁当を買って帰る機会が増えると、食費もかさむ。
掃除ができず家が片付かない、子供との時間が減るなどで、精神的に辛くなってしまうことも。
お互いの帰宅時間がずれていたり、休日が異なると、夫婦でゆっくり話をする機会がとれない。
子供の急病や、園・学校の行事参加、突然の飲み会の誘いなどへの対応が難しく、負担が増えてしまう。
共働き家庭が仕事と家庭を両立させるためには、大切なポイントがあります。
共働きのメリットを大きく感じ「共働きで良かった」と思えるか、またはデメリットを負担に感じ「限界」「しんどい」「疲れた」と感じてしまうか、その分かれ道はこれらのポイントにあります。
「家事も育児も完璧にこなそう」という考えは危険です。
散らかった部屋などダメな部分を見るとストレスに感じてしまい、自分を追い詰めてしまいます。
目標のため、家族のために「このくらいは仕方ない」と割り切れるくらいがちょうどいいのです。
逆に、それが難しい、完璧にやりたいという人は、仕事と家庭の両立自体難しいかもしれません。
共働き世帯で悩みの種となるのが、「家事・育児の分担をどうするか」でしょう。
ですが、あまりきっちり線を引きすぎてもうまくいかないことがあるかもしれません。
また、「ここはこうしよう」と決めても、実際にやってみないとわからないことがたくさんあります。
うまくいかなかったときのことも見越して、「ダメならまた考え直す」というトライ&エラーの気持ちを持つことが大切です。
家事・育児の分担は大切ですが、「これは相手がやるのが当たり前だ」とは思わないようにしましょう。
仕事はどちらも大変です。
仕事と家庭の両立には夫婦の協力があってこそ実現できるものです。
相手への思いやり・感謝の気持ちを忘れては、長い夫婦生活を送ることはできません。
仕事の関係上、どちらかに負担が大きいことがあっても「ありがとう」「いつもごめんね」と思いやりや感謝の気持ちを伝えるだけでも全く違います。
毎日忙しくても、夫婦のコミュニケーションはおろそかにしないようにしましょう。
なかなか夫婦でゆっくりと会話をする時間をとるのは難しいかもしれませんが、週に1~2回、10分程度でもいいので、あえてその時間を作ってみてください。
最近あったことを共有したり、仕事のちょっとした愚痴を言ってみたり、些細な話でも構いません。
帰宅時間や休みが合わずどうしても夫婦で話す時間が持てない人は、カレンダー・スケジュール共有アプリ等を上手く活用し、離れていてもお互いのことが分かる環境を作ることも良いかもしれません。
では、いざ正社員として働こう!と思っても、どのように求人を探していけばいいのでしょうか。
共働きで仕事と家庭とを両立させるためには、給料・勤務地・勤務時間・休みなどの条件はもちろんのこと、そこから一歩踏み込んだ職場の内部事情をしっかりと確認するのが大切です。
一歩踏み込んだ内部事情とは、「ブランクの長さが採用に影響しないか」「残業ができないことで同僚にうとましく思われないか」「子どもが急病でも休みがとれるか」などの現実的な事情のことです。
どうしたらそんな内部事情までわかるの?
その答えは、転職エージェントを活用することです。
転職エージェントでは希望条件に合わせた求人紹介をしてくれるだけでなく、個人の就職・転職活動ではなかなか知ることが難しい職場の内部事情まで、詳しい情報を提供してくれます。
これらは一例ですが、このように事前に知っておきたい情報を入社前に知ることが出来るのでミスマッチのない仕事選びが可能です。
理想的な共働きを実現させるためのはじめの一歩として、転職エージェントの活用をおすすめします。
女性目線での「共働きとして正社員で働く」ことについて、様々な視点から紹介しました。
共働きであっても家事・育児はどうしても女性の負担が大きくなってしまうケースが多いのですが、家族で協力しながら生活していくことが理想です。
仕事の悩みがある時や、仕事探しを始めたいときは、転職エージェントに相談をすることで理想的な働き方が見つかるかもしれません。
無理をし過ぎない程度に頑張ってみましょう。