日本は女性管理職の比率が低いと言われていますが、なぜ低いのでしょうか?
「すべての女性が輝く日本へ」として待機児童の解消、職場復帰・再就職の支援、女性役員・管理職の増加を安倍内閣が政策として掲げていますが、多くの課題が残されているのが現状のようです。
でも、女性だって管理職を目指してもいい!管理職としてバリバリ働く環境を得る権利があります。
そして、実際に管理職として活躍している女性はどのようなことを感じているのでしょうか?
ここでは、女性管理職の現状を様々な視点から解説していきたいと思います。管理職として上手くやっていきたい女性、管理職を目指す女性の参考にしていただけたら幸いです。
労働現場において、労働者を指揮し、組織の運営に当たる者を指す。
※引用:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7
民間企業では課長以上の職位を管理職としています。
もちろん男性女性関係なく基準に値していなければ管理職になれませんが、それ以外で日本の企業で女性管理職が少ない理由について考えられることを挙げていきます。
企業や業態により異なりますが、新卒入社から役職に就くまでの年数として課長で15年~、部長で25年~とも言われています。
結婚・出産を機に退職を選択する女性が多くいるため、勤続年数が短くなる傾向にある女性は管理職になりにくいと考えられます。
などの理由から、管理職になることを希望しない女性がいることも確かです。
そもそも企業における女性社員の割合が低く(※30%未満の企業が多い)、女性が管理職に就いた前例がない企業や少数の場合、ロールモデルとなる女性がいないことで女性が管理職になりづらい傾向にあることも考えられます。
また、昔ながらの男社会の影響から女性が管理職になることに違和感を覚える人が少なからずいるようです。
このような理由から女性管理職が少なくなってしまっていることが考えられます。
では実際に女性管理職の割合はどのようになっているのでしょうか?
平成27年に公布された『女性活躍推進法』では、2020年までに女性管理職の比率を30%程度に伸ばすことが目標として掲げられました。
※参照:男女共同参画局「2020年30%」の目標の実現に向けて
http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/
帝国データバンクが発表した2019年の女性管理職の割合は7.7%であり、前年より0.5ポイント上昇しましたが目標の数値にはまだまだ届かない結果となっています。
以下は、男女共同参画局が発表した平成27年(2015年)までのデータであるため、若干内容に相違がありますが参考までに紹介します。
※参照:男女共同参画局「階級別役職者に占める女性の割合の推移」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-11.html
このグラフは男女共同参画局「男女共同参画白書 平成29年版」から抜粋したものです。部長(赤色)と課長(黄緑色)のグラフを見てもらうと、平成27年では女性管理職の割合が部長6.2%、課長9.8%であることが分かります。
平成元年と比較すると緩やかではありますが女性管理職の割合は上昇傾向にあります。
※参照:男女共同参画局「就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(産業別)」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h29/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-07.html
産業別に見ていくと、「不動産業、物品賃貸業 33.3%」「教育、学習支援業 33.3%」「医療、福祉 28.6%」と女性管理職の割合が3割前後と比較的高い結果となっています。
女性が多く働く職場では女性管理職の割合が高くなりますが、全体を見るとまだまだ少ないのが現状です。
※参照:男女共同参画局「就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-13.html
そして、日本の女性管理職比率の低さは国際比較を見ると明らかに現われています。
少しずつ増えてきているとされる女性の管理職ですが、具体的にはどのような業種に多いのでしょうか。
『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)(東洋経済新報社)』2020年版の『女性管理職比率が高い企業ランキング』のトップ10を見てみましょう。
順位 | 社名 | 業種 | 比率(%) | 人数 |
---|---|---|---|---|
1位 | ABC Cooking Studio | サービス業 | 97.9% | 190 |
2位 | シーボン | 化学 | 87.5% | 119 |
3位 | ミュゼプラチナム | サービス業 | 83.5% | 86 |
4位 | スタジオアリス | サービス業 | 83.3% | 100 |
5位 | ニチイ学館 | サービス業 | 78.5% | 2964 |
6位 | しまむら | 小売業 | 59.5% | 1563 |
7位 | トレンダーズ | サービス業 | 56.3% | 9 |
8位 | HAPiNS | 小売業 | 55.6% | 15 |
9位 | パソナグループ | サービス業 | 53.0% | 705 |
10位 | ハーバー研究所 | 化学 | 50.0% | 9 |
女性管理職比率高いが上位の企業は、ABC Cooking Studioを始めミュゼプラチナム、スタジオアリス、ニチイ学館などサービス業が多いことがわかります。
また全ランキングの業種別でみると、保険業が21.2%と比率が一番高くなっています。
元々女性社員の比率が高い企業が上位に多く食い込んでいるかたちとなっています。
2位の化粧品メーカーのシーボンは女性比率が91.9%、1日8時間未満で週に4~5日働く「ショートタイム正社員制度」など女性の働きやすい環境を後押しする制度が整っています。
このように女性管理職が多い企業は女性が働く環境も整っているので、転職を検討する際に参考にしてみてください。
東洋経済オンラインでは、女性管理職の比率が高い企業100位までのランキングが掲載されています。より詳細が知りたい方はチェックしてみるといいでしょう。
引用元:https://toyokeizai.net/articles/-/377811
ここからは、実際に管理職として働く女性が抱える不安や悩みについて見ていくと共に、その対処法も併せて紹介します。
女性はライフステージの変化により働き方に及ぼす影響が多くあります。
既婚女性であると家事・育児をしながら結婚・出産前と同じように仕事をしていき両立させることは困難と感じてしまうことや、プライベートの時間が減りストレスを感じることも。
女性管理職が増えない背景には、見えないジェンダー・バイアスがかかっているのではないでしょうか。日本の企業は男社会が長らく続いている影響から女性社員の割合が低い、女性管理職の割合が低いことで男尊女卑とも取れる言動をされてしまうことがあります。
「女は感情的だから」「だから女じゃ駄目なんだ」などの言葉だけでなく、周囲の視線や態度に敏感になってしまいプレッシャーを感じてしまいます。
周りに女性管理職がいない、または少ないことで気軽に話せる人がいない、相談できる人がいない、女性部下からの反発、男性部下への接し方、管理職になったことで仲の良かった同僚女性が離れていく‥といったように孤独を感じてしまう。
管理職は自分の業務だけをこなしていけばいい訳ではありません。周囲への気配り・目配りも含め負担を感じやすい。
男女平等といえども、男性の多い職場では女性であることで自信を持てないことや女性ならではの悩み、納得のいかない場面に出くわしてしまうこともあるでしょう。
しかし、女性管理職であるなら女性だからこその強みを出していくことで信頼され愛される上司になることも。
女性は観察力が優れているため、些細なことでも部下一人一人の変化を察知し適切にケア、フォロー、モチベーションアップなどをしていき部下を支えていける。
部下の気持ちに寄り添える、それぞれの人(上役、部下、顧客など)の立場に立ち話を聞けることで良好な人間関係が構築され部署内がチームとしての結束力が生まれやすい。
ビジネスに於いてコミュニケーション能力は大事な能力の一つ。縦社会を重視する男性とは異なり女性はフラットな立場で会話を楽しむことが出来ます。良い雰囲気の中、社内のコミュニケーションが活性化されることで部下の成長、企業の成長に繋がる。
男性上司には相談しづらいことでも、同性ということで女性社員が相談しやすい環境、ワーキングマザーの気持ちを理解できるメリットがあるだけでなく女性管理職のロールモデルになり得るため、結果として『女性が輝く日本』に近づいていく。
意思決定層が男性管理職ばかりの時には出てこなかった新しい発想、議論が起こりやすくなり最終的には良い方向に進みやすい。また、管理職という立場を活用し女性が働きやすい環境を提案し改善していける可能性もある。
女性管理職の心構え
女性管理職が気を付けなくてはいけない点
女性管理職として頑張っていきたいと思っている人、目指している人は今現在どのような状況でしょうか?
部署内の雰囲気も良く充実している、女性管理職への道が開けているのであれば良いのですが、出産や育児などを含む社内の支援制度をはじめ自分が頑張っても解決できない問題を抱えている人は女性管理職として活躍出来る職場への転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか?
転職エージェントを利用すれば企業ごとの福利厚生、女性管理職の比率をはじめとして女性が活躍出来る企業の求人を効率良く探すことが可能です。
管理職となることで責任が重くなり家庭との両立など大変な一面もありますが、仕事へのやりがい、自分自身の成長に繋がるだけでなく女性の活躍は社会全体を活性化してくれるものです。
管理職にはなりたくないと考える女性が多いことも確かですが、一歩前へ出て可能性を広げてみることも素敵な選択なのではないでしょうか。