プロフィール
大手人材会社に15年、研修会社に3年在籍し、現在、HRコンサル会社にて教育プログラム管理、人事評価制度構築、求人コンサルティング、紹介エージェントをしつつ、フリーで研修講師、キャリアコンサルタントとして活動中。
50代の転職はとても厳しいのが現実。
若年層に比べると遥かにいばらの道ゆえに、後がないため失敗も恐れてしまうでしょう。
とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時的に求人数は落ち込んでいましたが、経済の回復とともに転職市場も回復しています。
その中で、さまざまな形で転職に成功している50代がいるのも事実です。
ここでは、転職先が決まらない50代がやりがちなNG転職法と、成功のための2ステップを紹介します。
プロフィール
大手人材会社に15年、研修会社に3年在籍し、現在、HRコンサル会社にて教育プログラム管理、人事評価制度構築、求人コンサルティング、紹介エージェントをしつつ、フリーで研修講師、キャリアコンサルタントとして活動中。
再就職・転職を考えたときにハローワーク(公共職業安定所)を真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
地域性や世代的にも「仕事探し=ハローワーク」となっている方は多く居ます。
退職後は、失業手当の手続き等で必ずハローワークを利用するため、そのままの流れで仕事探しを行うことでしょう。
公的な機関ということもあり信頼のおけるサービス機関であるという認識が強いですが、必ずしも的確にマッチングしてもらえるとは限りません。
ハローワークの求人は企業が無料で求人票を出すことが出来るため、求人が多いのは強みですが優良企業かどうかが問われます。
そして多くの相談員が在籍していますが、かならずしも一定の質を担保できているとは言い切れません。
まずあなたが言われることは、
などが想定されます。
ハローワークを頼るのは悪いことではありませんが、「優良企業ではない求人もある」「相談員の質が担保されているとは言い切れない」といったデメリットがあることを認識しておきましょう。
転職活動方法として今やなくてはならない転職サイト。
ハローワークと違って企業側は求人掲載が有料となりますが、応募に人を介さない分、ハローワークのようなデメリットなく転職活動できるのではないかと一見思います。
それもその通りではありますが、注意点もあります。
転職サイトは、20代~30代の若手の転職に強いサイトもあれば、中高年向けのサイトもあります。
そのことを知らずに登録した場合、書類選考が通らない、そもそも連絡すら来ないということも起こり得るのです。
家でもどこでも応募できる転職サイトは、裏を返せば倍率の高い中で、ポテンシャルもあって採用コストが低い若手と比べられることになります。
50代ともなると役職に就いていたり、今までの経験や実績が豊富な方も多くおられると思います。
しかし、企業が50代の皆様に求めるものは経験でしょうか?実績でしょうか?
もちろん、そこを求める企業も少なからず存在します。ただし本質的に50代が求められるものは「人間性」に多くの比率が占められます。
等々、企業もその世代に適合する人材活用を望む傾向にあります。
その中で実績やスキルをアピールしても『扱いにくい人間だ』『実績は社内の人間もう充分に間に合っている』と受け止められてしまいます。せっかくの実績を活かせそうな場面があるのにもったいない。
その実績やキャリアは羅列するのではなく、それを転職先でどう活かしていきたいか(活かせるのか)、より具体的に伝えましょう。
そうすることで、自慢話はプレゼンへと変化し、より強力な売り文句となります。
50代がやってはいけない転職法
3つの『50代がやってはいけない転職法』から見てもわかるように、50代の転職は非常に厳しいことがわかります。
ですが、厳しい中厳しいなりの転職の仕方があります。手順を間違えると、大幅な条件悪化、空白期間の長期化、自信喪失・・・と負のスパイラルに陥ります。
ここで、50代転職成功のためのステップを紹介します。手順と理由を説明しますので、ブックマークをして、失敗しても次のステップにつなげられるよう備えてください。
50代の転職が厳しいからと言って最初から条件を下げて探す必要はありません。
他の年代にも言えることですが、結局は需要と供給の問題で、マッチングさえすれば価値がつき、そうでなければ低い金額を提示されるのは当然のことです。
まずは市場価値の確認から始めます。
具体的に言うと、doda Xようなハイクラス向けスカウト型転職サイトに登録します。
50代がスカウト型転職サイトで確認すること
経歴はできるだけ細かく、ヘッドハンターの検索で引っかかるよう、言葉や言い回しを変えて色んなワードで入力しておくのがポイント。
doda X(https://doda-x.jp)/のスカウトで転職するのが、好条件で転職できる可能性が高くなります。
公式サイト | https://doda-x.jp/ |
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特徴 | 高年収のハイクラス求人多数 |
利用料金 | 無料 |
おすすめポイント | ヘッドハンティングと求人検索をどちらも利用できる |
ただし、登録してもスカウトが来ない、気に入る求人がない。ということは当然あります。
doda Xを試してみて良い反応が出なかった人は、50代の転職に強い転職エージェントを利用しましょう。
書類の添削・面接の傾向・企業の好みなど多方面からのサポートと、エージェントから推薦され、後ろ盾があって初めて『内定をもらえた』という人も多く居ます。
50代が使うべき転職エージェント
後ろ盾にする転職エージェントは、50代の転職実績が多いところを選択するというのは当然ですが、そのエージェント自体の社会的な信用度も重視しましょう。
リクルートエージェントは数多くの転職支援をしてきており、50代の転職支援に於いても豊富な実績があります。
非公開求人が豊富なのも魅力の一つであり、経験・実績豊かなキャリアアドバイザーの的確なアドバイス・サポートで求人企業と転職希望者とを高い精度でマッチングさせています。
リクルートエージェントのキャリアアドバイザーは質の高さに定評があり、企業からも利用者からの信頼も厚いリクルートエージェントを選ぶのが吉◎
公式サイト | https://www.r-agent.jp/ |
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特徴 | 転職成功実績No.1※ |
地域 | 全国・海外 | ポイント | 40代・50代の転職実績が豊富 |
※厚生労働省「人材サービス総合サイト」における有料職業紹介事業所のうち無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用の合計人数(2021年度実績を自社集計)2022年6月時点
なるべく早く転職したい人は、doda Xとリクルートエージェントを並行して進めても問題ありません。
転職活動はついつい自分を強調しがちになり、自分の見方に偏り、視野が狭くなります。
・自分がいまどういう状態なのか
・どう見られているのか
等をプロの目から客観視して、視野を押し広げてもらう意味で、就職エージェント(コンサルタント)を使うことは有効な手段です。
ただし担当エージェントのレベルだと単なるセールス職である場合が多く、今ある案件にマッチングしない場合は真剣に対応しない可能性が想定されます。可能な限りキャリアコンサルタントの有資格者に持ちかけることをお勧めします。
注意していただきたいのは「キャリア構築理論」「偶発性理論」等の学術知識だけでキャリアを語るコンサルタント。当然理論と現実にはギャップがあります。現場を理解してより客観視できるという意味で、担当してもらうエージェントはセールス兼キャリアコンサルタントであるとベストです。
50代の転職での悩みや疑問について代表的な7点を記載しています。ご参照、ご活用ください。
こちらの表は、厚生労働省の『令和3年雇用動向調査』にある、『年齢階級別転職入職率』の統計です。
50代の転職入職率は決して高いとは言えませんが、実際に転職を成功させている方はいます。特に男性に関しては、50代前半よりも50代後半のほうが転職入職率が上がっています。
最初から諦めてしまう前に、まずはポジティブに行動を起こすことが重要です。
50代の転職で、企業が50代に求めているものは『資格』ではありません。では何を求められているかというと、『経験』です。
前述のように様々な経験の中で培ってきた応用力やマネジメント力が50代の武器。誰もが持っているような資格を取得する時間があるとするなら、企業研究や、よりスキルや知識をアップさせる勉強をするほうが有意義です。
それでも少しでも有利になる資格が欲しいと考えるのであれば、独占業務があるような実用的な国家資格を取得することをおすすめします。
独占業務があるような国家資格であれば、コンサルティングファームへの転身もしやすくなりますし、将来的に起業やフリーランスになるという選択肢も増やすことができます。
宅地建物取引士(宅建士)、マンション管理士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(FP)、社会保険労務士(社労士)、中小企業診断士、社会福祉士、登録販売者、電気工事士、危険物取扱者など
50代ともなれば、お子様も手を離してもよい年齢となる場合が多く、より仕事に専念できるようになる年齢です。
女性のハイキャリアは倦厭される時代もありましたが、昨今では働きたい意志があれば女性でもチャレンジしやすくなってきています。
男女別の平均年収統計を見ると、家事・出産・育児に関わる期間が多い関係で女性の方が低くなる傾向にありますが、キャリアを積んできた層に至っては待遇に差がなくなりつつあります。
自分の頑張り次第で、現在では転職に男女の差はあまり無くなってきています。
例えば営業職や事務職のように、どんな業界でも必ず必要な職種は、業種を跨いでも馴染みやすい土台があるので、転職チャレンジのチャンスは大いにあります。
また、50代ともなればジェネラリストとしてマネジメント力を求められるような役職や、リーダー経験がある人も多いでしょう。
ハイクラスやエグゼクティブ層への転職を考えている方であれば、実績やマネジメントスキルを評価してもらうことで、異業種への転職チャンスは十分にあると思います。
未経験転職で求められるものは、基本的に『ポテンシャル』です。ポテンシャルといえば、どうしても20代に勝つことは難しく、一般的に見ても30代前半まででないと厳しいと言われているため、未経験は歓迎されません。
ただし、『50代未経験でも入りやすい職種』というものもあります。どういうことかというと、現在急成長中の業界で、万年人手不足に悩まされている『売り手市場』では、猫の手も借りたい状態で、熱意さえあれば50代でも採用される可能性が高いのです。
介護や福祉、タクシー業界、建築・不動産といった業界が『売り手市場』に該当します。
また現在「地方活性」をキーワードに、国や地方自治体支援の下で地元商工業社及び組合等が積極的にこの年代を採りに来ています。
理由は労働力減少だけではなく、管理層の高齢化(定年越え)と事業継承がトリガーとなっており、都会よりシビアな問題です。
実家がある、若しくは生まれ育った場所という理由だけでなく、全く縁もゆかりもなかった地方へ目を向けると自分を活かせるチャンスは意外と多く転がっています。
厚生労働省が行った統計で、『令和3年雇用動向調査』の中の『転職入職者の賃金変動状況』から抜粋したものをグラフにしました。
転職したことで収入はどう変わったかを表したものです。50代前半も後半も『変わらない』と答えた人が30%ほどで、50代前半では一番多いです。しかし、次点では『1割以上減少』しています。50代後半では1割以上減少している人が一番多く、40%に届くほどになっています。
50代での転職で、年収を上げたいと希望する方は多いですが、残念ながら「絶対に上げる」というこだわりの元で転職活動をすると、長期化する可能性が高くなりがちと言われています。
転職で一気に年収アップを狙うのではなく、転職直後は低くても、入職後に実績を作って年収を上げていくのを目指すことをお勧めします。
「50代の転職では長期化しやすい」などという話はよく聞きますが、実際にどれくらいの期間でみんなは転職を決めているのか、自分の転職活動の指針にするために一般的な転職活動期間を知っておくと安心できますよね。
こちらは厚生労働省の『令和2年転職者実態調査』の『転職について』の統計から、年齢別離職期間の50代の部分を抜粋して表にしたものです。
離職期間なしで転職したという人は、50代前半でも後半でも25%に届いていません。その他は退職後に転職活動を行っていることになります。長くなればなるほど生活を圧迫するようになるため、転職活動にどれだけ時間がかかろうと、まずは『仕事を辞めない』事が重要になります。
転職を考え実行に移すという事は、少なからず現職への不満を抱いていることと思います。「辞めよう」と決めたら、できるだけすぐに辞めてしまいたいと思ってしまうのも分かりますが、転職はいくら一般的な例を確認したところで人それぞれ。やってみないと分かりません。
後でやめてしまったことを後悔しないよう、転職活動は、現職を辞めずに働きながら行うのが、焦りを呼ばずにマイペースを保ってできる秘訣になります。
50代が再就職・転職を成功させるためには、在職中から「市場価値を知る」「自己分析をする」この2つは絶対にしておくべき大切なポイントとなります。
この2つに加え、なるべく多くの求人情報に触れ希望条件にマッチした求人を探しておくことや離職期間を短くするために計画的に応募し内定をもらっておくことが出来れば理想的です。
これら全ての流れを効率良く行えるのが転職エージェントをはじめとした転職支援サービスです。はじめての転職の人はもちろんのこと、転職回数が少ない人でも安心して転職活動を進めていけるはずです。
厳しいと言われている50代転職でも転職エージェントを最大限活用し有意義な転職としていきましょう。
「今ちょっと仕事がマンネリ化してるし、上司/部下ともなんか距離を感じる」
「入社した当初より給与が上がらない」
「最近この業界はいい話が聞かれない」
等の悩みや不満が増える。これが50代という年代です。
転職はどうしても「現状に不満がある」前提で話が進みますが、むしろ「現職に特段不満はなく、ある程度高評価。その部分をさらに高めたい」といった状態でのする方が成功確率は高くなります。そうでないのであれば、「現職の中で様々な仕事に挑戦して、できる仕事を増やすこと。そして何らかの成果を上げること」に邁進していただくことをお勧めします。
今の日本は空前の転職ブームと言っても過言ではありません。「転職なんてこらえ性のな人間のやることだ!」といった風潮があった時代の方々にとってこの異常なくらいの転職ブームには抵抗感を感じる方も多いと思われます。流行りに身を任せるのではなく、「その転職は今本当に必要なのか」を自己分析することがまずもって必要ではないでしょうか。