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エグゼクティブの面接方法

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面接に必要な情報を収集する

アメリカの社会でも、ヘッドハンターから声がかかったからと言って、面接なしに、仕事を得られるわけではない。ヘッドハンターは紹介者に過ぎず、企業はヘッドハンターの情報に間違いがないかを面接で確認する。

面接では、30分程度の短い時間で、初めてあった相手に、「この人物は優秀」と思わせなければならない。それには周到な準備が必要とされる。

1.その会社の基本情報をすべて頭に入れること。
2.その会社が現在、行っているプロジェクトを頭に入れること。
3.その会社の社会における役割を頭に入れること。

可能であれば、その会社で働いている人物と話をし、内部情報も取る。それらを使って、面接の場で相手に理解させることは、

1.「この人は、我々のことを熟知していて、我々の社会での役割を知っている」
2.「この人を採用したら、このような仕事を行ってくれ、会社に貢献してくれる」
3.「この人の質問は明快で、会社を選ぶ際に最も大切なポイントをおさえている」

などが主なことになる。相手に聞かれた問いだけに答えているようでは、これらは達成できない。こちらが主導権を取り、相手とボールの投げあいを行い、相手を満足させることが必要とされる。

 

相手が知りたいことを考える

会社の情報と、会社が自分に求めている役割を頭に入れたら、面接をする側に立って、相手が知り
たいと思うことを考える。相手が知りたがることを先回りし、聞かれる前に伝えることができれば、相手に安心感を与えられる。「この人物はこちらが求めることを言わずとも理解して、行動する能力を持っている」。そう思われことほど高い評価となることはない。

自分の履歴書と会社側が求める人材を比較すれば、自ずと、会社側が自分に問いたい事がわかってくる。私はニューヨークのホテルに行く前、南国のリゾートホテルで3年間働いていた。ニューヨークのホテルの7割はビジネスで泊まる人々。当然、彼らが求める人物は、ビジネス客を誘致できる人材。リゾートで観光客の集客を担当している人物には無理ではないかという疑念がわく。先方が面接でこの点を聞いてくることはわかっている。

こちらから、「このホテルに必要とされるものは。ビジネスで泊まるゲストと理解しています」と伝えて、相手に相槌を打たせる。それから、「日本のビジネス客を獲得するには○○をしなければならない。それには、私の○○の経験が役立つ」という話しをする。聞かれて、答えを考えながら話すのと、事前に相手を100%納得させられる答えを用意しておくのとでは、説得力に雲泥の差が出る。

なにより大切なものは説得力だから、相手が知りたがることを事前に知り、周到な答えを用意する。そして、聞かれる前に、こちらから話すように流れを作る。その数が多くなれば、なるほど評価は高くなる。

 

リハーサルを行う

相手が知りたがる質問を箇条書きにして、その答え書いていく。できたら、録音機をデスクに置き、相手が聞いてくるだろう質問を、相手の気持ちになって言う。次に、自分に戻り、答えを述べる。それを聞き返しながら、歯切れよく、理解しやすい説明に近づけるための修正を重ねる。

さらに、頼める人がいれば、その人の意見も取る。大概、自分が見落としている質問がでてきて、さらに得点枠を広げることができる。枠は広ければ広いほどいい。だが、それを言葉にして、本番で伝えることは簡単ではない。周到に訓練を積み、すらすらと言えるようにしておくことが必要とされる。

 

ドキュメントを用意する

自分の意見を相手に納得させるには、第三者が出したものを利用しなければならない。自分の考え
だけを述べていたのでは、相手を感心させられはしても、信じさせることまではできない。また、その際に用意するものは至って簡単な物にして、誤解が生じないようにしなければならない。視覚で理解させることが最も間違いない方法なので、数字かグラフにして表すことが得策

「日本人の宿泊ゲストが減ったから、なんとかしたい」という話で、面接を受けたとき、私が用意したものは、過去5年間のニューヨークに来た日本人渡航者数の数。いい加減な数字と思われないように、“ニューヨークコンベンションビューロー”が出している数字を見せた。そして、「5年間、ずっと伸びています。減ったのは、このホテルに泊まりにくる日本人ゲストの数です」と説明した。これにより、相手に、優秀な営業マンを雇えば増やせるという希望を持たせた。

さらに、「このホテルの特徴は○○なので、日本人ゲストを増やすには、○○を行うことです。方法は○○があります」という流れにもって行った。これにより、相手の希望をさらにふくらませ、「多少、高い額を払っても、この人物を取ることにしよう」と思わせることができたと思う。

 

報酬の心得

業種によるが、労働賃金が最も大きな経費となる企業は多い。私が働いたホテルなどはまさにその
典型例で、人件費を超える経費はない。全ての企業にとって、人を雇うことは投資に等しく、投資した分、順当なリターンを期待する。アメリカの場合、面接にて報酬の交渉を行う。

先方は、リターンと報酬を天秤にかけながら、話をしている。どんなに優秀な人材と理解していても、リターンに見合わない報酬を要求されれば、雇用には結びつかない。これは、双方にとってイーブンなことなので、面接に臨む側も、いくらの報酬をもらえないのであれば、働くことはできないという明確なラインを決めて臨むことが必要になる。また、先方は、現在、得ている報酬よりも低い額で相手を採用することは考えていない。報酬に不満を持っている社員のパフォーマンスはいいものにはならないと理解しているからだ。先方は、これなら不満はないだろうと推測する数字と、それに出来高ボーナスをつけて、最高○○額まで得ることが可能になるという数字を出してくる。

自分の報酬額を決めるときは、現在の報酬よりも高い報酬を要求するのは当然だが、極端な高望みをすると、話が成立しなくなる可能性は高くなる。面接に行く前に、明確に自分が欲する額を決め、面接では揺らぐことなく、それを提示する。話ながら欲をだせば、それを読まれ、交渉は成立しなくなる。提示した額が高すぎて、話が流れることになったとしたら、それは縁がなかったものとして諦める。

 

アメリカに学ぶ転職活動の心得

努力不足で成功はなし。
消極姿勢で成功はなし。
完璧を目指すことなく成功はなし。

すべて当たり前のことだが、アメリカのエグゼクティブはこのことを繰り返し自分に言い聞かせながら前に進む。面接は、その人物の能力を如実に反映する場。特殊技能者やアーテイストを求める面接でないかぎり、面接で高得点を取得できない人物は、仕事でも高得点を取得できない人物という評価がなされる。だから、彼らは意地にかけても、面接で高得点を得るための努力を行う。

35年も前のことになるが、私も日本で面接を受けたことがある。ただ、質問されたことに周到に答えられればいいと、頭の中だけで準備をしていた自分を思い返し、恥ずかしくなる。経験不足で、なにもわからない時代のことなので仕方がないが、今の自分をもって、あの頃に戻れたとしたら、どの企業でも合格点を得ることができるのではないかと思う。アメリカのエグゼクティブたちを見て学んだことが、自分を成長させる大きな力となった。

 

人生を成功させる鍵

私がこれまで述べてきたことが、当たり前のことであれば、素通りしていただく。もし聞いたこと
のない内容であれば、是非取り込んでいただきたいと思う。経験を経て習得するのに30年かかったことでも、人は1日で自分のものにできる。ただ、その経験話しを聞いて取り込むだけでいいのだから簡単なことだ。人間だけに与えられた、この素晴らしい能力を利用しない手はない。人の成功の鍵は、他人が時間をかけて習得した大切なポイントを、いかに多く、自分の経験として蓄積できるかにかかっていると言えるのだから。

 

プロフィール

著者写真
ケニー・奥谷(ケニー・おくたに)

インターナショナル・ホスピタリティー・スペシャリスト

経歴・実績

奥谷啓介、NY在住。慶応義塾大学卒業後、ウエスティンホテルズ・アジア地区セールスオフィスに入社。

1989年からシンガポールのウエスティン、1991年からサイパンのハイアット、そして1994年から2005年まで世界屈指の名門ホテル、NYのプラザホテルにてアジア地区営業部長を務めた。2001年EB1(Person of Extraordinary Ability)カテゴリーに認定され永住権を取得。

2005年プラザホテルの閉館を機にホテル勤務に終止符を打ち、NYを拠点に執筆&講演&コンサルタント活動を開始。日米企業にクライアントを持ち、サービス・売り上げ・利益向上の指導からPR&マーケティングまでのマルチワークをこなす。

著書に「世界最高のホテル・プラザでの10年間」、「海外旅行が変わるホテルの常識」、「サービス発展途上国日本」、「なぜお客様は神様では一流と呼ばれないのか」、「超一流の働き方」などがある。

運営サイト

アメリカ社会で起きている就労実態

第1回 アメリカ社会におけるレイオフと再就職
午前10時にオフィスに戻ると、泣いている同僚がいた。「どうした」と尋ねたら、「レイオフにあったの。今日で、みんなとお別れよ」という。こんなことが、私が働いていたニューヨークの職場ではよく起きた。

第2回 短時間労働で高給を可能にするシステム
アメリカのサラリーマンの一般的な生活は18時前にはオフィスを出て帰宅し夕食を摂る。そして早めに床につき6〜8時間の睡眠をとる。多くの日本人に、「なぜこのような生活が可能なんだ?」と言われるかもしれない。

第3回 アメリカ社会で成功する人の処世術
アメリカで育った人の多くはとても自分勝手な性格をしている。何よりも自分が優先。自分の意に反した決まりは守らない。という態度で生きている。それゆえ、人と人との衝突も多く、世の中は訴訟社会にならざるを得ない。

第4回 レイオフにあったときの対処法
レイオフは突然言い渡される。大概、朝の10時前に呼び出され、「あなたの仕事は今日で最後になります。5時に荷物をまとめて持って帰ってください」と告げられる。このような調子なので、誰もがショックを受ける。

第5回 社内ハラスメントを撲滅させる力
「そこをなんとか」という依頼が許される日本の社会。それとは正反対に、アメリカの社会では、「できることと、できないこと」、「していいことと、してはいけないこと」の白黒を明確にさせるから、「そこをなんとか」はない。

第6回 適材適所に基づいた就活しかないアメリカ社会
アメリカの社会を形成した最も大きな要素は差別との戦いだった、と言っても過言ではない。「差別をする人々に負けられない!」という強い心が、アメリカの競争社会を作り上げる大きな原動力のひとつになってきた。

第7回 働きながら技能資格を追う人々
アメリカ人に年齢を聞いてはいけない。それなりの仲ならよいが、そうでない場合は、二度と口をきいてもらえなくなるかもしれない。学生時代に、アメリカに暮らす友人とデイスコに遊びに行っときのこと・・・

第8回 エグゼクティブの面接方法
アメリカの社会でも、ヘッドハンターから声がかかったからと言って、面接なしに、仕事を得られるわけではない。ヘッドハンターは紹介者に過ぎず、企業はヘッドハンターの情報に間違いがないかを面接で確認する。

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