アメリカ社会で成功する人の処世術

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自分勝手な性格を制御できる能力

アメリカで育った人の多くはとても自分勝手な性格をしている。何よりも自分が優先。自分の意に反した決まりは守らない。という態度で生きている。それゆえ、人と人との衝突も多く、世の中は訴訟社会にならざるを得ない。個人個人が戦う危険を避けて衝突を終わらせるには、法律に判断してもらうしかないからだ。

そんな世の中だから、社会で成功する人の多くに、共通して見られる特徴がある。それは、自分勝手にならないように自分を制御できること。“周囲が自分勝手だから、自分も自分勝手にならないと損をする”。そんな気持ちに駆り立てられ、自分勝手度が増していく。だからこそ、自分勝手でない人を前にすると、「この人は珍しく相手のことを考える性格をしている」という賞賛の気持ちが生まれ、自分も出来る限り、その人には自分勝手にならないように努めだす。ここに、よい人間関係が育ち仕事の歯車がスムーズに回りだす環境ができあがる。そうした環境を造れる人がリーダーに抜擢されるのは当然のことと言える。

常に自分の意見を主張し、それに正当性をもたし、弁論で相手を打ち負かす。そんな訓練を学校で受けながら育てば、自分勝手になるのも当然のことだろう。相手を思いやることで、人望を集めている人も、ひとたび皮をむけば、自分勝手な性格がでてくるのかもしれない。だが、それを超え、大きな視野で物事を眺め、自分を制御できる能力を持つ人がこの社会では出世して行く。

 

ゴマすりと呼ばれることを受け止める

“数字が全て”と言われるアメリカ社会だが、ある域を超えたところから、その意味合いが異なってくる。仕事で与えられるノルマはすべて数字で計れるように造られているから、その数字を達成できない者は能力不足と評価される。だが、それをパスした者がさらに上に行くために必要とされるものは、“人間性の高い評価”。そして、その評価を行う者は、数字でなく人になる。最も身近で評価を行う立場にいる人は上司。従って、上司から高く評価されることがなによりも大切なことになる。そのため、上司の人間性を分析し、上司に好かれる行動をしていくことが必要不可欠になる。

ときには、理不尽な考え方をする人が上司になることもあるだろう。そうした時、“自分が正しい”などという気持ちで、上司に反発することは禁物。理不尽な人間は、いずれしっぺ返しを受ける運命にあるが、それを行うのは自分ではない。出世という最も大切な目標に向かって、全ては“己を磨く試練”と受け止め、どんな上司であろうとも、高い評価を得られるように、自分を調整していかなくてはならない。それで、“ゴマすり”と言われようとも構わない。ゴマすりと呼ぶ人は、視野の狭い人にすぎないのだから。

 

部下のサポートこそ自分を出世させる力

昇進したら、次は、自分が部下から支持を受ける方法を考える番。部署の長となったら、自分の成績は部下の数字を集めた合計がノルマとなる。ノルマ達成には、部下に最高の成績を出してもらわなければならないから、そのための手段を講じるのが主な仕事になる。まずは部下が快適に仕事を行える環境を作ること。そのために行うことは、

1.やればやるほど見返りのあるシステムを用意すること。
2.不公平という不満が最悪の事態を引き起こす要因と認識し、常に部下が公平に扱われているという安心感を保てる環境を整えること。

この2つの労働環境を作るため、自分が与えられた権限を最大限に発揮する。

アメリカの会社では、相手の時間を奪うことになる、“帰りがけに1杯”に誘うことは禁物だが、クリスマス前のホリデーシーズンだけは、それが許される。事前にスケジュールを組み、部下をまとめて誘う日は、上司が日頃の感謝の意を部下に示す機会。上司は気配りを行い、部下を席に座らせたまま、自分が動きまわり、至れり尽くせりのサービスを施す。上司という立場を利用して偉ぶることは、部下から反発を買い、ノルマ達成の障害となる。自分の成功は常に部下が最大限の力を発揮することで成りたつという認識を持ち、彼らの力を最大限に発揮させるにはどうしたら良いかを考えることが一番大切な仕事となる。

 

いかなる理由でも反感を買う行いは禁物

アメリカの会社は下剋上の世界でもある。いつなんどき、反発を抱いた人物が刃物を光らせるかわからない。ハラスメントで訴えられたり、違法となる行いを通報されたりすることがあるので、叩いても、ホコリがでないようにしておくことはもちろん、それ以外にも、恨まれる行いは禁物

私が働いたニューヨークのホテルでは、ひつ月に1回、スタッフ全員を集めてのミーティングが行われていた。あるとき、そこで、ホテルに常駐している本社のNo3がスピーチを行った。その際、スタッフ全員に向かって、問いを投げかけたが、誰も彼の問いに応えるものはいなかった。それに腹をたてた彼は「それでも働く気があるのか!」と怒鳴った。アメリカで暮らす人々を相手に、そのような態度を取れば、「なにを偉そうにしている!」という反感をもたれることは避けられない。それから半年後、彼は解雇となる。理由は、“客室を個人目的で利用した”という証拠を捕まれ、本社に通報されたからだった。通常、その程度のことは、社内の世間話で終わることだが、彼に不満を持っていたスタッフたちは許さなかった。公平さを欠いた行いはない社会だから、規則を破った者はNo3とて、許されない。

怒鳴ったのは、彼の熱心さからでたことは明白だった。それでも、結果として、部下から恨まれることになってしまった。“こういうことを言えば、こういう結果になる”という先を読む力が、この社会で成功するには、最も必要とされる能力になる。

 

ポジションの高い者が多くの仕事を行う理由

アメリカでは、どこのオフィスでも、部下が上司をファーストネームで呼ぶ。これは親近感を表すと同時に、人間として、上司も部下も対等であるということを示すための行いでもある。部下が上司を敬うのは、上司が優れているからであり、上司という立場にいるからではない。裏を返せば、優れていなければ、上司としての資質はないものとみなされ、辞めてもらいたいと思われるようになる。これほどみじめなことはないから、上司はプライドにかけて、部下に尊敬される仕事を行うようになる。アメリカの会社で、ポジションが上になればなるほど、多くの仕事をするようになると言われる所以がここにある。

 

アメリカに学ぶ転職活動の心得

アメリカでは、肥満が大きな社会問題となっている。私の友人が、アメリカの最大手ファストフード会社の社長に、“こんにゃくを混ぜてハンバーガーを作れば、カロリーを減らせ、肥満を改善する手段になる”という提案を送ったところ、社長から丁寧な返事が戻ってきた。一般人からの提案でも、優良企業と自負する以上、社長自らが返信する。社長は会社を代表する人物だから、社員の誰よりも、尊敬に値する人物でなければならない。その自覚があれば、必然と、誰に対しても、礼儀正しい行動を取るようになる。

会社選びをする際は、その会社を引っ張っているリーダーがどのような人物かを調べることが大切。人として立派な人間であろうとする社風がリーダーによって造られている組織には、人を成功へと導く教えができあがる。そこで習得したものは、将来、どの会社に行ったとしても、自分を支えてくれる処世術となる。

次回は、レイオフにあったとき、自身を復活させるために、アメリカで働く人々がどのように対処しているのかを紹介したい。

プロフィール

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ケニー・奥谷(ケニー・おくたに)

インターナショナル・ホスピタリティー・スペシャリスト

経歴・実績

奥谷啓介、NY在住。慶応義塾大学卒業後、ウエスティンホテルズ・アジア地区セールスオフィスに入社。

1989年からシンガポールのウエスティン、1991年からサイパンのハイアット、そして1994年から2005年まで世界屈指の名門ホテル、NYのプラザホテルにてアジア地区営業部長を務めた。2001年EB1(Person of Extraordinary Ability)カテゴリーに認定され永住権を取得。

2005年プラザホテルの閉館を機にホテル勤務に終止符を打ち、NYを拠点に執筆&講演&コンサルタント活動を開始。日米企業にクライアントを持ち、サービス・売り上げ・利益向上の指導からPR&マーケティングまでのマルチワークをこなす。

著書に「世界最高のホテル・プラザでの10年間」、「海外旅行が変わるホテルの常識」、「サービス発展途上国日本」、「なぜお客様は神様では一流と呼ばれないのか」、「超一流の働き方」などがある。

運営サイト

アメリカ社会で起きている就労実態

第1回 アメリカ社会におけるレイオフと再就職
午前10時にオフィスに戻ると、泣いている同僚がいた。「どうした」と尋ねたら、「レイオフにあったの。今日で、みんなとお別れよ」という。こんなことが、私が働いていたニューヨークの職場ではよく起きた。

第2回 短時間労働で高給を可能にするシステム
アメリカのサラリーマンの一般的な生活は18時前にはオフィスを出て帰宅し夕食を摂る。そして早めに床につき6〜8時間の睡眠をとる。多くの日本人に、「なぜこのような生活が可能なんだ?」と言われるかもしれない。

第3回 アメリカ社会で成功する人の処世術
アメリカで育った人の多くはとても自分勝手な性格をしている。何よりも自分が優先。自分の意に反した決まりは守らない。という態度で生きている。それゆえ、人と人との衝突も多く、世の中は訴訟社会にならざるを得ない。

第4回 レイオフにあったときの対処法
レイオフは突然言い渡される。大概、朝の10時前に呼び出され、「あなたの仕事は今日で最後になります。5時に荷物をまとめて持って帰ってください」と告げられる。このような調子なので、誰もがショックを受ける。

第5回 社内ハラスメントを撲滅させる力
「そこをなんとか」という依頼が許される日本の社会。それとは正反対に、アメリカの社会では、「できることと、できないこと」、「していいことと、してはいけないこと」の白黒を明確にさせるから、「そこをなんとか」はない。

第6回 適材適所に基づいた就活しかないアメリカ社会
アメリカの社会を形成した最も大きな要素は差別との戦いだった、と言っても過言ではない。「差別をする人々に負けられない!」という強い心が、アメリカの競争社会を作り上げる大きな原動力のひとつになってきた。

第7回 働きながら技能資格を追う人々
アメリカ人に年齢を聞いてはいけない。それなりの仲ならよいが、そうでない場合は、二度と口をきいてもらえなくなるかもしれない。学生時代に、アメリカに暮らす友人とデイスコに遊びに行っときのこと・・・

第8回 エグゼクティブの面接方法
アメリカの社会でも、ヘッドハンターから声がかかったからと言って、面接なしに、仕事を得られるわけではない。ヘッドハンターは紹介者に過ぎず、企業はヘッドハンターの情報に間違いがないかを面接で確認する。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷