外国で働く日本人が増えている理由とは?

海外に移住したい、海外で仕事してみたい、という願望を持っている人は多いのではないでしょうか。

近年では、日本人が海外で働くことや海外生活をすることが昔よりも一般的になっており、その数は増加傾向にあります。

新型コロナウイルスの影響を受けて、長期滞在者は減少していますが、永住者は増加しているとのことです。なぜ外国で働く日本人が増えているのでしょうか?

グローバル化の波に乗る、外国で働く日本人

 
外務省の調査によると、2020年時点では海外在留邦人数は約130万人とのことです。これらの増加傾向は、世界経済のグローバル化や、異文化とのふれ合いによるスキルアップや成長の機会を求める日本人の意識変化などによるものとされています。

外国で働く日本人が増えている理由はさまざまですが、主な理由として以下のようなものが考えられます。

グローバル化の進展と国際社会の多様化

世界的なグローバル化の進展により、企業のグローバル展開が進み、海外でのビジネスが増えています。

そのため、日本企業の現地採用の需要が高まり、海外で働く日本人が増えています。社会が多様化していることも外国で働く日本人が増えている理由のひとつです。

日本国内での多様性に慣れた人々が、異文化環境での仕事や生活にも抵抗がなく適応できるようになり、海外での仕事にも挑戦するようになっていることもあります。

日本国内では埋まってしまっているポジションを海外で見つけられる可能性もあるのです。

留学生としての経験とグローバル人材の需要

留学経験を持つ人々が増えていることも、外国で働く日本人の増加につながっています。留学生として海外で生活をすることで、その国の文化や言語、ビジネスの仕組みなどに触れ、海外での仕事に興味を持つようになる人が多くなっています。

また、グローバルなビジネスを展開する企業は、グローバル人材を求めるようになっています。

そのため、日本人の外国語能力や異文化理解力、ビジネススキルが求められることが多く、海外で働く日本人が増える要因のひとつになっています。

ライフスタイルの変化

海外で働くことが、日本人にとってのライフスタイルの選択肢として認知されるようになってきています。

海外で働くことで、新しい文化や環境に触れ、自己成長やキャリアアップにつなげたいという意識が高まっています。

また、海外での経験を積むことで、日本でのキャリアアップにもプラスになるという考え方も定着してきています。

また、最近ではテレワークやリモートワークの普及もあって、海外に住みながら日本国内で仕事をする「デジタルノマド」という働き方が注目されていることも、海外に住む日本人の増加に影響を与えています。

現地で買える日本の食材が充実してきているのも、海外生活を続けていける大きな要因です。

日本人が外国で働くと、もっと稼げるのか?

海外出稼ぎは本当に成功するのでしょうか。外国で働く日本人が急増している背景として、高賃金、円安の影響を期待している人もいるかと思います。実際には、外国で働く日本人が稼げるのかどうかは、個人の状況や職種、働く国や地域によって大きく異なります。

国の経済状況と税制、生活費によって異なる

働く国や地域の経済状況が、収入水準や物価に影響を与えます。高収入の国や地域で働く場合、日本国内で働くよりも収入が高くなる可能性があります。

しかし、国ごとの税制の違いによって、実際に手取りで受け取れる収入が異なり、日本国内で働く場合よりも収入が多くなることもあれば、逆に少なくなることもあります。

また、国や地域の生活費によって、手取り収入が実質的に減ってしまう場合もあります。特に、どの国であっても大都市圏では生活費が高く、手取り収入が低くなる可能性が高いでしょう。

職種によって異なる

働く職種によっても収入が異なります。海外で専門職やマネジメント職に就く場合や、一部の職種や業種においては、高い報酬を得ることができる場合があります。それは海外での需要が高いことや、その地域での人材の不足などから、高い給与が提示されることがあるということです。

例えば、外資系企業やグローバル企業、専門的なスキルを必要とする分野などは、海外で働くことで高額な報酬を得ることができる場合があります。

また、海外で働くことによって国内でのキャリアアップにもつながることがあります。グローバルな視野や国際的な人脈を身につけることができれば、それがのちに国内での仕事にいかされることもあります。

海外での経験があることで、将来的な海外展開に関する業務に携わることができる可能性もあがります。

外国で働くことの魅力とは?

外国で働く日本人が稼げるかどうかは、個人の状況や働く国や地域によって異なりますが、経済的な観点だけでなく、異文化に触れることで得られる経験やスキルアップの機会など、さまざまな魅力があります。

語学力の向上と異文化への理解

外国で働くことで、現地の言語を使う機会が増え、語学力が向上する可能性があります。

今はオンラインでも語学学習ができる時代ですが、実際にその国に住み、日常的に聞いて話して、その言語を使って生活をするのとでは、身に付き方が全然違います。

また、異なる文化に触れることで、新しい視野や価値観を学ぶことができ、異文化への理解が深まります。

そして外国語習得には異文化理解も合わせて必要になります。表現の背景が分からないと、外国語はいつまでたっても理解ができません。

国際的な人脈の構築と多様な社会での経験

海外で働くことで、国際的な人脈を構築できます。これは、ビジネスの場面のみならず、人生全般において有益です。

日本人以外とのふれ合いから、新しい発見があり、多様な考え方を学ぶことができます。異文化での困難を乗りこえ、多様な社会に適応し、生き抜く力が身に付きます。

日本人が外国で働くうえでの注意点は?

外国で働くのに向いている人はどんな人なのでしょうか。外国で働くことにはもちろんデメリットもあります。

語学力や文化的な違いによるストレス、社会に適応するために苦労することもあります。そのような問題に対応ができるような性格かどうか、また状況やライフスタイル、さまざまな事情に合わせて、総合的に判断をする必要があります。

海外で働くために必要なこと、海外生活の現実について、以下の点に注意をしておくといいでしょう。

異文化ストレスと遠距離の家族との関係

異なる文化や習慣に順応することが難しく、異文化のなかで生活をすることにストレスを感じることがあります。また、家族や仲のいい友達と離れて暮らすことによるストレスや、遠距離の家族との介護問題などの問題に悩みが生じることもあります。

安定性の低下と法律やビザの問題

海外での生活や仕事は、国内での生活と比較して安定性が低く、リスクが高いと言えます。

働く国や地域の法律やビザの問題に直面することも多く、それらをクリアすることが難しい場合があります。ビザ取得のために無理な条件下で働かされたり、毎回の更新におびえて暮らすなんていう最悪な状況も少なくありません。

ビザが延長できないと生活も一変してしまうため、精神的にもかなりの負担がかかります。

【まとめ】目先の利益ではなく、自己投資

外国で日本人が高い給与を得るためには、高いレベルの専門知識やスキル、語学力などが求められる場合があるため、それらを身につけるためには努力や継続的な学習が欠かせません。

日本である程度のキャリアを積んできた人は、収入が下がることを覚悟したほうがいいという意見もあります。

語学力はその国のネイティブにはどうしても劣ってしまいますし、自分の希望する職種につくのは難しいかもしれません。

しかし、今後の世界はますます国際化し、多様化していきます。目先の利益だけを追い求めすぎず、長い人生の貴重な経験として、自己投資のつもりで挑戦してみるのはとても価値のあることだと思います。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷