プロフィール
津田塾大学卒業後、公立図書館にて児童サービス担当者として勤務。日本の未来に不安を感じ2019年単身でカナダ・バンクーバーへ。保育士資格取得後、現地で保育士として勤務しながらライターとしても活動中。
海外勤務や海外移住に興味のある方、どうしたら外国で働くことができるのか知りたくありませんか?
グローバル化によって日本人が外国で働くことは珍しいことではなくなりました。しかし海外就職について手に入れられる情報はまだ限られているのが現状です。
そこで今回は実際に海外就職を果たした著者が「海外で働く方法や必要なもの」を解説していきます。
外国で働きたい方におすすめの職種や、海外勤務を実現するための年齢別ヒントもお伝えしますので是非最後までお付き合いください。
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津田塾大学卒業後、公立図書館にて児童サービス担当者として勤務。日本の未来に不安を感じ2019年単身でカナダ・バンクーバーへ。保育士資格取得後、現地で保育士として勤務しながらライターとしても活動中。
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日本人が日本で働くためには就職活動をすればいいだけですが、海外で仕事を得て働くためには、多くの備えが必要になります。
この章では日本人が外国で働く際に必要なものを5つに分けて紹介します。
海外で働く場合、何よりもまず必要なのが「就労ビザ」です。
国籍や永住権を有しない国で働くには、その国の政府機関による労働許可証が必要です。これを一般的に「労働ビザ」や「就労ビザ」と呼びます。
就労ビザがないまま外国で働くのは違法です。
注意したいのが「就労ビザ」と滞在許可は別のものだということです。
観光ビザや学生ビザのみを保有している場合、その国に滞在はできても就労はできません。(外国人学生が就学中に就労できるよう条件付きで就労ビザが発行される場合もある)
国にもよりますが、就労ビザは大きく分けて2つのタイプがあります。
ワーキングホリデービザのように勤務先を自由に選べる「雇用主を限定しないビザ」と、決まった雇用主の元でしか働くことのできない「雇用主を限定するビザ」です。
いずれの場合も、通常1年~数年ほどの期限付きです。
就労ビザを手に入れる方法はいくつかありますので後述します。
雇用主にとって、外国人を雇うことには多くのデメリットがともないます。
外国人を雇うには煩雑なビザの手続きを行なわなくてはならないうえ、文化や言葉の壁もあり、その国の人を雇うのに比べて多くの労力を必要とするからです。
一方で、あなたがスキルや資格を持っており雇用主の求める人材に合致すれば、状況は違ってきます。
「あなたを雇うメリット」が「外国人を雇うデメリット」を上回ることになるからです。
海外で需要のある人材になるためには、人手不足の業界を狙ったり、日本人であることが強みになる特別技能を身につけたりすることが有効です。
このことについてはこちらの記事で詳しく書いていますので参考にしてみてください。
海外で働く場合、基本的に英語もしくは現地の言語ができることは必須条件です。
コミュニケーションのとれない労働者を、雇用主は進んで雇おうとはしないからです。
ただしフリーランスとして日本の仕事をオンラインでする場合や、職場でのコミュニケーションが日本語中心の職場、コールセンターなど日本人のみをサービス対象にした仕事をするのでしたら、日本語しか話せなくても問題はないでしょう。
とはいえ、英語や現地の言語が話せないとなると、それだけで海外で働くうえでの選択肢はかなり少なくなりますし、その後のキャリアにもつなげにくくなってしまいます。
特に長期の海外勤務や移住を考えている方は、英語や現地で使われている言語スキルを身につけることは生活の質にもつながりますので、しっかりと学んでおきたいものです。
外国に生活の拠点を移し、仕事を始めるには意外とお金がかかります。
駐在員として派遣される場合は会社から補助が受けられますが、単身で渡る場合は渡航費からビザ申請料、ビザコンサルタント費など何十万円単位のお金がかかります。
さらに現地の学校に通うとなると学費もかかるうえ、通学中の生活費も賄わなくてはなりません。
就労ビザがおりるまでに時間がかかり、その期間何ヶ月も働けないということも起こり得ます。
海外で働くことを検討する際は、現地の生活費の相場を知り、ご自身の予算と相談しつつ余裕をもった計画をたてることをおすすめします。
海外で仕事を探している時に、役に立つのが「コネ」や「人脈」です。
国にもよるかとは思いますが、私が暮らすカナダは日本に比べて圧倒的コネ社会です。
コネ社会の象徴として就職活動の際に履歴書と一緒に提出を求められる「レファレンスレター」があります。
レファレンスレターは推薦状のようなもので、通常過去の職場の上司や大学の指導教授などに書いてもらいます。
社会的に立場のある人に推薦してもらうことで、雇用主の信頼を獲得することにつながり仕事も得やすくなります。
現地でのコネがない場合は、ボランティア活動やインターンなどを行って人脈を築くといいでしょう。
海外で働く際に、まず必要なのが就労ビザ。この章では就労ビザを得る方法を4つに分けてご紹介します。
ビザ制度は国によって大きく異なります。こちらで紹介する方法は一般的なものですべての国に該当するビザ制度があるとは限りません。
日本貿易振興機構(JETRO)による海外ビジネス情報ページでは各国の「外国人就業規則・在留許可、現地人の雇用」について概要が載っていますので、気になる就業先がある方は参考にしてみてください。
ワーキングホリデー制度は18歳以上30歳以下の方を対象とした観光・就学・就労のすべてが許可されるビザです。
2023年3月現在で日本国籍を有する人が、ワーキングホリデービザで渡航できるのは27カ国となっています。(*)
「ワーキングホリデー」ときくと、カフェや日本食レストランでのアルバイトをイメージする方が多いかもしれませんが、実は風俗業等を除いたほとんどの仕事に就くことができます。
かくいう著者も、ワーキングホリデービザを利用してカナダの保育園で1年間フルタイム勤務をし、その後同じ雇用先で就労ビザを取得しました。
ワーキングホリデービザは取得も容易で制限も少なく、使い方によってはその後の就労ビザや永住権取得にもつなげやすい最強のビザです。
学生やワーキングホリデー制度が使えない30代におすすめなのが、現地の専門学校や大学に通って就職先をみつけ就労ビザを得る方法です。
現地で通用する学歴や資格・スキル取得につながりますし、国によっては就学中のインターンや就労も許可されるため就労実績や人脈づくりにも役立ちます。
また、一部の国ではその国の公立カレッジを卒業すると一定期間働くことができる就労ビザを申請できる制度もあります。
ただし、現地校を卒業したからといって就職が確約されるわけではないので、専攻を決定する際に外国人でも就労先が確保しやすい分野や業界を選ぶことが大切です。
就労ビザを得るのに最も王道なのが「海外駐在のある企業やポストに就職・転職する」方法でしょう。会社の後ろ盾があるため、リスクも少なくてすみます。
ただしこの方法は高い言語力や経歴、ビジネスにおける実績をもつ人のみが選択できるものです。
また、海外駐在のあるポストに就職・転職したからといって、海外赴任が約束されるわけでも自分の希望にあった赴任先になるとも限りません。
リスクが少ない分、決定権は自分ではなく会社にあることになります。
フリーランスや個人事業主向けのビザ制度を活用する方法もあります。
現地の仕事をフリーランサーとして獲得したり、事業を行なったりすることもできますし、オンラインで日本の仕事をすることも可能です。
注意したいのが、国によっては自営業・フリーランスとして就業できるのは就労ビザに記載された職種に限られる点です。
例えばフリーライターとして就労ビザを取得した場合、ライターとしての仕事のみを行えることになります。
人手不足の業界に関連するスキルや資格があると、海外での仕事の獲得はぐっとしやすくなります。
では、どうやって外国で働くためのスキルや資格を得ることができるのでしょうか?
この章では海外で就職するための資格やスキルの取得方法をご紹介します。
特定のスキルや資格を手に入れるためには、現地の専門学校や大学に通う方法が最初にあげられます。
この方法をとると、現地での学歴もでき、国や条件によっては就学中の就労や卒業後の就労ビザの付与もされるためメリットが大きいです。
ただ、その分学費や就学中の生活費などもかかるため、より多くの資金が必要となります。
国や資格によっては、日本の資格を別の国の同様の資格に書き換えることも可能です。
例えば、日本の大学で保育士資格を取得した方は、条件によってはカナダやオーストラリアの保育士資格に書き換えることができます。
すでにある日本の資格を海外のものに書き換えるだけなので、費用をかけず海外就職に挑戦することができます。
リモートワークやリモート学習が当たり前になった現代では、オンラインで学びスキルや資格を獲得することも可能です。
オンラインコースを履修する場合、日本のコースで学ぶよりも英語圏や就職希望国のコースを履修することをおすすめします。
言語の勉強にもなりますし、その文化圏での業界事情も知ることができるからです。
ただしオンライン上にあるスクールは玉石混交ですので注意が必要です。なかには詐欺まがいのものや、せっかく履修しても実際の就職には活かせないようなレベルのものもあります。
オンラインコースをとる際には、実際に使えるスキルが身につくものなのか精査してから受講をしましょう。
日本で働きながら経験を積むことで、海外就職への道が開ける場合もあります。
一般企業で働き専門的知識やビジネススキルをつけることで海外赴任にたどり着くこともあるでしょうし、日本食店や寿司屋に弟子入りをして修行したのち、海外で職人として就職する方法もあるでしょう。
現場で働きながら学ぶことで、海外でも通用するスキルや知識を学ぶことができる方法といえます。
海外勤務を目指す場合、どんな業界や職種に豊富に働き口があるか、もしくは就労ビザがとりやすいか知っておくことは非常に大切です。
ここでは日本人であることが海外で活かされる職種や、世界的に人手不足の業界を中心におすすめの職業を7つに絞って紹介します。
寿司やラーメンをはじめとする日本食は、今や世界中で大人気。
多くの国に日本食レストランがあり、シェフの需要も高いといえます。
また「日本人であること」は日本料理の職人として海外で働くうえで大きなアドバンテージになります。その分ビザもとりやすいといえるでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、美容師も実は「日本人であること」が活かされる職業です。
なぜなら日本人やアジア人の髪質は、西洋人や他の人種の髪質とは異なるからです。
日本人が多く暮らす外国の都市には「日本人の髪質を知り尽くした日本人美容師に髪を切ってもらいたい」という日本人の需要があるため日系美容室が多くあります。
チップ文化のある国では、美容師にもチップを払う習慣があるため収入アップも見込めます。
日本でも保育士不足は深刻ですが、海外でも同様の問題を抱えている国は多くあります。
人材不足を補うため、外国人労働者に頼らざるを得ない状況の国もあり、保育士資格保有者は比較的就労ビザを得やすいといえます。
また日本人が多く暮らす都市では、自分の子どもを日本語環境の保育施設に預けたいと考える保護者もいるため、日本語で保育をする保育園も存在します。
看護師も多くの国で高い需要のある職業です。給料も高く、安定した就業ができるといえます。
ただし、人の健康や命に関わる仕事のため、小さな誤解やミスを招かないためにも、かなり高度で正確な言語力が求められます。
資格取得や就職のハードルは高いといえるでしょう。
欧米を中心に年々外国人の間でもその認知度があがっているJapanese Shiatsu(指圧)。
多くの大都市には日本式の指圧クリニックが複数あります。
日本では国家資格が必要な指圧師ですが、海外ではその就業規則や資格は様々です。
日本の資格や経験が考慮され、就労ビザや就職先を得られる場合もあるので、気になる国がある方はその国の法律やビザ事情をお調べすることをおすすめします。
世界中で技術者不足なのがIT/Web業界です。
優秀な人材確保のため、エンジニアやデザイナーなどを優遇する就労ビザ制度を設定している国も多くあります。
システムエンジニアに限って言えば、プログラミング言語は世界共通のため、習得すれば世界中で通用するスキルを手に入れることができ海外転職も夢ではないといえます。
「海外で仕事をしたいけれど外国語に自信がない」という方におすすめなのが、海外にカスタマーサービスの拠点をおく企業のコールセンターで働くことです。
主に人件費や物価が安いアジア圏を拠点にしていることが多く、日本語で顧客の電話を受けたり営業の電話をかけたりする仕事がメインです。
特別なスキルや外国語力が不要な点が魅力ですが、その分デメリットもあります。
クレーム対応等によるストレスが多く、キャリア形成につながるようなスキルも身につきにくい点があげられます。
海外で働くことを考えた時、年齢によってその可能性や選択肢は大きく異なってきます。
ここでは20代/30代/40代の年齢別に、海外で働くことを実現するためのヒントをお伝えします。
時間や可能性がある20代は海外で働くための選択肢も多くあります。
特に18~30歳対象のワーキングホリデービザは取得も容易で、活用次第ではその後の就労ビザや永住権取得にもつなげられるため活用しない手はありません。
その他にも海外赴任の可能性がある企業に新卒で入社する方法や、留学後に現地就職する方法などが考えられるでしょう。
30代にもなるとある程度の社会人経験を身につけている方がほとんどだと思います。
一方でまだまだ若いので、新しいことを学ぶのも難しくないはずです。
30代で海外勤務を希望する場合「日本で得た経験やスキルを活かす」方法と、「新しいスキルや資格を身につける」方法のどちらかを選択することになるでしょう。
40代になると、キャリアチェンジをしたり、単身で海外に渡り現地就職を目指したりするのはリスクが高いと感じる方も多いと思います。
そのため40代の方が海外勤務について検討する場合、「海外駐在が可能な企業への転職」もしくは「日本で現地企業への就職活動を行って職を得てから渡航する」方法が安全といえるでしょう。
ただしこれらはあくまで高い専門性やビジネススキルのある方のみが実現し得る方法といえます。
該当しない方はご自身の専門性を高めることや、すでにお持ちの資格を活用できないか検討してみましょう。
海外で働くことは決して簡単なことではありません。住み慣れた日本を離れて、言語も文化も異なる場所で新たなビジネスの基盤を作っていくことには大きなリスクがともないます。
海外勤務に挑戦する際には、目的やゴールを明確にしてから戦略的に計画をたてましょう。
その際、きちんとリサーチをすることも大切です。各国のビザ制度は常に更新されています。各国政府の公式発表や政府公認移民コンサルタント等から発信されている、正確で最新の情報を元に計画を進めてください。
この記事が、海外勤務を検討中のみなさんのお役に少しでもたてたら幸いです。